高画質・高機能&低プリントコスト
使いやすさにも磨きがかかった高画質インクジェットプリンター
キヤノン「PIXUS XK500」徹底レビュー
カメラやスマートフォンで撮影したお気に入りの写真を自宅で手軽にプリントできるのが家庭用インクジェットプリンターの魅力だが、その画質にみなさんは満足しているだろうか? 発色が悪かったり、PCやスマートフォンの画面で見るよりも色がくすんでいたりしていて、がっかりした経験はないだろうか? もっと高画質で写真をプリントしたいという人に注目してほしいのが、キヤノンの最新インクジェットプリンター「PIXUS XK500」。高画質プリントと低プリントコストを両立しつつ、使いやすさにも磨きがかかった本機の実力を徹底レビューしていこう。
プリント画質「プレミアム6色ハイブリッドインク」による
ワンランク上の高画質プリント
キヤノンの「PIXUS」シリーズは、ラインアップが豊富で、ニーズや予算に合わせて自分に適したモデルが選べる家庭用インクジェットプリンター。そんな「PIXUS」シリーズの中でも、今回取り上げる「PIXUS XK500」は、プリント画質や機能にこだわったプレミアムモデル「XK」シリーズの最新モデル。写真家から高い支持を集めた、高画質&高機能モデル「PIXUS XK90」の後継モデルである。

「PIXUS」シリーズの中でもプレミアムモデルに位置付けられる「XK」シリーズの最新モデル「PIXUS XK500」。本体は「ダークシルバーメタリック」というプレミアムモデルにふさわしい落ち着いたカラー
「PIXUS XK500」の特徴は、何と言っても写真プリントの画質のよさだ。プリント品質の決め手となるインクには、染料系のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブルー(PB)、ブラック(BK)と、顔料系のブラック(PGBK)で構成される「プレミアム6色ハイブリッドインク」を採用する。光沢紙における発色のよさが魅力で、実際にプリントしたものを見ると、色の濃さや彩度の高さが一般的な家庭用インクジェットプリンターよりワンランク上のクオリティであることがひと目でわかる。従来モデルの「PIXUS XK90」と同様、フォトブルー(PB)インクを採用することで、明るめの青色から白色の領域での粒状感を低減し、繊細な仕上がりを実現しているのも見どころだ。

プリント品質の根幹とも言えるインクには、「プレミアム6色ハイブリッドインク」を採用。ブラックインクは顔料系と染料系の2種類が用意され、プリント原稿によって使い分けている。これにより、写真も書類も高画質にプリントすることが可能なのだ
実際に「PIXUS XK500」を使ってプリントした写真をいくつか見ていこう。自宅でプリントしたとは思えない、ハイクオリティなプリント画質を実現していることがわかってもらえるはずだ。

プロカメラマンが撮影した夕景を、キヤノンの最上級写真用紙「光沢 プロ[クリスタルグレードA4]」を使ってプリントしてみた。夕焼けの燃えるような赤とそのグラデーションが美しく再現されている。船の側面の影になった部分も黒ツブれすることなく緻密に再現された圧巻のプリント画質だ

こちらはキヤノンの写真用紙「光沢 ゴールドA4」にプリントしたもの。用紙のグレードは上の用紙より落ちるが、こちらも十分すぎるクオリティだ。空や雲、海の水面の青や白い部分が滑らかで粒状感がないのはフォトブルー(PB)インクの効果だろう

最近のスマートフォンはカメラ機能が向上しており、プリントにも十分耐えられるクオリティの写真を撮影できる。こちらはスマートフォンで撮影した写真を「光沢 プロ[クリスタルグレード2L]」でプリントしたもの。スマートフォンで撮影した写真とは思えない仕上がりのよさに驚かされる。「PIXUS XK500」があれば、こだわりの作品に仕上げられそうだ

本特集のために、いろいろな写真をプリントしてみたが、プリントすると1枚1枚の写真に愛着が湧いてくる。アルバムに収めたり、壁に飾ったり、いろいろ楽しめるのも魅力だ。また、プリントすると写真の構図や露出など細かいところが気になり、「次はこう撮影しよう」と撮影の上達にもつながりそうだ
プリントコストL判フチなし写真が1枚約10.8円!
写真をたくさんプリントする人に最適
「PIXUS XK500」の写真プリントの画質のよさはよくわかったが、自宅で写真をプリントする時に悩ましいのがプリントコストだ。どれだけ高画質にプリントができても、インク代などが高ければ、たくさんプリントするのを躊躇してしまう。その点、「PIXUS XK500」は従来モデルよりもさらに低いプリントコストを実現しているので、たくさんプリントしたいという人でも安心して選ぶことができる。
L判フチなしカラー写真1枚当たりのプリントコストは、従来モデルの「PIXUS XK90」が約13.7円(大容量インク使用時、税込)だったのに対して、新モデルの「PIXUS XK500」では約10.8円(税込)にまで下がっている。さまざまなサービスがあるので一概には言えないが、安いことで知られるネットプリントやコンビニプリントと比べても、そん色のないプリントコストと言っていいだろう。
L判フチなしカラー写真1枚のプリントコスト
PIXUS XK500 | PIXUS XK90(従来モデル) | ||
---|---|---|---|
約10.8円 | 約13.7円大容量インクの場合 | 約16.3円標準容量インクの場合 |
※キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド使用時のインク・用紙合計コスト。税込価格。
※2022年3月10日時点のキヤノンオンラインショップの価格を元に算出。
「PIXUS」シリーズのほかのモデルと比べた場合はどうなるだろうか。「PIXUS XK500」と同じ6色インクのハイスペックモデル「PIXUS TS8530」のL判フチなしカラー写真1枚当たりのプリントコストは約22.1円(大容量インク使用時、税込)と、「PIXUS XK500」の2倍以上。1枚だけでも10円以上の差があるが、写真をたくさんプリントするほど、その差は広がり、1,000枚プリントした場合の差は1万円以上となる。写真をたくさんプリントすればするほど、「PIXUS XK500」のほうがお得になるということだ。
このほか、5色インクのハイスペックモデル「PIXUS XK100」のL判フチなしカラー写真1枚当たりのプリントコストは約9.8円(税込)。さすがに、インク数が少ない分、プリントコストは安いものの、逆に見れば、「PIXUS XK500」は6色インクながら、5色インクのモデルに迫る低プリントコストを実現しているとも言える。

L判フチなし写真1枚の印刷コストは、「PIXUS XK500」が約10.8円(税込)、「PIXUS TS8530」が約22.1円(大容量インク、税込)。1000枚プリント時の金額は「PIXUS XK500」が約10,800円(税込)、「PIXUS TS8530」が約22,100円(大容量インク、税込)
また、ひんぱんに写真をプリントするとなると、プリントコストとともに気になるのがプリントスピードだ。その点、「PIXUS XK500」は、「PIXUS XK90」と同じく、L判フチなしカラー写真1枚を約10秒でプリントできる。スマートフォンから実際に写真をプリントしてみたが、給紙が始まってプリントが終わるまでの時間は実測で約10秒とスペック通りの速さだった。これだけスピーディーならストレスなく写真をプリントできるだろう。
「PIXUS XK500」のプリントスピードを実際に測定してみた。スマートフォンアプリ「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」を使い、スマートフォンで撮影した写真を、標準設定(用紙サイズ:L判/用紙の種類:写真用紙光沢ゴールド/フチ設定:フチなし/フチはみ出し量:中/カラーモード:カラー/自動写真補正:オフ/シャープネス:オフ)でプリントしている。給紙が始まってから、プリントが終わるまでの時間は、スペック通りの約10秒だった
新しいホーム画面&スマホ連携写真プリント用の「標準モード」を搭載。
スマホ連携もますます便利に
最後に、写真プリントに便利な「標準モード」画面と、現在のプリンター選びの重要なポイントにもなっているスマートフォンとの連携機能の進化をチェックしていきたい。
写真プリント用の「標準モード」は、「4.3型ワイドタッチパネル」の大きなモニターを生かして、写真プリントに特化したユーザーインターフェイス(UI)。左側に大きく「写真プリント」のアイコンが表示され、ここから写真プリント用の機能を簡単に呼び出せるのが特徴だ。本体左下のSDメモリーカードスロットにSDメモリーカードを差し込んで、「写真プリント」をタッチすると、モニター上でプリントしたい写真を選ぶことができ、簡単なトリミングも行える。また、写真の明るさを調整したり、モノクロにしたりできる「クリエイティブフィルター」は、フィルターの効果を4.3型の大きなモニター上でプレビューすることが可能。「PIXUS XK500」を使えば、PCが苦手な人でも、思い通りのイメージでこだわりの写真を簡単にプリントできるのだ。

「PIXUS XK500」のホーム画面は、写真プリントに特化した「標準モード」を搭載。左側の「写真プリント」をタップすると、写真プリントに便利な機能が表示される。なお、右下の「かんたんモード」へ切り替えることで、書類のプリントやはがきのコピーなどが簡単に行える
続いて、スマートフォンとの連携機能だが、従来モデル「PIXUS XK90」では、iPhone/iPadでしか利用できなかった「QRコードダイレクト接続」がAndroid 10以降を搭載したスマートフォン/タブレット端末でも利用できるようになった。同機能は、「PIXUS XK500」のモニターに表示されるQRコードを読み取ることで、スマートフォンと本機を素早くダイレクト接続できるという便利な機能だ。
また、新機能として、「スキャンしてスマホに保存」を搭載。スマートフォンを「PIXUS XK500」と接続したり、スマートフォンに専用アプリをインストールしたりすることなく、本機でスキャンした画像データをスマートフォンに保存できるという、こちらも便利な機能だ。具体的には原稿をスキャンすると、「PIXUS XK500」のモニターにQRコードが表示される。それをスマートフォンで読み取ると、スキャンしたデータがブラウザー上に表示されるので、あとは保存すればOK。スキャンしたデータを複数人でシェアする時などに役立つ機能と言える。

本体の液晶モニターに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで、素早くダイレクト接続が行える「QRコードダイレクト接続」。「PIXUS XK500」では、iPhone/iPadだけでなく、Android 10以降を搭載したスマートフォン/タブレット端末でも利用できるようになった
「スキャンしてスマホに保存」では、本機で読み取ったスキャンデータがクラウド上にアップロードされ、そのスキャンデータをダウンロードするためのQRコードが「PIXUS XK500」のモニターに表示される。このQRコードをスマートフォンで読み取ると、ブラウザー上にスキャンしたデータが表示され、そのまま保存できるという仕組みだ
まとめ写真をプリントする楽しさを満喫できる
「PIXUS XK500」
以上、「PIXUS XK500」をレビューしてきたが、写真をプリントする楽しさを改めて感じることができた。カメラは好きでも写真プリントはあまりしないという人もいるだろう。筆者もそうだったが、写真が紙にプリントされ、データから実際に手にできるモノになると、愛着が一気に湧く。少し大げさかもしれないが、カメラで撮影する時も、プリントして作品にすることを考えながら撮影するようになるので、より真摯に被写体へ向き合える。もちろん、プリントする楽しさを感じられたのは、「PIXUS XK500」の圧巻のプリント画質があってこそだ。しかも、プリントコストが抑えられているので、積極的にプリントしようという気にもなってくる。写真愛好家はもちろん、スマートフォンで写真を撮影している人にも、ぜひ「PIXUS XK500」で写真をプリントする楽しさを味わってもらいたい。