構図もピントもすべてがオート! キヤノンの自動撮影カメラ「PowerShot PICK」徹底レビュー

キヤノンの「PowerShot PICK」は、人の顔を自動で認識して構図を調整し、ベストなタイミングでシャッターを切ってくれたり、動画を撮影してくれたりする、これまでになかった新しいコンセプトの自動撮影カメラ。家族で写真や動画を撮影する際に、カメラを構えたパパやママが写真や動画に写っていないという悩みを解消してくれるのにもひと役買ってくれる。自動撮影でどんな写真や動画を撮影できるのか、価格.comが徹底チェックした。

概要シャッターボタンもファインダーもなし! すべてお任せの新コンセプトカメラ

はじめに、家族や友だち同士で写真や動画を撮影するシーンを想像してみてほしい。あなたはカメラマンとして、ファインダーやモニター(もしくはスマートフォンの画面)で被写体を見ながら構図を決め、決定的瞬間を逃さぬようシャッターを切ったり、動画を撮影したりするはずだ。ところが、撮影した写真や動画をいざ見返すと、自分がまったく写っていないうえ、目の前のイベントに全然集中できていなかったりする。特に小さなお子さんを持つパパやママにはよくある悩みではないだろうか? そんな悩みを解消してくれるのが、今回紹介するキヤノンの自動撮影カメラ「PowerShot PICK」である。

キヤノン「PowerShot PICK」

キヤノンの自動撮影カメラ「PowerShot PICK」。本体にシャッターボタンやファインダーはなく、電源を入れて置いておくだけで、家族や友だちの自然な表情や思いがけない瞬間を撮影してくれる、新コンセプトのカメラだ。カラーバリエーションは「ホワイト」と「ブラック」の2色がラインアップされる

「PowerShot PICK」は、キヤノン独自のアルゴリズムで人の顔を自動で認識して写真や動画を撮影してくれる、カメラマンいらずの自動撮影カメラだ。手のひらに乗るほどの小型・軽量ボディにパン・チルト機能、それに光学3倍とデジタル最大4倍のズーム機能が搭載されており、構図も自動で調整してくれる。テーブルなどに置いておくだけで、写真や動画を自動で撮影してくれるのだ。顔の認識や、構図の調整には、カメラの開発で長年培ったキヤノンの技術が存分に生かされている。

カメラとしてのスペックは、有効約1170万画素の1/2.3型CMOSセンサーを搭載。レンズには35mm判換算で19mm〜57mm(F2.8−F5.0)の光学3倍ズームレンズを採用するうえ、前述の通り、最大4倍のデジタルズーム機能も備える。動画はフルHD・60fpsに対応。パン・チルト鏡筒制御による手ブレ補正と動画用の電子ISを備えているため、置いての利用だけでなく、手持ちでの動画撮影も楽しめる。

キヤノン「PowerShot PICK」

本体サイズは直径が約56.4 mm、高さが81.9mmと手のひらに乗る小型ボディで置き場所を選ばない。重量は約170g(microSDメモリーカードを含む)と軽量なので、持ち運びも楽々。小型の三脚などに取り付けて使っても便利そうだ

キヤノン「PowerShot PICK」

後述するスマートフォンを利用したリモート撮影の画面を見ると、人の顔をしっかりと認識していることがわかる。横顔でも認識しているのがスゴイ(写真はリモート撮影の画面の一部)

動画

「自動追尾」機能を有効にすると、人の顔を追従してくれる。こちらもリモート撮影の画面を録画したものだが、人の顔を追従して画角に収め続けているのがわかる

動画

110°のチルト機能と、±170°のパン機能により、カメラの周囲にいる人の顔を探して画角に収めたり、顔を追従したりしてくれる。動画を見てもらうとわかるが、チルトとパンの動きは非常に滑らか。動作音もほとんど聞こえない。これに光学3倍とデジタル最大4倍のズーム機能を掛け合わせ、広いエリアをカバーし、写真や動画を撮影してくれるのだ

使い方スマホと連携したリモート撮影や音声による撮影もできる

続いて「PowerShot PICK」の使い方をチェックしていきたい。自動撮影カメラというと設定が難しそうなイメージだが、結論から言うと拍子抜けするほど簡単に使えてしまう。

まずは「PowerShot PICK」を充電し、記録メディアのmicroSDメモリーカードをセットすれば本体側の準備は完了。続いて、手持ちのスマートフォンかタブレット端末に専用アプリ「Connect app for Mini PTZ Cam」(無料。iOS/iPad OSとAndroidに対応)をインストールし、アプリの指示にしたがって「PowerShot PICK」とペアリングする。これでセットアップは完了だ。あとは好きなところに置いておけば、写真や動画をどんどん自動で撮影してくれる。ものの数分で使い始められる手軽さだ。

キヤノン「PowerShot PICK」

スマートフォンやタブレット端末とは、Bluetooth+Wi-Fi接続かWi-Fi単独接続が可能。アプリの画面の指示にしたがって、「PowerShot PICK」本体側のワイヤレス通信ボタンを押すことで、簡単にペアリングできる

キヤノン「PowerShot PICK」 キヤノン「PowerShot PICK」
キヤノン「PowerShot PICK」

ボタン類は電源ボタンとワイヤレス通信ボタンのみで、シャッターボタンなどは搭載しない(左上写真)。記録メディアはmicroSDメモリーカード(右上写真)。外部インターフェイスには充電および給電用のUSB Type-Cポートを搭載する(左下写真)。なお、電源アダプターは付属せず、純正の「USB電源アダプターPD-E1」(別売)など別途電源アダプターが必要となる
※アダプターの詳細についてはこちら

ボタン類は電源ボタンとワイヤレス通信ボタンのみで、シャッターボタンなどは搭載しない(上写真)。記録メディアはmicroSDメモリーカード(中写真)。外部インターフェイスには充電および給電用のUSB Type-Cポートを搭載する(下写真)。なお、電源アダプターは付属せず、純正の「USB電源アダプターPD-E1」(別売)など別途電源アダプターが必要となる
※アダプターの詳細についてはこちら

撮影した写真や動画は、「Connect app for Mini PTZ Cam」をインストールしたスマートフォン/タブレット端末上で閲覧できる。また、「おすすめ」の写真を自動でピックアップしてくれる機能が備わっており、見返すのも簡単だ。さらに、iOS/iPad OS版のみとなるが、写真と動画をつなぎ合わせた「ハイライト」という動画も作成できる。

キヤノン「PowerShot PICK」

「PowerShot PICK」で撮影した写真や動画はスマートフォン/タブレット端末用アプリ「Connect app for Mini PTZ Cam」で閲覧できる。保存したい写真や動画は手動で選択し、スマートフォン/タブレット端末側に転送する仕組み

キヤノン「PowerShot PICK」

今回は308枚の写真と13の動画を撮影してくれた。ここから、どんな写真が撮れてるのか振り返ってみて面白い1枚や意外な瞬間を探すのが楽しい。たくさんの中から探すのが大変な場合は、「おすすめ」としてピックアップされた中から探すのもひとつの手である。構図は言わずもがなだが、笑顔の写真など表情のよい写真が積極的に選択されている印象だ

動画

iOS/iPad OS版で利用できる「ハイライト」は、撮影した写真や動画をつなぎ合わせて動画を自動作成する機能。撮影した日付と何分の動画を作成するかを選ぶだけの簡単な操作で作成することができる。その出来映えも上々だ

「Connect app for Mini PTZ Cam」では、撮影した写真や動画を閲覧するだけでなく、「PowerShot PICK」の各種設定も行える。ユニークなのが「優先設定」。顔を登録すると、その人を優先して撮影するというもので、子どもの写真をたくさん撮影したい場合などに便利だ。また、「自動撮影モード」では自動撮影の頻度を「エコ」「ライト」「アクティブ」「カスタム」から選択できる。日々の記録なら撮影頻度が控えめな「エコ」や「ライト」に、旅行やイベント時はたくさん写真や動画を撮影してくれる「アクティブ」に設定するなど使い分けるといいだろう。「カスタム」を選べば、各種設定を細かく調整できる。

キヤノン「PowerShot PICK」

人の顔を登録し、「優先設定」をオンにすると、その人物を優先的に撮影してくれる。子どもの写真をたくさん撮りたい場合などに便利だ。12人まで自動登録されるほか、「PowerShot PICK」の前で顔を約30秒間写し続けて登録することもできる

キヤノン「PowerShot PICK」

「自動撮影モード」には、「エコ」「ライト」「アクティブ」「カスタム」の4つのモードが用意されている。調整されるのはビデオ(動画)撮影の有無、自動撮影の頻度、探索範囲、ズーム範囲。「エコ」「ライト」は撮影頻度が控えめなモード、「アクティブ」はどんどん撮影してくれるモードだ。「カスタム」で各項目を細かく設定することも可能

さらに、「Connect app for Mini PTZ Cam」による自動撮影だけでなく、スマートフォン/タブレット端末の画面をモニターとして利用したリモート撮影も行える。端末の画面上で「PowerShot PICK」のカメラを動かして写真や動画を撮影できるので、撮りたいものを好きな構図で撮影することができるのだ。

もうひとつ、撮りたい時に写真や動画を撮影する方法として、音声操作によるハンズフリー撮影機能も備わっている。「PowerShot PICK」に向かって、「Hello PICK!、写真撮って!」と言えば静止画撮影、「Hello PICK!、ビデオ撮って!」と言えば動画撮影ができる。ほかにも、「Hello PICK!、休んで!」と言えば自動撮影の一時停止、「Hello PICK!、ほかも見て!」と言えば被写体の変更ができる。リモート撮影とハンズフリー撮影を使えば、自動撮影だけでなく、任意の構図やタイミングでも撮影できるのだ。

キヤノン「PowerShot PICK」

スマートフォンの画面を見ながら撮影できるリモート撮影。画面下部の十字コントローラーを使ってカメラを動かして写真や動画を撮影できる。ズームの調整や露出もコントロール可能。リモート撮影機能を使えば、集合写真や狙った瞬間の撮影も楽しめる

キヤノン「PowerShot PICK」

本文では触れなかったが、パソコン用ソフトウェア「Wireless Webcam Utility for Mini PTZ Cam」(無料)を使用すれば、「PowerShot PICK」をWebカメラとしても利用できる(対応OSはWindows)。「自動追尾」をオンにしておくと、自分の顔が中央にくるように画角を自動調整してくれるので、動画配信やビデオ会議などの際に便利に使えそうだ

作例構図やピントは本当に大丈夫? 自動撮影カメラの腕前はいかに?

最後に「PowerShot PICK」で撮影した写真を見ていこう。今回は家族でキャンプに出かけ、カメラマンとして「PowerShot PICK」に撮影を担当してもらった。

家に帰って、どんな写真が撮影できていたのか見てみたところ、人が撮影したものとは全然違って、目の前の火起こしや料理を純粋に楽しんでいる家族の飾らない自然な表情を撮影できていた。誰かに見せるような、よそ行きの写真ではなく、家族が後から見返して、「あのときはあーだった、こーだった」と話が弾むような写真ばかりだ。

気になっていたピントは問題なく、人の顔にぴったりと合っているし、複数人を画角に収めたシーンでも誰かの顔が切れることはなかった。構図も自然で、自動撮影カメラとは思えないほど。今回のキャンプはあいにくの天気で明るさが足りないシーンもあったが、家族で楽しむのには十分な画質だと感じた。

キヤノン「PowerShot PICK」

決め顔ではなく、自然な表情を撮影できるのが「PowerShot PICK」の醍醐味。カメラを向けるといつも表情が硬くなる息子もこの破顔

キヤノン「PowerShot PICK」

子どもは愛くるしく動く「PowerShot PICK」に興味津々。近寄って観察しているところを逆にパシャリと写真に収めてくれた

キヤノン「PowerShot PICK」

いつもはカメラマンのパパも、「PowerShot PICK」があれば大好きなキャンプに熱中しつつ、家族の思い出をしっかりと写真や動画に残せる

キヤノン「PowerShot PICK」

「おすすめ」にはピックアップされていなかったが、熱した炭を移動する際に火の粉が飛び散る決定的な瞬間もばっちり撮影してくれていた

動画

「PowerShot PICK」が撮影した25秒ほどの動画。16秒ごろからスタッフにうながされて息子が動くのだが、しっかりと追いかけている。人の声も聞き取りやすく、マイク性能も高い

前述の通り、「PowerShot PICK」は自動撮影だけでなく、リモート撮影とハンズフリー撮影により、撮りたいと思った瞬間をしっかりと写真や動画で撮影することができる。

キヤノン「PowerShot PICK」 キヤノン「PowerShot PICK」

リモート撮影では、スマートフォン/タブレット端末がモニター代わりとなり、どんな風に写っているのかを確認しながら撮影できる。カメラの向きやズームなども手元の端末上で操作可能。この写真は、息子に「PowerShot PICKを見て」と話しかけて、「PowerShot PICK」を見た瞬間に撮影した写真。目線が欲しいときにもリモート撮影が重宝する

キヤノン「PowerShot PICK」
キヤノン「PowerShot PICK」
キヤノン「PowerShot PICK」 キヤノン「PowerShot PICK」

ハンズフリー撮影は集合写真や自撮り、料理中などの手が離せないシーンに便利。子どもたちだけで写真を撮ってもらったが、「Hello PICK!、写真撮って!」と元気のよいかけ声に反応して、しっかりと撮影してくれた

まとめ目の前のイベントに集中しながら、大切な思い出をしっかり残せる

以上、「PowerShot PICK」を詳しくレビューしてきた。自動撮影でちゃんとした写真や動画が撮影できるのか半信半疑だったが、予想以上にすてきな写真や動画を撮影してくれることに驚いた。置いておくだけという手軽さもうれしい。また、いつもは撮影するのに気を取られがちなパパやママにとっては、「PowerShot PICK」を使えば、目の前のイベントに集中しながら、大切な思い出をしっかりと残せるのも大きな魅力と言えるだろう。今回は家族でキャンプに出かけて試したが、リビングルームなどに設置して子どもの成長を記録するために使ってもよそうだ。

自分も写真や動画に写りたいというパパとママはもちろん、イベントを思い切り楽しみつつ、しっかり写真や動画で思い出を残したいという人は、自動撮影カメラ「PowerShot PICK」をぜひ試してみてもらいたい。

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この記事は2022年05月26日の情報を基にしております。