

ソニー独自の「360 Spatial Sound Mapping」対応モデルが拡充 人気のサウンドバー「HT-A7000」との組み合わせで別次元のサラウンド感! バッテリー内蔵&ワイヤレスで設置の自由度を高めたリアスピーカーSA-RS5デビュー!
価格.comで最新価格をチェック!複数のファントムスピーカーを生成することにより、広大なサラウンド空間を作り出すソニー独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping(サンロクマル スぺーシャルサウンドマッピング)」。これまではホームシアターシステム「HT-A9」のみが対応していたが、ソニーのフラッグシップサウンドバー「HT-A7000」が2022年4月にソフトウェアアップデートされたことで、「HT-A7000」でも別売りのワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」と組み合わせれば、「360 Spatial Sound Mapping」の広大なサラウンド空間を味わえるようになった。そこで本特集では、「HT-A7000」と組み合わせて「360 Spatial Sound Mapping」を楽しめるバッテリー内蔵の最新ワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」を徹底レビュー。セッティングの容易さから、サウンドクオリティまで、詳しくレポートしていこう。
テクノロジー「HT-A7000」と「SA-RS5」を組み合わせることで、独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」を実現
自宅でも映画館のような迫力を味わえるホームシアターの醍醐味は、大画面テレビやプロジェクターによる迫力の映像だけでなく、体全体が包み込まれるようなサラウンドサウンドにもある。とはいえ、自宅で本格的なサラウンドサウンドを味わうには、複数のスピーカーをベストな状態にセッティングする必要があり、一般家庭ではなかなかハードルが高い。そんなホームシアターをより手軽に、そして臨場感をより豊かに楽しめるようにしたのが、ソニーの最先端テクノロジーを結集して生み出された立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」だ。
「360 Spatial Sound Mapping」とは、複数のスピーカーから発せられた音の波紋を合成する独自の「モノポールシンセシス技術」と、これまでソニーが培ってきた「音場最適化技術」を組み合わせることで、設置した部屋の理想的な位置にファントムスピーカー(仮想音源)を作り出し、広大な立体音響空間を生み出すというもの。そのうえ、高精度な自動音場補正機能を備えているため、各スピーカーをユーザー自身が細かくセッティングする必要がないというメリットもある。
360 Spatial Sound Mapping
「360 Spatial Sound Mapping」は、対応する個々のスピーカーに搭載されたマイクを用いてスピーカー同士の相対的な位置関係を測定し、スピーカーの外側にファントムスピーカー(仮想音源)を生み出すことで、部屋の外にまで広がるような広大なサラウンド空間を作り出す、ソニー独自の立体音響技術だ。Dolby Atmosのような立体音響コンテンツはもちろん、あらゆる音源を立体的なサウンドで楽しめる
まるで音そのものに身体が包み込まれたかのような圧倒的な没入感は、価格.comユーザーからも評価が高く、「360 Spatial Sound Mapping」を初搭載したホームシアターシステム「HT-A9」は、「価格.comプロダクトアワード2021」のホームシアター スピーカー部門で金賞を受賞するほど人気を集めている。しかし、同技術を搭載したモデルはこの「HT-A9」のみだったため、多くのホームシアターファンは次の展開を待ち望んでいたはずだ。
そんな折、ビッグニュースが飛び込んできた! 2022年4月にソニーのフラッグシップサウンドバー「HT-A7000」がソフトウェアアップデートされたことで、既存のワイヤレスリアスピーカー「SA-RS3S」や、2022年5月発売の最新ワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」と組み合わせて、「360 Spatial Sound Mapping」を味わえるようになったのだ。なかでも、新製品となるワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」は、約10時間使用可能なバッテリーを内蔵しており、電源ケーブルを接続することなく、自由な位置に手軽に設置できるのだから興味深い。さっそく、「HT-A7000」に「SA-RS5」を組み合わせたシステムを、詳しくレビューしていこう。
ソニーのフラッグシップサウンドバー「HT-A7000」は、別売りのワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」と組み合わせることで、「360 Spatial Sound Mapping」を楽しめるように進化。テレビ前に設置したサウンドバーとリアスピーカーの組み合わせによって、本格的な立体音響空間を作り出してくれる
新製品であるワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」(2本1組)は、既存の「SA-RS3S」とは違い、本体にバッテリーを内蔵するため、ケーブルレスで使用できるのが特徴。音響面では、天井の反射を利用して縦方向の音を作り出すイネーブルドスピーカーを天面に搭載しており、広大な音場を再現してくれる
設置レポートケーブルもスピーカーの位置も気にしなくて大丈夫! 圧倒的な設置の自由度
「HT-A7000」と組み合わせることで、「360 Spatial Sound Mapping」による立体音響空間を実現できるワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」だが、本機の最大のトピックは前章で紹介した通り、「バッテリーを内蔵」していることにある。
本体の電源をオンにすると、「HT-A7000」と自動でワイヤレス接続されるという点は、既存のワイヤレスリアスピーカー「SA-RS3S」と同様だが、「SA-RS5」はさらに、約10時間使用可能なリチウムイオンバッテリーを本体に内蔵しているので、使用時に電源ケーブルを接続する必要がないのだ。ケーブルにしばられることのない“完全なワイヤレス”で使用できるため、その設置の自由度は驚くほど高い。
145(幅)×250(高さ)×134(奥行)mm(突起部除く)とコンパクトなうえ、ファブリック素材を採用することで、インテリアに溶け込みやすいデザインになった「SA-RS5」。この小型ボディに、イネーブルドスピーカーや高性能なアンプを搭載させ、さらに約10時間使用できるバッテリーを内蔵させるには多くの困難があったとのこと。とはいえ、ソニーならではのノウハウやテクノロジーを活用することで、サイズと音質、そしてバッテリー駆動時間の適切なバランスを実現したという
従来モデル「SA-RS3S」と新モデル「SA-RS5」はいずれも、「HT-A7000」とはワイヤレス接続されるため、スピーカーケーブルを接続する必要はない。いっぽう「SA-RS3S」は外部電源が必須なので設置場所が限られるところがあるが、バッテリーを内蔵した「SA-RS5」は充電しておけば、使用時に外部電源を取る必要がないため、自由度のより高い設置が可能だ
約4時間の充電で約10時間使用可能なリチウムイオンバッテリーを内蔵した「SA-RS5」。10分の充電で約90分使用可能な急速充電機能も搭載しているので、うっかり充電し忘れても、素早くチャージして使用することが可能だ
ホームシアターシステムのリアスピーカーは、視聴位置の斜め後ろに等間隔で同じ高さに設置するのが理想だが、となると、リアスピーカーの設置位置はソファなどの後方になることが多く、設置場所の確保はなかなか難しい。その点、「SA-RS5」は、各ワイヤレススピーカーに2個ずつ搭載された高性能マイクを使い、水平方向はもちろん、垂直方向まで高精度な音場補正を行うため、左右のリアスピーカーの高さや視聴位置からの距離、向きが異なっていても十分な効果が得られるという。ケーブルにしばられないうえ、設置する高さや距離を気にする必要のない「SA-RS5」なら、どのような部屋にも簡単に設置できそうだ。
実際に「SA-RS5」を設置していこう。一般的なリアスピーカーは最適な設置場所を見つけることがまず難しいが、本機は高さや距離を選ばないので、基本的にはどこでも設置できる。今回は、右側スピーカーを背の高い棚の上のスペースに、左側スピーカーを背の低い棚の上の空きスペースに設置。このように、空いているスペースに置くだけで利用できる手軽さは「SA-RS5」ならではの利点だ
こちらは設置完了後の写真となるが、リアスピーカーの設置位置の違いに驚く人も多いことだろう。しかし、高精度な音場補正機能を備えた「SA-RS5」なら、左右のスピーカーの高さがこれだけ異なっていても、理想的な立体音響環境を実現できるのだ
スピーカー設置後は、各スピーカーの電源ボタンを押すと、「HT-A7000」と自動的にワイヤレス接続される。あとは、「HT-A7000」のメニューから「自動音場最適化機能」を実行すれば、セッティング完了となる
個人的に便利だと感じたのが、「SA-RS5」の天面にある「オプティマイズボタン」を押せば、メニュー画面をいちいち呼び出すことなくキャリブレーション(自動音場補正)が行えること。日常的に見るニュースやバラエティ番組などはサウンドバーの「HT-A7000」だけで楽しみ、休日はワイヤレスリアスピーカーの「SA-RS5」を棚から取り出して設置し、「オプティマイズボタン」をプッシュして、映画コンテンツを臨場感たっぷりに味わう。このように、ライフスタイルに合わせてフレキシブルに運用できるのも、セッティングが簡単な「SA-RS5」の大きなメリットと言えそうだ。
音質力強いサウンドに体全体が包み込まれるような、これまでとは次元の違う臨場感を味わう
最後は、ホームシアターシステムにとって最も大切な音質を確認していこう。今回は、「HT-A7000」と「SA-RS5」の組み合わせだけでなく、「HT-A7000」単体、そして「HT-A7000」と「SA-RS3S」を組み合わせた際との違いも詳しくチェックしてみた。
まずは、「HT-A7000」単体で「Dolby Atmos」対応の映画コンテンツを視聴してみた。カーアクションのシーンでは、エンジンの唸りやタイヤが路面をこする音などがとてもリアルで、敵と競り合うシーンではクルマが動き回る際の音の移動感がしっかりと再現され、臨場感は抜群だった。また、俳優のセリフやBGMも聴きやすく、単体でも十分と言えるほどサウンドクオリティは高い。これでは、リアスピーカーを加えてもあまり変らないのではないかと思ったが、「SA-RS3S」と接続して「360 Spatial Sound Mapping」で再生してみると、サラウンド感がさらに増し、体全体が音に覆われたかのような印象に。立体感もさらに増した印象を受けた。
そして、本命である「HT-A7000」と「SA-RS5」との組み合わせだが、「SA-RS5」にイネーブルドスピーカーが搭載されているためだろう、「SA-RS3S」との組み合わせと比べても、リア方向からの音の厚みが増えただけではなく、縦の音場が大きく広がったように感じられた。たとえば、頭上で大きな鐘が鳴り響くシーンでは、「SA-RS3S」では頭の少し上で鳴っているように聴こえるのだが、「SA-RS5」では映像と同じようにさらに高い位置で鳴っているように感じられる。全身で音を浴びているかのようなダイナミックな広い音場感はまさに感動モノだ。
サウンドバー「HT-A7000」のみで聴いた場合でも、立体的なサウンドを味わうことができたが、「SA-RS3S」を加えて「360 Spatial Sound Mapping」で再生すると、視聴位置を中心に音が回る感覚が強くなり、包み込まれ感が何段階もパワーアップした
さらにリアスピーカーを「SA-RS3S」から「SA-RS5」へと変更すると、サラウンド感の厚みがより増した。特に高さ方向の音がよりリアルになり、雷鳴などは天井よりもさらに高いところから鳴っているように感じられた
今回、多くの人が気になるホームシアターシステム「HT-A9」との比較も行ってみた。まずは「HT-A9」のサウンドから視聴してみたが、大画面テレビを挟むようにスピーカーが設置されている分、音が大きく広がり、まるで映像の世界に入り込んでしまったかのような没入感をもたらしてくれる。それに対して、「HT-A7000」と「SA-RS5」の組み合わせでは、バースピーカーに搭載されている11個ものスピーカーをフル活用しているためだろう、「HT-A9」と比べるとセリフや効果音などが力強く、パワフルに感じられた。正直、全体的なサウンドクオリティは甲乙つけがたいほど肉薄しているので、音の違いが気になる人はぜひ一度店頭にて聴き比べを行ってほしい。
まとめ「360 Spatial Sound Mapping」に対応するだけでなく、設置の簡単さも大きな魅力
ソニー独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」は、これまでとは次元の違う臨場感を体験できることから、筆者も次なる展開を期待していたのが、まさかサウンドバーである「HT-A7000」に、リアスピーカーを組み合わせることで実現できるようになるとは思いもしていなかった。
それだけに、ワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」の発売は大変興味深かったのだが、本機はただ単に「360 Spatial Sound Mapping」に対応するだけでなく、ユーザーに寄りそって開発された製品であることを、レビューを通して強く実感することとなった。特に、約10時間使用できるバッテリーをコンパクトなボディに内蔵することで完全なケーブルレスで使用でき、設置の自由度が驚くほど高く、一般的な家庭でも十分設置できるだろう。また、「オプティマイズボタン」を押すだけで簡単にキャリブレーションできるので、使わない時はしまっておき、映画コンテンツなどを視聴する時だけ取り出して設置する、といった柔軟な使い方ができるのも大きな魅力だ。
「HT-A7000」の所有者や購入検討者はもちろんだが、体全体が音に包み込まれるような本格的な立体音響環境を手軽に整えたいという人にとっても、「HT-A7000」と「SA-RS5」は見逃せない組み合わせになりそうだ。