Dolby Atmos対応サウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」を中心にワイヤレスサラウンドを構築!ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズの拡張性に注目

デノンが手がける「Denon Home」シリーズは、同社独自のネットワークオーディオ機能「HEOS」に対応する、コンパクトなワイヤレスオーディオのシリーズだ。2022年7月時点で4機種がラインアップされているが、Bluetooth、AirPlay 2やAlexa Cast、そしてHEOSアプリを使ってそれぞれで音楽再生はもちろん、各機種を組み合わせることで、最大4.1ch構成のワイヤレスサラウンドシステムへと拡張することもできる。本特集では、サウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」を中心とした「Denon Home」シリーズを導入することで、自宅のサウンドライフがどのように変わっていくのかを詳しくレポートしていこう。

シリーズ概要Dolby Atmos対応サウンドバーを中心としたコンパクトオーディオ「Denon Home」シリーズ

2020年に創業110周年を迎えた、日本が誇る老舗オーディオブランド「デノン(Denon)」。そんなデノンが長年培ってきた音響テクノロジーを活用し、コンパクトなボディでありながら、ピュアなサウンドと使いやすさを両立したワイヤレスオーディオコンポーネントが「Denon Home」シリーズだ。2020年2月に、Alexa搭載のスマートスピーカー「Denon Home 150」「Denon Home 250」が発売されたのを皮切りに、2021年4月には6つのスピーカーユニットを搭載した「Dolby Atmos」対応のプレミアムサウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」が、そして2022年3月には強力な磁気回路を搭載したシリーズ専用のワイヤレスサブウーハー「Denon Home Subwoofer」がラインアップに加わった。

これら4製品は、デノン独自のネットワークオーディオ機能「HEOS」に対応しており、スマートスピーカーやサウンドバー単体としてだけではなく、専用の「HEOSアプリ」(Android/iOS対応)経由で連携させることで、「Denon Home Sound Bar 550」を中心とした最大4.1ch構成のワイヤレスサラウンドシステムへと拡張できるのが特徴だ。詳しくは後述するが、たとえば、リビングルームではテレビに「Denon Home Sound Bar 550」を接続し、書斎では「Denon Home 150」を使用しているとしよう。普段は別個に使用しているスピーカーだが、映画を見る時は「Denon Home 150」をリビングルームに持ち込んで、「Denon Home Sound Bar 550」と連携させてリアスピーカーとして使う、なんてことができるのだ。今回は、そんな「Denon Home」シリーズを自宅に導入することで得られるサウンドスタイルの拡張性について、詳しくチェックしていく。

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home」シリーズは全部で4製品(2022年7月時点)。Alexa搭載のワイヤレススピーカーとして、モノラル仕様の「Denon Home 150」(写真左奥)とステレオ仕様の「Denon Home 250」(写真中央奥)、横幅わずか65cmのコンパクトなサウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」(写真左手前)、20cmのウーハーユニットを搭載するワイヤレスサブウーハー「Denon Home Subwoofer」(写真右)がラインアップされている

使いこなし組み合わせ方はあなた次第! ライフスタイルに合わせた拡張性の高さが魅力

ここからは、実際に「Denon Home」シリーズ各モデルを筆者の自宅に導入して「Denon Home Sound Bar 550」を中心とした同シリーズの使いこなし術をお伝えしていこう。今回、レビューで使用したのは、「Denon Home Sound Bar 550」「Denon Home Subwoofer」「Denon Home 250」、そして「Denon Home 150」×2の合計5台。まずは、これらをさまざまな部屋に設置して使用してみた。

Denon Home Sound Bar 550
Denon Home Sound Bar 550 Denon Home Sound Bar 550

まずリビングルームのテレビ前に、「Denon Home」シリーズの中核となるプレミアムサウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」を設置。本機の特徴は、650(幅)×120(奥行)×75(高さ)mmと特にコンパクトなことで、50V型クラス以下の薄型テレビとも合わせやすく、小型化の進むテレビラックにも設置しやすい(写真は55V型テレビとの組み合わせ)

Denon Home Subwoofer
Denon Home Subwoofer

続いて、その「Denon Home Sound Bar 550」にサブウーハー「Denon Home Subwoofer」を組み合わせる。本機は、サウンドバーなどとワイヤレスで接続できるため、設置の自由度が驚くほど高い(電源ケーブルの接続は必要)。今回のようにソファの横に設置すれば、ごちゃごちゃしやすいテレビ周りもスッキリできる

Denon Home 250
Denon Home 250 Denon Home 250

Alexa搭載のワイヤレスステレオスピーカー「Denon Home 250」は、キッチン横にセット。「キッチンにいる時は結構動き回るけど、このスピーカーならどこから聴いてもいい音なので、面倒な料理や食器洗いの時間も楽しいものになる。ファブリックに包まれたデザインもシックでいい」と、筆者の妻からも好評だ

Denon Home 150
Denon Home 150 Denon Home 150

2台あるAlexa搭載のワイヤレススピーカー「Denon Home 150」は、寝室のベッドサイドと子ども部屋に1台ずつ設置。朝からいい音で音楽が楽しめるのはもちろん、Alexa搭載だから音声で天気やニュースを確認できるほか、アラームが使えるのも非常に便利だ。また、子どもは教えてもいないのに、筆者が貸してあげたタブレット端末とBluetooth接続して、YouTubeでアニメを楽しんでいた。こちらの想定を上回る使い方をしていて驚かされることに

「HEOS」搭載で、同一ネットワーク上にある「Denon Home」シリーズを一括管理できる

このように、自宅の各所に設置するだけで家中をいい音で満たしてくれる「Denon Home」シリーズだが、独自のネットワークオーディオ機能「HEOS」を活用することで使い勝手がグンとアップすることも大きなメリットだ。専用アプリ「HEOSアプリ」がインストールされたスマートフォンやタブレット端末があれば、それぞれの機器をワイヤレスで操作できるのはもちろん、同一のネットワーク内に接続されている複数の機器をまとめてコントロールできる「マルチルームオーディオ機能」にも対応。リビングルームにある「Denon Home Sound Bar 550」と、キッチンにある「Denon Home 250」で同じ音楽を同時に流せるなんていうのは朝飯前で、リビングルームで聴いていた楽曲の続きを、寝室に移動して「Denon Home 150」で聴く、なんてことも簡単に行える。

また、「Denon Home Sound Bar 550」「Denon Home 250」「Denon Home 150」は、ネットワークサーバー(NAS、PCなど)やUSBメモリーに保存したハイレゾ音源が再生できるうえ、「Amazon Music HD」や「Spotify」といった多彩な音楽ストリーミングサービス、世界のインターネットラジオを楽しめる「TuneIn」、iOSデバイスのサウンドをストリーミング再生できる「AirPlay 2」など、さまざまな音源やサービスにも対応。好きな楽曲を流すのはもちろんだが、音楽配信やラジオ番組を流しっぱなしにして、“好みの楽曲を見つけ出す”という昔ながらの楽しみ方もできる。

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

スマートフォンやタブレット端末に「HEOSアプリ」をインストールするだけで、同一のネットワーク内にある「Denon Home」シリーズすべてをコントロールできる。また、「マルチルームオーディオ機能」にも対応しており、2台以上の「Denon Home」シリーズをグループ化して同じ楽曲を流したり、機器ごとに別々の楽曲を再生させたりすることも可能。アプリ上から各スピーカーに名前も付けられるので、判別も簡単だ

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home」シリーズは、「Amazon Music HD」「Spotify」「AWA」などの各種音楽ストリーミングサービスをはじめ、世界中のインターネットラジオや、同一ネットワーク内のミュージックサーバー(NAS、パソコンなど)に保存したハイレゾ音源、アナログ入力経由など、多彩な音源の再生に対応する

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home Subwoofer」以外は、Alexa機能と音声コントロール用のマイクがビルトインされた“スマートスピーカー”になっており、「アレクサ」と話しかければ音声操作が行える。楽曲の再生/停止、音量調整といった基本操作が行えるほか、天気やニュースの確認、アラームやタイマー機能など、さまざまなサービスを利用可能だ

「Denon Home Sound Bar 550」と「Denon Home Subwoofer」に、「Denon Home 150」を2台追加して4.1chリアルサラウンドに拡張できる

そして「Denon Home」シリーズは、各モデルを組み合わせられる「拡張性の高さ」も魅力だ。「Denon Home Sound Bar 550」は、単体でもすばらしいサウンドを楽しめるが、「Denon Home Subwoofer」をペアリングすることで、より低域の迫力を生み出せるのはもちろん、別の部屋で使っている2台の「Denon Home 150」や「Denon Home 250」をリアスピーカーとして追加することで、臨場感あふれる4.1chのリアルサラウンドにまで拡張できる。

また、2台の「Denon Home 150」をペアリングしてステレオシステムを構築したり、そこにさらに「Denon Home Subwoofer」を追加して、2.1chシステムを構築することも可能。このように、ライフスタイルや聴く楽曲に合わせて、さまざまな組み合わせが楽しめるのも、「Denon Home」シリーズの大きな利点と言えるだろう。

Denon Home Sound Bar 550Denon Home Subwoofer
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

さまざまな組み合わせが可能な「Denon Home」シリーズだが、今回はサウンドバー「Denon Home Sound Bar 550」をメインにシステムを構築した。ここでは「Denon Home Subwoofer」を追加してみたが、難しい設定は何もなく、電源を入れて「HEOSアプリ」に表示される指示に従うだけで簡単にペアリングが行えた

Denon Home Sound Bar 550Denon Home SubwooferDenon Home 150×2台
Denon Home Sound Bar 550 Denon Home Sound Bar 550

「Denon Home Sound Bar 550」と「Denon Home Subwoofer」に加え、寝室と子ども部屋に設置していた「Denon Home 150」をリビングルームに持ち込めば、4.1chのリアルサラウンドを楽しむことができる。リアスピーカーをリビングルームに常時設置するのはスペース的な制約があるが、普段のテレビ視聴時はサウンドバー+サブウーハーのみを使用し、休日に映画などをガッツリ見たい時だけリアスピーカーを追加して4.1chのシステムを構築するようにすれば、生活のじゃまになることもない

Denon Home 150
Denon Home Subwoofer
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ
Denon Home 150×2(ステレオシステム)
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

こちらは寝室の様子。「Denon Home 150」だけでも、キレのあるピュアなサウンドを聴かせてくれるが、コンパクトな分、低域が少し弱く感じることも。そんな時は、リビングルームにある「Denon Home Subwoofer」を持ち込めば、寝室でも迫力のあるサウンドが楽しめる(写真左)。また、子ども部屋にあるもう1台の「Denon Home 150」を持ってきて、2台の「Denon Home 150」をステレオシステムとして構築できる(写真右)など、それぞれを組み合わせることで簡単にスピーカー構成をパワーアップできるのがうれしい

こちらは寝室の様子。「Denon Home 150」だけでも、キレのあるピュアなサウンドを聴かせてくれるが、コンパクトな分、低域が少し弱く感じることも。そんな時は、リビングルームにある「Denon Home Subwoofer」を持ち込めば、寝室でも迫力のあるサウンドが楽しめる(写真上)。また、子ども部屋にあるもう1台の「Denon Home 150」を持ってきて、2台の「Denon Home 150」をステレオシステムとして構築できる(写真下)など、それぞれを組み合わせることで簡単にスピーカー構成をパワーアップできるのがうれしい

音質“デノンらしい”本格サウンドが、組み合わせ次第でよりリッチになっていく

続いては、「Denon Home Sound Bar 550」を中心に、「Denon Home」シリーズを組み合わせていった場合のサウンドクオリティの進化についてチェックしていこう。

まずは、中核となる「Denon Home Sound Bar 550」から。本機は、横幅650mmのコンパクトなボディに、専用設計された合計6基のスピーカーユニットと低域を強化するパッシブラジエーターを3基搭載。さらに、AVアンプにも使用されている高性能なDSP(デジタルシグナルプロセッサー)やスピーカーユニットをそれぞれ独立して駆動する6chのデジタルアンプを採用したうえ、デノンのHi-Fiコンポーネント開発を担当してきた「サウンドマスター」の山内慎一氏が徹底したサウンドチューニングを実施するなど、本格派の“ピュア”なサウンドバーとなっている。

また、「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などの動画配信サービスやゲームでも採用例の多い3Dサラウンドフォーマット「Dolby Atmos」や、Blu-rayタイトルでおなじみの「DTS:X」に対応しているのもポイント。さらに、HDMI出力ポートはeARC/ARCをサポートしており、テレビとはHDMIケーブル1本だけでスマートに接続できる。

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home Sound Bar 550」は、歪みの少ない真円形状の55mmミッドウーハーを左右に2基ずつ、高域再生用の19mmドームツイーターを左右に1基ずつ搭載した6スピーカー構成。これに、低域を増幅する90(W)×50(H)mmの大型パッシブラジエーターを前面中央に2基、背面左に1基装備したことで、コンパクトなボディでありながら迫力のあるサウンドが味わえる

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

Hi-FiアンプやAVアンプで培ってきた高音質テクノロジーやノウハウを惜しみなく投入している点も見逃せない。たとえば、頭脳となるDSPには、デノンのハイエンドAVアンプにも採用されているアナログデバイセズ社の「SHARC DSP」を採用。また、新型のデジタルアンプを6chも搭載し、それぞれのスピーカーユニットを独立して動かすマルチアンプ駆動により、クリアで伸びのあるサウンドを実現する

ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home Sound Bar 550」のサウンドチューニングを担当したのは、デノンの“サウンドマスター”山内慎一氏。50万円を超えるようなオーディオ機器の音決めをしている同氏みずからがチューニングを手がけているという事実からも、「Denon Home Sound Bar 550」に対するデノンの本気度がうかがえる

「Denon Home Sound Bar 550」の音響テクノロジーを紹介したところで、さっそく、そのサウンドをチェックしていこう。まずは本機単体で、「Dolby Atmos」対応のアクション映画を視聴したが、そのコンパクトなボディからは想像もできないほど力強い低域と、高解像度で透明感のあるサウンドに驚かされた。「Dolby Atmos」コンテンツを再生した時の音の広がりも優秀で、水平方向はもちろん、高さ方向の立体感もしっかり表現されている。

正直、サウンドバーのみでも「十分では?」と思わせてくれるが、ここに「Denon Home Subwoofer」を加えるとどうか。同じ映画を見てみると、地を這うような重低音がプラスされることはもとより、中高域がよりクリアになって俳優のセリフが聴こえやすくなるなど、印象がガラリと変わった。サブウーハーを加えるだけで全帯域がよりリッチになるというのは驚きの体験だが、これはサブウーハーに主な低域再生を任せることで、サウンドバー側のウーハーユニットの動きに余裕が生まれるためだという。

そして、さらに2台の「Denon Home 150」を加えた4.1chのリアルサラウンドへ拡張してみると、もはや世界が違う。音に包み込まれるような感覚が強まるのはもちろんだが、ミュージカル映画では、歌声がホールに響き渡っていく空気感や観客の緊張感までこちらに伝わってきて、まるで物語内の劇場に入り込んでしまったかのような没入感を味わうことができた。機器を追加するごとにサウンドクオリティが大きく強化されていくので、まずは「Denon Home Sound Bar 550」から始めて、徐々に拡張していくという楽しみ方もできるだろう。

Denon Home Sound Bar 550
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ
Denon Home Sound Bar 550Denon Home Subwoofer
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home Sound Bar 550」だけでも、映画やスポーツ番組などを臨場感たっぷりに楽しむことができるが、そこに「Denon Home Subwoofer」を加えることで低域の迫力が増すだけでなく、同時に中高域の明瞭感もパワーアップ。まるで、まったく別のシステムで再生しているかのようなクオリティアップに驚かされた

Denon Home Sound Bar 550Denon Home SubwooferDenon Home 150×2台
ワイヤレススピーカー「Denon Home」シリーズ

「Denon Home Sound Bar 550」と「Denon Home Subwoofer」のセットに、2台の「Denon Home 150」をリアスピーカーとして加えた4.1chのリアルサラウンドシステムでは、空間表現力が大きく強化された。また、各スピーカーの音色が統一されているためつながりがよく、一体感のあるサラウンドサウンドが体感できた

まとめ家中がいい音で満たされ、サウンドライフがより豊かに

今回のレビューでは「Denon Home」シリーズを1週間ほど自宅で使っていたのだが、返却する際に、「え、返しちゃうの?」という、普段はあまりオーディオ機器に興味のない妻から出た言葉が、多くを物語っていたと思う。それだけ、「HEOSアプリ」による簡単な操作感や、Alexa連携でニュースや天気などを確認できる利便性、デノンらしいピュアなサウンドクオリティなどに心を打たれたようだ。

個人的には、特に「拡張性」の高さに衝撃を受けた。なかでも、その組み合わせ次第でサウンドがリッチになっていくのは、「Denon Home」シリーズならではのメリットだが、いきなり全部を揃える必要がないのもいいところ。まずは「Denon Home Sound Bar 550」を導入して、後から「Denon Home Subwoofer」を追加するのもいいし、ひとまず「Denon Home 150」を1台購入し、予算と相談しながらちょっとずつシステムを構築していくのもアリだろう。あなたも家中をよい音で満たしてくれる「Denon Home」シリーズを導入し、サウンドライフをより豊かなものにしてみてはいかがだろうか。

この記事は2022年7月15日の情報を基にしております。