小さいってやっぱりイイ!高性能コンパクトスマホの決定版ASUS「Zenfone 9」徹底レビュー

ASUSは、同社の最新フラッグシップモデルとなるスマートフォン「Zenfone 9」を2022年11月2日に発表した。高性能でありながらコンパクトというコンセプトは先代の「Zenfone 8」から継承しながらも、ボディはさらに小型化。手にすっぽり収まり片手操作も余裕で行えるコンパクトなボディならではの使い勝手に磨きをかけつつ、基本処理性能、ディスプレイ、カメラ、バッテリーなどの各機能が着実に進化している。本記事では、コンパクトスマホとして確固たるポジションを確立した「Zenfone 9」を徹底レビュー。その魅力を解説する。
デザイン&使い勝手小さいボディだからこその使いやすさを追求
「Zenfone 9」は、先代の「Zenfone 8」と同様に5.9インチディスプレイを搭載しているが、画面サイズはそのままにボディはさらにコンパクトになった。先代の本体サイズと重量は、約68.5(幅)×148(高さ)×8.9(厚さ)mm/169gだったが、本機は、約68.1(幅)×146.5(高さ)×9.1(厚さ)mm/169gと、幅と高さをわずかながらも縮小。これにより、さらに握りやすいボディを実現している。

カラーは左から「ミッドナイトブラック」「スターリーブルー」「サンセットレッド」「ムーンライトホワイト」の4色を用意。「サンセットレッド」は、歴代の「Zenfone」シリーズでも人気の赤色を採用しており、人気カラーが復活した。また、本体カラーに合わせた専用ケースも同梱されている
「Zenfone 9」の最大の特徴は携帯性の高さだ。前述のとおり、ボディは約68.1(幅)×146.5(高さ)×9.1(厚さ)mm/169gと、コンパクト&軽量で、シャツやバッグのポケットにスムーズに入れておける。また、片手でしっかりと握れるサイズ感なので、安全にホールドできる。満員電車の中や、アウトドアで、片手で使用するような時に、この握りやすいボディに安心感を強く覚えるはずだ。




画面サイズが6インチ超のスマートフォンは、片手では操作しにくいという方も多いと思う。その点、5.9インチかつ狭額縁デザインを採用する「Zenfone 9」は、手の中にしっかりと収まるので、片手での利用でもうっかり落としてしまうような不安感は少ない。ポケットへの出し入れもスムーズだ
また、ディスプレイが5.9インチと小さいおかげで、片手で握った際、画面の大部分に無理なく親指が届くのも操作性の面で大きなメリットだ。ボディが大きなスマートフォンでありがちな、無理な片手操作で端末を落としてしまうといった可能性は低いだろう。
加えて、片手操作での使い勝手を追求するために、「指紋認証センサー一体型電源ボタン(ZenTouchボタン)」にコマンドを割り当てられる「スマートキー機能」や、画面全体を下にずらすことで、アプリ画面上部のボタンなどを操作しやすくする「片手モード」、背面のダブルタップにコマンドを設定する「背面ダブルタップ」などのユーティリティーが実装されている。ボディを小さくするだけに留まらず、各種ユーティリティーで“快適な片手操作”を追求していることは、本機で高く評価できるポイントだ。

「ZenTouchボタン」は指紋認証センサーを兼ね備える。ロック解除にも利用できるが、「スマートキー機能」を実装しており、さまざまなコマンドを割り当てられる。電源ボタンの2回押しあるいは長押しには、「Googleアシスタントを開く」「音声入力」「設定したアプリを開く」「クイックアクセス(電話を発信など)」を割り当てられ、スワイプ操作には「通知のチェック」「Webページやアプリの更新」「先頭/最後に移動」「動画や音楽メディアの前後移動」「メディアの再生/一時停止」などを割り当てて、片手で手軽に実行できるのだ

「背面ダブルタップ」は、初期設定では「スクリーンショット」が割り当てられている。このほかに、「カメラの起動」「懐中電灯」「サウンドレコーダー」「Googleアシスタントを開く」「メディアの再生/一時停止」などを登録可能だ
使い勝手という点では、IP65/68等級の防水・防塵ボディの対応をはじめ、非接触型決済「FeliCa」のサポート、3.5mmイヤホンジャックの搭載、指紋認証と顔認証への両対応と、押さえるべき基本機能はひと通り揃っている。
特に、顔認証については、時勢を考慮して、マスクを装着したままでもロック解除が可能なのが◎。「FeliCa」対応により「おサイフケータイ」も利用できるので、日本向けスマートフォンとして使い勝手にスキなしだ。
ハイパフォーマンスAndroid最高峰スペックに高性能ディスプレイ
を搭載。バッテリー容量もアップ
小型ボディならではの使い勝手を追求した「Zenfone 9」だが、基本スペックはまぎれもなくフラッグシップモデルにふさわしい高さを誇る。コンパクトなスマートフォンといえば、ミドルクラスのSoC(プロセッサー)を採用することが多いなか、「Zenfone 9」はAndroidスマートフォン最高峰のクアルコム「Snapdragon 8+ Gen 1」を採用。6インチを下回るサイズで「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載するAndroidスマートフォンは、日本市場において「Zenfone 9」以外に見当たらない。OSは最新の「Android 12(with ZenUI 9)」だ。メモリーとストレージ容量の組み合わせは、8/128GB、8/256GB、16/256GBの3つが用意されている。
基本スペックの性能を調査すべく、8/128GBモデルで各種ベンチマークを実施したところ、「AnTuTu Benchmark」では1072371、「Geekbench 5」では4159(マルチコア)という、同社のゲーミングスマートフォン「ROG Phone 6 Pro」に迫る高スコアを記録している。「サイズ/パフォーマンス」という指標で比較すれば、「Zenfone 9」はトップクラスに値するだろう。
実際、いろいろな動作を試してみたが、アプリの起動は高速で、切り替え動作も俊敏。現時点のAndroid用アプリで動作速度にストレスを覚える局面はないはずだ。また、昨今はスマートフォンで写真や動画を撮影し、編集まで行いSNSにアップするケースも多いが、そういった負荷の高い作業もスムーズに行える。
また、ボディはコンパクト化しつつも、バッテリー容量は先代の4000mAhから4300mAhへと大型化。ディスプレイ輝度50%、音量50%で連続してYouTube動画をWi-Fi環境で再生してみたところ、2時間後のバッテリー残量は93%となっていた。ということは単純計算でバッテリー残量0%までは、28時間以上動作することになる。実用上十二分なバッテリー駆動時間を備えていると言えるだろう。
なお、「Zenfone 9」は30Wの急速充電に対応しており、バッテリー残量が少なくなったとしても短時間で継ぎ足し充電できる。また、最適な時間でフル充電するために給電状態を自動制御する「バッテリーケア」機能も搭載されており、バッテリーの健康状態を長く保てる。本製品を長期間利用した場合でも、購入当初に近いバッテリー駆動時間が長く維持できるわけだ。
ディスプレイには、5.9インチのフルHD+(2400×1080)有機ELディスプレイを搭載。 アスペクト比20:9、最大輝度1100cd/m2、コントラスト比1,000,000:1、DCI-P3比112%、sRGB比151.9%、画面色差Delta E<1、HDR10+対応、リフレッシュレート120Hz、応答速度1ms、タッチサンプリングレード240Hzなど、スペック的にも、フラッグシップモデルにふさわしい充実度だ。また、ディスプレイ表面はCorningの強化ガラス「Gorilla Glass Victus」でカバーされており、衝撃や傷にも強い。
この高輝度、高コントラスト、広色域、HDR10+対応という特徴のおかげで、映像鑑賞では非常に鮮やか、かつ階調豊かな映像が楽しめる。特に、YouTubeやNetflixなどでHDRコンテンツを再生すると、漆黒、暗部の階調、そして光の臨場感が非常に高いことに驚かされる。しかも、小型ボディゆえ、長時間片手で横向きに持ち続けても手に負担がかかりにくいので、電車の中などでも映像を十分に堪能できるのも本機のメリットと言えよう。
加えて、リフレッシュレート120Hz、応答速度1ms、タッチサンプリングレード240Hzというスペックは、ゲーミングスマートフォンと同等のレベルに相当する。素早く画面をスワイプすると、指に吸い付くようにヌルヌルと画面が追従するし、ゲームプレイ時のキー/ボタン操作においても遅延はほとんど感じられない。
なお、同社のゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズでおなじみの、ゲーマーのためのアシストツール「Game Genie」も搭載されている。特に、FPSやリズムゲームとの相性がいいというのが、本機を使ってみての率直な感想だ。
カメラアクションカム並みの手ブレ補正で、アウト
ドアでも重宝する高性能カメラ
「Zenfone 9」は、約5000万画素の広角カメラ(F1.9、像面位相差AF、ジンバルOIS/EIS)と、約1200万画素の超広角カメラ(F2.2、像面位相差AF、4cm接写対応)に加え、約1200万画素のフロントカメラ(F2.45、像面位相差AF)の3つのカメラを搭載。すべてのカメラはソニー製のイメージセンサーを採用する。
レビューでは、広角カメラと超広角カメラで作例を撮ってみたので、実際の写真を確認いただきたい。まずは、広角カメラで「ポートレートモード」を使用して撮影した人物の写真だが、非常にキレイなボケが表現できている。それでいて髪の毛もキレイに切り出され、しっかりとピントが合っている。これだけ雰囲気のある写真を撮れるのであれば、たくさんの思い出の記録を「Zenfone 9」に任せられそうだ。
料理の写真についてはかなり寄って撮影しているが、口の中に入れたときの食感がよみがえってくるほどに質感が克明に表現されている。また、室内での撮影でも、ホワイトバランスは自然だ。これだけおいしそうに撮れるのであれば、加工なしですぐにSNSなどにアップできる。
以下の作例は、HDRを有効にして撮影した風景写真。全体的に明るめの写真だが、右にある椰子(やし)の木の微妙な明暗もしっかりと記録されている。明るさの差が激しいシチュエーションではHDRを積極的に活用するとよさそうだ。
かなり良好な結果を得られたのが夜景の撮影。「夜景モード」を有効にして撮影しているが、中央の強い光源は白飛びを押さえつつ、遠くのクレーン、ビルなどの暗部も明るく撮影できている。「Zenfone 9」の「夜景モード」はかなりレベルが高いと感じた。
「Zenfone 9」のカメラ機能には、レビューした「ポートレートモード」や「夜景モード」のほかにも、長時間露出により光跡写真を撮影できる「ライトトレイルモード」や、ISOやシャッタースピード、ホワイトバランスなど細かくカスタマイズできる「PROモード」など、多彩な撮影モードが用意されている。手軽にキレイな写真が撮りたい人にも、撮影の設定にこだわりたい人にも使い勝手が高いだろう。
次は、超広角カメラの写真を見ていただきたい。露出やホワイトバランスの自然さも目を引くが、スマートフォンの超広角カメラでありがちな周辺の歪みがほとんど見られない。解像感も十分だ。これなら、歪みそうな被写体を避けることなく常用できる超広角カメラとして太鼓判を押せる。
さらに、「Zenfone 9」の広角カメラには、X、Y、Z、ヨー、ピッチ、ロールに対応した「6軸ジンバルモジュール」が採用されており、従来のスマートフォンよりも強力な手ブレ補正機能「HyperSteady」が利用できるのだ。以下に「HyperSteady」のオン/オフ比較動画を掲載したので、その効果をぜひご覧いただきたい。
左が「HyperSteady」をオンにして撮影した動画、右がオフにして撮影した動画だが、「6軸ジンバルモジュール」の効果は歴然。「HyperSteady」を有効にすれば大幅な手ブレ低減効果を得られる
なお、今回「Zenfone 9」のカメラを使っていて実感したのは、コンパクトボディならではの取り回しのよさだ。ポケットからすぐに取り出し、背面ダブルタップでカメラアプリを起動し、しっかりとホールドして撮影に集中できる。
IP65/68等級の防水・防塵ボディも、アウトドアで撮影するにあたって安心感が高い。そしてアクションカム並みの手ブレ補正効果で安定した動画を撮影可能だ。カメラとしての使い勝手も光る「Zenfone 9」は、シャッターチャンスをとらえる機会を着実に増やしてくれるはずだ。
まとめさらに洗練されたコンパクトスマホの決定版
先代と同じサイズのディスプレイを搭載しつつ、ボディを小型化した「Zenfone 9」。使い勝手に磨きをかけ、処理性能、ディスプレイ、カメラ、バッテリーなどのスペックも着実に向上。コンパクトスマホとしてさらに洗練され、魅力が増している。小さく、ハイスペックで、使い勝手のいいスマートフォンを探している方なら、最有力候補として最初に手に取るべき1台と言えよう。