FPS/TPSで勝利をつかめ!ソニーのゲーミングギア「INZONE」に 240Hz駆動の高速フルHDゲーミングモニター登場

ソニーが誇るAV技術をゲーム向けに最適化して投入することで、2022年6月のブランド立ち上げ以来、多くのゲーマーから注目を集めているPC向けゲーミングギアブランド「INZONE(インゾーン)」。その立ち上げ時に発表された、240Hz駆動の27型フルHDゲーミングモニター「INZONE M3」が、この12月ついに発売となった。本機はFPSやTPSなどで“勝利をつかめる”モデルになっているというが、その実力は一体どれほどなのか。本特集では、同ブランドのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」とともにレビューしてみた。

勝利の条件FPS/TPSで勝利を目指すなら、ゲーミングギアにもこだわれ

eスポーツやゲーム実況の世界的な盛り上がりに後押しされ、昨今、FPSやTPSなどの競技性の高いゲームをプレイする人が増えつつある。価格.comユーザーの中にもこうしたゲームを楽しんでいる人は多いと思うが、勝利を目指すには、プレイスキルを磨くだけでなく、ゲームを動作させるパソコンの性能や、プレイヤーとゲームの世界を結びつけるゲーミングギアにこだわることも重要となる。

そんななか注目されているのが、2022年6月にソニーが立ち上げたPC向けゲーミングギアブランド「INZONE」だ。本ブランドは、極限の集中状態に入ることでパフォーマンスを高める「in the zone」をその名の由来にしており、ソニーがAV機器の開発で培ってきた技術やノウハウをゲーム向けに最適化して投入しているのが特徴。ソニーならではのAV技術によってゲーム体験にかつてない没入感がもたらされるだけでなく、ゲームの勝利にもつながる機能を多数備えているのだ。

そんな「INZONE」の中でも、今回注目するゲーミングモニター「INZONE M3」は、240Hz駆動の27型フルHD(1920×1080)液晶を搭載した高速モデル。特にFPSやTPSといった動きの速いゲームを有利に進めるのに向いている。そこで本特集では、立体的な音響で敵の位置や距離がつかみやすい同ブランドのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」と組み合わせ、本機の実力を検証してみた。

ソニー「INZONE M3」「INZONE H9」

ソニーのPC向けゲーミングギアブランド「INZONE」の中でも勝利に近づけるモデルとして注目されている、2022年12月発売の27型フルHDゲーミングモニター「INZONE M3」(写真左)。ここでは、同ブランドのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」(写真右)と組み合わせてレビューした

INZONE M3高画質だから、細かく画質を追い込んで敵を素早く発見

ソニー「INZONE M3」

ゲーミングモニター「INZONE M3」は、240Hzのリフレッシュレートや1msの応答速度に対応した高速駆動がウリ。そのうえ、高画質でユーザーが細かく画質設定を行うことが可能だ。ゲームに適した画質にすれば、従来は気づきにくかった敵も素早く発見できる

FPSやTPSなどのゲームで勝利をつかむには、敵をいち早く見つけ出し、先手を打つことが重要。そのためには「敵とそれ以外が見分けやすい」「暗いところにいる敵を発見しやすい」「残像感が少ない」など、プレイヤーの目となるディスプレイの見やすさが大切になってくる。しかし、ひと口にFPSやTPSといってもそのタイトルはさまざま。敵を見つけやすくするための画質はそれぞれに異なってくる。そう考えると、ゲーミングモニターには、遊びたいゲームタイトルに合わせて細かな画質設定が行えるモデルを選んでおいたほうがいい。

その点「INZONE M3」は、発色のよいIPSパネルを採用。「DisplayHDR 400」に準拠しており、明暗差が大きいシーンでも黒つぶれや白飛びがしにくい。そのうえ、10bitカラー表示に対応し、約10.7億色という膨大な色数が再現可能。色域はsRGBを99%カバーしている。ゲーミングモニターとして画質面での基礎体力が高いのだ。しかも、専用のPCソフトウェア「INZONE Hub」を使うことで、ユーザーが画質を詳細に調整できるのも心強い。

早速、プレイするゲームに合わせ、敵などのオブジェクトと背景の違いがわかりやすくなるように、「INZONE M3」のコントラストや彩度を細かく調整してみた。すると、これまでは視認できていなかった暗闇に潜む敵がクッキリと浮かび上がって見え、急な敵の飛び出しに素早く反応できるようになった。また、見通しのよい広場や草原では、遠方にいる敵を見つけやすくなったことで、敵から遠距離射撃を受ける前に先手が打てるようになり、体感として2〜3割ほどゲームの勝率が高まった。筆者の腕が上がったわけではないので、ひとえに「INZONE M3」のおかげと言えるだろう。

INZONE Hub

画質設定
ソニー「INZONE M3」
アプリ連動設定
ソニー「INZONE M3」

PCソフトウェア「INZONE Hub」を使うと、「明るさ」や「コントラスト」に加え、「シャープネス」「色合い」「彩度」を0〜100までの範囲で細かく調整できる。特定のゲームを起動したときに、作成した画質モードが自動で適用されるようにすることも可能だ

ブラックイコライザー

0(なし)
ソニー「INZONE M3」
3(効果最大)
ソニー「INZONE M3」

画質設定で見やすさを向上させるだけでなく、暗部の明るさをグンと持ち上げ、暗所に潜む敵を見つけやすくする「ブラックイコライザー」も搭載。また、照準を画面中央に表示してエイム力を高める「クロスヘア」や、右上にカウンターを表示する「タイマー」、左上にフレームレートをリアルタイム表示する「フレームレートカウンター」など、豊富なゲーミングアシスト機能も搭載し、プレイヤーを勝利に導いてくれる

240Hz駆動のなめらかな描画で、敵の動きを追いやすい

「INZONE M3」でゲームをプレイしていて感じたのは、動きもなめらかということだ。これは、本機が一般的なディスプレイの60Hzに比べて4倍高速な240Hzの高リフレッシュレートで駆動するうえ、色再現性にすぐれたIPSパネルを採用しながら1msという高速な応答速度を実現しているおかげだろう。FPSやTPSにおいて勝敗を分けるのは言うまでもなく撃ち合いだが、残像感が少ないから、素早く動き回りながらも敵の動きを追いやすい。そのうえ、表示がなめらかなので、照準も合わせやすいのだ。

ソニー「INZONE M3」

240Hzのリフレッシュレートは、「ヌルヌル」と言ってよいくらい表示がなめらか。スムーズに照準を合わせられるだけでなく、出現した敵の素早い察知にも貢献してくれた

リフレッシュレートの違い
ソニー「INZONE M3」

リフレッシュレートとは、1秒間に画面を書き換える回数のこと。一般的なディスプレイは1秒間に60フレームを書き換える(60Hz)が、「INZONE M3」はその4倍となる240フレームの書き換え(240Hz)が可能。これによって、ゲームでの素早い動きもなめらかに表示されるのだ

なお、パソコンからのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートがズレることで発生するチラつき(ティアリング)やカクつき(スタッタリング)を低減する技術として、「NVIDIA® G-SYNC® Compatible」と「VRR(HDMI2.1)」の両規格に対応している。

キーボードの斜め置きが可能な、三脚式スタンド

「INZONE M3」は、そのボディ形状も機能的だ。特に本機が採用する三脚式スタンドは、一見ユニークな形だが、FPSやTPSをプレイしていると実に機能的であることがわかる。

プレイヤーにもよるが、FPSやTPSをプレイする際に、キーボードを身体に対してハの字や逆ハの字にして置く人は少なくないだろう。また、ディスプレイに対して身体が前のめりになりやすい人は、キーボードやマウスを、よりディスプレイの近くに置きたいと思うこともあるはずだ。そんなときも、「INZONE M3」の三脚式スタンドなら、ディスプレイ下の左右に広い空きスペースが生まれる。キーボードやマウスがディスプレイのスタンドと干渉しにくく、広い操作エリアで快適にゲームをプレイできる。

ソニー「INZONE M3」 ソニー「INZONE M3」

ホワイトのバックパネルと三脚式スタンドを採用した「INZONE M3」。未来的でユニークなルックスだが、この形状はFPS/TPSゲーマーにとって実に実用だ。ディスプレイ下の左右に広い空きスペースができるため、キーボードを斜め置きしたり、マウスの広い操作エリアを確保したりできる

高さ調整機能 
ソニー「INZONE M3」
チルト調整機能
ソニー「INZONE M3」

スタンドは46〜116mmの高さ調整機能と、0°〜後方20°のチルト調整機能を備える。見やすい角度へと簡単に画面を調整できるため、長時間ゲームをプレイしても身体の疲労が少ない

ソニー「INZONE M3」

映像入力は、HDMI2.1ポート×2、DisplayPort1.4×1、USB Type-Cポート(DisplayPort Alternate Mode)×1と豊富。ゲーミングPCだけでなく、仕事用のノートPCや「PlayStation®5」なども同時に接続しておける。また、本機のUSBポートに接続したUSBキーボードやUSBマウスを、複数のパソコンで使い回せるオートKVMスイッチ機能も搭載しているのでデスク周りがスッキリする

INZONE H9立体的なサウンドで敵の方向や距離感をしっかりと把握

ソニー「INZONE H9」

FPSやTPSに適したゲーミングギアとして、ゲーミングモニター「INZONE M3」と組み合わせて使用したいのが、2.4GHz帯での低遅延な無線接続を実現したゲーミングヘッドセット「INZONE H9」だ

プレイヤーの目となるディスプレイとともに、敵をいち早く察知するために欠かせないゲーミングギアが、後ろから忍び寄る敵の足音や遠方の撃ち合いの銃声といった音の情報を伝えてくれるヘッドセットだ。

今回のレビューでは、「INZONE M3」の相棒として無線タイプのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」を使用してFPSやTPSをプレイしてみたが、特に印象に残ったのが、まるでゲームの世界に入り込んだかのように立体的なサウンドを得られたことだ。一般的なヘッドセットはゲームのサウンドをステレオ(2ch)再生するため、どうしてもサウンドが平面的に聴こえがちだが、「INZONE H9」では、頭の周囲をぐるりとスピーカーで取り囲んだかのように全方位から立体的な音が聴こえてくる。このため、敵のいる方向や距離感が把握しやすいのだ。

では、一般的なヘッドセットやヘッドホンと同じく左右2つのユニットしか搭載していない「INZONE H9」が、なぜこのような立体音響を実現できたのか。その理由は、ソニーの先端技術である「360 Spatial Sound for Gaming」の採用にある。

これは、通常2chに圧縮されているゲームの音声信号を、最大7.1chのマルチサウンドに再現する立体音響のバーチャライザー技術と、スマートフォンアプリ「Sony 360 Spatial Sound Personalizer」で自分の耳を撮影することで、立体音響の聴こえ方をユーザーに合わせて最適化する技術を組み合わせたもの。これらの技術を活用することで、ゲームが持っている本来のサウンドの広がりを再現し、音から得られる情報量を増やしてくれるのだ。

ソニー「INZONE H9」

「INZONE H9」は、ソニーの立体音響技術をゲーム向けに最適化することで、通常2chに圧縮されているゲームのサウンドを、最大7.1chのマルチサウンドで再現。敵がはしごを登っているのか降りているのか、建物内にいても頭上のヘリがどのように動いているのかなど、周囲の動きがわかりやすくなり、ゲームの世界でより直感的に立ち回れるようになる

ソニー「INZONE M3」 ソニー「INZONE M3」

スマートフォンアプリ「360 Spatial Sound Personalizer」で耳を撮影し、PCソフトウェア「INZONE Hub」で設定を行うと、耳の形や大きさによって変わる音の聴こえ方を補正し、1人ひとりに合った立体音響に調整してくれる

ノイズキャンセリング機能が生み出す静寂の中で、
ゲーム内の音を余すことなくキャッチ

周囲のサウンドを聴き取りやすくする立体音響に加え、ヘッドセットとしての素性のよさも「INZONE H9」の大きな武器だ。本機は、ソニーが音楽用ヘッドホンの開発で培ってきた技術をゲーム向けに最適化したことで、ゲーム内のサウンド情報を余すことなく再生できる。たとえば、発射音からは敵が使用している武器がわかり、足音からは敵の人数を聴き分けられるなど、音によって周囲の状況を正確かつ瞬時につかめる。そのため、どのように立ち回れば勝てるのかが判断しやすく、敵との撃ち合いでも先手を取れるわけだ。

また、音楽用ヘッドホン「1000X」シリーズで好評の「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を用いたノイズキャンセリング機能によって、周囲の環境音をしっかりと遮断できるのもメリット。ゲーム内の細かな音が聴き逃しづらくなるうえ、ゲームの世界に一段と入り込めた。

ソニー「INZONE M3」

高性能なノイズキャンセリング機能が、パソコンのファンノイズやエアコンの動作音といった環境音を遮断。遠くで流れる水の音からフィールド環境を把握できたり、銃声から敵が使用している武器を判断できたりと、これまで聴き逃していたであろう音の情報をはっきりとキャッチできた

ソニー「INZONE M3」

2022年10月のソフトウェアアップデートによって、マイクの音声品質が大幅に改善されたことも報告しておこう。アップデート前は高音域が若干抜け、不自然に聴こえるところがあったが、アップデート後は高音域がクリアになり、その不自然さを感じない。一緒にゲームをプレイする友人たちからも「声が聴きやすい」との評価を得られた

ソニー「INZONE M3」 ソニー「INZONE M3」

スタイリッシュなオーバル形状を採用した「INZONE H9」は、遮音性が高く、耳あたりのよいソフトフィットレザー(合成皮革)製イヤーパッドを採用。装着してみると、側圧は安定性と快適性のベストバランスを探った絶妙な調整で、長時間装着しても耳が痛くなることはなかった

リーズナブルながら、立体音響に対応する有線タイプの「INZONE H3」

ソニー「INZONE H3」

ここまで、無線タイプのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」を紹介してきたが、本機は「INZONE」ブランドのハイエンドモデルに位置付けられている製品。よりリーズナブルに「INZONE」ブランドのゲーミングヘッドセットを使用したい人は、有線タイプのベーシックモデル「INZONE H3」にも注目してほしい。

「INZONE H3」は、ノイズキャンセリング機能を備えないものの、「INZONE H9」と同様、2chに圧縮されたゲームの音声信号を7.1chのマルチサウンドで再現する立体音響のバーチャライザー技術と、「INZONE Hub」を用いた立体音響の個人最適化技術に対応した「360 Spatial Sound for Gaming」を搭載しており、ゲームのサウンドを立体的に再現できる。そのうえ、バッテリーなどを搭載していない有線タイプのため、本体重量が軽く、より長時間の装着に適している。

しかも、価格は8,500円(税込、価格.com最安価格、2022年12月6日時点)と、コストパフォーマンスにすぐれているのも魅力だ。ノイズキャンセリング機能が必要のない人にとって、本機を選択する価値は高い。

まとめ「INZONE」で武装して、ゲームの勝率を高めよう!

ここまで、FPSやTPSをプレイしながら「INZONE」の最新ゲーミングギアである27型フルHDゲーミングモニター「INZONE M3」と、無線タイプのゲーミングヘッドセット「INZONE H9」を合わせてレビューしてきた。

そもそも筆者はFPSやTPSといった対戦ゲームがあまりうまいほうではなく、これまで敵に先制攻撃されて負けることが多かった。しかし、「INZONE M3」と「INZONE H9」を使用してプレイしてみたところ、敵をいち早く見つけられ、敵の方向や距離感をしっかりと把握できるようになったためか、勝利の確率が高まるように感じた。FPSやTPSにおける、ゲーミングギアの重要性を実感した次第だ。

従来のゲーミングギアで納得できなかったヘビーゲーマーはもちろん、これまでゲーミングギアにさほどこだわってこなかったゲームファンも、この機会にぜひ「INZONE M3」と「INZONE H9」を試してほしい。きっと、以前よりもゲームの勝率を高められるはずだ。

この記事は2022年12月9日の情報を基にしております。