ニコンファン待望のハイエンドミラーレスカメラがついに誕生「Z 9」の高性能を小型・軽量ボディに凝縮!「D850」ユーザーが体感した ニコン「Z 8」“4つの魅力”

ニコンファンが待ちに待ったフルサイズミラーレスカメラがついに誕生! フラッグシップモデル「Z 9」の高性能を凝縮した小型・軽量モデル「Z 8」が2023年5月26日に発売された。プロやハイアマチュアから注目されている話題の製品だが、特にこのカメラに熱視線を送っているのは、ニコンのハイエンド一眼レフカメラ「D850」のユーザーではないだろうか。「D850」に代わる完成度の高いミラーレスカメラを待ち望んでいた人にとって、「Z 8」は買い替えの本命モデルとなるに違いない。そこで本特集では、普段「D850」を愛用するユーザーが、実際に「Z 8」を使ってみて感じた魅力をお伝えしていこう。
※記事内の作例はすべて試作機を使って撮影したものです。

魅力1信頼性の高い小型・軽量ボディに「Z 9」の先進性を
そのまま搭載

ニコン「Z 8」

「Z 9」の高性能を継承した小型・軽量モデル「Z 8」。装着しているレンズは大口径・標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」だ

「Z 8」は、ニコン史上最強のスペックを誇るフラッグシップモデル「Z 9」の高性能を継承した、小型・軽量なフルサイズミラーレスカメラだ。詳細は次項目以降で紹介するが、代表的なスペックにおいては、9種類の多彩な被写体検出に対応するAFシステムや、最高約120コマ/秒の超高速連写、レンズとの協調動作時に6.0段分の補正効果を発揮するボディ内5軸手ブレ補正、8.3K/60p記録対応の動画撮影機能などを搭載。細かいところを含めて「Z 9」の基本性能をほぼそのまま引き継いでいる。

「Z 9」は、実際に購入した人からの評価が非常に高いモデルだ。価格.comに書き込まれたクチコミを見てもそれはよくわかる。以下にいくつか抜粋して紹介しよう。

「Z 9」に対する価格.comユーザーの声
「Z 9」を使ってみて特に感心するのがAF性能です。一眼レフカメラ「D850」のAFとは別モノで、動体を一度とらえると自動的に追い続けてくれるため、フレーミングに集中できます。「D850」と比べて動体撮影の歩留まりも向上しました。
カメラのフレーミングさえ追い付けば素早く動く被写体でもしっかりととらえて撮影できます。完全なブラックアウトフリー(コマ飛びやコマの重複がない)で撮れるので、高速連写中のフレーミングがとてもやりやすいです。
画質がすばらしいですね。人物や動物を撮ってみると毛の1本1本まで見事に解像してくれます。AFも速くて正確です。
「Z 9」は完全電子シャッターを採用しているため、メカシャッターのようにシャッターショックによるブレが発生しません。一眼レフカメラではブレが生じるため重い三脚を使っていましたが、「Z 9」を使うようになってからは軽い三脚に買い替えました。耐久性を心配する必要がないのもポイントです。
AFやレリーズ関連のボタンが用意されているので、メニューから呼び出さなくてもスムーズに設定を変えられます。ニコンユーザなら操作に迷うことはないうえ、プラスアルファでいろいろと使いやすくなっています。

※2023年4月28日時点での価格.comユーザーレビューの書き込みを抜粋・編集しています。

上記のクチコミはほんの一部で、「Z 9」のユーザーレビューやクチコミ掲示板には賞賛の声が数多く集まっている。「Z 8」は、そんなユーザー評価の高い「Z 9」の高性能をそのまま搭載した小型・軽量モデル。「こんなミラーレスカメラを待っていた!」と関心を寄せているニコンファンも多いことだろう。

「Z 8」が「Z 9」と同等の性能を実現できた理由としては、「Z 9」と同じくメカシャッターレス構造(メカシャッターを用いない完全電子シャッター仕様)を採用しているのが大きい。これが特に革新的な部分で、メカシャッターでは実現不可能な超高速連写などの新しい撮影体験を可能にしている。

完全電子シャッターというと被写体の歪みが発生するのを気にするかもしれないが、「Z 8」(ならびに「Z 9」)にその心配はない。高速処理が可能な積層型CMOSセンサー(有効画素数4571万画素)と高性能な画像処理エンジン「EXPEED 7」によって、電子シャッターでもメカシャッターと同等レベルの幕速(電子シャッターのスキャン速度)を実現しており、素早く動く被写体を追いかけながらの撮影や、カメラを動かしながらの動画撮影など、あらゆるシーンで被写体の歪みを気にすることなく使用できる。さらに、メカシャッター機とは違い、シャッター耐久を気にせずに思いっきりシャッターが切れるのも、メカシャッターレス構造のメリットとして押さえておきたい。

ニコン「Z 8」

「Z 8」は「Z 9」と同様に、完全電子シャッターの仕様を採用。レンズ着脱時に撮像素子にゴミが付着するのを防ぐセンサーシールドを搭載するほか、撮像素子の光学フィルター表面にダブルコート(導電コートとフッ素コート)を採用するのも「Z 9」と同じだ

今回、一眼レフカメラ「D850」のユーザーが「Z 8」を使ってみて特に魅力を感じたのは、やはり、「Z 9」と比べて小型・軽量なボディだ。体積比で「Z 9」よりも約30%、「D850」よりも約15%の小型化を達成しているうえ、重量も約910g(メモリーカードを含む、ボディキャップ、アクセサリーシューカバーを除く)と、「Z 9」よりも約430g、「D850」よりも約95g軽い。

ニコン「Z 8」

左から「Z 8」、「D850」、「Z 9」。「Z 8」の本体サイズは144(幅)×118.5(高さ)×83(奥行)mmで、重量は約910g(メモリーカードを含む、ボディキャップ、アクセサリーシューカバーを除く)。「Z 9」より小型・軽量なのはもちろんのこと、「D850」と比べてもコンパクトに収まっている。「Z 9」の高性能を継承しながら、このサイズ感を達成したのはニコンの技術力の高さを物語っていると言えよう

ニコン「Z 8」

大口径・標準ズームレンズを装着した状態で、「Z 8」(左)と「D850」(右)の大きさを比較してみた。「Z 8」には「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」を、「D850」には「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」を装着している。レンズの全長が異なるため、「Z 8」のほうがよりコンパクトなサイズに収まっている

「Z 8」に大口径レンズや超望遠レンズを装着して使ってみても全体的な重量バランスにすぐれ、小さすぎず大きすぎず、「ちょうどよいサイズの一眼カメラ」という印象を受けた。もちろん、「Z 8」はニコンの一眼カメラらしくボディの作りにもこだわっていて、大口径レンズや超望遠レンズを装着した際にもホールドしやすい、しっかりとした形状のグリップを採用。「D850」と同等以上の堅牢性・信頼性も兼ね備えており、「D850」ユーザーが安心して選べるモデルに仕上がっている。

ニコン「Z 8」

しっかりとした形状のグリップを採用。細くて深い形にデザインされているので、それほど力を入れなくてもカメラをしっかりとホールドできるのがポイント。「D850」と比べてもまったくそん色のない良質なグリップだ

ニコン「Z 8」 ニコン「Z 8」

ボディ前面にマグネシウム合金を、背面カバーと天面カバーに、マグネシウム合金と同等の強度を持つ新素材「Sereebo® Pシリーズ」(帝人株式会社製)を採用し、ボディ全体で高い耐衝撃性を実現。-10度までの動作にも対応している。さらに、外観カバー間の接合部やレリーズボタン、チルト機構などに効果的なシーリングを実施すことで、高い防塵・防滴性能も確保。トータルで「D850」を超える堅牢性・信頼性を達成している

『「Z 8」は「Z 9」の高性能を小型・軽量化したモデル』と説明するのは簡単だが、静止画撮影・動画撮影の両方で最高クラスのスペックを持つ「Z 9」と同等の性能をこのサイズで実現していることには驚かされる。「Z 9」が縦位置グリップ一体型の大きなボディであるいっぽうで、「Z 8」は「D850」よりもコンパクトで、付属バッテリーは「D850」でも使用できる「EN-EL15c」だ。「Z 8」では、細かい部品や電子基板をいちから見直したほか、ボディ内手ブレ補正ユニットも新規で開発するなど、徹底した小型・軽量化が図られているという。妥協のないカメラ作りにこだわるニコンの技術力が結集したカメラとも表現できるだろう。

ニコン「Z 8」

付属バッテリーは「D850」でも使用できる「EN-EL15c」。この小さなバッテリーで「Z 9」と同じ出力を実現しているのだから驚きだ

ニコン「Z 8」

「Z 9」と同様、10ピンターミナルを搭載。対応のリモートコードを長年使っている人にとってありがたいインターフェイスだ

ニコン「Z 8」

別売オプションでパワーバッテリーパックを用意。「Z 8」と同等の防塵・防滴性能を確保し、-10度の環境下でも動作する。USB充電・給電が可能なほか、ホットスワップに対応し、2つのバッテリーのうち1つを抜いた状態でも撮影を継続できる

魅力2高性能AFと超高速連写で“一瞬”をより確実に
記録できる

ここからは、「Z 8」の静止画撮影機能の特徴を掘り下げていこう。一眼レフカメラ「D850」との違いを交えながら、その魅力を詳しくレポートする。

一眼レフカメラとは別モノの圧倒的なAF性能

今回、「D850」ユーザーが「Z 8」を使ってみて特に驚かされたのが、非常に高性能なAFシステムだ。まず、一眼レフカメラの光学ファインダー撮影とは異なり、画面全域でピント合わせが可能なうえ、その速度・精度が非常に高い。「ニコンのミラーレスカメラはここまで進化したのか!」というのが正直な感想だ。AFの低輝度限界が「-9EV」というのも驚異的で、月明かりの下での風景撮影など、非常に暗い状況でAFを利用できるのも一眼レフカメラとの違いである。

多彩で高精度な被写体検出機能

「Z 8」のAFシステムは「Z 9」と同等で、人物、動物3種類(犬、猫、鳥)、乗り物5種類(車、飛行機、列車、バイク、自転車)の計9種類の被写体同時検出に対応。従来よりも性能が向上しており、人物においては、画面長辺比で世界最小約3%(※2023年5月10日時点、ミラーレスカメラにおいて。ニコン調べ)という、非常に小さな状態でも検出できるようになった。

加えて、「Z 8」は、新要素として被写体検出の「乗り物」から「飛行機」が独立し、飛行機の検出性能が向上しているのも見逃せない。飛行機が小さい状態でも検出できるようになったほか、背景が複雑な状況や暗いシーンでの精度も高まった。軍用機の検出にも対応するようになったのもポイントである。

ニコン「Z 8」

「Z 8」は計9種類の被写体同時検出が可能。検出対象として「飛行機」を独立して設定できるようになり、暗いシーンなどでの飛行機の検出精度が向上している

ニコン「Z 8」

被写体検出のオート設定が用意されているのが便利。設定画面で「オート」を選ぶと、9種類の被写体を同時に検出し、被写体の大きさや位置などの情報から主要被写体を自動で選択してくれる

以下に、「Z 8」のAF動作を記録した動画を掲載する。逆光や暗いシーンで試しているが、そうした難しい状況でも被写体を確実にとらえ、一度とらえたら離さない高精度なAFであることがわかるはずだ。

被写体検出の性能を動画でチェック!

人物と飛行機を被写体に「Z 8」の被写体検出の性能をテストしてみた。人物では、開放絞り値F1.2の大口径・標準レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」を使って、逆光下で歩いて近づいてくるシーンで試してみたが、顔・瞳にしっかりとピントを合わせ続けている。飛行機は、超望遠レンズ「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」に2倍のテレコンバーター「TC-2.0x」を付けて焦点距離800mmの画角でテスト。着陸する飛行機を検出する様子を収めた。日没後のかなり暗い状況の中、また飛行機のラインディングライトが強く光る中でも、小さな被写体の機体やコクピット部をしっかりと認識・追尾している。

この動画を見るだけでも、逆光や暗所を含めてあらゆるシーンで「Z 8」の被写体検出精度の高さがわかるはずだ。「D850」のAFと比べると画面全域で被写体を高精度に追尾できるのが大きな違い。「Z 8」なら、動体撮影でもピント合わせに悩まされずに、構図決定に集中しながらシャッターが切ることが可能だ。

ニコン「Z 8」

「Z 8」は、被写体の色や形を読み取って、指定した被写体をロックオンして追尾する「3D-トラッキング」にも対応している。「D850」などニコンの一眼レフカメラではおなじみの機能なので、「この機能を搭載するミラーレスカメラを使いたい」という人も多いことだろう。「Z 8」の「3D-トラッキング」は被写体検出と組み合わせて、より高精度に被写体を追尾できるのが便利だ

シャッターチャンスを逃さない高速連写

「Z 8」は連写性能も驚異的だ。一眼カメラは一般的に、下位モデルは上位モデルよりも少し連写速度が落ちる傾向にあるが、「Z 8」は違う。性能に妥協がなく、「Z 9」と同様に、フル画素(有効画素数4571万画素)で最高約20コマ/秒のAF・AE追従連写が可能だ。連続撮影可能枚数はJPEGまたは高効率RAW選択時で1000コマ以上と連写の持続性も高く、ちゅうちょすることなく思いっきり連写撮影を続けられる。

さらに、超高速連写機能として、約11メガピクセルで最高120コマ/秒連写が可能な「ハイスピードフレームキャプチャー+」にも対応。シャッターボタンを押す前の動作を記録できる「プリキャプチャ」も搭載している。「D850」と比べてできることが格段に増えており、高性能AFと組み合わせることで、まったく別次元の動体撮影が行える。

動体を撮影した作例をチェック!
ニコン「Z 8」

Z 8、NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S+Z TELECONVERTER TC-1.4x、560mZ 8/2000秒、F8、ISO800、ホワイトバランス:自然光オート、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:弱め、ヴィネットコントロール:標準

撮影写真(8256×5504)
一連の連写作例(12コマを抜粋)
  • ニコン「Z 8」
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被写体検出機能と、最高約20コマ/秒のAF・AE追従連写を組み合わせて、強い逆光下で着陸する飛行機を追尾撮影してみた。まず報告しておきたいのが、AFの追従性の高さ。逆光下で被写体が認識しにくい状況にも関わらず、飛行機の機材やコクピットを正確に検出し続けてくれた。同じ状況で10回以上撮影を行ってみたが、被写体を認識しなかったことや、ピントが大きく外れることは一度もなかった。さらに、最高約20コマ/秒の連写速度も秀逸。ここまでの連写速度になると非常に細かい動きを記録することが可能で、この作例では、車輪(片輪)が滑走路に設置した一瞬をとらえることができた。

魅力3「NIKKOR Zレンズ」の高い描写力と撮影が
楽しくなる操作性

ニコンのミラーレスカメラ「Zシリーズ」の魅力を語るうえで欠かせないのが、ニコン純正の交換レンズ「NIKKOR Zレンズ」だ。その特徴を紹介しよう。「Z 8」に搭載された新機能や、高品位な電子ビューファインダーについてもレポートする。

開放F1.2対応ですぐれた描写性能を持つ「NIKKOR Zレンズ」

「Zシリーズ」は、一眼レフカメラを超える画質力がユーザーから高く評価されている。それを支えているのが、ミラーレスカメラ専用設計の「NIKKOR Zレンズ」だ。

「Zシリーズ」は、マウント径55mm/フランジバック16mmの大口径・ショートフランジバックの「Zマウントシステム」を採用したことでレンズ設計の自由度が飛躍的に向上している。「NIKKOR Zレンズに外れなし!」と言われるくらいどのレンズも完成度が高いが、特に、大口径・標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」や、開放F値F1.2の大口径・標準レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」など、高性能ライン「S-Line」レンズはひと味違う。絞り開放から非常にシャープで周辺までクリアな描写が得られるので、「Z 8」を選ぶなら、ぜひ「S-Line」レンズにも注目してほしい。

また、「NIKKOR Zレンズ」の特徴として押さえておきたいのが動画撮影への対応だ。どのレンズもフォーカスブリージング(フォーカシングによる画角変動)が抑えられているほか、AFの動作音も小さく、快適な動画撮影が行えるように配慮されている。

ニコン「Z 8」

「NIKKOR Zレンズ」の高性能ライン「S-Line」は描写力の高さで定評がある。左から「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」

今回、「S-Line」レンズをいくつか試してみたが、いずれも、解像力が高いだけでなく、非常に抜けのよい描写が得られるのが印象に残った。ファインダーを覗くだけでレンズの描写性能のよさを感じるくらいで、撮影した写真を見て「一眼レフカメラを超える高画質」を実現していることを実感した次第だ。

さらに、「S-Line」レンズでは、一眼レフカメラ用とは異なり、開放絞り値F1.2の大口径を実現したレンズがラインアップされているのも見逃せない。ここまでの大口径になると「明るい屋外では絞り開放が使いにくい」と思うかもしれないが、「Z 8」は完全電子シャッターの採用によって最高1/32000秒の超高速シャッタースピードに対応しているので安心だ。晴天下の屋外でも、NDフィルターを使わずに絞り値F1.2でシャッターが切れる。

開放F1.2で撮影した作例をチェック!
ニコン「Z 8」

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、1/1250秒、F1.2、ISO64、ホワイトバランス:自然光オート、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準

撮影写真(8256×5504)
一連の連写作例(12コマを抜粋)
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開放F値F1.2の大口径・中望遠レンズ「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」を使って撮影したポートレート作例。モデルに自由にポージングしてもらいながら、被写体検出機能と連写を組み合わせて撮っている。被写界深度がきわめて薄い絞り値F1.2に設定しているため、狙ったところにピントを合わせるのは至難の業だが、この作例では、左の瞳にしっかりとピントが合い、かつ一瞬の表情を記録できている。AF性能と連写性能の両方にすぐれる「Z 8」だからこそ撮れた1枚と言えるだろう。

画質面では、開放F1.2の大きくて滑らかなボケが印象的。また、やや逆光下での撮影だったが肌色がとてもきれいに再現されているのもポイント。「Z 8」は、こうした難しいシーンでもカメラまかせで高画質に記録してくれる。

HEIF記録や「美肌効果」などの新機能を搭載

「Z 8」は、「Z 9」をそのまま小型・軽量化しただけのカメラではない。「Z 9」の高性能を継承しつつ、新しい機能もしっかりと搭載している。

画質面では、10bitの豊かな階調表現を実現するHEIF形式の記録に新たに対応したのがトピック。HEIF形式は、対応する表示デバイスでないと効果を発揮しないため、現状ではまだスタンダードとは言えないが、将来的には高画質な画像形式として利用が広がっていくのは間違いない。

撮影機能では、「美肌効果」という新機能を搭載している。これは、人の顔を自動検出した際に、目や髪のシャープさを保ったまま肌だけを滑らかになるように画像処理を行うというもの。最大3人まで同時に適用可能だ。静止画だけでなく、動画やライブストリーミングでも利用できる。

ニコン「Z 8」

階調モードを「HLG」に設定するとHEIF形式で記録できる。RAW形式との同時記録も可能だ

ニコン「Z 8」

「美肌効果」は効果の度合いを「弱め」「標準」「強め」の3段階から選択できる

「美肌効果」を使った作例をチェック!
美肌効果:強め
ニコン「Z 8」 撮影写真(8256×5504)
美肌効果:しない
ニコン「Z 8」 撮影写真(8256×5504)

Z 8、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、1/1250秒、F1.2、ISO64、ホワイトバランス:自然光オート、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準

「美肌効果」の効果をチェックするために、同じシーンで機能のオン・オフで撮り比べてみた。左の「美肌効果」を「強め」に設定した作例は、肌の質感がとても滑らかに仕上がっている。赤味が軽減され、肌の色も自然だ。ピントを合わせた左目や髪を見ると、解像感はしっかりと残っているのがポイント。こうした機能にありがちな過度な演出はなく、とてもナチュラルな画像処理なのが好印象である。

クリアで自然な見え方の高品位ファインダー

先に掲載した飛行機の作例を撮影していて、「さすがニコンが作ったカメラだ!」と感心したのが操作性のよさだ。先にも紹介したように、「Z 8」は握りやすいグリップを採用していることに加えて、「Z 9」と同じ、高品位な電子ビューファインダーを採用しているのがうれしい。

「Z 8」のファインダーは、常に被写体の動きが表示・更新される「Real-Live Viewfinder」に対応するうえ、光学系にこだわっているのが特徴。ファインダーの隅々まで明るくクリアで、歪みや色のにじみなどは見られない。色合いも自然で、覗いていて楽しくなるファインダーに仕上がっている。

「D850」などの一眼レフカメラのユーザーにとって光学ファインダーは非常に重要な操作性だ。光学ファインダーの見え方が好きで一眼レフカメラを使い続けているという人もいると思うが、「Z 8」はそういう人にとってピッタリ。光学ファインダーと変わらないと言うと大げさかもしれないが、本当にそれくらいのすばらしい見え味を実現している。

ニコン「Z 8」

光学系にこだわることで隅々までクリアで自然な見え方を実現した電子ビューファインダー(約369万ドット、倍率約0.8倍)を搭載。最大3000カンデラの高輝度表示に対応しており真夏のビーチや晴れた雪原など、反射光がまぶしいシーンでも被写体をしっかりと確認できる

ニコン「Z 8」 ニコン「Z 8」

「Z 9」と同様に、縦横チルトに対応する3.2型タッチパネル液晶モニター(約210万ドット)を採用。縦位置でも横位置でもモニターを見やすい角度に調整して撮ることが可能だ

ニコン「Z 8」

カスタムメニューに、透過照明でボタンの視認性を高める「イルミネーター点灯」や、赤色の表示で目の負担を軽減する「赤色画面表示」などの設定を用意。これらの機能を活用することで、星景撮影などの暗いシーンでも情報を確認しながら撮ることができる

魅力48.3K/60p対応など専用機並みの動画撮影機能

「Z 8」は、静止画撮影だけでなく、動画撮影機能が充実しているのも魅力だ。その特徴を詳しく紹介しよう。

外部レコーダーを使わずに8Kなど多彩な動画を撮影できる

「Z 8」の動画撮影機能で特に注目したいのは、クロップなしでの8.3K/60p記録や4K UHD/120p記録など、本格的な映像作品を撮影できる性能を実現していることだ。

記録できる形式は「Z 9」と同等で、12bit RAW記録としてN-RAWとProRes RAW HQの2種類のフォーマットを用意。N-RAWでは8.3K/60p記録と4.1K/120p記録に、ProRes RAW HQでは4.1K/60p記録に対応している。さらにH.265(10bit/8bit)とProRes 422 HQ(10bit)のフォーマットにも対応し、H.265では8K UHD/30p記録や4K UHD/120p記録などが可能。8Kオーバーサンプリングによる高画質な4K UHD/60p記録もサポートしている。できないことはないと言っても過言ではなく、放送やシネマなど幅広い映像制作ニーズに対応できる機能性を誇っている。

注目したいのは、これらの多彩な形式の動画を、外部レコーダーを使わずにボディ内で記録できること。小型・軽量化を果たしつつ、「Z 9」とほぼ同等と動画撮影機能を搭載できたのは、ニコンの技術的の高さの賜物。さらに、ボディがコンパクトなためジンバルと組み合わせやすいのもポイントで、これから本格的に動画撮影を始めてみたいという人にとって扱いやすいカメラと言えよう。

ニコン「Z 8」 ニコン「Z 8」

12bit RAW記録であるニコン独自のN-RAW形式に対応。N-RAWでは8.3K/60p記録が可能だ

ニコン「Z 8」 ニコン「Z 8」

小型・軽量なボディなのでジンバルと組み合わせやすいのも「Z 8」の見逃せない特徴だ。左はDJI「DJI RS 3 Pro」と、ZHIYUN「WEEBILL 3」と組み合わせた際のイメージ

「Z 8」で撮影した8K/60p動画作例を
チェック!
ニコン「Z 8」

「Z 8」を使って撮影した8K UHD/60p動画。N-RAWで記録した複数の8.3K/60p映像を編集してつなげたものになる。一部のカットではジンバルも使用した。激しく動く人物を撮っているが、AFが確実に人物にピントを合わせ続けていることがわかる。また、いずれのレンズでも絞り開放に設定したが、画面の周辺までクリアで抜けのよい描写なのも特筆すべき点。高画質な「Z 8」と「NIKKOR Zレンズ」の組み合わせだからこそ、ここまでの美しい8K動画に仕上がったと言えるだろう。

8Kも4Kも驚きの長時間記録が可能

「Z 8」のコンパクトなボディを見て、ボディ内の熱処理の関係で「8K動画や4K動画はそれほど長時間撮影できないのでは?」と疑問を持った人もいるかもしれないが、その心配は無用だ。

「Z 8」は、これまでにニコンが培ってきたボディ設計技術を生かすことで、8K動画でも4K動画でも長時間の連続撮影※1が行えるようになっている。具体的には、8K UHD/30p動画の場合※2、標準モード(自動電源OFF温度:標準)で最長60分、高温モード(自動電源OFF温度:高)で最長90分の記録が可能。4K UHD/60pの場合※3、標準モード/高温モードともに最長125分の記録に対応している。

さすがに「Z 9」とまったく同じではないが、小型・軽量ボディにも関わらず、ここまで長時間の動画連続撮影を実現したのはすごい。縦位置グリップ部のないミラーレスカメラとしては驚異的な性能である。

  • ※1コールドスタートからの開始、MC CF660G メモリーカード使用時、モバイルバッテリーやパワーバッテリーパックなどの外部電源が必要
  • ※2 温度25度時、H.265 8bit(MOV)時
  • ※3 温度25度時、H.265 8bit(MOV)時、オーバーサンプリングの拡張OFF時
ニコン「Z 8」

セットアップメニューの「自動電源OFF温度」を「高」に設定することで、より長時間の動画撮影が可能

8K HLGタイムラプス動画など多彩な撮影機能

「Z 8」の撮影機能では、8Kタイムラプス動画の記録に対応する点にも注目したい。「D850」ではタイムラプス動画撮影機能が好評だったので、「Z 8」でも同じことができるのかどうか気になっている人もいることだろう。「Z 8」は、この機能がさらに進化しており、8Kの高解像度で記録できるうえ、階調モードを「HLG」に設定すれば、階調性にすぐれたH.265 10bitでのタイムラプス動画の生成が可能だ。

ニコン「Z 8」

「D850」でも人気の高いタイムラプス撮影機能を搭載。「Z 8」では、8K解像度での記録やH.265 10bitでの動画生成に対応している

このほか、動画撮影の機能としては、レンズの望遠端を超えるズーミングが可能な「ハイレゾズーム」や、動画撮影時の「高周波フリッカー低減」なども搭載。これら以外にも、「Z 8」には、プロの映像クリエーターが求める機能がいくつも備わっている。

ニコン「Z 8」

「高速」「中速」「低速」の3段階でズーム速度を設定できる「ハイレゾズーム」を搭載。4K動画撮影時には4Kの解像感を保ったまま最大2倍のズームが可能だ

ニコン「Z 8」

シャッタースピードを細かく調整することで、看板や照明のちらつきを抑える「高周波フリッカー低減」。静止画撮影だけでなく動画撮影時にもこの機能を利用できる

ニコン「Z 8」 ニコン「Z 8」

動画撮影用の別売アクセサリーでは、カメラとUSBケーブルで接続してリモート操作が行える「リモートグリップ MC-N10」がとてもユニーク。ARRI規格準拠のロゼットにアダプターを装着することで、三脚のパン棒やジンバル、スライダー、ショルダーリグのハンドルなどに取り付けてカメラの機能を操作・制御できるのが便利だ

まとめあらゆる点で「D850」を大きく上回る買い替えの
本命モデル!

「Z 8」は、「Z 9」のスペックをほぼすべて継承しているため、「ミニZ 9」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、今回試用してみて、確かに「Z 9」と肩を並べるほどの完成度の高いカメラだと感じた。ラインアップの位置付け的には「Z 9」の下位モデルではあるが、「Z 9」と同じ立ち位置にある姉妹モデルという印象で、どちらかがすぐれているというわけではなく、使い方に合わせて選べる選択肢が増えたととらえたほうがよいだろう。特に、ボディサイズの大きさから「Z 9」の購入・買い替えを見送ってきた人にとって待望の新製品である。

小型・軽量ながらホールディング性にすぐれるため、移動の多い風景やスナップの撮影に向いているというだけでなく、望遠レンズを使用する飛行機や野鳥、動物の撮影にもピッタリ。ジンバルと組み合わせやすいのもポイントで、本格的な動画撮影にも活用できる。静止画撮影でも動画撮影でもオールマイティーに活躍するカメラと言えそうだ。

今回は、一眼レフカメラ「D850」のユーザーとして「Z 8」をじっくりと使ってみたが、試用を終えての正直な感想は、「もう一眼レフには戻れない」ということ。「D850」は完成度の高い一眼レフカメラだが、「Z 8」は、画質、AF・連写、操作性などあらゆる点で「D850」の性能を大きく上回っている。まさに、買い替えの本命が登場したと言ってよいだろう。ぜひ、「Z 8」を手に入れて「Zシリーズ」の高性能・高画質を余すことなく味わってほしい。

ニコン「Z 8」公式ページはこちら ニコン「Z 8」スペシャルコンテンツはこちら 圧倒的な高性能・高画質を満喫できる充実のラインアップ ニコンの新世代ミラーレスカメラ「Zシリーズ」特集
この記事は2023年5月26日の情報を基にしております。

製品アンケート

Q1.この記事を読む前からこの製品のことを知っていましたか?*

Q2.この記事を読んで、この製品の特長が理解できましたか?*

Q3.この記事を読んで、この製品を購入してみたいと思いましたか?*

Q4.Q3のようにお答えになった理由や、記事の感想など、自由にお書きください。

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Q6.年齢*