ノイキャン、音質、装着感などすべてがハイレベル 総合力の高さが光るソニー完全ワイヤレスイヤホンの集大成! 「WF-1000XM5」を徹底検証
ソニーの大人気完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」シリーズの第4世代モデルとして、2023年7月に登場した「WF-1000XM5」。その年ユーザーからもっとも支持された製品を選出する「価格.comプロダクトアワード2023」でも、ノイキャン、音質、装着感、通話性能、使い勝手など、そのどれもがハイレベルな点が支持され、数ある完全ワイヤレスイヤホンの中からオーディオ部門の大賞を受賞するなど、価格.comユーザーからも高い評価を得ている。本稿はそんな大注目の「WF-1000XM5」の魅力を、「WF-1000XM4」と比較しながら徹底検証していく。
* 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年11月1日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る※2024年7月9日に変更
**2023年7月25日時点。ソニー調べ
ノイズキャンセリングデュアルプロセッサーとトリプルマイクで世界最高クラス*のノイキャン性能を達成
1995年に初めて市販向けのアナログ・ノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NC10」「MDR-NC20」を発売したソニー。その後も、2008年に世界初(※ 2008年ソニー調べ)のデジタルノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NC500D」を登場させるなど、ノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホン・ヘッドホンのリーディングカンパニーとして確かな地位を築き上げてきた。そんなソニーのノイズキャンセリングヘッドホンのラインアップにおいて、フラッグシップモデルに位置付けられるのが、2016年に登場した「1000X」シリーズだ。
新モデルが登場するたびに更新されていく最高峰のノイズキャンセリング性能に加え、ワイヤレスとは思えないほどの高音質や使い勝手のよさを実現していることから高い評価を得ており、今ではノイズキャンセリングヘッドホン・イヤホンの代名詞的な存在となっている。事実、2021年6月に発売された完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」は、「価格.comプロダクトアワード2021」オーディオ部門で大賞を受賞するなど、価格.comユーザーからも高い人気を誇ってきた。
今回紹介するのは、そんな「1000X」シリーズの最新モデルであり、「WF-1000XM4」の後継モデルとして登場する「WF-1000XM5」だ。発売前から期待が掛かる「WF-1000XM5」だが、長らく「WF-1000XM4」を愛用し続けてきた筆者としては、どのように進化しているのか気になるところ。本特集では、「WF-1000XM4」とガッツリ比較しながら、その実力を詳しくチェックしてみた。

完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラッグシップモデルとして登場する「WF-1000XM5」。世界最高クラス*のノイズキャンセリング性能に加え、大口径化した専用設計のダイナミックドライバーや、コンパクトになったことで装着感が増したボディ、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンとしては史上最高の通話性能を実現するなど、見どころの多い1台となっている

今回のレビューでは、従来モデル「WF-1000XM4」(写真左)との比較を実施。「WF-1000XM4」の発売以来、さまざまなメーカーの完全ワイヤレスイヤホンをレビューしつつも、その総合的な完成度の高さから「WF-1000XM4」を使う時間が最も長かった筆者が、後継モデル「WF-1000XM5」(写真右)をどのように感じたのか、詳しく紹介していこう
見どころの多い「WF-1000XM5」だが、いちばんのトピックはノイズキャンセリング性能だろう。従来モデル「WF-1000XM4」も、処理速度を高めた「統合プロセッサー V1」を搭載することで、発売当時、世界最高クラスのノイズキャンセリング性能を誇っていた。そんな「WF-1000XM4」を超えるべく、「WF-1000XM5」で採用されたのが、「統合プロセッサー V2」と「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」によるデュアルプロセッサー構成だ。ノイズキャンセリングの処理と、マイク制御を行う処理を別々のプロセッサーがそれぞれに引き受けることで処理能力が向上し、ノイズに対してより精密な解析が行えるようになったわけだ。
また、マイク制御用のプロセッサーを搭載したことで、ノイズキャンセリング用のマイクの数を従来の2個から3個へと増やすことができるようになり、「WF-1000XM5」ではフィードバックマイクを1個追加したトリプルマイク(左右合計6個)構成となっている。これによって、さらに精度の高い集音が行えるようになった結果、「WF-1000XM4」と比べ、さらに20%のノイズ低減が可能になった。

「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」が複数のマイクを同時に制御し、「統合プロセッサー V2」が環境に合わせてノイズキャンセリング処理を最適化することで、ノイズキャンセリングに関する処理パフォーマンスを大幅に高めている

「WF-1000XM4」では、ノイズキャンセリングに使用するマイクは周囲の音を集音するフィードフォワードマイクと、内耳の騒音を集めるフィードバックマイクの2個だったが、「WF-1000XM5」では、フィードバックマイクの数をひとつ増やしたトリプルマイクとしたことで、より正確にノイズを検出できるようになっている

低音域から高音域まで、全周波数帯域にわたってノイズキャンセリング性能が向上した「WF-1000XM5」。たとえば、電車やバスなどに乗った際に感じる低音域のノイズや、生活音などに関わる中音域のノイズキャンセリング性能も大幅にアップしているので、日常生活でもその恩恵を感じる場面は多そうだ
「WF-1000XM5」のノイズキャンセリング性能をチェック
従来モデル「WF-1000XM4」もすばらしいノイズキャンセリング性能を備えており、個人的には一切不満はなかったのだが、「WF-1000XM5」ではその性能がどれほどまでに進化しているのか、実際に地下鉄やカフェで使用し、その違いを確認してみた。まず、ノイズキャンセリング性能の比較に入る前に、大前提として伝えておきたいのがイヤホン装着時の密着感。詳しくは後述するが、「WF-1000XM5」は「WF-1000XM4」と比べてボディがコンパクトになり、耳にすっぽりと収まってくれるため、筆者の耳では「WF-1000XM4」よりも装着時の圧迫感が少ないのに密着感が大きく高まっているように感じられた。しかも、この密着感の向上は遮音性にも大きく寄与。ノイズキャンセリングをオンにしていない状態でも、今まで以上に周囲のノイズを低減してくれていた。
そんな「WF-1000XM5」のノイズキャンセリング機能を、地下鉄構内でオンにしてみると、「WF-1000XM5」「WF-1000XM4」ともに車内に鳴り響く走行音や空調音といった不快な騒音をビシッと抑え込んでくれるのだが、聴き込んでいく中で特に違いが感じられたのが低域のノイズ。「ゴーッ」という電車の走行音が、「WF-1000XM4」では多少聴こえるのだが、「WF-1000XM5」ではほぼ聴こえないと言えるレベルまでしっかりと取り除いてくれた。ノイズキャンセリングのパフォーマンスが「WF-1000XM4」からさらに20%向上したということにも納得できる出来栄えだ。
続いて、いつもテレワークで使用している静かなカフェで使用してみたが、両機種ともキーボードのタイピング音などの環境ノイズをしっかりと打ち消してくれた。どちらも申し分のないほどの静寂をもたらしてくれるのだが、ある程度、静かな環境だからこそ感じられた違いが、ノイズキャンセリングの“自然さ”である。どちらもホワイトノイズなどが聴こえることはないのだが、処理性能が上がったおかげか「WF-1000XM5」のほうが圧迫感が少なく、長時間着けていても耳が疲れにくく感じられるのだ。このほか、「WF-1000XM4」で気になっていた風切り音が低減されているなど、「WF-1000XM5」のノイズキャンセリングはより日常的に使いやすい機能へと進化していると感じた。
「WF-1000XM4」と「WF-1000XM5」のノイズキャンセリングの性能を、電車の中やカフェ、街中などで比較してみたが、特に低音域のノイズに対する効果は「WF-1000XM5」のほうが一段上に感じられた
音質新開発の「ダイナミックドライバーX」が音質をさらなる高みへと引き上げる
続いては、オーディオ機器にとって最も大切な音質を確認していこう。専用設計のφ6mmドライバーユニットを採用していた「WF-1000XM4」も音質においても高い評価を受けていたが、「WF-1000XM5」では、ドライバーユニットの口径サイズをφ8.4mmへとアップ。さらに、ドーム部とエッジ部に異なる素材を組み合わせることで、厚みのある低音域からスピード感あふれる高音域まで、ワイドレンジなサウンドを再現できるようになっているという。なお、「WF-1000XM5」に搭載されたこのドライバーユニットは、「ダイナミックドライバーX」と名付けられており、ソニー渾身の1台となっている。
また、ノイズキャンセリングで使用されているデュアルプロセッサーを音声信号の処理にも利用しており、「統合プロセッサー V2」で24bit信号処理を、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」でD/A変換を行うことで、歪みの少ない高品位なサウンドを再生できるという。
「ダイナミックドライバーX」
「WF-1000XM5」には、独自開発のφ8.4mm「ダイナミックドライバーX」を新搭載。ドーム部には軽量で剛性の高い素材を、エッジ部にはやわらかい素材を採用し、それぞれを組み合わせることで、深みのある低音域から、キレのある高音域までワイドレンジに再生できるという

デュアルプロセッサーは音声信号の処理にも活用されており、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」に搭載された高性能DACがD/A変換を担当し、「統合プロセッサー V2」が24bit処理を行うことで、より高精度な音源再生が行えるようになっている
「WF-1000XM5」のサウンドクオリティをチェック
新しい「ダイナミックドライバーX」を搭載した「WF-1000XM5」だが、「WF-1000XM4」と比べて音質はどのように変化しているのか。今回、LDACに対応しているソニーのスマートフォン「Xperia 1 IV」と接続し、ハイレゾ音源を聴き比べてみた。
「WF-1000XM4」は、音色がナチュラルなうえ帯域のバランスがよく、どのような音楽にも適しているのが美点であった。もちろん、「WF-1000XM5」もその傾向を受け継いでおり、非常にバランスがよいサウンドを奏でてくれるのだが、一聴してわかるのが低域の厚みだ。ドライバーの口径がφ6mmからφ8.4mmにアップしたおかげか、バスドラムやベースがより深く沈み込み、音楽全体を分厚く下支えしてくれる。加えて、低音域から高音域まで解像感が大きく改善されており、楽器の1音1音やボーカルの細かなニュアンスまでハッキリと聴き取れるし、より透明感のあるサウンドとなっていた。さらに、頭の中に広がるステージが、「WF-1000XM4」よりも「WF-1000XM5」のほうがひと回り以上広くなっていると感じるが、これは音楽を聴くときだけでなく、動画を見る際にも効果的なので、うれしい改善点だ。
また、AI技術を用いてリアルタイムで音楽を解析し、圧縮音源をハイレゾ相当(最大96kHz/24bit)にアップスケーリングしてくれる独自技術「DSEE Extreme」を採用しているおかげか、圧縮音源でも大きく情報量が落ちる印象は受けなかった。昨今、多くの人が音楽ストリーミングサービスで音楽リスニングを楽しんでいると思うが、「DSEE Extreme」を搭載した「WF-1000XM5」なら、このような利用シーンにも適している。
ボディ最高クラスのスペックを搭載しながら、装着感にすぐれる小型ボディを実現
長年愛用してきた筆者が、もし「WF-1000XM4」の欠点を聞かれたら「イヤホン本体の大きさ」と答えるだろう。特に最近の完全ワイヤレスイヤホンは、他社も含めてコンパクト化が進んでいるため、相対的にも「WF-1000XM4」のサイズは少々大きく感じていた。
そこはソニーも同じように思っていたよう。「WF-1000X5」では、最高クラスのスペックを実現しながら、ドライバーユニットを薄型にしたり、積層化されたSiPを採用したりすることで、「WF-1000XM4」と比べて大幅な小型・軽量化を実現。「WF-1000XM4」と比べると、重量で約20%、体積で約25%小さくなっているそうだが、実物を見るとカタログスペック以上に小型・軽量に感じられる。しかも、これだけの小型・軽量化を実現しているのにも関わらず、音質やノイズキャンセリング性能がアップしているというのだから驚きだ。
また、この小型・軽量化は装着感にも大きく貢献しており、丸みを帯びたコンパクトなボディは耳介にピッタリとフィットするうえ、耳の中に重心がくるため、装着時の安定感も抜群によくなっている。本体の耳から飛び出す部分も少なくなったことで、メガネやマスクなどに引っ掛けて誤って落とすような心配も少なくなった。付属のイヤーピースもSSサイズが新たに追加され、サイズバリエーションが増えたことで、より多くの人に快適なフィット感を提供できるようになり、イヤホン本体の小型・軽量化とあわせて「これまでのモデルは耳に入らなかったので購入を断念していた」、という人でも安心して購入できるはずだ。
継ぎ目の見えないシームレスなデザインの「WF-1000XM5」は、「光沢」と「マット」の2つの素材感をあわせ持っており、マット一辺倒だっただった「WF-1000XM4」に比べて軽やかな印象だ。また、カラーバリエーションは従来と同様、「プラチナシルバー」と「ブラック」の2色が用意されており、どのようなスタイルにも合わせやすい

「WF-1000XM4」(写真左)と「WF-1000XM5」(写真右)を並べてみると、「こんなに小さくなったの!?」と驚かずにはいられないはず。実際、重さは7.3gから5.9gへと約20%軽くなっており、手に持ってみるだけでもその差がすぐにわかる

音導管周りの厚みを薄くすることで、圧迫感を低減したソニー独自の「ノイズアイソレーションイヤーピース」(SS/S/M/Lサイズ)が付属。これまでになかったSSサイズが追加されており、耳の穴が小さい人でも安心して使用できる
「WF-1000XM4」(左写真)と「WF-1000XM5」(右写真)を耳に装着すると、大きさの違いがさらによくわかる。「WF-1000XM5」はコンパクトで軽くなった分、耳にすっぽりと収まってくれるので、装着感も安定感も大きく増している。また、耳からイヤホン本体が大きく飛び出ることもないので、見た目も非常にスマートだ。光沢とマットの2つの素材を組み合わせることで、装着した際に立体的で軽やかに見えるのも好印象。ゴールドのSONYロゴとマイク部を覆うメタルプレートがアクセントになり、高級感もしっかりと感じられる
「WF-1000XM4」(上写真)と「WF-1000XM5」(下写真)を耳に装着すると、大きさの違いがさらによくわかる。「WF-1000XM5」はコンパクトで軽くなった分、耳にすっぽりと収まってくれるので、装着感も安定感も大きく増している。また、耳からイヤホン本体が大きく飛び出ることもないので、見た目も非常にスマートだ。光沢とマットの2つの素材を組み合わせることで、装着した際に立体的で軽やかに見えるのも好印象。ゴールドのSONYロゴとマイク部を覆うメタルプレートがアクセントになり、高級感もしっかりと感じられる
イヤホン本体だけでなく、専用ケースが小さくなったことも見逃せない。「WF-1000XM4」と比べると体積が約15%小さくなり、薄型化したことでズボンのポケットやカバンにも収まりやすく、持ち運びやすさが大きく向上している。しかも、イヤホン本体・専用ケースともにコンパクト化されたのにも関わらず、音楽再生時間は、ノイズキャンセリングをオンにした状態で最大約24時間(本体約8時間、専用ケース充電で約16時間)、ノイズキャンセリングをオフにした状態で最大36時間(本体約12時間、専用ケース充電で約24時間)と、「WF-1000XM4」と同等のバッテリー性能を実現。「WF-1000XM4」同様、専用ケースがワイヤレス充電に対応しているのもうれしいところだ。
機能性Web会議でも大活躍! ソニーの完全ワイヤレスイヤホン史上最高の通話品質**
最後は、「WF-1000XM5」の機能性についてチェックしていこう。まずは、ますます重要性の増している通話機能から。従来モデルの「WF-1000XM4」も、マイクとセンサーを的確に制御し、高度な音声信号処理を行う「高精度ボイスピックアップテクノロジー」が搭載されていたが、「WF-1000XM5」では、AI技術を活用して環境ノイズの低減性能をアップする最新世代の「高精度ボイスピックアップテクノロジー」が新たに搭載された。加えて、自分の声が耳に届くまでをセンシングする「骨伝導センサー」や、風切り音を押さえる凹凸のない風ノイズ低減構造を新たに採用。これらの組み合わせにより、「WF-1000XM5」は屋外での通話はもちろん、Web会議のヘッドセットとしても十分使える、ソニーの完全ワイヤレスイヤホン史上最高をうたう質の高い通話品質を実現している。

「WF-1000XM5」に搭載された「高精度ボイスピックアップテクノロジー」には、AIに5億を超えるサンプルを機械学習させて開発した最新のアルゴリズムが導入され、発話者の声と周囲の環境ノイズをしっかりと分離・処理することで、通話音声のみをクリアに相手に届けられるようになった

「WF-1000XM4」(写真左)では、通話/ノイズキャンセリング用のマイクを覆うパーツが外に飛び出た形状をしていたが、「WF-1000XM5」(写真右)では、凹凸のない構造を採用したことで風切り音をさらに低減できるようになった

AIテクノロジーや骨伝導センサーといったハードウェアの改良によって、ソニー史上最高の通話音質を備えた「WF-1000XM5」は、ノイズの多い環境であっても、声の細かなニュアンスまで伝えられる。今回、風の強い屋外や、Web会議などで使用してみたが、、「いつも以上に声が聴き取りやすい」と通話相手からも評判だった
また、2台のデバイスと同時にBluetooth接続できる「マルチポイント接続」にも注目したい。「WF-1000XM4」では発売後のソフトウェアアップデートでの対応となっていたが、「WF-1000X5」では発売タイミングから対応を果たしている。たとえば、テレワーク中にパソコンとスマートフォンの2台をBluetooth接続しておけば、パソコンでのWeb会議中にスマートフォンに着信があっても、わざわざ接続を切り替えなくてもシームレスに通話へと移行できる。テレワーク用途に限らず、スマートフォンとタブレット端末、スマートフォンとポータブルオーディオプレーヤーといったように、機器の種類や搭載OSを問わず、さまざまな組み合わせで2台のデバイスを使い分けられるので、ぜひ積極的に活用していきたいところだ。

複数のデバイスを使い分けて仕事を行うテレワーカーが特に重宝する、「マルチポイント接続」に対応。「WF-1000XM5」が1台あれば、プライベートの音楽鑑賞はもちろん、仕事のWeb会議まで幅広くカバーできる
従来どおり、ハウジングのセンサーをタップすることで、さまざまな操作を行えるが、「WF-1000XM5」では、これまでは3タップまでだった操作が4タップまで拡張。これにより、従来、イヤホン本体では行えなかった音量調整も可能となっている
まとめ高いハードルを軽く飛び越えた、完全ワイヤレスイヤホンの決定版
「WF-1000XM4」が発売されからすでに2年半以上が経過しており、完全ワイヤレスイヤホンはさらに一般化したうえ、さまざまなメーカーから多彩なモデルが登場し、切磋琢磨したことで、その性能は飛躍的に高まってきている。しかし、「WF-1000XM4」はいまだに価格.com「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーの人気売れ筋ランキングで10位(2024年2月19日時点)にランクインし、多くのユーザーから支持されている。それはひとえに、すぐれたノイズキャンセリング性能に加え、ソニーならではの高音質や、使い勝手のいい機能を実現し、高い完成度を誇っているからだ、と筆者は考えている。
それだけに、その後継モデルとして発売された「WF-1000XM5」は、ちょっとしたマイナーチェンジモデルになるのでは、と想像していた。しかし、そんな筆者の予想を大きく覆し、ノイズキャンセリング性能はデュアルプロセッサー構成にすることで20%向上、サウンドクオリティも異素材を組み合わせた振動板を使った「ダイナミックドライバーX」によって大幅アップ、通話品質もソニーの完全ワイヤレスイヤホン史上最高を更新してきた。しかも、これだけあらゆる面で進化しているにも関わらず、「WF-1000XM4」よりもコンパクトなボディを実現しているのだから、もはや脱帽するしかない。さらに完成度が高まった「WF-1000XM5」は、完全ワイヤレスイヤホンの決定版として、新しいベンチマークを打ち立てたのではないだろうか。