「6色ハイブリッドインク」で思い出の写真も文書も美しく 使い勝手が進化した高画質プリンター キヤノン「PIXUS TS8730」徹底検証
家庭用インクジェットプリンターとして人気のキヤノン「PIXUS」シリーズ。そのなかでも2023年10月に発売された「PIXUS TS8730」は、「6色ハイブリッドインク」を搭載し、写真も文書もキレイに印刷できるうえ、操作画面をカスタマイズできる「Switch UI」を新搭載し、使い勝手が向上しているのが注目のポイントだ。ここでは、本機の実力をいち早く検証した。
プリント性能「6色ハイブリッドインク」で写真も文書も
美しくプリント
手軽に使えるシンプルなエントリーモデルから、作品作りにも活用できるA3対応モデルまで、幅広いラインアップを揃え、価格.com上でも人気のキヤノンの家庭用インクジェットプリンター「PIXUS」シリーズ。そんな「PIXUS」シリーズのなかでも、印刷品質にこだわり、使い勝手にもすぐれたモデルが2023年10月発売の「PIXUS TS8730」だ。
染料と顔料を組み合わせた「6色ハイブリッドインク」によって、写真や文書をキレイに印刷できる「PIXUS TS8730」。シーンに合わせて操作画面をカスタマイズできる「Switch UI」を新搭載し、使い勝手にも磨きがかかっている
「PIXUS TS8730」の最大のトピックは、写真や文書を美しく印刷できることにある。そして、これを実現しているのが、染料系のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、グレー(GY)、ブラック(BK)と、顔料系のブラック(PGBK)で構成された「6色ハイブリッドインク」だ。
このインクシステムは、写真印刷時には染料系のインクを、文書印刷時には顔料系のブラックインクを、と自動で使い分けることで、コンテンツの特性に合ったキレイな印刷を行うというもの。さらに、写真印刷においては、中間色である染料系のグレーインクを使用することで、色転びの少ない、繊細な階調表現ができるメリットもある。
写真に強い染料系インクと文字に強い顔料系ブラックインクで構成された「6色ハイブリッドインク」。微細なインク滴を安定して吐出する高密度プリントヘッド技術「FINE」と組み合わさることで、高精細で鮮明な印刷が可能だ
印刷品質をチェック
写真
「光沢プロ プラチナグレード」の写真用紙にペットや風景写真などを印刷してみた。ペットの写真は細かな毛までしっかりと再現されるうえ、風景写真の青空はグラデーションがなめらかで粒状感もない。これほどの美しさなら、大切な1枚は印刷して手元に残しておきたくなるはずだ
文書
仕事の資料をA4普通紙に印刷してみた。カラーの図表は色鮮やかで、黒文字は細かな部分までシャープ。商談のプレゼン資料として十分に活用できるクオリティだ。顔料インクは耐水性にすぐれているため、文字の上から蛍光マーカーを引いてもにじみにくいというメリットもある
すぐれた印刷品質を実現しながら、印刷が高速なのも「PIXUS TS8730」の大きな特徴。L判・フチなしカラーの印刷速度は約10秒/枚とスピーディーで、印刷枚数が多くてもストレスを感じさせない。そのうえ、L判・フチなしカラーの印刷コストは約22.9円(税込)/枚。主要コンビニの写真プリントと比べても割安だ。自宅での写真印刷は「手間もコストもかかる」と敬遠してきた人も、本機なら気にする必要はなさそうだ。
スマホ連携接続も簡単。スマートフォン連携機能が便利
日々の生活の中で今、最も身近な端末であるスマートフォン。写真を撮るのも、仕事の書類を確認するのも、家計簿を付けるのもスマートフォンという人は多いはずなので、「PIXUS TS8730」のスマートフォンからの使いやすさもチェックしてみた。
特に「面倒だ」と感じる人が多いのがスマートフォンとプリンターの接続だが、本機は「QRコードダイレクト接続」に対応しており、プリンターの液晶モニターに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るだけで互いを直接接続できる。
また、iPhone/iPadに限定されるが、「PIXUS TS8730」ではプリンターを簡単に家庭内ネットワークに接続できるようになったのもトピック。iPhone/iPadをお使いなら、端末内の情報を活用し、簡単にプリンターを無線LANルーターに接続できる。ユーザーに難しさを感じさせない、気の利いた機能が揃っている。
iPhone内の設定済みWi-Fi情報を使用し、プリンターを家庭の無線LANに簡単に接続できる、新搭載の「Wi-Fiセットアップ」。最初のネットワーク設定がラクなので、iPhoneユーザーであればぜひ活用したい
スマートフォンと「PIXUS TS8730」の接続が完了すれば、あとは専用のスマートフォンアプリ「Canon PRINT」などを使って印刷を楽しむだけ。はがきを印刷するなら「PIXUSはがきクリエイター」、オリジナルのカレンダーやポスター、作品作りにトライするなら「Easy-PhotoPrint Editor」など、無料で使えるさまざまなアプリが用意されているのもうれしいところだ。
スマートフォン内の写真や資料などを印刷する際に重宝するのが、ユーザーインターフェイスが刷新された「Canon PRINT」だ。パソコン用アプリやプリンター本体の液晶パネル表示と統一された、見やすくわかりやすい新アイコンを採用し、スマートフォン/パソコンを問わず、スムーズに使える
多彩な機能新搭載の「Switch UI」で、
操作画面を使いやすくカスタマイズ
「PIXUS TS8730」は、細かな部分まで使い勝手がよい。なかでも注目したいのが、昨年「PIXUS XK110」に採用され、好評を博した「Switch UI」が本機でも利用できるようになった点だ。「Switch UI」とは4.3型タッチパネル液晶モニターの操作画面を用途に合わせてカスタマイズし、切り替えられる機能。これにより、利用シーンに合わせて必要なメニューにすぐにアクセスできるようになる。
本体前面の4.3型タッチパネル液晶モニター。アイコンや文字が大きく見やすいうえ、スマートフォンのようにタッチ操作が行えるので操作がしやすい。また、モニターが付いた操作パネルは、0〜90度の間で見やすい位置に角度を調節できる
Switch UI
ホーム画面上部のタブをタッチすることで、カスタマイズした画面に切り替えられる。なお、画面を切り替えても、いつでも「設定」などのグローバルメニュー(画像右の青枠)にアクセスできるのは、「PIXUS XK110」から加えられた改良点のひとつだ
「かんたんモード」
「Switch UI」に加え、従来からの「かんたんモード」も搭載。本モードではアクセスできる機能が絞り込まれ、各機能の使い方をイラスト付きでわかりやすく説明してくれる。プリンターを初めて使う人でも安心だ
「PIXUS TS8730」は、前面の給紙カセットに加え、背面の後トレイからも給紙できる「2way給紙」を採用。後トレイは厚紙に対応しているうえ、ストレートに紙を搬送するので、はがきや封筒、名刺などの印刷に適している
まとめ写真をどんどん印刷したくなる、使い勝手のいい高画質プリンター
ここまで「PIXUS TS8730」を検証してきたが、「6色ハイブリッドインク」とキヤノン独自の高密度プリントヘッド技術「FINE」によって、写真や文書を美しく印刷してくれるうえ、写真印刷の速度はL判・フチなしカラーで約10秒/枚と速く、印刷コストは約22.9円(税込)/枚とリーズナブル。思っている以上に気軽に写真印刷できるモデルに仕上がっていた。
しかも、スマートフォンから手軽に印刷できるうえ、「Switch UI」で画面をカスタマイズできるので、操作がしやすいのもありがたいところ。近ごろ、撮影した写真はスマートフォンやパソコンのディスプレイで見るだけになっていたが、今回のレビューで思い出の写真を何枚も印刷してみて、紙に出力する楽しさを再確認した。プリンター選びに迷ったら、印刷品質と使い勝手にすぐれた本機をチョイスすれば間違いないだろう。