中級フルサイズはこれで決まり!欲しい機能が詰まった決定版 ニコン「Z5II」徹底検証

長く愛用できる高性能な一眼カメラを“安く”手に入れたい。「Z5II」は、そんな声に応えるモデルとしてニコンがリリースした中級者向けのフルサイズミラーレスカメラ。フラッグシップモデル「Z9」譲りのAFシステムや、最高約30コマ/秒の超高速連写、高感度に強い画質、扱いやすい操作性など、中級機に求められる機能を余すことなく搭載した、コストパフォーマンスの高さが光るニューモデルだ。本特集では、そんな「Z5II」を徹底検証。写真家による作品・レビューを掲載しながら、このカメラだからこその魅力を掘り下げよう。 ※記事内の作例は一部試作機を使って撮影したものです

ニコン「Z5II」 性能「Z9」譲りの高性能AFを搭載!
本格的な動体撮影が可能

ニコン「Z5II」

ニコンの新しいフラッグシップミラーレスカメラとして「Zシリーズ」のラインアップに加わった「Z5II」。小型・軽量ボディに最新端技術を詰め込んだ、ハイスペックな中級機だ

「Z5II」の特徴としてまず押さえておきたいのが、基本性能の高さだ。充実したスペックで一眼カメラの新時代を切り拓いた、「Zシリーズ」のフラッグシップモデル「Z9」と同じ高性能な画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載することで、従来モデル「Z5」とは“別物”と呼べるハイスペックなカメラに進化を遂げている。フルサイズミラーレスカメラの中級機として「クラスを超える」と言っても過言ではないほどの、すぐれた性能を身にまとっているのだ。

ニコン「Z5II」

フラッグシップモデル「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載。この高性能エンジンによってAFや連写、画質などあらゆる点が飛躍的に進歩している

特に、「EXPEED 7」搭載で目を見張るような進化を遂げたのがAFである。AFの速度、精度、追尾性能のすべてが向上しており、AF合焦時間は「Z5」比で約1/3にまで短縮している。「Z5」と比べるとAFのレスポンスは明らかに速くなっており、「撮りたい!」と思ったときに瞬時にピントを合わせてシャッターを切ることが可能だ。さらに、「Z9」と同様、計9種類(人物/犬/猫/鳥/車/バイク/自転車/列車/飛行機)の多彩な被写体検出に対応。一眼カメラを使って撮影する被写体のなかでも人気の高い「鳥」「列車」「飛行機」を検出できるのがうれしい点だ。指定した被写体を高精度に追尾するニコン独自の「3D-トラッキング」も搭載しており、AFの基本的な機能性は「Z9」とまったく変わらない。

ニコン「Z5II」

被写体検出は、「人物」「動物(犬/猫/鳥)」「乗り物(車 /バイク/自転車/列車)」「飛行機」から設定できる。カメラが被写体を自動で選択してくれる「オート」も用意されている

「Z5II」の被写体検出機能は、「Z9」と同様、被写体が非常に小さい状態でも高精度にピントを合わせ続けられる能力を持っている。具体的には、画面長辺比約3%のきわめて小さい人物の顔であっても検出が可能。実際の動作は、以下に掲載する動画(野鳥を追尾撮影している画面を記録した動画)をチェックしてほしい。一眼レフカメラを長年使ってきた人はもちろんのこと、最新のミラーレスカメラで撮影した経験がある人でも、非常に高性能な被写体検出機能であることがわかるはず。実際に使い比べてみても、「Z5II」の被写体検出の精度は、「Z9」と遜色のないレベルだと感じたくらいだ。

動画で「Z5II」の被写体検出機能をチェック!

撮影:中野耕志さん
※音声は未収録です。

被写体検出を「鳥」、AFエリアモードを画面全域の「オートエリアAF」に設定し、カメラまかせのAFで野鳥を追尾撮影している様子を記録した動画。被写体が非常に小さい状態でも正確に検出し続けているうえ、素早く動いてもしっかり追尾していることがわかる。ファインダー・モニターのライブビュー映像でははっきりと認識できないくらいの小さな瞳でも検出しているのがすごい。被写体の手前に枝などの障害物があっても、AFが障害物に引っ張られていないのも精度の高さを感じさせる点だ。

これほどまでの性能の高さであれば、「狙った被写体のピント合わせに悩むことがなくなる」と言っても言い過ぎではないだろう。一眼レフカメラのAFと比べると、画面全域で被写体を高速かつ高精度に検出・追尾できるのが大きな違いだ。ピント合わせはカメラが正確に行ってくれるので、撮影者は画面のフレーミングとシャッターを切るタイミングだけに集中できるのがメリットである。

動画コメント:価格.com編集部

鳥や列車など、素早く動く被写体の一瞬の動きや表情をより確実にとらえるには、AFに加えて連写性能も重要だ。その点も「Z5II」は抜かりがない。「EXPEED 7」搭載によって、メカシャッターでの高速連続撮影(拡張)時に最高約14コマ/秒、電子シャッターでのJPEG連写機能「ハイスピードフレームキャプチャー+」時に最高約30コマ/秒という超高速連写を実現しているのだ。

この連写速度は、一眼レフカメラのハイエンド機と比較して圧倒的というだけでなく、フルサイズミラーレスカメラの中級機のなかでもクラス最高。しかも、高速連続撮影(拡張)でも「ハイスピードフレームキャプチャー+」でも、すべての連写設定で被写体検出機能の利用が可能だ。小さな被写体を狙う場合に便利な「ピンポイントAF」から、画面全域でAFが動作する「オートエリアAF」までAFエリアモードも制限なく使用できる。このあたりの充実した機能性は、使い勝手にこだわるニコンだからこそのこだわりと言える部分だ。

さらに、電子シャッターでの超高速連写を活用した機能として注目してほしいのが、「プリキャプチャー」である。「Z5II」の「プリキャプチャー」は、「Z9」と同じく、シャッターボタンを全押してから最大1秒前までさかのぼって記録することが可能。この機能が特に威力を発揮するのは、「鳥の飛翔」など予測できない動きをする被写体の撮影だ。「プリキャプチャー」を使えば、野鳥が飛び上がった様子を確認してからシャッターボタンを全押ししても飛翔の瞬間を記録できるのだ。決定的な瞬間の撮り逃しを防げる便利機能なので、「Z5II」を購入・使用するのならぜひ活用してほしい。

ニコン「Z5II」 ニコン「Z5II」

「プリキャプチャー」の設定画面。さかのぼって記録できる時間は「最大1秒」で、レリーズ後の記録時間も設定できる

野鳥写真家・中野耕志さんが「Z5II」で撮影した作品
ニコン「Z5II」

Z5II、NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S、840mm、F5.6、1/500秒、ISOオート(ISO1000)、ピクチャーコントロール:風景、ホワイトバランス:晴天、アクティブD-ライティング:オート 撮影写真(6048×4032)

低山でミヤマホオジロの群れに出会った。群れは採餌をしながら少しずつ移動していたので、少し先回りして静かに待っていると1羽がすぐ近くの枝に止まった。脅かさないようにゆっくりと、1.4倍テレコンバーター内蔵の超望遠レンズ「NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S」を向け、シャッターボタンを半押ししてAFをオン。極端に被写界深度が浅い超望遠域での近接撮影は、わずか数ミリのピンボケが失敗作になる。「Z9」や「Z8」で培ってきた被写体検出機能(鳥)を搭載した「Z5II」は、ミヤマホオジロの瞳を正確に検出し合焦してくれた(中野耕志)。

ニコン「Z5II」

Z5II、NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 、290mm、F8、1/2000秒、ISOオート(ISO180)、ピクチャーコントロール:風景、ホワイトバランス:晴天、アクティブD-ライティング:オート 撮影写真(6048×4032)

朝日をバックに飛び立つオオハクチョウのペア。画面内に太陽などの強烈な光源を入れると、古いデジタル一眼レフなど世代が古いカメラでは肝心なシャッターチャンスでAFが抜けてしまうリスクがあったものだが、「Z5II」はそんな心配もなくオオハクチョウの動きに合わせた自由度の高いフレーミングを追求することができた。EVFの表示レイアウトや全体的な操作性はフラッグシップ機である「Z9」や「Z8」と共通部分が多く、「Z5II」はメイン機としてはもちろん、上位機種のサブ機としてもオススメできる1台だ(中野耕志)。

ニコン「Z5II」 画質自分らしい表現で
「NIKKOR Zレンズ」の描写を堪能できる!

ニコンのミラーレスカメラ「Zシリーズ」の魅力として外せないのは、一眼レフカメラ用を凌駕する高い光学性能を持つ「NIKKOR Zレンズ」を使って、非常に高画質な撮影を楽しめること。その写りのよさは「NIKKOR Zレンズに外れなし!」と言われるほどで、画質に徹底的にこだわるプロフォトグラファーからも高く評価されている。

事実、「NIKKOR Zレンズ」は、高性能ラインの「S-Line」だけでなく、コンパクトなズームレンズでも画面の隅々までクリアで精細な描写が得られるようになっている。レンズのグレードによらず高い光学性能を実現できるのは、「Zシリーズ」が、内径55mm/フランジバック16mmの「Zマウント」を採用したことが大きい。フルサイズミラーレスの規格としては最も大口径かつショートフランジバック設計のマウントによって、レンズの光学設計の自由度が大幅に向上しているのだ。ニコンが持つすぐれた光学設計技術を存分に生かせるので、一眼レフカメラ用を大きく超える性能を持つレンズを次々と開発できるのである。

ニコン「Z5II」

内径55mm/フランジバック16mmの「Zマウント」。この大口径・ショートフランジバック設計のマウントによって、「NIKKOR Zレンズ」はどれも高い光学性能を実現している

「Z5II」は、そんな「NIKKOR Zレンズ」の光学性能を引き出せる画質力をしっかりと身に付けている。裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサー(有効画素数2450万画素)と、「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を組み合わせることで常用最高感度ISO64000(静止画撮影時)の高感度性能を実現。低感度だけでなく高感度でもノイズの少ない高精細な写真を撮影できる。特に注目してほしいのは、ISO6400からISO12800あたりの、使用頻度の高い高感度領域。この領域において、従来モデル「Z5」よりもノイズを抑えつつディテール再現性の向上を実現している。

ニコン「Z5II」

有効画素数2450万画素の裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを採用。「Zf」と同等スペックの高画質な撮像素子だ

鉄道写真家・助川康史さんが「Z5II」で撮影した作品
ニコン「Z5II」

Z5II、NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 、460mm、F9、1/4000秒、ISO1600、ピクチャーコントロール:ニュートラル、ホワイトバランス:晴天、アクティブD-ライティング:標準 撮影写真(6048×4032)

「Z5II」の魅力は、何と言っても、「Z9」譲りの高いAF性能を搭載しつつ、すぐれた高感度特性と高い解像感を発揮する画質性能をあわせ持つことだ。特に、鉄道写真の“基本中の基本”である編成写真を美しく撮影するには、AF性能と画質の両方で高いレベルが要求される。なかでも特に重要なのがAF。そこで威力を発揮するのが「Z5II」の高精度な被写体検出機能(乗り物)だ。この作例は、高速で走る東北新幹線(E8系つばさ+E5系やまびこ)を撮影したもの。「AFエリアモード」に「3D-トラッキング」を選択して追尾しているが、画面の隅から「列車」と認識し、しっかりと追い続ける安心感は絶大! もちろん連写したカットのすべてがジャストピントだった(助川康史)。

ニコン「Z5II」

Z5II、NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR (Z TELECONVERTER TC-1.4x使用)、690mm、F9、1/800秒、ISO800、ピクチャーコントロール:ニュートラル、ホワイトバランス:晴天、アクティブD-ライティング:弱め 撮影写真(6048×4032)

E259系成田エクスプレスの顔アップイメージ写真を撮影した作例。こうした顔アップのシーンは、超望遠ならではの浅い被写界深度になるために、正確な置きピンの位置がつかみづらい。しかし、そんな難しい状況でも、「Z5II」は、高性能AFと高速連写を実現しており、簡単に狙いどおりの写真を撮ることができる。撮影者はカメラのAFと連写に任せてフレーミングに気を配るだけ。撮影後に最良のバランスとタイミングの作品を選べばよいのだ。「Z5II」は、撮影者の思い描くシーンを手軽に、そして確実に表現するポテンシャルを秘めていると言えよう(助川康史)。

動画で撮影時のAF動作をチェック!

撮影:助川康史さん
※シャッター音が収録されています。

「Z5II」の撮影機能では、「ピクチャーコントロール」の色調整情報や撮影情報をパッケージにした画づくり設定「イメージングレシピ」に対応しているのも大きな特徴だ。「イメージングレシピ」の最大の魅力は、著名なクリエイターが作成したレシピやニコンのおすすめレシピが無料で公開されていること。公開レシピは、スマートフォンやPCのWebブラウザー上からアクセスできるクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」経由でカメラに直接送信・保存できるようになっている。プロが作品づくりで使っている設定をカメラに取り込んで手軽に利用できるのは非常に有意義。自分好みのレシピを見つける楽しさがあるとともに、表現の幅を広げるのにも役立つ。

ニコン「Z5II」ニコン「Z5II」ニコン「Z5II」

「イメージングレシピ」はスマートフォンやPCからアクセスできるクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」上で無料公開されていて、自由に閲覧・登録できる。なお、カメラで撮影した画像や、フォトストレージサービス「NIKON IMAGE SPACE」上の画像を使って自分でレシピを作成することも可能だ

ニコン「Z5II」

「イメージングレシピ」は、「クラウドピクチャーコントロール」としてカメラに最大9個まで保存できる

さらに、「Z5II」は、ニコンが用意する無料ソフト「NX Studio」の高度な色づくり機能「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」にも対応する。「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」は、色相ごとの色調整や明暗別の色調整など、非常に細かいカラーグレーディングが可能なのが特徴。作成したカラー設定は、メモリーカード経由や「Nikon Imaging Cloud」経由でカメラに取り込める。色表現を徹底的に追求したい場合に活用したい機能だ。

ニコン「Z5II」

「NX Studio」の「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」では、色相ごとの色調整と明暗別の色調整に対応。細かいカラーグレーディングによって色表現を追い込める

「イメージングレシピ」や「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」を使っての画づくり/色づくりが便利なのは、設定が反映されたライブビュー映像を見ながら、“撮って出し”で理想的な表現の写真が撮れること。撮影後の編集で仕上がりを追い込むのもよいが、撮影時にすべて完結するのなら、余計なことを考えずにフレーミングに集中できる。撮影のリズムがよくなるので、使えば使うほどにシャッターを切るのが楽しくなっていくのだ。

このほか、「Z5II」は、人物撮影関連の撮影機能が充実しているのも見逃せない。白とびを抑えながら豊かな階調で人物の肌を表現する、「ピクチャーコントロール」の「リッチトーンポートレート」のほか、目や髪のシャープさを保ったまま肌のトーンを滑らかに補正する「美肌効果」、人物の色相(マゼンタ、イエロー)と明るさを補正できる「人物印象調整」を搭載。これらの機能を活用することで、理想的な仕上がりの人物写真を撮ることが可能だ。

ニコン「Z5II」

「ピクチャーコントロール」の「リッチトーンポートレート」など、人物撮影用の機能をふんだんに搭載している

「Z5II」と一眼レフカメラ「D750」の高感度画質を比較(ISO6400)
ニコン「Z5II」

24mm、F2.8、1/80秒、ISO6400、ピクチャーコントロール:スタンダード、ホワイトバランス:オート1(「Z5II」は「雰囲気を残す」、「D750」は「標準」)、アクティブD-ライティング:標準 ※赤枠が中央部の切り出し部分、緑枠が周辺部の切り出し部分です

中央部の切り出し
周辺部の切り出し

夜景を被写体に、「Z5II」と一眼レフカメラ「D750」の高感度画質を比較してみた。「Z5II」には「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」を、「D750」には「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」を装着し、広角端の焦点距離24mm/絞り値F2.8で撮影している。

「D750」は一眼レフカメラのなかでは高感度に強いモデルではあるものの、見比べると、「Z5II」のほうが全体的にノイズが少ないというだけでなく、建物の窓や橋の手すりなどのディテールの再現性も高いことがわかる。さらに、いずれも開放F2.8通しの大口径・標準ズームレンズの絞り開放で撮っているが、「Z5II」は、周辺までクリアで精鋭な写りが得られているのも特筆すべき点。「D750」は水面に反射する光がにじんでいるうえ、コマ収差も目立つが、「Z5II」は、絞り開放とは思えないくらい周辺まで高画質だ。このあたりの差はレンズの光学性能によるもの。「NIKKOR Zレンズ」の性能の高さを感じる部分である。

ニコン「Z5II」 ボディ“撮るよろこび”を感じる秀逸な操作性!
堅牢性も高い

一眼カメラを長く愛用するうえで大事なのが、カメラとしての使い勝手だ。製品を選ぶ際は、AFや画質といった性能面だけでなく、ファインダーやボタン・ダイヤルの操作性、シャッターボタンを押したときのフィーリング、ボディの作りなどもしっかりチェックしておこう。

その点、ニコンのミラーレスカメラは安心して選ぶことができる。ニコンはフィルムカメラ時代から長年にわたって、使い勝手を追求した高品位な一眼カメラを開発してきており、その伝統は、「Z5II」を含めてミラーレスカメラにもしっかりと継承されている。

「Z5II」の操作性では、「Zシリーズ」の魅力のひとつである、光学系にこだわった電子ビューファインダーを採用するのが見逃せない。倍率約0.80倍の大きなファインダー像で撮影できるだけでなく、光学ファインダーに匹敵する自然でクリアな見え方を実現している。約369万ドットと精細感が十分なので、細かい被写体も確認しやすい。加えて、「Z9」や上位モデル「Z8」と同じ3000カンデラの高輝度パネルを採用しており、ビーチや雪山など屋外の明るい環境下でも画面の隅々までしっかりと被写体を確認できるのも高ポイント。「Z9」や「Z8」と比べてもファインダーの見え方に大きな差はなく、「撮るよろこびを存分に味わえる本格的なファインダー」に仕上がっていると感じた。中級機としては、これ以上ないと言ってもいいくらいの高品質なファインダーと言えよう。

ニコン「Z5II」

「Zシリーズ」らしい、光学系にこだわった電子ビューファインダー。倍率約0.80倍の大きくてクリアな見え方を実現している。3000カンデラの高輝度パネルによって周囲が極端に明るい状況下でも構図をしっかりと確認できる

さらに、握りやすい形状のグリップを採用するのも、ニコンの一眼カメラらしい点だ。今回、人気の超望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」を「Z5II」に装着して使ってみたが、しっかりとカメラをホールドしながら安定した構えで撮影を続けられた。少し細くて深いグリップ形状なうえ、グリップとマウントの間のクリアランスがしっかりと確保されているため、大きなレンズを装着しても窮屈な感じがなく、余裕を持ってホールドできるのが撮影に心地よさをもたらしてくれた。ボディの重量バランスがよいこともあって、大きなレンズを装着して撮影を続けても、手や腕への負担が少ないと感じたことも付け加えておきたい。

ニコン「Z5II」

上位モデル譲りの、握りやすい形状のグリップを採用。超望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」など大きなレンズを装着した場合でも、カメラをしっかりとホールドしながら軽快にシャッターボタンを押せる

ボタン・ダイヤルのレイアウトでは、ボディ上面・背面の右側に操作系を集中的に配置しているのがポイント。露出補正、感度の変更、メニューの呼び出し、撮影画像の表示/拡大/縮小など、右手でほとんどの操作が完結できるように工夫されているのだ。背面に、親指の操作でフォーカスポイントをダイレクトに移動できるサブセレクターが備わっているのも中級機としてポイントが高い。また、上面に独立した「ピクチャーコントロールボタン」を搭載し、仕上がり設定を素早く変えられるのも特徴だ。

実際に使ってみて、カメラをホールドした状態で操作しやすい位置にボタン・ダイヤルを配置しているのが素晴らしいと感じた。自然な形で指を動かして操作できるので、ファインダーを覗きながらの設定変更がとてもスムーズ。ニコンの一眼カメラのユーザーはもとより、「初めてニコンを使う」という人でも「使いやすい!」と感じるのではないだろうか。

ニコン「Z5II」 ニコン「Z5II」

「Z5II」の操作性は、右手で操作しやすい位置にボタン・ダイヤルを集中的に配置しているのが特徴。上面のシャッターボタン近くには、感度ボタン、露出補正ボタン、動画撮影ボタンが並んでいる。「ピクチャーコントロールボタン」も上面に用意。背面には、サブセレクターやAF-ONボタンなど中級機らしい操作性が備わっている

「Z5II」は、ニコンの中級機らしくボディの信頼性も高い。前面カバー、背面カバー、上面カバーのすべてにマグネシウム合金を採用することで高い堅牢性を実現しているうえ、徹底したシーリングを実施することで防塵・防滴性能も確保。厳しいアウトドア環境でも安心して使用することができる。

ニコン「Z5II」

ボディ各所に効果的なシーリングを施すことで高い防塵・防滴性能を実現している

ニコン「Z5II」

別売りのパワーバッテリーパック「MB-N14」の装着に対応(※「MB-N11」の装着も可能)。「MB-N14」を装着すれば縦位置でも構えやすくなるうえ、バッテリー「EN-EL15c」を2個充填した場合、「Z5II」の電池寿命を約1.9倍に延長できる

「Z5II」は、静止画撮影だけでなく動画撮影もハイレベルだ。4K/60p記録や10bit N-logに対応しているほか、RAW動画(N-RAW)の内部記録も可能。ニコンの一眼カメラとしては、SDメモリーカードへのRAW記録は初の対応だ。さらに、単焦点レンズで気軽にズーム表現を楽しめる「ハイレゾズーム」などの便利機能も搭載。撮影後のPCでの編集時に利用できる、RED社監修のN-Log用LUTを無料で用意するのもニコンならではの部分である。本格的な映像制作に活用できる高い基本性能を持ちつつ、シネマライクな表現に気軽にチャレンジできるような機能性を確保しているのが高ポイントだ。

ニコン「Z5II」 ニコン「Z5II」

4K/60p記録に対応するなど本格的な映像制作に活用できるスペックを搭載。ニコンの一眼カメラとして初めて、SDメモリーカードへのRAW動画(N-RAW)記録にも対応している

「Z5II」なら夜景も手持ちで高画質に撮影できる!
ニコン「Z5II」

Z5II、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、F4、1/2秒、ISO100、ピクチャーコントロール:スタンダード、ホワイトバランス:オート1、アクティブD-ライティング:標準 撮影写真(6048×4032)

「Z5II」を実際に使ってみて、動体撮影性能とともに驚かされたのが、暗所での撮影性能の高さだ。夜景など暗いところでの撮影は、ピント合わせが難しいうえ、シャッタースピードを稼ぐ必要があるため高感度になりがちで、画質が劣化しやすい。手持ちできれいな写真を撮るには、暗いところでのAF性能と、遅いシャッタースピードでも手ブレを補正できる手ブレ補正機能が必要になる。

その点、「Z5II」はAF、手ブレ補正機能ともに高性能なので安心だ。暗所でのAF性能については、AFの低輝度限界が「-10EV」という、2025年4月3日時点でニコンの一眼カメラとして最高値を達成。この値は、肉眼では被写体をとらえられないくらいの真っ暗な状況でもAFでピント合わせが可能なことを意味する。実際、上記の夜景作例では、あえて輝度差がない部分でAFを動作させてみたが、日中の撮影と何ら変わらないスピードで素早くピントを合わせてくれた。

さらに、「Z5II」が搭載するボディ5軸手ブレ補正機能は、中央7.5段/周辺6.0段の高い補正効果を実現。フォーカスポイント付近の手ブレを抑えられる「フォーカスポイントVR」も備わっている。上記の作例は、焦点距離24mmで1/2秒という遅いシャッタースピードで撮っているが画像の周辺まで手ブレの影響は見られない。感度は常用の最低値であるISO100のままなので、圧倒的にノイズの少ない、きれいな夜景写真に仕上がっている。

ニコン「Z5II」 まとめクラス最高レベルの性能を実現した
“お買い得”な中級フルサイズ

「Z5II」は、フラッグシップモデル「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」に代表されるニコンの最先端技術を「これでもか!」というくらい詰め込んだ、充実した内容のフルサイズミラーレスカメラだ。「D750」などニコンの一眼レフカメラを愛用している人にとっては、「欲しい機能が詰まった決定版」と言える待望の中級機である。本特集で詳しくレビューしたように、その性能の高さは疑いようがない。ニコンの一眼カメラらしく、ボディの細かいところまでしっかりと作り込まれているのも魅力だ。

性能・機能の高さとともに注目してほしいのは価格で、AF、連写、画質、操作性、動画機能など、あらゆる点でフルサイズミラーレスカメラの中級機としてクラス最高レベルを実現しながらも、ボディ単体の市場想定価格は258,500円(税込)に抑えられえている。最新のフルサイズミラーレスカメラの中級機は30万円を超えるものがほとんどというなかで、この価格はかなりお買い得だ。

「Z5II」は、「D750」などの一眼レフカメラからの買い替えにぴったりというだけでなく、すでにフルサイズミラーレスカメラやAPS-Cミラーレスカメラを所有している人にとっても「買い替え・買い増しの魅力的な選択肢」と言えそうだ。「選んで間違いのない中級フルサイズ」としてぜひ購入を検討してほしい。「長く愛用できる一眼カメラ」になるはずだ。

なお、ニコンは、「Z5II」の発売を記念した「SDカードセットキャンペーン」を実施する。「Z5II」のボディ単体ならびにレンズキットに、容量128GBのSDメモリーカード(SanDisk Extreme Plus SDXC UHS-I)が無料で付属するという、お得な内容だ。数量限定のキャンペーンで、なくなり次第終了する。詳細は以下のキャペーン公式ページをチェックしてほしい。

欲しい機能が詰まった決定版ニコン「Z5II」
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ニコン「Z5II」
この記事は2025年4月3日の情報を基にしております。