人気のモバイルノートが次世代AI PCに進化! 「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」徹底レビュー
HPの個人向けブランド「OmniBook」シリーズに13.3型モバイルノートの新モデル「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」が追加された。軽量コンパクトなボディに最新CPU「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載することで、次世代の処理性能を実現した「Copilot+ PC」準拠のAI PCだ。コストパフォーマンスの高さも魅力で、「Copilot+ PC」の“本命”と言えるモデルである。本特集では、本機の「携帯性」「パフォーマンス」「AI機能」の3つの特徴に注目して詳しくレビューしよう。
携帯性軽快に持ち運べる約1kgの軽量ボディ。シーンを選ばない高品位デザインも魅力
「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」は、モバイルノートの定番モデルとして人気を集めた「HP Pavilion Aero 13-bg」の後継機種。13.3型サイズを継承しつつ、すぐれたAI処理能力を持つ「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載することで、次世代AI PCとしてさらに高いパフォーマンスを発揮する高性能モデルに進化している。
本機が従来機種から継承している魅力として押さえておきたいのが、携帯性の高さだ。モバイルノートはできる限り軽くて小さいことが求められるが、本機は重量約1kg(スタンダードモデル/パフォーマンスモデルは約970g)で厚さ16.5(最薄部)〜17.4(最厚部)mmの軽量コンパクトボディを実現している。片手で軽々と持てるサイズ感なので、軽快に持ち運べるだろう。
モバイルノートはさまざまな場所で使用することが想定されるため、本体の重さ・大きさは非常に重要だ。軽量コンパクトな「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」なら、自宅やオフィス、学校、カフェ、図書館など、場所を問わずに持ち出して使用できる
本機は、薄型のモバイルノートながら外部インターフェイスが充実しており、USB Type-C端子(10Gbps、Power Delivery、DisplayPort 2.1、電源オフUSBチャージ機能対応)を2基、USB Type-A端子(10Gbps)を1基、USB Type-A端子(5Gbps)を1基搭載。HDMI 2.1出力端子とヘッドフォン出力/マイク入力コンボポートもそれぞれ1基備わっている。ディスプレイへの映像出力を行いながら、外付けストレージを接続するなど、拡張性の高さを生かして多彩な使い方が可能だ。

右側面に、2基のUSB Type-C端子(10Gbps、Power Delivery、DisplayPort 2.1、電源オフUSBチャージ機能対応)とUSB Type-A端子(5Gbps)、HDMI 2.1出力端子が並ぶ。左側面には、USB Type-A端子(10Gbps)とヘッドフォン出力/マイク入力コンボポートが用意されている
デザイン面では、HPのノートパソコンらしく、シンプルかつモダンな雰囲気をまとっているのが特徴。「セラミックホワイト」と「グレイシャーシルバー」という、シーンを選ばないナチュラルな2色のカラーバリエーションが用意されているのも魅力だ。日常使いからビジネス用途まで幅広い使い方にマッチする、スタイリッシュなノートパソコンに仕上がっている。
ディテールに至るまでシンプルさにこだわったデザインを採用。つなぎ目が少なく、たわみに強いユニボディ構造によって、軽量ながら堅牢性にすぐれるのもポイントだ。キーボードは入力しやすいレイアウトの日本語配列を採用。バックライトもしっかりと装備している
パフォーマンス最大50TOPSの「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載。バッテリー性能も向上
「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」は、従来機種から基本性能が大幅に向上している。特にポイントとなるのはCPU。AI処理専用のNPU(Neural Processing Units)を備えた「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」のミドルクラスモデル「AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ」もしくは「AMD Ryzen™ 7 350 プロセッサ」の搭載によって、AI処理を中心にさらに高いパフォーマンスを発揮するPCに進化しているのだ。
「AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ」と「AMD Ryzen™ 7 350 プロセッサ」は、AMDが2025年1月に発表した最新CPU。リーズナブルな価格ながらNPUの性能にすぐれるのが大きな特徴で、NPU自体のAI処理能力においては上位CPUと同等となる最大50TOPS を誇る。さらに、搭載するGPUも前世代と比べて大幅な性能アップを果たしており、動画編集やゲームなどの負荷の高い作業もよりスムーズに処理できるようになっている。

4nmプロセスの「AMD "Zen 5" アーキテクチャ」を採用するCPU「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載。AI処理に特化したNPU「AMD Ryzen™ AI」に加えて、高性能なGPU「AMD Radeon™ グラフィックス」を統合しており、AIだけでなく、動画編集やゲームなどでも高い処理性能を発揮するCPUだ
モデル |
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OS | Windows 11 Home | |||
CPU | AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ (最大4.8GHz、6コア/12スレッド) |
AMD Ryzen™ 7 350 プロセッサ (最大5GHz、8コア/16スレッド) |
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NPU | AMD Ryzen™ AI/最大50TOPS | |||
GPU | AMD Radeon™ 840M グラフィックス |
AMD Radeon™ 860M グラフィックス |
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メモリー | 16GB(LPDDR5X-7500) | 32GB(LPDDR5X-7500) | ||
ストレージ | 512GB(PCIe Gen4 NVMe M.2) | 1TB(PCIe Gen4 NVMe M.2) |
「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」のラインアップは計3モデル(スタンダードモデル/パフォーマンスモデル/パフォーマンスプラスモデル)。スタンダードモデルは「AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ」を、パフォーマンスモデル/パフォーマンスプラスモデルは「AMD Ryzen™ 7 350 プロセッサ」を搭載し、いずれも、マイクロソフトが提唱する次世代AI PC規格「Copilot+ PC」に準拠している。
実際のパフォーマンスは、以下に掲載する、定番のベンチマークソフト「PCMark 10」の結果をご覧いただきたい。「AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ」搭載のスタンダードモデルを使って検証したが、総合スコアが6481を計測するなど、13.3型モバイルノートとしてかなり優秀な結果となった。
詳細なスコアは、ブラウジングやビデオ会議など基本的な作業の性能を図る項目「Essentials」が10908、文書/表計算などオフィス作業の性能を図る項目「Productivity」が10389、写真/動画編集などクリエイティブな作業の性能を図る項目「Digital Content Creation」が6520。推奨スコアは「Essentials」が4100以上、「Productivity」が4500以上、「Digital Content Creation」が3450以上なので、基本作業/オフィス作業は2倍以上、クリエイティブ作業は2倍近いスコアを叩き出している。この結果からは、情報収集や書類作成、ビデオ会議など一般的なPCに求められる用途を快適にこなせるだけでなく、写真や動画の編集、イラスト作成などクリエイティブな用途にも十分に対応できる能力を持っていることがわかる。
「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」の性能面では、搭載するCPUの性能向上や省電力化の徹底によって、バッテリー駆動時間が大幅に向上している点も押さえておきたい。カタログスペックは、従来機種の「最大11時間30分」から「最大15時間30分」へと延びている。ベンチマークソフト「PCMark 10」のバッテリー駆動時間プログラム「Modern Office」(ブラウジング、文書作成、ビデオ会議といったビジネスでの利用を想定したテスト)を使って検証してみたが、実際の動作時間はカタログスペックに近い「12時間40分」という結果になった。文書作成など事務作業が中心であれば、電源を接続できない環境でも少なくとも10時間近くはバッテリー切れを心配せずに使えるだろう。
作業効率化AI活用で生産性アップ。スマートなワークスタイルを実現できる
仕事でも学習でもAIをうまく活用することで生産性は大きく向上する。これは、すでにPCで生成AIを使いこなしている多くの人が実感していることだと思うが、なかには「まだAI活用のイメージがわかない」という人もいることだろう。そこで、ここでは、「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」が搭載するAI機能について掘り下げて紹介したい。
まず、AI機能を搭載するパソコンのトレンドとして押さえておきたいのが「オンデバイスでのAI処理」だ。特に、ビジネス用途では、情報漏洩やセキュリティ面を考慮して、サーバーを経由せずにローカル環境でAI機能を使用できることが強く求められている。
その点、「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」は、マイクロソフトが提唱する次世代AI PC規格「Copilot+ PC」に準拠しており、さまざまなAI機能をオンデバイスで高速に実行できる。セキュリティが重要なビジネス用途でも安心して選べるAI PCなのだ。
「Copilot+ PC」である本機で利用できるAI機能としては、まず、さまざまな要望に応えてくれるAIコンパニオン「Copilot」があげられる。「Copilotキー」を押すだけで起動し、チャット形式で質問や指示を投げることで、文章や画像を自動で生成してくれる。さらに、簡単なイラストからアートワークを作成する「コクリエイター」、会話内容を自動で文字に起こす「ライブ キャプション」、PCの操作や作業を過去にさかのぼって確認できる「リコール」、テキストや画像を右クリックすることでさまざまなAI処理を実行できる「Click to Do」といった機能も搭載。最新のAI機能は今後も追加されていく予定だ。また、マイクロソフトのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」に加入すれば、「Word」「Excel」「PowerPoint」といったアプリと「Copilot」を直接連携させながら利用できる。
さらに、本機は、HP独自のAIアシスタントツール「HP AI Companion」も搭載。このツールは、AIチャット、ドキュメントの分析・作成、PCのパフォーマンス管理といった機能をひとつの画面から無料で利用できるのが特徴だ。このほか、AIベースのカメラ拡張機能「Poly Camera Pro」や「Poly Studioデュアルスピーカー」なども備わっており、さまざまなところでAI制御による高機能化を実現している。
「HP AI Companion」では、AIチャットのライブラリ管理が可能。32GB以上のメモリーを搭載するモデル(パフォーマンスプラスモデル)であれば、オンデバイスモードとクラウドモードを切り替えて使用できる。PCのパフォーマンス管理が行えるのもユニークだ

「Poly Camera Pro」は非常に多機能。顔を追従してフレームアウトを防ぐ「オートフレーム」、キャプチャ画像からオリジナル背景を生成する「Magic Background」、細かく明るさを変えられる「スポットライト」といった各種補正機能を利用して快適なオンライン会議を行える
では、こうした多彩なAI機能を活用することで、どのくらい作業が効率化するのだろうか? 具体的な例として、パソコンメーカーをクライアントとした「ノートパソコン製品の広告記事タイアップの提案書作成」のフローを見ていこう。「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」のスタンダードモデルを使用して、実際に提案書作成の業務を行ってみた。
提案書作成のフローは、1.ヒアリング(クライアントとのオリエンテーション)、2.情報収集、3.提案内容の作成の大きく3つに分けられる。このフローおいて、今回、具体的に以下のAI機能を活用した。
活用したAI機能 | 具体的な作業 |
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ライブ キャプション | オンライン会議のオリエンテーションを自動で文字起こし |
Copilot | オリエンテーションの議事録の作成 |
Copilot | PC業界の最新情報の整理(トレンドと競合状況の調査) |
Copilot | 提案内容のアイデア出しと詳細構成の作成 |
Image Creator | アートワークの作成 |
まず、クライアントとのオリエンテーションにおいては、チャットツール「Microsoft Teams」に用意されているリアルタイム自動文字起こし機能「ライブ キャプション」を利用。その後、オリエンテーションの内容を「Copilot」に議事録として要約してもらった。AI機能を活用することで、効率化とともに会話の聞き逃しを防ぎ、ヒアリングの精度を上げることができた。
「ライブ キャプション」は「Microsoft Teams」の「その他」設定から呼び出せる。この機能を利用してオリエンテーションの内容をまとめたうえで、「Copilot」に議事録としてまとめてもらった
続けて、「Copilot」を使って、PC業界のトレンドと競合状況を整理し、先ほどの議事録を基に、提案の骨子となるアイデアを10個提案してもらった。提案内容のアイデア出しは生成AIが得意とするところで、こちらが思いつかなかったバラエティーに富んだアイデアを提示してくれた。さらに、アイデアのひとつを選択して、提案書のストーリーライン(企画背景から目的、提案内容、費用まで)も自動で作成してもらった。
この一連の工程は、担当者がゼロから行うには、ブラウザーを使って情報を検索・収集したうえで、わかりやすい文章で整理することが必要だが、AIを使えば「Copilot」にプロンプトを投げるだけで瞬時に終わる。体感的には、1日程度かかる工数が、アウトプットの確認を含めて30分もかからずに終わった印象だ。
PC業界のトレンドと競合状況の整理から、提案内容のアイデア出し、さらには提案書のストーリーラインまでを、すべて「Copilot」にプロンプトを投げて作成した。依頼者のプロフィールや依頼内容、目的、ルールなど、より細かく具体的なプロンプトを作成することで、精度の高いアウトプットが得られた
提案書に掲載するアートワークについてもAI機能を活用した。Windows 11標準の画像作成アプリ「ペイント」が搭載する「Image Creator」(キーワードからオリジナル画像を生成するAI機能)を使って、提案書の扉に掲載するビジュアル(男性がカフェでノートパソコンを使用しているイメージ画像)を作ってみた。こうしたビジュアルは、これまでであれば、別途購入した画像素材を使用したり、デザイナーに依頼して作成してもらったりする必要があって一定の工数がかかるところだが、AIを使えばキーワードを入力するだけで完結する。使い方にもよるが、場合によっては数日かかるものが5分程度で終わることもあるだろう。
「ペイント」の「Image Creator」は、キーワードを入力するだけで画像を生成してくれる機能。「水彩」「油絵」「アニメ」などのスタイルを選べる。右の画像は、挿し絵として掲載することを想定して生成したビジュアル。スタイルには「アニメ」を選択している
このように、AI機能を活用することによって、多くのことが1人で完結できるようになり、生産性は大幅に向上する。まさに「優秀なアシスタントがいろいろな作業をサポートしてくれる」というイメージだ。今回は、「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」が搭載する多くのAI機能の一端を利用したにすぎないが、それでもかなり効率的に作業が行えた。
また、AI機能は処理が重く、特に画像生成は時間がかかるものなのだが、本機は、最大50TOPSのNPUを持つ「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載しており、そうした高負荷なAI処理をストレスなくこなしてくれたことも付け加えておきたい。
まとめコストパフォーマンスの高さが光る
「Copilot+ PC」の“本命”モデル
ローカル環境でのAI活用は急激に広がりを見せている。今後はビジネス用途だけでなく、学習用途やクリエイティブ用途などでもAIを利用するシーンが増えていくのは間違いなく、「まだそれほどAIを使っていない」という場合でも、今ノートパソコンを購入するなら、将来性を考慮して「Copilot+ PC」対応モデルを選んでおきたいところだ。
今回紹介した「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」は、そんな「Copilot+ PC」の“本命”と言えるモバイルノート。重量約1kg(スタンダードモデル/パフォーマンスモデルは約970g)の軽量コンパクトボディに、AI処理に長けた「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」を搭載するのが何よりの特徴だ。軽快に持ち運べるハイパフォーマンスなAI PCなので、オフィスワークでも学校での利用でも、さまざまなシーンで活躍してくれることだろう。
コストパフォーマンスが高いのも魅力で、スタンダードモデルなら129,800円(税込)から購入できる(※2025年6月24日時点での価格.com最安価格)。AI処理性能の高さを考慮するとこの価格はかなりお買い得。持ち運ぶ「Copilot+ PC」の購入を検討しているのなら、選択肢に入れておきたい1台だ。
モデル |
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カラー バリエーション |
セラミックホワイト/グレイシャーシルバー | ||
OS | Windows 11 Home | ||
CPU | AMD Ryzen™ 5 340 プロセッサ (最大4.8GHz、6コア/12スレッド) |
AMD Ryzen™ 7 350 プロセッサ (最大5GHz、8コア/16スレッド) |
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NPU | AMD Ryzen™ AI/最大50TOPS | ||
GPU | AMD Radeon™ 840M グラフィックス | AMD Radeon™ 860M グラフィックス | |
メモリー | 16GB(LPDDR5X-7500) | 32GB(LPDDR5X-7500) | |
ストレージ | 512GB(PCIe Gen4 NVMe M.2) | 1TB(PCIe Gen4 NVMe M.2) | |
ディスプレイ | 13.3型ワイドWUXGA(1920×1200)、非光沢・IPSディスプレイ | ||
外部インター フェイス |
USB Type-C端子(10Gbps、Power Delivery、DisplayPort 2.1、 電源オフUSBチャージ機能対応)×2、USB Type-A端子(10Gbps)×1、USB Type-A端子(5Gbps)×1、 HDMI 2.1出力端子×1、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート×1 |
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Webカメラ | 5MP IRカメラ(約500万画素) | ||
無線機能 | IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6E)、Bluetooth 5.3 | ||
バッテリー 駆動時間 |
最大15時間30分 | ||
サイズ | 約297(幅)×211(奥行)×16.5(最薄部)〜17.4(最厚部)mm | ||
重量 | 約970g | 約1.0kg |