気が置けないパートナーブリヂストン TB1e TB7B41
クロスバイクのスタイルを取り入れたブリヂストンの電動アシスト自転車TB1eシリーズ。今回借りられたのは、部材不足により旧モデル「TB1e TB7B41 + 専用充電器」で、メーカーいわく航続距離とグリップ以外は新モデルと同じとのこと。新モデルを思いながら試すその乗り心地やいかに。
いいとこ取りの扱いやすさ
現在、電動アシスト自転車には緩やかな区分があります。いわゆる「電動アシスト自転車」と呼ばれるのは、主にママチャリや小径車がベースの日常使いのモデル。それに対して、スポーツ用途に特化した新ジャンルの電動アシスト自転車は、特に｢スポーツ・eバイク（e-bike）（以下eバイク）｣と呼ばれます。しかし、ここで紹介するブリヂストンの｢TB1e TB7B41 + 専用充電器（以下TB1e）｣は、この両者の間に存在するのです。
TB1eの元になる車体はスポーツタイプのクロスバイク。それだけ見るとTB1eはeバイク寄りといえます。しかしながらTB1eは街乗りに便利なスタンドやカギなどを装備。つまりTB1eは、ママチャリベースの電動アシスト自転車よりも長距離を軽快に走れるけれど、本格スポーツ指向のeバイクよりも街の中で不便じゃないという、両者のいいとこ取りなのです。
しかも独自の前輪式アシストモーターと、回生充電機構である「回復充電機能」を駆使して、1充電あたりの走行距離目安は最大130㎞（エコモード時）！ この長距離×街乗りの仕様は、｢思い切り自転車通勤（ジテ通）してください｣というTB1eからのメッセージでしょう。
快適さはしっかりした基本性能から
ブリヂストンといえば国内最大手の自転車メーカー。先の東京五輪では自転車競技トラック種目の日本チームが使う機材を開発するなど、その技術力は世界レベルです。また、強度試験を独自に課すなど、信頼性の高さでも定評があります
TB1eはそんなブリヂストン製らしく、走りの源である自転車本体の作りがしっかりしています。フレームは軽量で、走りも軽くなるアルミ製。搭載される7段変速は、走行状況に応じた電動アシスト性能を発揮しやすく、スムーズな加速やバッテリーの省エネにもつながります。
そして街乗り機能は、駐輪しやすい片足型スタンドや、フレームに直（じか）付けされたリング錠。ぬれた路面でも服を汚さない泥よけ、ズボンの裾を油汚れから守るチェーンケース、さらにLED型サイクルライトなどを装備して、クロスバイクなどにありがちな普段使いでのストレスは何ひとつないでしょう。
さらにうれしいのが耐久性への配慮です。ひび割れしにくい｢ロングレッドタイヤ｣、さびに強い｢ステンガードチェーン｣、調整の必要が少ないリヤブレーキなど、整備の手間を軽減できる仕様は、忙しい社会人には助かるうえにランニングコストも抑えてくれます。
TB1eはこのように街乗りと長距離の走行を快適にする仕様が追求されているのです。
パワフルアシストだけど省エネルギー
走りにおいてもうひとつの柱となる電動アシスト機構は、前輪にモーターを仕込んだ構造。アシスト力は｢エコモード｣｢オートモード｣｢パワーモード｣の3つをハンドル部のコントローラーで切り替え可能。それぞれのアシスト時の航続距離は｢130㎞｣｢90㎞｣｢54㎞｣を実現しています（2021年12月発売の最新モデル「TB1e TB7B42 + 専用充電器」はさらに航続距離が長くなり、それぞれ「200km」「105km」「62km」）。これは10万円台の電動アシスト自転車きっての長さです。
前輪が引っ張られるようにして進む感覚は独特ながら、その走りは一般的な後輪アシスト型のモデルよりも力強く、赤信号からの発進、渋滞時の低速からのこぎ出し共にスムーズ。この出足のよさは、ストップ・アンド・ゴーが多くなる市街地での走りのストレスを低減してくれます。
さらに上り坂でもアシストは優秀。平地と同じ力でペダルをこいで息ひとつ乱さず進むことができます。アシストのない自転車なら、見た瞬間に降りてしまうような急坂でも、アシストモードをパワーにすればサドルから腰を上げる必要もなし。少し大げさかもしれませんがTB1eがあれば、すべての道が平地と下り坂になったように思えるほど。アシスト力への文句は皆無でしょう。
さらにTB1eは、前輪モーターに搭載した回復充電機能で｢走りながら充電｣できるので省エネルギーです。回復充電機能は「左ブレーキをかけたとき」「平地や下り坂でペダルをこがないとき」に動作します。しかもそのレベルは、手元のコントローラーで以下の3つのモードを選べるので、走るルートや充電状況によって使い分けができるのです。ちなみに、メーカーは3つのモードそれぞれに適する環境を以下のように説明しています。
- ｢0Lモード｣：平地自動回復充電機能「切」／下り自動回復充電｢弱｣：郊外や、平たんな道が多い環境向き
- ｢1Lモード｣：平地自動回復充電機能｢入｣／下り自動回復充電｢弱｣：市街地や、平たんな道が多い環境向き
- ｢1Hモード｣：平地自動回復充電機能｢入｣／下り自動回復充電｢強｣：坂道や、長い下り坂が多い環境向き
なお、回復充電中は前輪のモーターブレーキが働いて、クルマのエンジンブレーキのようにやさしく速度が落ちていきます。これが意外にも便利。下りの速度調節や赤信号の停車時などのブレーキ操作が減るので、特にクルマや信号が多く、細かな速度調節が必要な市街地の混雑するエリアで走りのストレスを和らげてくれるのです。
ただ平地で回生が効くと惰性が減り、走りの快適さは薄れるので、市街地でもさほど混雑しないエリアでは下り坂とブレーキで回生が働く0Lモード。上記のような停止・発進が多く、細かな速度調節が必要になるような市街地の混雑エリアでは、購入時に設定されている1Lモードが走りやすいと感じました。
実際にアシストをオートモード、回復充電機能を1Lモードにして交通量の多い都内を15㎞ほど走ってみるとバッテリーの消耗は5%だったので、かなり燃費はいい印象です。単純な計算ですが、これなら同じ組み合わせで片道15㎞を週5回自転車通勤しても充電要らず。航続距離の長さは充電の手間も省いてくれますし、電池切れの不安も小さくできます。たとえば帰宅途中の寄り道も臆せずできて、行動半径も広がることでしょう。
TB1eの最長130㎞という航続距離には、大容量14.3Ahのバッテリーだけでなく、この回復充電機能もひと役かっているのです。
思ったよりもスポーツができる
クロスバイクとママチャリのいいとこ取りをした自転車としての性能、そこにパワフルなアシスト力と余裕の航続距離を組み合わせたTB1eは、やはり絶好の通勤用自転車でした。実際に通勤すれば満員電車のストレスがないのはもとより、就業前の軽いエクササイズとなって頭もさえて仕事への意欲が高まるはずです。
一方、帰りは電池切れの不安も少ない余裕の航続距離で、お目当ての買い物や気になる場所への寄り道も気軽にでき、行動半径も広がります。こうして通勤はちょっとした運動不足の解消とレジャーの場となり、生活に彩りを添えてくれるのです。
さらに機能をうまく使いこなせばスポーティな走りもできます。具体的にはアシストをエコモード、回復充電機能を0Lモードに設定。地形などの変化に応じて7段のギヤを切り替え、ペダルをこぐ速さを調節すると気持ちのいい走りになります。実は自転車の軽快な走りは、ペダルをこぐ（回す）速さに左右される部分があるのです。車種などによって異なってきますが、TB1eなら平地では1分間にペダルをこぐ速さが50-70回転くらい、上りでは40回転くらいになるようにギヤを調節して走るといいでしょう。
それを少し心掛けるだけでTB1eは「思ったよりもスポーツができる」のです。もちろんそれはバッテリーの節約にもつながりますし、疲労も抑えられるので走る距離も伸びます。その走りの気持ちよさを知れば｢ちょっと遠出してみようか｣という気分になり、休日にはエクササイズや30㎞くらいの距離のサイクリングを楽しめるでしょう。
東京都渋谷区恵比寿南3丁目7-1
食べログ：WOODBERRY COFFEE 代官山店
TB1eは電動アシスト自転車とeバイクのいいとこ取りの立ち位置で、自転車通勤からエクササイズ、サイクリングまで、自転車を「ゆる～く」楽しませてくれる気が置けないパートナーになってくれるはずです。
文：吉本司 写真：佐藤竜太
でこの製品を購入する
