安くたって幸せになれるスイスイ ストリート BM-AZ300

電動自転車 2022/6/2
  • facebook
  • twitter
  • line

安くたって幸せになれるスイスイ ストリート BM-AZ300

コストパフォーマンスのいいモデルを投入して、電動アシスト自転車の世界に風穴を開けるKAIHOU。中でも小径・折りたたみタイプの「スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器」は、実勢価格5万円台という同社の製品で最も手頃な1台だ。その価値を探るべく、早速ペダルをこいでみた。

バリューフルな5万円台のスペック

電動アシスト自転車はロードバイクみたいな嗜好(しこう)品ではなく実用品なので、必要な機能を持ち、なおかつ安全性が担保されたうえで、できるだけ手頃な価格で手に入れたい。筆者のような考えで商品を物色中の人もいるだろう。

ただ現在、入門機と呼ばれる、いわゆるシティサイクルタイプの安めの製品でも実勢価格は8万円程度が主流だ。出せない金額ではないが、もう一声安ければとも思ってしまう。

そんな都合のいい製品は数少ないのだが、価格.comで検索すると小径・折りたたみタイプのKAIHOU「スイスイ BM-AZ300 + 専用充電器(以下AZ300)」が、何と5万9,800円(価格は2022年5月26日時点)という最安値でヒットする。

KAIHOUといえば、近頃よく目にする新興ブランドだ。以前の本企画では、いわゆるシティサイクルタイプの「スイスイ BM-APX263PS+専用充電器」が高評価だっただけに、おのずと期待が高まる。 

しかも折りたたみの小径車というスタイルは、多くの荷物を載せたり、子供を乗せたりする必要もなく、純粋に移動の手段として考える筆者のようなユーザーには適している。重量22kg、全長1,565mmと比較的軽量、かつ小型の車体は、小回りが利いて街乗りに便利だ。おまけに折りたためば680mm(W)×870mm(H)×520mm(D)へと小型化できるので、室内収納もできて盗難の心配は無用。そして、いざとなればクルマのトランクへの積載も可能で、筆者の場合、取材先での足代わりにするなど用途も広がりそうだ。 

また、6段の変速機がシマノなのは安心感がある。5.8Ahのバッテリーで30kmの補助走行距離(エコモード時)というのも、小径車で考えればまずまず。スチール製のフレームは重量の重さやさびの心配もあるが、このあたりは価格を考えれば仕方がない。全体を見れば上々な仕様だ。

スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器を価格.comで購入する

「でしゃばらないアシスト感」がいい

充実のスペックを持つAZ300だが、肝心の走りはどうだろう。

AZ300は前輪ハブ(車輪の中心部)にモーターを搭載。前輪をモーターの動力、後輪は人力で動かす、いわゆる両輪駆動式だ。この構造は力強いアシスト感を得られるという特徴がある半面、ハンドル操作に少し癖があり、加速時に前輪をぐいっと引っ張られる感覚に違和感を持つ人もいる。さらに小径車はハンドルがふらつきやすいという構造的な特性もあるので、前輪がアシストされる駆動方式との相性は悪いかと心配したが、そうした様子は想像以上に少ない。おそらく小径車の特性に応じて、パワーよりも乗りやすさを重視したアシスト特性にしているのだろう。

そのアシスト特性は走りに総合的な利点を生んでいる。アシストモードは「エコ」「平坦」「坂道」の3段階の切り替え式だが、最も力強い「坂道」モードでも、アシストがガツンと出るような「ターボ感」は抑え気味で、ペダルを踏む力に寄り添いながらしっかり後押しする。いうなれば「でしゃばらないアシスト感」なのだ。この特性によってペダルをこぐリズムを一定に保ちやすく、走りがぎくしゃくしないので乗りやすくて疲れにくい。同時に小径車で懸念されるせわしない走行特性も自然に抑えられ、ゆったりと気持ちよく走り続けることができる。

でしゃばらないアシスト感と聞くと上り坂の性能を心配するかもしれないが、「坂道」モードのアシスト感に不足はない。激坂や長い上りも装備された6段変速を組み合わせれば無理なく越えられる。また、小径車の利点である加速のよさを損なわないアシスト感もちゃんとあるので、ストップ・アンド・ゴーは得意科目。街中ではシティサイクルよりも軽快に走れる。

スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器を価格.comで購入する

見た目以上に長距離対応

そんなAZ300の走りに、筆者は気が付けば試乗の距離が伸びていた。キビキビとした走りで街中を抜け、川沿いのサイクリングロードで郊外を目指す。クッション性の高いタイヤで乗り心地も悪いものではないし、アシストモードと6段変速を道の変化に合わせて調節すれば、平地で時速20q弱を維持するようなスポーティな走りも楽しめる。

一般的に小径車が想定する行動範囲といえば2〜3kmだろう。だが、AZ300は電動アシストの力と、その快適なアシスト特性によって10km近くでも快適に走れる(乗り手の体力・意欲次第だが)。そのため、日々のシティライドだけでなく、休日には自転車散歩や軽いサイクリングにも対応できる。

ちなみに補助走行距離に関して、メーカーは「エコ」モード時で30kmとアナウンスしている。だが、このモードはアシスト力が弱いため、実際に走ってみるとあまり使わなかった。多くの人がストレスなく走るには、アシスト力の強い「平坦」モードを中心に上り坂に応じて「坂道」モードにするのがよいと思う。もちろんコースや走り方によっても変わるが、実用的な補助走行距離は15〜20kmが目安になるだろう。

なお、少しでも補助走行距離を伸ばすのであれば、アシスト力の変更に加えて、可能なかぎり変速を使って省エネ走行を心掛けることだ。そうすればバッテリーの不安もなくAZ300との時間を過ごせるだろう。

スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器を価格.comで購入する

幸せを長持ちさせる付き合い方

走行性能の面でも価格の割に上々といえるAZ300だが、気になる点もある。それは自転車の作りの部分とその耐久性だ。フレームとハンドルの折りたたみ部分は、作りが大ざっぱに見えて耐久性も気になる。さらにはさびなどの耐候性が気掛かりな素材のパーツもある。だが、手頃な製品というのは、どこかにそうしたものが生まれるのは致し方がない。購入する人はそれを受け入れて、自ら対策を講じるのが上手な付き合い方だ。

AZ300であれば、まず雨やほこりから自転車を守れる場所で保管し、汚れは定期的に自転車専用のクリーナーを使い拭き掃除したい。その際、折りたたみ部分は、そのヒンジやレバー部などにさびや腐食、変形がないかを確認し、必要なら注油もする。もちろんチェーンやギヤも定期的な掃除と注油は欠かせない。そしてタイヤの空気は、乗らなくても1か月に一度は空気を入れることだ。そうすることで自転車の価値は一定期間続くだろう。

そんな突っ込みどころはあるとはいえ、AZ300の総合的なプライスパフォーマンスは高いと言い切れる。アシストのなしの小径車よりも行動半径を広げることができるため、街での移動だけでなく、ポタリングや軽めのサイクリング&フィットネスといったレクリエーションまで対応できる。単なる移動手段としてではなく、生活の質を上げるツールとしての存在感もあるのだ。男性はもとより、特に女性にはコンパクトな車体は扱いやすいし、手頃な価格だからカップルで揃えるなんてこともできる。

正直なところ筆者は、この自転車がここまで使えるとは思ってもみなかった。AZ300なら、コストを抑えた電動アシスト自転車選びをしても幸せが待っている。 価格.com

文:吉本司 写真:佐藤竜太

スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器 でこの製品を購入する

スイスイ ストリート BM-AZ300 + 専用充電器

タイヤサイズ: 20インチ
補助走行距離: エコモード 30 km
充電時間: 4 時間
重量: 22 kg
サドル高: 800mm〜920mm
全長: 1895 mm
全幅: 580 mm
カラーバリエーション: マットレッド / マットブラック

価格.comでこの製品を購入する

Page Top