乗れば分かるその魅力ヤマハ CROSSCORE RC

電動自転車 2022/9/1
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乗れば分かるその魅力ヤマハ CROSSCORE RC

吉本司自転車ジャーナリスト

スポーツ自転車歴38年のベテランであり、フリーの自転車ジャーナリスト。月刊自転車専門誌『サイクルスポーツ』での編集長経験を持つ。ロードバイクからeバイクまで車種を問わず機材、市場動向、レースに至るまで幅広い知見を持つ。これまで試乗した自転車は数百台。自費購入した自転車は85台にものぼる。

スポーツバイクの新しいカタチ「eバイク」。電動アシスト自転車を世界で初めて作ったヤマハの最新機種「CROSSCORE RC」は、eバイクの「今」を手堅く詰め込み、スポーツバイク入門者からベテランまで満足の1台だった。

走りを楽しむのなら「eバイク」

近頃、電動アシスト自転車(以下電チャリ)をウェブ検索すると「eバイク」というワードをよく目にする。それもそのはずeバイクはこの数年、世界中で新製品が登場している新しい電チャリのジャンルなのだ。

ただし、eバイクというものの業界的な基準や定義はまだない。 そう聞くと「じゃあeバイクって何? 今までの電チャリと何が違うの?」というのが、素朴な疑問だろう。

実際のところ「ペダルをこぐ力をモーターが補助」「日本の法令で定められた1:2(人が踏む力:アシスト力)のアシスト比率」「時速24kmでアシストがオフ」と、基本的な部分は電チャリと同じだ。

けれども国内メーカーによるeバイクの多くは、走行性能の根幹となる車体が本格的なスポーツバイク(クロス、ロード、MTBなど)を基にしている。加えてパワーユニットは、スポーツ走行に適した仕様。つまりスポーツライド用の電チャリを、あえて差別化してeバイクと呼んでいるのだ。

したがって普段の足というよりも、サイクリングやツーリングなど走ることを楽しみたいのなら、値は張るけれど断然eバイクを選ぶべきだ。

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電チャリ感皆無のスマートなルックス

さて、少々前置きが長くなってしまったのだが、そんな注目ジャンルであるeバイク。 当然、電チャリの先駆者であるヤマハも「YPJ」シリーズで2015年に参入している。そんなYPJシリーズの中でも2022年に発表されたクロスバイクタイプの「CROSSCORE RC」は、次世代デザインフレームを採用した注目の1台だ。

さて、eバイクといっても、ひと昔前のモデルだとバッテリーがむき出しで電チャリ感が半端なかったりもした。ところがCROSSCORE RCは普通のクロスバイクのような姿。専用設計のバッテリーはアルミ製フレームに内蔵され、パワーユニットもフレームに沿うように配置されているので見た目の電チャリ感は皆無だ。そのスマートなフォルムは、何より所有欲を大いに満足させてくれる。嗜好(しこう)品要素が強いeバイクにとって、これはとても重要なことだろう。

走行性能の土台となる車体もしっかりしている。一般的なロードバイクよりもひと回り小さい27.5インチのタイヤは加速しやすく、ストップ・アンド・ゴーの多い街中では頼りになるし、駐輪などの取り回しでも便利だ。さらに幅も2インチと太めで、快適な乗り心地と走りの安定性を実現する。しかも前輪側にはサスペンションを装備しているので、歩道の段差も難なく乗り越えられる。おまけにブレーキは雨の日でも制動力が落ちないディスクタイプ。

このようにCROSSCORE RCの自転車としてのパッケージは、街中はもとより郊外へのサイクリングや田舎道の探索に至るまで安心して走れる良質なものだ。

こうした作りの良さは走行感からも感じられた。明らかに走りが軽くて動きが鋭い。走る、止まる、曲がるの動作が明確で正確。ライダーと自転車の一体感が高いので手足のように動いてくれる。パワーユニットやバッテリーの重量に負けないフレーム剛性を確保したことが、この優れた走行感を生む源だろう。

自転車の基本性能はフレームとホイールで決まるが、フレームの出来(でき)がいいのは、CROSSCORE RCの大きな魅力の1つといえる。

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やさしいけれど力持ち

eバイクとして肝心のアシスト機能は、YPJシリーズとして初めて搭載するパワーユニット「PWseries ST」が相当に賢い仕事をこなす。電チャリのアシスト機能は、ペダルをこぐ速度(ペダルケイデンス)が増すと、アシストの反応速度が追い付かず走りがぎくしゃくすることがある。しかしCROSSCORE RCはそうした素振りを見せない。

自転車に乗って気持ち良いと感じる要因の1つには、適度なペダルケイデンスで走ることがあるが、特にスポーツバイクでは、毎分60〜90回転程度(平たん路)がスイートスポット。 CROSSCORE RCは無理なくその回転を維持できるよう、しっかりとフォーカスして最適なアシスト性能を発揮してくれる。

矛盾した表現にも聞こえるかもしれないが、アシスト力は「メリハリがあるけれど自然」なのだ。ペダルをこぐのに大きな力を必要とする発進時や上り坂では、一気に強いアシスト力を発揮してパワフル。でも、そのアシスト力のフェードアウトが自然な感覚なので、一定速度の走行へスムーズに移行できる。 「嫌みのないパワフルさ」とでもいうのだろうか。

さらに魅力的なのが、アシストが少し欲しくなるわずかな上り勾配や向かい風といった場面のアシスト感だ。穏やかにして滑らかなので、アシストされていることを忘れるくらいに自然な感覚でペダルをこぐことができる。平たん路などはそれがより顕著になる。こうした感覚は電チャリでは到底味わえなかった走りの気持ち良さであり、CROSSCORE RCはこの点において優れている。

その理由は高性能なパワーユニットもそうだが、「速度」「クランク回転」「ペダリングトルク」、そして「(自転車の)角度」という4つのセンサーから得た情報によって、最適なアシストパワーを算出する「クワッドセンサーシステム」とのリレーションによるものだろう。

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その価格にはワケがある

アシスト力は、最強の「ハイモード」から順に「スタンダードモード」「エコモード」「プラスエコモード」の4設定。さらに状況に応じて「ハイモード/スタンダードモード/エコモード」を自動選択し、最適なアシストを発揮する「オートマチックアシストモード」を備える。大容量500Wh(13.1Ah)のバッテリーは、1充電あたりアシスト強度順に85km、101km、137km、200km、オートマチックアシストモードでは96kmの走行距離を実現する。

実際にモードをいろいろ変えながら、東京郊外のアップダウンのある道を90kmほど走ってみたのだが、電池残量を示すインジケーターは10段階中の4を示していたのでかなり燃費は優秀だ。ハイモードで85kmの走行距離は、脚力自慢じゃなくても相当に行動半径は広がる。クロスバイクとして街中で使うには十二分のレベルだし、アシストと変速をうまく使いこなして走れば、100kmオーバーのロングツーリングにも不安なしで出かけられるだろう。

自転車任せに走るオートマチックアシストモードも便利なのだが、急な上りがなければスタンダードモードだけでも快適に走り続けられる。それほどにアシスト力の制御性能は賢い。

上で述べたように平地ではペダルケイデンスが毎分60回転以上になるようなギアを選びながら、時速20km前後を維持すると体感的には最もアシスト効率が良く、さらにはこの上なく気持ち良く走ることができる。滑らかで自然なアシスト感は、爽やかな追い風に後押しされるかのようで、自転車を軽く前へと進ませてくれる。
自転車に詳しい人の間、あるいは業界において、サイクリングは「時速25km以下の自転車遊び」といわれているのだが、CROSSCORE RCは、それを誰もが無理なく体験できる。しかも、この領域の走りの質がとても上品なのが魅力的だ。それは賢いアシスト性能と車体の作りの良さのベストマッチゆえだろう。

もちろんアシストモードと後輪のギアを走行状況に応じて変えながらアグレッシブに走るのはeバイクならではの楽しみだ。特にアシストは、他社のeバイクと比べて時速24kmギリギリの手前まで効く感じだし、アシストが切れる速度域でもパワーユニットのフリクションが少ないせいか、平地で時速30kmくらい出すのは難しくなかった。

CROSSCORE RCはスポーツバイク未体験の人にとって、サイクリングを気持ち良く楽しむことができる最良のパートナーになるだろう。一方、普段ロードバイクなどに乗るサイクリストには、のんびり走るサイクリングの楽しさを再発見できる一服の清涼剤となってくれるはずだ。フロントサスペンションも搭載しているので、タイヤをオフロードタイプに履き替えれば、軽い山道も楽しめる1台にもなる。ロードバイクとは対極にあるような自転車なので、手持ちの1台に加えれば自転車遊びはさらに広がるはずだ。

乗り手のレベルを問わず、使い方も通勤からサイクリング、ツーリング、エクササイズ、ひいてはオフロードまで、幅広く楽しめるユーティリティー性の高いeバイクがCROSSCORE RCだ。電チャリよりも値は張るが、それ相応の理由と魅力が詰まっている。 価格.com

文:吉本司 写真:佐藤竜太

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ヤマハ CROSSCORE RC

タイヤサイズ: 27.5×2
補助走行距離: ハイモード 81 km / スタンダードモード 101 km / エコモード 137 km / プラスエコモード 200 km / オートマチックアシストモード 96 km
充電時間: 3.5 時間
サドル高: (L)895mm〜1065mm / (M)835mm〜1010mm / (S)780mm〜955mm
全長: (L)1780 mm / (M)1760 mm / (S)1750 mm
全幅: 590 mm
カラーバリエーション: フレイムオレンジ / ピュアパールホワイト / ミスティグリーン

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