自転車旅に出かけたくなるヤマハ WABASH RT

電動自転車 2022/9/21
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自転車旅に出かけたくなるヤマハ WABASH RT

吉本司自転車ジャーナリスト

スポーツ自転車歴38年のベテランであり、フリーの自転車ジャーナリスト。月刊自転車専門誌『サイクルスポーツ』での編集長経験を持つ。ロードバイクからeバイクまで車種を問わず機材、市場動向、レースに至るまで幅広い知見を持つ。これまで試乗した自転車は数百台。自費購入した自転車は85台にものぼる。

今、世界のサイクリストが注目する「グラベルロードバイク」と「eバイク」。この2つのカテゴリーを融合させたヤマハの「WABASH RT + 専用充電器」は、充実のグラベル用装備と電動アシストのパワーによって、多様な自転車旅のスタイルをかなえてくれる良き相棒だ。

グラベル×電動アシストは最強入門車

近頃サイクリストの間ではツーリングのブームが再燃している。それこそ「バイクパッキング」などと呼ばれ、テントなどのアウトドアグッズを携えて走るキャンプスタイルのダイナミックな自転車旅も人気だ。そんなライドスタイルのお供に選ばれるのが「グラベルロードバイク」というタイプ。

ちなみに「グラベル」とは砂利道の意味。グラベルロードバイクの特徴を簡潔に書くと、ロードバイクの形をしているけれどオフロード仕様の幅の太いタイヤをはき、普通のロードバイクよりも安定性に優れ未舗装路を走れるスペックを持つ。もちろん舗装路だって問題なし。また、拡張性も高いため荷物を効率良く積載可能。クルマで例えるなら、オン・オフ走れて人も荷物も積めるSUVみたいな存在だ。

そんな多用途性と乗りやすさを備えたグラベルロードバイクは、現代型のランドナー(旅行用自転車)的存在でもあり、サイクリングやツーリングに向く車種だ。それだけでなくスポーツバイクの入門者にも最適な選択であると、自転車ライターの筆者は感じている。しかもそれが電動アシスト自転車の「eグラベルロードバイク」ともなれば脚力やスキルがなくても簡単に遠くに行ける。重い荷物を積んだツーリングの峠道だって何のそのだ。

グラベルロードバイク×電動アシストというのは、最強の入門用サイクリング車のポテンシャルを備えている。

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本格派のグラベル装備

そこで注目すべきがヤマハYPJシリーズの新作「WABASH RT + 専用充電器(以下ワバッシュ)」だ。YPJのeMTBといえばパワフルなユニット性能で高い評価を得ているが、そんな実績から生まれた本機種は、当然ながら走りが期待できる本気のeグラベルロードバイクというわけだ。

さて、最新のeバイクはいかに「eバイクに見えない」かがルックス面でのポイントになっている。ワバッシュのアルミ製フレームはダウンチューブの中にバッテリーを収納する設計で、外観からはまったく電源を確認できない。それだけでなくパワーユニットとフレームの一体感に富んだデザインも秀逸だ。自転車マニア以外は、ぱっと見てこの自転車がeバイクだと判別できないだろう。

また、このフレームのデザインは同じヤマハのeバイク「CROSSCORE RC」に酷似するが、ジオメトリー(フレーム各部の寸法)はそれぞれのコンセプトに合わせて設計されている。また、細部の作りも各モデルに向けて最適化された仕様(最適なコンポーネントの選択やコンポーネントを搭載するための設計など)となっているのだ。

組み合わせるパーツも本格派だ。タイヤは700×45Cと太幅なオフロードタイプ。変速機やブレーキはシマノのグラベル専用コンポーネント「GRX」で固められている。本格派のグラベルロードバイクには不可欠なドロッパーシートポストも標準装備。レバー操作だけでサドルの高さを簡単に変えられて、なおかつ振動吸収機構も兼ね備えている。

そして、フレームの各部にはサイクルバッグやキャリア類を効率的に装着するための台座も備わり、バイクパッキングも難なくできる。欲をいえば軽量化と乗り心地を向上できるカーボン製フロントフォークが装備されていればなお良かった。でも堅ろう性を重視したと考えれば、アルミ製というのも納得できるところだ。

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オフロードを平然と走り抜ける

そんなワバッシュを東京郊外の里山(さとやま)や河川敷の砂利道に連れ出してみると、その走りは実にゴキゲンだった。

搭載されるドライブユニット「PWseries ST」は、新制御プログラムにより急な上り坂や発進でもパワーを効率的に発揮する。そこに「速度、ペダルケイデンス(ペダルの回転数)、トルク(ペダルを踏む力)、(車体の)角度」から最適なアシスト力を算出する「クワッドセンサーシステム」を組み合わせた。これがリニアで安定したアシスト性能を生むのだが、それが巧みなのだ。

オフロードは路面の状況が一定ではないので、ペダルをこぐ力にムラができやすく、それが推進力を鈍らせる。しかしワバッシュはペダルをこぐ力の強弱を的確に感知し、即座に最適なアシストを行うため、オフロードでも一定のリズムでペダルをこぎやすい。同時にアシストは力強く、オフロードであることを忘れるほどに軽やかな走りを体験できる。アシストの恩恵は舗装路よりも絶大に感じられ、その異次元にも思える走りには感動すら覚えてしまう。

アシストモードは最強の「ハイモード」から、「スタンダードモード」「エコモード」「プラスエコモード」それと「アシストオフモード」まで5つ。それとは別に、アシストをハイモード・スタンダードモード・エコモードから自動で選択する「オートマチックアシストモード」を備える。肝心のアシスト力だがスタンダードモードでも十分強力。急勾配の上りが発生したら、ハンドルの手元にあるコントロールパネルのボタンを押してハイモードにすればいい。オフロードを走るテクニックをさして持たない入門者であっても、その高性能なアシストにまかせてスイスイと進めるはずだ。電動アシストによってオフロードの楽しみが圧倒的に身近になった。

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ツーリングを楽しみたくなる

オフロードで頼れるアシスト性能は舗装路の走りでも陰りを見せない。ワバッシュのパワーユニットはスポーツバイクに適した高ケイデンスの状況でも力強くアシストを発揮する。さらにレスポンスにも優れているので、欲しいと思ったときに意のままのアシストが得られるのだ。

またフレーム剛性と重量バランスを最適化したジオメトリーや、オフロード向けのタイヤを装備することもあって、ワバッシュの走りはスポーティさよりも、腰を据えてゆったりと乗ることのできる安心感が強い。それこそスポーツカーというよりも4ドアサルーンのような落ち着いた雰囲気だ。

その走行感はツーリングやサイクリングの常用速度である時速20〜25km程度(平地)にマッチするものだし、すなわちそれはeバイクのアシスト領域でもある。ワバッシュに乗ると、速度を上げて走るよりもアシストの効く速度でのんびりと長距離ツーリングを楽しみたくなるのだ。

大容量500Whクラス(13.1Ah)のバッテリーも長距離ツーリングの頼もしい味方だ。航続距離は最強アシストモードのハイモードで85km。その下で使用頻度の高いスタンダードモードが101km、エコモードが137km。そして最も省エネなプラスエコモードは200kmだ。さらにオートマチックアシストモードでも96kmというように余裕のレベル。

勾配がきつく長い上り坂でなければスタンダードモードに入れっぱなしで快適に走れる。実際にオフロードを10%ほど含む80kmくらいの道のりを、上りではハイモード、平地はスタンダードモードを使って走ってみた。ほぼ省エネを意識してないがそれでも電池残量のインジケーターは3/10のレベルだったので、実際の燃費もかなり余裕がありそうだ。

景色をたん能したり観光名所を巡ったりのツーリングを楽しむとなると、1日の走行距離は100kmに届かないのが通常だと思う。だからワバッシュは一般的なツーリングに難なく対応できるし、充電の場所さえ確保できれば数日間に及ぶグランドツーリングも楽しめる。

自転車用のバッグやキャリアをフル装備できる仕様なので、この夏はテントなどのキャンプ道具を揃えて、ワバッシュとともに冒険心あふれる自転車旅に出かけるのもいいだろう。荷物をいっぱい積んで脚力に依存することなく遠くに行けるeグラベルロードバイクは、やはり「最強の入門用サイクリング車」なのだ。 価格.com

文:吉本司 写真:佐藤竜太

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ヤマハ WABASH RT

タイヤサイズ: 700×45C
補助走行距離: ハイモード 81 km / スタンダードモード 101 km / エコモード 137 km / プラスエコモード 200 km / オートマチックアシストモード 96 km
充電時間: 3.5 時間
サドル高: (L)955〜1110mm / (M)895〜1050mm / (S)835〜935mm
全長: (L)1815 mm / (M)1790 mm / (S)1780 mm
全幅: 580 mm

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