ソニーαシリーズ用のEマウント対応定番標準単焦点レンズを、焦点距離50mm中心に5本ピックアップし同条件で撮り比べる並列比較を実施。解像力とボケ、中央部と周辺部など各テストを通じて、強みや向いた被写体といったレンズの特徴を明確化し、ユーザーの目的に合った1本を選び出す。
解像力とボケ味に定評のあるSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAと、コストパフォーマンスに優れるFE 50mm F1.8。そして50mmレンズの定番ともいえるPlanar T* FE 50mm F1.4 ZA。この3本の標準単焦点を用意するソニー純正レンズ群。これに加え、ソニーEマウント用にカールツァイスが開発したBatis 2/40 CFと、12枚円形絞りを採用するAPO-LANTHAR 50mm F2 Asphericalの5本のレンズをテストする。
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メーカー名 | SONY | SONY | SONY | コシナ | カールツァイス |
製品名 | FE 50mm F1.8 SEL50F18F |
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z |
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z |
フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical |
Batis 2/40 CF |
最安価格 | 円 | 円 | 円 | 円 | 円 |
焦点距離 | 50 mm | 50 mm | 55 mm | 50 mm | 40 mm |
開放F値 | F1.8 | F1.4 | F1.8 | F2 | F2 |
フォーカス | - | AF/MF | AF | MF | AF/MF |
発売日 | 2016/4/28 | 2016/7/29 | 2013/12/20 | 2019/12/12 | 2018/11/22 |
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メーカー名 | 製品名 | 最安価格 | 焦点距離 | 開放F値 | フォーカス | 発売日 | ||
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SONY | FE 50mm F1.8 SEL50F18F |
円 | 50 mm | F1.8 | - | 2016/4/28 | 製品ページへ |
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SONY | Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z |
円 | 50 mm | F1.4 | - | 2016/7/29 | 製品ページへ |
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SONY | Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z |
円 | 55 mm | F1.8 | - | 2013/12/20 | 製品ページへ |
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コシナ | フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical |
円 | 50 mm | F2 | - | 2019/12/12 | 製品ページへ |
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カールツァイス | Batis 2/40 CF | 円 | 40 mm | F1.4 | - | 2018/11/22 | 製品ページへ |
50mm近辺の焦点距離ということで開放絞りを中心としたポートレートを撮ってみた。焦点距離の違いはカメラの位置を前後することで人物をほぼ同じ大きさにしているが、それでも焦点距離の違いによる背景の写り方やボケ量の違いは大きく出る結果となった。優秀だったのはFE 50mm F1.8とAPO-LANTHAR 50mm F2の2本で、解像力も高くボケもクセがなく好印象。だが、ポートレートの場合一概に解像力が高いレンズがベストとは言い切れない。その意味ではボケがきれいで描写の柔らかなBatis 2/40 CFも面白い。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/800秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
F1.8の開放絞りから申し分のない解像力を発揮してくれる。背景のボケも非常におとなしくナチュラル。開放F値がF1.8と暗い分だけ、開放からクセのない描写をしてくれるのが特徴。前ボケはわずかに硬めでうるさめに感じるかもしれない。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放F1.4でも解像力に不満はない。開放でのボケはやや流れるような感じがあり、好みの別れるところだろう。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
ピントの芯がしっかりしながらも全体としてはとても柔らかな印象。開放F1.8では程よい解像力と上品なボケ味のバランスが取れており、ポートレート向きのレンズといえる。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
マニュアルフォーカスレンズだが、ピントもつかみやすく、開放F2.0から使えるレンズ。開放での解像力は今回比較したレンズの中でもトップレベル。ピント合わせさえしっかり行えば、非常にキレのいい写真が撮れるのが特徴だ。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放F値がF2.0であることを考えると開放はもう少しシャープであることを期待していたが、結果はほかのレンズと同レベル。ほかのレンズのF2.0よりは少し甘めかもしれない。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/800秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
F1.8は比較的ピント面が柔らかい。シャープに撮りたければボケがあまり変わらないF2などを使うのがいいだろう。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放のF1.4ではわずかに甘めの描写とはなるが解像力不足を感じるほどではなく、むしろピント面が柔らかいという感じ。瞳にしっかりとピントを合わせてシャープに撮りたいなら絞ったほうが無難かもしれない。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
F1.8の開放絞りではほどほどの解像力。この写真だけを見れば十分に解像していると感じる。ただし絞った写真と見比べると、やはり幾分甘め。背景のボケ量を考慮したうえでF1.8あるいは絞って撮るといった使い方をしたい。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放F値がF2.0のレンズだが、開放から高い解像力を発揮するのが特徴。マニュアルフォーカスレンズのため、フォーカスピーキング機能を使ってのピント合わせであったが、開放からこれほどシャープに写ることに驚かされた。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放F2.0での解像力はほどほどに高い。また、絞るととてもシャープになるので、柔らかめを狙って開放で撮るか、1絞り絞ってシャープに撮るかという使い分けがしやすい。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/800秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/400秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
ボケ感は非常にナチュラルでクセがない。前ボケも柔らかく、とろけるようなボケで好感が持てる。遠景の林もイヤな2線ボケなどは見られず、背景を選ばず安定したボケが得られる。ただし、開放F1.4のレンズに比べるとボケ量は少ない。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
今回のテストで唯一、開放F1.4となるレンズだけにボケ量はさすがに多い。ただし、遠景のボケは少しざわついた感じで、背景の絵柄によってはうるさく感じるかもしれない。ただし、ボケが特徴的なだけに逆に立体感を生むという面もある。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
同じ開放F値となる50mm F1.8に比べるとボケ量は大きくなるが、背景のボケはわずかに2線ボケっぽくなる。「クセが気になる」というほどではないが、少しうるさく感じるかもしれない。前ボケも少しざわついた印象だ。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放F値がF2.0となるため、開放でもボケ量は少なめとなる。背景のボケに大きなクセはなく、柔らかくボケてくれる。ピント面からのボケ始めは滑らかなため、ナチュラルでありながらも立体感が感じられるボケとなっている。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放F値がF2.0でかつ焦点距離が40mmなので、背景のボケは思ったよりも小さい。モデル後方にある草むらのボケは5本中最もナチュラルでクセが少ない。遠景の林のボケも木漏れ日の丸ボケがきれいで、ボケ味に関しては非常に優秀。
遠景風景を撮影。中央部の解像力が高いからといって一概に周辺部もシャープに写るとは限らないことがポイント。中央部と周辺部の両方の解像力が飛び抜けて高かったのは、APO-LANTHAR 50mm F2で、ほかのレンズを圧倒するほどのレベル。次に優秀だったのはBatis 2/40 CFという結果に。ソニー純正の3本は程度の差こそあれ、中央部に比べて周辺部の描写がやや甘め。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/2500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/2500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/2000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/2500秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
中央部の解像力は開放のF1.8からほどほど。甘いというわけではないが、少し絞ると本格的にシャープ感が増す。周辺部に関しては開放F1.8では解像していない印象。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
中央部の解像力は開放から非常にシャープで純正レンズ3本の中では飛び抜けている印象。対して、周辺部の描写はかなり甘め。中央部の解像力が高いだけに周辺部は残念。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
中央の解像力に関しては、純正50mm F1.8と同レベルという感じで開放F1.8はほどほど。周辺部は純正レンズの中では開放絞りから最もシャープに写る。開放絞りからでも十分に実用レベルだと感じる。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放のF2.0から中央部、周辺部とも驚くほど解像力が高い。遠景の描写力に関してはほかのレンズとはまったく別次元といっていいほどのレベルだ。開放絞りの描写力が高すぎて、絞ってもあまり描写に変化が見られないほどだ。
カールツァイス Batis 2/40 CF
焦点距離が40mmとほかのレンズに比べると広角気味のため遠景細部の描写は不利ではあるが、それでも中央部はトップレベルの解像力を見せる。周辺部も比較的しっかりと解像しており、遠景でも均一な描写力を持つレンズだと感じる。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/2500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/2500秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/2000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/2500秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
開放のF1.8では周辺部の甘さが気になる。また、中央部は少し絞ると解像するが、周辺部はあまり解像力が高いとはいえない。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
中央部に比べると解像力は低めではあるが、開放F1.4でもそこそこの解像はしている。ただし中央部は開放のF1.4からかなりシャープなだけに比べると見劣りしてしまう。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
周辺部の解像力は純正レンズ3本中最も高い。中央部に比べると甘いが、それでも開放F1.8からこれくらい解像していれば合格点だろう。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
中央部とともに恐ろしいほどの解像力。開放のF2.0からキッチリと解像。周辺部は、ほかのレンズのF5.6レベルを絞り開放から得られるという感じだ。
カールツァイス Batis 2/40 CF
ソニー純正の3本に比べると周辺部の解像力は高い。開放でもまあ使えるというレベルにはキッチリと写ってくれている。開放絞りでも中央部と周辺部の落差はあまり大きくないので、遠景で使いやすいレンズといえそうだ。
三脚を使用し、絞り値を変えながら撮影している。ボケを大きくするためにピント位置は画面左手前の歩道に合わせている。絞り開放では周辺部分の丸ボケの形が変形しやすいが、どの程度の大きさで変形するをチェック。また、ボケの内側に出やすい年輪状の模様についても確認。どのレンズも周辺部に行くほど変形が発生するが極端に崩れるものはない。Planar T* FE 50mm F1.4はボケが大きく、また、内部の模様も軽度で好印象。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/8秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/13秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/8秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/6秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
シャドーのトーンも厚く、コントラストもしっかりと出ている。ピント面の解像力にも不満はない。ただし、開放のF1.8では周辺部のボケは変形する。画面全体に丸ボケを入れるのは難しいレンズといえる。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
F1.4の開放F値のボケは格別感がある。周辺光量落ちの大きさも手伝って、独特の描写となっている。参考までにF1.8に絞ると急に周辺部まで丸みを帯びたボケに変わってくる。夜景などで点光源ボケを狙うならF1.8やF2を使うのがいいだろう。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
開放F1.8でも周辺部の丸ボケはそれほど大きく変形していない。白い丸ボケの内側は年輪状の模様が比較的はっきりと現れる。少し流れるように見えるボケが特徴的だが、このボケ味は好き嫌いの評価が分かれるところだ。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放F値はF2.0と決して明るいレンズとはいえないが、ボケ始めも滑らかで上品な印象を受ける。絞り羽12枚の円形絞りを採用しているだけある。周辺光量落ちも考えると少し絞って夜景を撮るのが最もバランスがいいかもしれない。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放のF2.0から全体的に形のいいボケとなる。周辺部は軽くラグビーボール型となるが、変形はそれほど大きくはない。40mmという焦点距離のレンズだけあって、ほかのレンズに比べると同じ絞り値でのボケは小さめで固いボケに見える。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/8秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/13秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/8秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/6秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
周辺部のボケは開放F1.8からボケの形は軽くラグビーボール型となるが、非常に軽度といえる。非球面レンズの凹凸がボケの内側に写る年輪状の模様は比較的多めで目立つほうだ。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放F1.4では画面周辺部に寄るほどボケの形はややレモン型に近いものとなる。中央部は開放から丸く、F1.4らしい大きくて美しい丸ボケが得られる。ボケ内部の年輪状の模様は比較的軽度で気にならない。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
開放F1.8では周辺部がラグビーボール型のボケとなるが、50mm F1.4と比較すれば形の崩れは軽い。個体差といえるかもしれないが、ボケの内側が年輪状の模様に加え黒い点がはっきりと写っているのが気になった。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放絞りとなるF2.0では周辺部はレモン型のボケとなる。絞り羽が12枚となっているため、絞り込んでいってもほとんど角張ったボケにはならず丸ボケをキープしてくれる。ただし、ボケの内側に見られる年輪状の模様は、かなりはっきりとしている。
カールツァイス Batis 2/40 CF
中央部から周辺部にいくにつれて、徐々にボケの形がラグビーボール型へと変形していく。ボケの内側にも発生する年輪状の模様も比較的はっきりしていて気になる。
今回、ここまでで紹介した以外にもさまざまな検証を行っている。下のリンク先ではそれらの検証の結果を提示。このページの内容と合わせて確認することでより詳細なレンズの特徴を理解でき、最高の1本に近づける。
撮影機材紹介
SONY
α7R III ILCE-7RM3 ボディ
最安価格円
最新から1世代前となるα7R IIIを使用。4,240万画素という高解像度のデータはレンズの性能を余すところなく写し出してくれる。APO-LANTHAR 50mmのようなマニュアルフォーカスレンズでも、ビューファインダーをのぞきながらフォーカスピーキング機能を使えば確実なピント合わせが可能となる。
SONY α7R III ILCE-7RM3思いのほか、それぞれのレンズには特徴がある。無難さならFE 50mm F1.8だろうし、Planar T* FE 50mm F1.4の描写もクセになる。そして、究極の1本ともいえるAPO-LANTHAR 50mmもある。これだけ豊富なバリエーションから選べるのもソニーEマウントの魅力だろう。
SONY
FE 50mm F1.8 SEL50F18F
最安価格円
発売日2016/4/28
2016年4月発売の軽量コンパクトかつ手頃な価格のレンズ。重さは186gと今回テストしたレンズの中では最軽量となっている。レンズ構成は5群6枚で絞り羽は7枚と比較的シンプルな設計。
[ 作例 ]
セッティング:絞り優先オート F2 1/1000秒 -0.7補正 ISO100
開放絞りからクセの少ないレンズだけにスナップや風景でも使いやすい。何げない景色を撮っても単焦点レンズらしいナチュラルなボケが得られ、立体感が感じられる仕上がりとなった。ほどほどの解像力が逆にやさしい写真を生み出してくれると感じた。
総論:価格の安さと素直な描写。常時携帯して気軽にあれこれ撮るのに便利
50mmの単焦点レンズといえば、最も手軽に使えるレンズのひとつだが、その意味ではこのレンズがふさわしいと感じられる。クセのない描写は初心者でも楽しめる。カメラバッグに入れていてもかさ張ることはなく、ポケット入れて持ち歩くこともできるのは大きな魅力。
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
最安価格円
発売日2016/7/29
2016年7月発売。ソニー純正レンズだが、カールツァイスのPlanar(プラナー)の名を冠したプレミアムレンズ。50mm F1.4という標準的な仕様ながらも9群12枚のレンズ構成で778gとヘビー級のレンズに仕上がっている。非球面レンズ2枚、特殊低分散ガラス1枚を用いるなど、スペック的にもぬかりのない1本となっている。
[ 作例 ]
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/100秒 +0.3補正 ISO100
ポートレートなどボケを生かした撮影をすると独特のボケ感が面白いのだが、遠景風景などボケの少ない写真を撮ってもこのレンズの良さは感じられる。絞って遠景を撮ると思いのほかクセはなく、とてもシャープかつコントラストが高いため使いやすい。
総論:スナップでもポートレートでもボケを楽しむ撮影に向く
純正標準レンズとしては価格も高く、大きさ重さも飛び抜けている。Planarというレンズにそれだけの価値を見いだせるかが購入判断の分かれ目となる。優等生レンズが多い中、このレンズの独特の描写は一度使うとクセになる。絞った場合の解像力は高いため、風景撮影に向くほか、さらにスナップやポートレートでボケを楽しみたいならこのレンズがおすすめだ。
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
最安価格円
発売日2013/12/20
2013年12月発売とフルサイズEマウント標準レンズとしては最も古い。レンズ構成は5群7枚で絞り羽は9枚円形絞り。開放F値をF1.8に抑えることで281gの重さに抑えることに成功している。筐体(きょうたい)の大きさもコンパクトで気軽に使えるツァイスレンズだ。
[ 作例 ]
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/4000秒 露出補正なし ISO100
開放F1.8のレンズだが55mmという焦点距離だけに思いのほかボケは大きい。ボケ味は被写体と背景の距離によって印象は異なり、距離が離れた大きなボケは比較的うるさい印象もある。ひまわり畑の写真ではピント面のシャープさとボケの大きさがあいまって非常に立体感のある写真に仕上がってくれた。
総論:やや描写にクセはあるが大きめのボケを生かしたポートレート撮影などに便利
50mmと55mmの焦点距離の差は思いのほか大きく、50mmレンズの感覚で使うというよりは中望遠レンズに近いイメージといえるかもしれない。その分、同じF値でもボケは大きくなるため、大きなボケを生かしたポートレートなどに向く。Planar T* FE 50mm F1.4のように絞りリングを装備しているわけではなく、外観からはツァイスレンズという印象は薄い。価格のわりには高級感が少ないのは少し残念。
コシナ
フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
最安価格円
発売日2019/12/12
2019年12月発売と比較的新しいレンズ。AF機能を持たないマニュアルフォーカスだが、マウントには電子接点を装備し、距離エンコーダー内蔵によりカメラボディ内の5軸手ぶれ補正機構にも対応している。軸状色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計を採用し、最高の描写力を目指した1本。レンズ構成は8群10枚で絞り羽は12枚の円形絞りとなっている。
[ 作例 ]
セッティング:絞り優先オート F2 1/2000秒 -1補正 ISO100
ファインダーをのぞきながらのピント合わせが楽しくなるレンズ。電子ビューファインダーを採用するミラーレスカメラだからこそマニュアルフォーカスでここまで楽しめるのだと感じる。ピント面の描写と滑らかなボケの美しさはこのレンズならではといえるだろう。
総論:ボケも解像感も優秀で何にでも向くマニュアルフォーカスレンズ
描写は非常に優秀。オールドレンズのようなデザインと金属外装を採用する高級感は持つ喜びを感じさせてくれる。フォーカスリングを回すと自動的にファインダー像を表示拡大してくれるなど、サードパーティー製レンズながらも純正感覚で楽しめるのもいい。マニュアルフォーカスを楽しんでみたいと思う人には、ぜひともおすすめしたいレンズだ。
カールツァイス
Batis 2/40 CF
最安価格円
発売日2018/11/22
2018年11月発売のサードパーティー製オートフォーカスレンズ。レンズ構成は8群9枚で絞り羽は9枚。40mmというやや短い焦点距離で、標準レンズとして使うとややワイド寄りの画角と感じる。レンズ鏡筒部には距離表示のための有機ELディスプレイを備えるなど独特の高級感を醸し出している。
[ 作例 ]
セッティング:絞り優先オート F2 1/100秒 -0.7補正 ISO100
40mmという独特の焦点距離はスナップ撮影に最適と感じる。標準レンズというよりは準広角レンズと考えたほうがいいだろう。作例にある枯れ木の写真のように、被写体にグッと近寄って撮ると広角レンズのようなパースがついた印象となるのもこのレンズらしいところ。
総論:滑らかなボケを生かした撮影や画角の広さと解像力を生かした風景スナップに適した1本
40mm F2.0というスペックのため、ほかのレンズに比べるとボケは少ないように感じる。このため、大きくぼかしたいシーンよりも滑らかで自然なボケを生かすような撮り方や、周辺部の解像力の高さを生かした風景スナップなどが合うように感じる。純正レンズとはひと味違った質感、写真の仕上がりが得られるだけにバリエーションが欲しい人には魅力的といえるだろう。
検証・監修
塙真一 Shinichi Hanawa
東京都出身。
人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。
また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。
写真展の開催も多数。