SDメモリーカードの選び方
デジタルカメラやドライブレコーダー、ゲーム機など、デジタル機器の記録メディアとして使われているSDメモリーカード。各製品には性能を表すロゴや数字が記載されているため、その意味をしっかりと理解して、用途に合った製品を選ぶことが大切です。ここではSDメモリーカードの基礎知識や用途・使用機器別の選び方のポイントなどを詳しく解説します。
2022/6/6 更新
目次
SDメモリーカードとは、2000年に東芝、パナソニック、米サンディスク社が共同で開発した小型のフラッシュメモリーカードのこと。用途によって適した製品が異なるため、使用する機器がどのタイプのSDメモリーカードに対応しているかを確認しましょう。
SDメモリーカードはサイズによって2種類に分かれる
SDメモリーカードには2種類の形状があります。1つは切手ほどのサイズで、デジタルカメラやビデオカメラなどで使用される「SDメモリーカード(以下、SDカード)」。もう1つがSDカードよりさらにコンパクトで、スマートフォンやドライブレコーダー、ゲーム機などで使われている「microSDメモリーカード(以下、microSDカード)」です。
〜2GB | 4GB〜32GB | 64GB〜2TB | 2TB〜128TB | |
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SDカード |
![]() SDカード |
![]() SDHCカード |
![]() SDXCカード |
![]() SDUCカード |
microSDカード |
![]() microSDカード |
![]() microSDHCカード |
![]() microSDXCカード |
![]() microSDUCカード |
SDカードとmicroSDカードは、容量によって「SD」「SDHC」「SDXC」の3つの規格に分けられます。最大容量は、SDが2GB、SDHCが32GB、SDXCが2TBと規定されています。
※2018年に最大容量128TBの新規格「SDUC」が発表され、今後製品として発売される予定です。
32GB | 64GB | 128GB | 256GB | 512GB | |
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静止画(約2,400万画素) | 約1,250枚 | 約2,500枚 | 約5,000枚 | 約10,000枚 | 約20,000枚 |
動画(4K) | 約1時間7分 | 約2時間15分 | 約4時間30分 | 約9時間 | 約18時間 |
動画(フルHD) | 約2時間25分 | 約4時間50分 | 約9時間40分 | 約19時間20分 | 約38時間40分 |
音楽 | 約4,000曲 | 約8,000曲 | 約16,000曲 | 約32,000曲 | 約64,000曲 |
※数値はあくまでも目安です。記録ファイル容量は機器、状況などにより変わる場合があります。
カードの規格 | 機器に求められる対応規格 | 最大容量 |
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SDXC | SDXC | 2TB |
SDHC | SDHC / SDXC | 32GB |
SD | SD / SDHC / SDXC | 2GB |
※機器に求められる対応規格はいずれかを満たしていれば対応
SDカードとmicroSDカードの規格は、下位互換のみのため、購入前に必ず機器の対応規格を確認しましょう。SDはほかの規格の対応機器でも使えますが、SDHCはSD規格のみ対応の機器では使えません。特に古いデジタルカメラやスマートフォンで使用する場合は注意が必要です。
SDカード変換アダプターとは?
microSDカードは「SDカード変換アダプター」を利用することで、SDカード用の機器でも使用できます。SDカードの形をしたアダプターにmicroSDカードをセットすれば、SDカードスロットに挿入して使えます。スマホやデジタルオーディオプレーヤーはmicroSDカード対応機器が大半ですが、デジタルカメラやパソコンはSDカード対応機が多いため、そのギャップを埋めるために役立ちます。
SDカードやmicroSDカードのラベルに記載されている記号や数字は、各カード(各製品)の重要なスペックを表しています。ここでは、「規格」と「記録容量」について解説します。
「最大転送速度」「スピードクラス」「UHSスピードクラス」「UHS規格」「ビデオスピードクラス」「アプリケーションパフォーマンスクラス」は、いずれも速度に関するスペックです。それぞれの違いや用途に応じてどのスペックに注目すればよいかについては、次の「スピードの規格と違い」のセクションで詳しく解説します。
SDカードには「SD」「SDHC」「SDXC」、microSDカードには「microSD」「microSDHC」「microSDXC」と、それぞれ3種類の規格があります。その違いは容量で、SDは最大2GB、SDHCは最大32GB、SDXCは最大2TBまでとなっています。
記録できるメモリー容量を示しています。容量は16GB→32GB→64GBと2倍ずつ増えていきます。なお、記憶容量が「128GB」と表示されていても、実際に記録できる容量は128GBより少なくなります。PCのOSとメーカーでは、メガバイト計算法が異なるためです。
速い
遅い
最低保証 速度 |
スピード クラス |
UHS スピード クラス |
ビデオ スピード クラス |
動画の 解像度 |
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90MB/秒 | ![]() |
8Kビデオ |
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60MB/秒 | ![]() |
4Kビデオ |
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30MB/秒 | ![]() |
![]() |
HD/フルHDビデオ |
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10MB/秒 | ![]() |
![]() |
![]() |
スタンダードビデオ |
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6MB/秒 | ![]() |
![]() |
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4MB/秒 | ![]() |
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2MB/秒 | ![]() |
高性能な機器を使用して写真や動画を撮影しても、スムーズに保存ができないとその性能を十分に発揮することができません。そのため、SDメモリーカードを選ぶときに最も重要なのは「書き込み速度」です。「スピードクラス」は、動画などを転送し続けるときの最低速度を示します。「UHSスピードクラス」はSDHC・SDXCカード用に開発されたUHS対応機器での最低速度で、「スピードクラス」より高速なクラスが存在します。特に連続写真などを撮影する場合は、「UHS規格」と「UHSスピードクラス」をチェックしましょう。書き込み速度の速い製品を使用すれば、次々とシャッターを切ることができます。動画を録画する場合は、「ビデオスピードクラス」を確認。「ビデオスピードクラス」は高画質動画を撮影するときの基準です。SDメモリーカードを使用する機器側(一眼レフカメラやビデオカメラなど)でクラスの指定がある場合は、それに合わせましょう。
カードにデータを書き込む速度と、読み込み速度があります。カード表記されている速度は主に読み込み速度です。最高速度なので、参考程度に考えるとよいでしょう。
最大転送速度で選ぶ
UHS対応機器向けの最低転送速度を保証する規格です。「UHSスピードクラス1」は10MB/秒、「UHSスピードクラス3」は30MB/秒が保証されています。保証速度を発揮するには、SDカードと使用機器の両方がUHSスピードクラスに対応している必要があります。どちらかが対応していない場合は、スピードクラスが適応されます。
ローマ数字は「UHS規格対応」を表しています。UHSとは「Ultra High Speed」の略で、SDHC・SDXCカードで用いられる転送速度に関する規格です。理論値で、UHS-Iは最大104MB/秒、UHS-IIで最大312MB/秒、UHS-IIIで最大624MB/秒まで対応できます。なお、UHS-II以上のカードは裏の電極が2列になっているため、機器側が対応していないとUHS-I規格として認識されます。
UHS規格とスピードクラスで選ぶ
UHSスピードクラスやスピードクラスと同様に最低転送速度を保証する規格。4Kや8Kなど高画質な動画を撮影する機器向けに策定された規格で、3D NANDなどの次世代フラッシュメモリーにも対応しています。「V」の横の数字が速度を表しており、「V60」なら最低保証速度が60MB/秒であることを示します。
ビデオスピードクラスで選ぶ
参考スペック
規格:SDXCメモリーカード、microSDXCメモリーカード
スピードクラス:CLASS10
UHSスピードクラス:Class3
ビデオスピードクラス:V30以上
メモリー容量:128GB以上
デジタル一眼レフやビデオカメラで4K動画撮影をする場合は、「スピードクラス10」「UHSスピードクラス Class3」「ビデオスピードクラスV30」以上のスペックを備えた製品が適しています。デジタルカメラで静止画撮影のみの用途であれば、書き込み速度はさほど重要ではありませんが、連写撮影を行う場合は、UHSスピードクラス3を選んだほうが、次々とシャッターを切ることができ快適です。なお、データ容量は128GB以上あるとよいでしょう。目安として4K動画を約4時間30分保存することができます。
参考スペック
規格:SDXCメモリーカード、microSDXCメモリーカード
ビデオスピードクラス:V30以上
メモリー容量:64GB以上
動画撮影をメインに行う場合は、書き込み速度のばらつきがない「ビデオスピードクラスV30」以上の製品が適しています。写真の連続撮影を多用する場合や8K動画を撮影する場合は、価格は上がりますが高速な「UHS-II対応」の製品を選ぶとより快適。データ容量は64GB以上のものを選ぶとよいでしょう。目安として、フルHD動画を約5時間保存することができます。
参考スペック
規格:microSDXCメモリーカード
メモリー容量:64GB以上
Androidスマートフォンでは、写真・動画やアプリなどをmicroSDカードに保存することができます(※一部非対応製品あり)。選択のポイントは、速度よりも容量の大きさです。また、ゲーム機(Nintendo Switchなど)でダウンロード版のゲームをメインで遊ぶ場合も、容量を追加しておくとスムーズに楽しめます。必要な容量は用途によって異なりますが、64GB以上の製品を選ぶとよいでしょう。目安ですが、64GBで約2,400万画素の写真を2,500枚程度、フルHD動画が約5時間保存可能です。
※iPhoneにはSDカードを挿入するスロットがないため、iCloudなどのクラウドでデータを保管するのが一般的です。
参考スペック
耐衝撃機能
耐温度機能
防水・耐水機能
メモリー容量:32GB以上
ドライブレコーダーやカーナビは、常に読み込みと書き込みを繰り返しているため、耐久性の高さがポイントです。さらに、事故や故障などで電源が落ちた場合でもデータの破損を防ぐ「耐衝撃機能」、車内の高温・低温に強い「耐温度機能」、「防水・耐水機能」などを搭載していると便利です。容量は32GB以上を選びましょう。目安としてフルHD動画を約2時間30分保存できます。
参考スペック
microSDカード
メモリー容量128GB以上
多くのデジタルオーディオプレーヤーは、内蔵メモリーのほかにmicroSDカードスロットを搭載しています。容量の大きいハイレゾ音源を楽しむ場合は、大容量のmicroSDカードが不可欠になるからです。ただし、プレーヤーによっては、読み込めるmicroSDカードの最大容量が限られるので、購入する際には注意が必要です。
SDカード、microSDカードの規格策定にも携わり、企業とユーザーの双方から高い信頼を得ているアメリカのメーカー。スタンダードからプロ向け製品まで、幅広いラインアップを揃えています。ドライブレコーダー向けや防犯カメラ用など、高耐久性の製品も取り扱っています。
フラッシュメモリー市場で世界2位のシェアを誇る国産ブランド。最新のフラッシュメモリー技術を搭載したmicroSDカードは、スマートフォンやドローン、ドライブレコーダーなどで定評があり、SDカードは、一眼レフやミラーレスカメラ向けの多彩な製品を展開しています。
レキサーは、中国に拠点を置くLongsys社のフラッシュメモリーブランド。すべての製品は独自のクオリティラボで厳しい品質テストを行っています。日本での知名度は低いながらも、SDカードやmicroSDカードのほか、次世代のCFexpressカードのラインアップも展開しています。
防水・耐水性能を備えていると、万一端末が破損や水没した場合も安心です。ただし、SDカードやmicroSDカードがぬれたままの状態で機器に挿入するのはNG。必ずカードについた水や汚れを拭き取りましょう。
雨や砂埃が多い場所など、厳しい自然環境で使用する際に、あると便利な性能です。埃や粉塵がSDカードやmicroSDカードの内部に侵入しないように、一体成型で完全密閉された製品が多く見られます。
スマートフォンやタブレットなど、頻繁に持ち運ぶ機器で使用する場合や、ドライブレコーダーなどで車に搭載する場合は、落下や衝突の衝撃に耐える、耐衝撃性を備えていると安心です。
カーナビやドライブレコーダーで使用する際は、車内の高温・低温に強い耐温度機能をチェックしましょう。特に夏の暑さで車内温度が上がりすぎたり、冬の寒さで車内温度が下がりすぎたりすると、データを読み込めなくなることもあるため要注意です。
SDメモリーカードをカメラで使用する場合は、耐X線性能を備えているかもチェックしましょう。耐X線とは、空港のX線手荷物検査による影響を受けない性能のことです。
耐磁性は、磁気を発する家電製品のそばに近づけても、データに影響が出ない性能のことです。大切なデータも耐磁性を備えた製品であればより安心です。
アダプターに装着することで使えます。
多くのmicroSDカードにはSDカードアダプターが付属します。これを使えば、SDカードとして利用可能です。microSDカードとSDカードは大きさが違うだけで電気的には同じなので、理論上は転送速度が落ちないとされていますが保証されているわけではありません。また、アダプターを介す分だけ接点が増えるため、接触不良が起こる可能性があるので注意しましょう。
あまりおすすめしません。
SDカードの中には頑丈さを売りにしている製品もありますが、静電気や衝撃でデータが消えてしまう可能性は少なからずあります。撮影した写真は、ハードディスクやDVD、ブルーレイディスクなどに記録しておくのが安心です。
どちらの規格のカードも使えます。
反対に、SDやSDHC規格までしか対応してない機器にSDXC規格のカードを使用することはできません。SD規格のみ対応機器ではSDXCとSDHC規格のカードは両方とも使えません。カードを購入する際は、使用する機器の仕様を必ず確認しましょう。
使えますが、転送速度は低下します。
UHS非対応のデジタルカメラでもUHSのカードを使うことはできますが、転送速度はスピードクラスの規格となり、低下してしまいます。
主に転送速度の違いです。
転送速度が速いものほど、価格は高くなります。つまり、UHS-I対応の製品は高価になりますし、スピードクラス6よりも同10の製品のほうが価格は高くなります。
最大読み出し速度
カードに記録したデータを読み出すときの最大の速度ですが、実効速度はさらに遅くなります。「最低でもこのスピードは出る」という最低保証速度はスピードクラスで規定されます。