カーナビの選び方
「カーナビはどんなタイプがあるの?」「この機能はなに?」など、カーナビ選びの際に浮かぶ疑問を解決できるのが選び方ガイドです。近年、増加しているスマホのナビアプリとの違いや、カーナビのタイプ別の特長など、選ぶうえでのポイントを紹介します。
2022/6/21 更新
目次
カーナビは、衛星を利用したGPS(全地球測位システム)によって自車位置を確認し、自車の位置を基点に目的地までの最適なルートを検索・表示してくれるシステムです。もはやドライバーにとって必須アイテムとなっているカーナビですが、最近はスマートフォンをダッシュボード上に設置してカーナビ代わりに利用する人も増えています。また、スマホのアプリをカーナビの画面でダイレクトに利用できるシステムも登場しています。ここでは、カーナビとスマホアプリのメリット・デメリットなど、それぞれの特長を確認しましょう。
スマホのアプリをダイレクトに使えるカーナビが登場!
近年、カーナビでスマホのアプリを利用できる「Apple Car Play」や「Android Auto」に対応した製品が増えています。「Apple CarPlay」とはiOSに、「Android Auto」とはAndroidに対応したシステムで、カーナビとスマホをUSBやBluetoothで接続することで、経路案内はもちろん、メッセージや電話着信の通知・応答、音楽再生、アシスタントAI(Siri、Googleアシスタント)の利用などが可能です。当然、地図アプリも使用可能で、「たとえば高速を降りるまでは通信制限のないカーナビを活用し、都市圏に入ったら最新の道路情報が得られるスマホの地図に切り替える」など、双方の特長を生かした使い方ができます。
カーナビを選ぶ際には、自分の車に設置できるかどうかを確認しましょう。ダッシュボードに埋め込むタイプの「一体型」は、視界を遮ることなく、見た目もすっきりと収まります。ラインアップも豊富ですが、車種によっては設置できないことがあります。その場合は、ダッシュボード上に取り付ける「ポータブルタイプ」を選びましょう。
ダッシュボードに埋め込むことができる「一体型(2DIN)」は、視界を遮らないうえ、配線などが露出せず、見た目がすっきりと収まります。また、スタンダードモデルのほか、ハイスペックモデル、大型ディスプレイタイプなど、ラインアップも豊富です。ただし、自分の車が「一体型(2DIN)」に対応しているのかを確認する必要があります。
@車が一体型(2DIN)に対応しているか
「車」のメーカー or ディーラーに確認
A購入予定のカーナビが、取り付けたい車に対応しているか
「カーナビ」の取り付け対応表 or メーカーに直接確認
ラインアップが豊富な「一体型」ですが、車種によっては対応していないケースもあります。そこで、車のメーカーやディーラーなどで、自分の車(カーナビを設置予定の車)が「一体型(2DIN)」のカーナビに対応しているか、購入予定のカーナビが車に対応しているかを確認しましょう。
「ポータブルタイプ」は、車種を問わずに設置できます。ただし、ダッシュボードの上に取り付けるため、設置場所によっては運転中の視界を遮る可能性もあります。また、「一体型(2DIN)」と比較すると配線などが目立ってしまいます。持ち運びが簡単で、車以外にも、自転車やバイク、散歩などで利用することができる点が魅力です。
「一体型(2DIN)」の主流は7型です。理由は、カーナビなどのサイズの基準となる「DIN」という規格2個分の大きさ(=2DIN)に、7型がピッタリと収まるからです。「ポータブルタイプ」は、7型よりも小さい5型もラインアップされています。 なお、7型よりも大きなサイズのカーナビは、画面は見やすくなりますが、設置場所によっては前方の視界を遮る場合もあります。また、車種によってはそもそも取り付けられないケースもあるので、購入前に自分の車が7型以上のサイズのカーナビに適合しているのかを確認しましょう。
画面が小さい5型は、持ち運びに適しています。そのため、ポータブルタイプに多くラインアップされています。また、ダッシュボードに設置しても視界を遮りにくいのも特徴です。
「一体型(2DIN)」の規格にピッタリと適合するため、7型は最もラインアップが豊富です。7型ワイドは、7型と比較して横幅が20mmほど大きくなります。※なお、メーカーによっては180mmモデル、200mmワイドモデルと表記される場合もあります。
8型以上のカーナビは2DIN規格のサイズを超えるため、車種によっては取り付けられない場合もありますが、8~9型は比較的取り付けられる車種が多いサイズです。主流の7型よりも画面サイズがひとまわり大きくなるため、視認性は高くなります。
「10型以上」のサイズは、ミニバン向けのカーナビに多く採用されています。7型などの主流サイズと比較すると、適合する車種が限られてしまいますが、その車種専用の設計で一体感の高いデザインに仕上げられているモデルが多いのも特長です。
カーナビのサイズを決めたら、豊富な機能の中から必要な機能の有無で、最適なカーナビを絞り込んでいきます。予算が許せば、豊富な機能を搭載したハイエンドモデルを選択するとよいですが、限られた予算で最適な製品を探すためには、自分が求める機能に優先順位をつけることが大切です。ここではカーナビを選ぶ際に肝となる6つの代表的な機能を紹介します。
Bluetoothは、近距離にあるデジタル機器同士をつなぐ無線通信規格の1つです。Bluetooth機能によりカーナビとスマホを連携することで、スマホ内の楽曲をカーステレオで再生したり、ハンズフリー機能を使って電話の発着信をカーナビの画面上から行えたりします。カーナビと連携させるスマホを一度設定(登録)するだけで、2回目以降は乗車時に自動で接続してくれます。
カーナビには、一時停止や速度制限などの交通規制を事前に案内してくれる機能を備えたモデルがあります。「一時停止表示」は進行方向上にある一時停止標識までの距離を案内し、「制限速度表示」は走行中の道路の制限速度を表示します。また、高速道路での逆走や制限速度の超過などを警告してくれる機能を備えたモデル、フロントカメラとの連動で誤発進などの注意喚起を促してくれる製品もあります。
万が一、事件や事故が発生したときの記録用として、近年ニーズが高まっているドライブレコーダー(以下、ドラレコ)。カーナビの中にはドラレコ機能を内蔵したモデルがあり、撮影した映像をカーナビのモニター画面で確認したり、カーナビの画面からドラレコの細かな設定を操作したりすることができます。また、ドラレコがカーナビとセットで同梱されているモデルもあります。
VICSとは渋滞や交通規制などの交通情報を受信し、カーナビに表示してくれるシステムです。VICS WIDEにも対応していれば、目的地までのより正確な時間の表示や、災害などの緊急情報の受信ができるようになります。
通常のテレビ放送を受信できるのが、フルセグ対応のモデルです。自宅などで視聴するテレビとそん色のない高画質が特徴ですが、電波が途切れやすいというデメリットがあります。それに対してワンセグは、携帯端末向けのため安定して受信できますが、画質は悪くなります。
ハイレゾとはハイレゾリューションの略で、CDを超える高音質のことを指します。カーオーディオで高音質な楽曲を聴きたい人には必須の機能です。当然ですが、ハイレゾ楽曲の音質を楽しむためには、ハイレゾ対応のカーナビを選ぶ必要があります。
パナソニックの「ストラーダ」シリーズは、スマホなどとBluetooth接続して音楽を聴いたり、音楽CDを最大8倍速でSDカードに録音したり、豊富な機能を備えています。「ストラーダ CN-RE07WD」は、全国の市街地を100%カバーした「全国市街地図」搭載し、現在地の把握や目的地の特定がしやすいのが特長。別売の前後2カメラドライブレコーダーと連携することで、後続車のあおり運転等をカーナビ画面で確認できます。
1997年の登場以来、カーナビ界をけん引してきたのがパイオニアの「サイバーナビ」です。「サイバーナビ AVIC-CQ911-DC」は、同梱のネットワークスティックを利用することでスマホ代わりに動画などを楽しめるハイエンド9型モデル。「自動地図更新」機能により、道路情報や施設情報を自動でダウンロードできるほか、車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応。手持ちの「Amazon Fire TV Stick」を接続すれば映画やドラマなども楽しめます。
イクリプス「AVN」シリーズは、高性能のCPU搭載によりタッチパネルの反応がよく、ピンチやフリックなど、スマホと同じ感覚で操作できるほどの使いやすさが特徴です。汎用性の高い7型ワイドサイズの「AVN-LS01W」は、クアッドコアCPUを搭載し、操作がスムーズ。リアル3D交差点拡大図で複雑な交差点も安心です。そのほか、英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語、日本語の多言語に対応。
アルパイン「ビッグX」シリーズは、ブラインドタッチがしづらいタッチパネルの弱点を補うため、「ボイスタッチ」という音声入力システムを導入していています。地図の拡大・縮小やルート検索、操作のキャンセルまで、音声対応します。ミニバン向けモデル「ビッグX EX11Z」は、車種専用デザインのため使用できる車は限られますが、7型の2倍以上の広い地図表示エリアで快適なドライブをサポートします。
その名のとおり、高画質とタッチパネルの反応の速さが売りの「彩速ナビ」は、カーナビで初めてハイレゾ音源に対応したシリーズです。人気の「彩速ナビ MDV-M907HDF」は、地上デジタルTVチューナー/Bluetooth内蔵、DVD/USB/SDに対応した9V型フローティングモデル。独自の機構技術により、走行時の振動によるディスプレイの不快なブレを大幅に低減しています。そのほか、モニターパネルの前面右側に大型でフラットな静電タッチキーを配置し、操作しやすい点も魅力です。
ユピテルのカーナビは、ガイドブックでもおなじみの「マップル」をベースとした地図表示で見やすく、ガイド情報も充実しています。取り締まりエリアなどの警告・警報データも収録。フルフラットディスプレイでスッキリとした見た目が特徴の「YPF7550ML」は、逆走や事故を防ぐ安全運転アシスト機能を搭載しており、運転に自信がない人に向いています。
バックカメラに対応したカーナビであれば、バックで駐車するときなど、目視できない後部をディスプレイで確認できます。ハンドルの切り返しに応じて補助線も進行方向に曲がる連動機能を備えたモデルもあります。※なお、バックカメラが標準装備されているものと、別売になっているものがあるので購入前にしっかりと確認してください。
従来のカーナビは地図情報の更新にかかる手間や費用がネックでしたが、最近はスマホとBluetoothで連携するなど、簡単に最新版へ更新できるようになっています。また、以前に比べて費用も抑えられています。
高速道路の本線やサービスエリアなどから一般道へ出入りできるETC専用のIC(インターチェンジ)をルート検索に含める機能です。ルートの選択肢が広がり、場所によっては到着時間の短縮が見込めます。
フルセグの地デジチューナーを搭載する製品の1つです。4つのチューナーと4つのアンテナを搭載しており、チューナーとアンテナを1組しか持たない通常の機種より安定した受信を実現できます。
ほとんどの製品が画面をタッチして操作できるタッチパネルを搭載しています。以前のようなモッサリ感はだいぶ減り、スマホのようにピンチやフリックなどの動作で画面操作できるものが多く登場しています。
住宅地や学校の近くなどの生活道路に設けられている、時速30km制限区域を「ゾーン30」といいます。このエリアを色分けして表示し、進入したら知らせてくれる機能です。普段通らない道や初めて訪れる地域での運転をサポートします。
以前はHDDタイプが主流だった記録メディアですが、現在はメモリータイプを搭載する機種がほとんどです。中にはSSDタイプというものもありますが、機構的にはメモリータイプの一部で特徴も同じです。
フラッシュメモリーやSDカードを使用した「メモリータイプ」は、機械的に動作するパーツがないので、衝撃に強いといわれています。以前はポータブルタイプのカーナビに採用されることが多かったのですが、大容量化と低価格化により、現在は多くの機種に採用されています。
HDDよりも起動やデータの読み書きが速く、多くのノートパソコンに搭載されているSSDは、カーナビでも一部の機種に採用されています。機構としてはフラッシュメモリーと同じです。
スマホと連携して音楽や動画を楽しめるカーナビが増えていますが、CDやDVDなどの光学ドライブを搭載しているものも多く残っています。数は少ないですが、Blu-rayディスクに対応している製品もあります。
音声でカーナビを操作する機能です。目的地検索や地図の拡大・縮小などの操作を音声で行えます。
料金の支払いだけでなく、渋滞や事故の情報を受信できる「ETC2.0」。カーナビが対応していれば、それらの情報を画面上で確認することができます。ただし、ETCカードを挿入するユニットも「ETC2.0」に対応していなければなりません。
DINとはドイツ規格協会が定める工業規格で、1DINは高さ50mm×幅180mmの大きさです。
車のダッシュボードに設置するカーナビやオーディオ機器の外寸サイズとして、一般的に採用されている規格です。多くの製品が1DINサイズ、もしくは1DINを上下にふたつ並べたサイズの2DINサイズとなっています。
DIN規格を採用していない車は、市販品を設置できません。
高級車や欧州車にはインテリアデザインを優先してDIN規格を採用せず、オリジナルサイズのカーナビを設置した車があります。その場合は、市販品と交換ができないだけでなく、そもそも純正品を取り外すことができないケースもあります。
メモリーカードを使ったり、Wi-FiやBluetoothでダウンロードしたりして更新します。
更新方法は機種によって異なります。PCでダウンロードした更新データを記録したメモリーカードを本体に読み込ませる方法や、Wi-Fiでネットワークに接続したり、Bluetoothでスマホと連携させたりして更新する機種も増えています。
はい。情報の種類が違います。
プローブ交通情報とは、車の走行データをもとに作られた道路交通情報です。一方のVICSとは、道路交通情報通信システムセンターが配信する、渋滞や交通規制などの道路交通情報です。カーナビでは、これらの情報を利用して渋滞や所要時間などを表示しています。
カー用品店で付け替えできます。
純正品は無理ですが、市販品のカーナビであれば、もちろん付け替えることができます。ただし、1DINのスペースしかない車に2DINタイプは設置できないなど、車によって対応できないこともあります。
店舗にもよりますがおよそ2万円前後です。
カーナビを買った店舗で取り付ける場合はおよそ2万円が相場ですが、インターネットなど別途購入したカーナビを取り付ける場合は、料金が割高になってしまったり、そもそも受け付けてくれなかったりするケースもあります。
走行時操作制限
カーナビでは安全上の配慮から、走行中に一部の操作ができなくなっています。
DAC
デジタルの音源をスピーカーから再生するためにアナログ信号に変換するD/Aコンバーターのことです。最近は、ハイレゾ音源で音楽を楽しむことができるカーナビが登場しており、高性能のDACを搭載する機種が増えてきました。
PND
Personal(もしくはPortable) Navigation Deviceの略です。本体に地図データを収録し、小型のモニターを実装した持ち運び可能なカーナビで、ポータブルタイプのことを指します。自動車の運転中だけでなく、自転車やバイク、徒歩での街歩きにも使えます。
SSD
Solid State Driveの略で、データを記憶するストレージとして、HDDの代わりにノートパソコンなどに採用されています。HDDと比べると容量当たりの単価は高くなりますが、振動や衝撃に強く、省電力、データの読み出し速度が速いなどのメリットがあります。