ETC車載器の選び方
どれも同じように見えるETC車載器、「どうやって自分に合った製品を選べばいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか? ここでは、ETC車載器の種類やETC2.0の機能、買い替えが必要になる旧スプリアス規格、新・旧セキュリティ規格の見分け方など、ETC車載器の選び方を詳しく解説します。
2023/2/28 更新
目次
ETCって何?
ETCとは、「Electronic Toll Collection System」の略で、日本語に訳すと「電子式料金自動収受システム」となります。高速道路や有料道路において料金を自動で支払うシステムのことです。料金所ゲートに設置されたアンテナと車両に搭載した車載器を無線でつなぎ、車載器にあらかじめ挿入しておいたETCカード(クレジットカード)から料金を支払うことができるというもの。これにより、ETC車載器を搭載し、ETCカードを挿入した車両は料金所で停止することなくスムーズに通過できるようになります。なお、2022年10月時点のETC利用率は94.0%(国土交通省)となっており、広く普及していることがわかります。
ETCにはどんなメリットがあるの?
1.ETC割引
ETC割引は、ETCを利用すると通行料金が割引になるというもの。主な割引には、平日朝夕割引、休日割引、深夜割引、対距離料金などがあります。詳しくは利用する区間の高速道路会社(NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本)のサイトをご確認ください。
2.「スマートIC」を利用できる
スマートICとは、ETC専用インターチェンジのことで、有効なETCカードを車載器に挿入している車両のみ利用できます。なお、スマートICは、開閉バーの手前でいったん停止した後、通信が行われ開閉バーが開くシステムのため、通常の料金所のETCレーンのように停止せずに通過することはできません。また、ETC以外の支払い方法(現金やクレジットカードなど)は使えないので注意しましょう。
ETCを利用するには、まずクレジットカード会社の発行するETCカードを取得する必要があります。ETCカードを取得後、車両にETC車載器を取り付け、車載器にETCカードを挿入すれば準備は完了です。ETC車載器には車両情報を登録する必要があるため、取り付けは必ずETCセットアップ取扱店舗にて行いましょう。なお、自分のETCカードをレンタカーやほかの人の車に乗るとき使うことも可能で、通行料金はカード名義人に請求されます。
ETCを利用するための手順
※車両情報の登録はセットアップ店で行うこと
ETCカードをお探しの方はこちらへ
ETC車載器には、主に「アンテナ分離型」と「アンテナ一体型」の2種類があります。車載器の取り付け位置の自由度が高いなどの理由で、現在はアンテナ分離型が主流となっていますが、設置方法・使いやすさなど、それぞれに特徴があります。
ETC車載器本体とアンテナが分かれているタイプ
小型のアンテナをダッシュボードやフロントガラスなどに設置し、車載器本体は、グローブボックスやコンソールボックスなど、車の外側から目につきにくい位置に設置できます。目立つ場所に本体を設置しなくてよいので、見た目がすっきりします。また、ETCカードが挿入されていても車外から見えにくくなり、防犯面でも安心です。
【アンテナ分離型の特徴】
ETC車載器本体にアンテナが内蔵されているタイプ
アンテナ一体型は、ETC車載器本体にアンテナが内蔵されているタイプです。そのため、ETCレーンの受信機との通信を妨げないダッシュボードの上などに設置するのが一般的です。アンテナと本体をそれぞれ設置する手間がなく、比較的簡単に取り付けることができます。また、ETCカードの装着や取り外しといった操作も行いやすく、カードの取り忘れに気付きやすいという特徴があります。
【アンテナ一体型の特徴】
今後の主流となる「ETC2.0」を選ぶと◎
ETC2.0とは?
ETC2.0は、従来の料金収受機能にとどまらず、高速道路をより賢く使うことができるシステムです。全国の高速道路に設置された通信アンテナ「ITSスポット」とETC2.0対応車載器、カーナビなどを連携させ、高速大容量のDSRC通信方式により双方向通信をすることで、さまざまなサービスを提供します。具体的なサービス内容としては、「渋滞の迂回ルートを教える」「安全運転をサポートする」「災害時に適切な誘導をする」などがあげられます。なお、ETC2.0のサービスを受けるためには、ETC2.0対応車載器を購入し、セットアップする必要があります。2016年から本格的な運用が開始されたETC2.0ですが、2022年10月現在のETC2.0利用率は28.9%となっていて、今後さらに拡大するものと思われます。
パナソニックからは、業界初となる災害・危機管理通報サービス対応モデル「CY-ET2620GD」が登場。災害・危機管理通報サービスとは、地震や津波発生など、防災機関から発表された災害・危機管理情報を準天頂衛星システム「みちびき」経由で知らせてくれるサービスのこと。そのほか、安全でスムーズな走行やエコドライブをサポートする「高度化光ビーコン」を受信できるモデルなど、豊富なラインアップも魅力です。
ETCカードエラーを未然に防ぐクリーニングカード使用通知機能や、ETCカード有効期限通知機能、ETCカードの挿し忘れ、抜き忘れを警告する機能など、安心して運転できるサポート機能が充実した製品を展開する、デンソー。特に、ナビやスマホがなくても1台でETC2.0サービスを利用できる、GPS付き発話型モデル「DIU-A210」が人気です。同モデルは、高速道路を走行中のドライバーに、必要な情報を必要なタイミングで音声により提供してくれます。
運転席周辺やコンソール内にすっきりと取り付けられるのがパイオニアの特徴です。ETC2.0サービスをカーナビと連動して利用できるカーナビ連動タイプ「ND-ETCS2」と、ETC2.0の情報を音声で受けられるスタンドアローンタイプ「ND-ETCS10」の2タイプをラインアップ。情報を画面で確認したい人はカーナビ連動タイプを、音声のみでOKという人はスタンドアローンタイプをと、好みに合わせて選ぶことができます。
カーナビやドライブレコーダーなどのカー用品を展開するアルパインは、同社のカーナビに対応したETC車載器が充実しています。光ビーコンレシーバー付きETC2.0車載器「HCE-B120V」は、アルパイン製カーナビ「NX」シリーズに対応し、別売りのビルトイン取り付けキットを使用すると、各車種の純正位置に装着できるのが魅力。車内をすっきりと整えたい人や、カーナビと合わせて購入したい場合に適しています。
三菱電機のETC車載器は、カード有効期限を音声で通知する機能や、暗い車内でもETCカードの出し入れがしやすいLED付きタイプなど、使いやすさを追求した製品が揃っています。ETC車載器にGPSとスピーカーを搭載し、カーナビと接続しなくてもETC2.0のサービスを受けられるカーナビレス発話型モデル「EP-E216SB」が人気。カーナビの購入や買い替えが必要なく、導入コストを抑えられるのが利点です。
ケンウッドの人気モデルは、高度化光ビーコン対応のETC2.0車載器「ETC-N7000」。同社カーナビシリーズ「彩速ナビ」との連携で、交差点の信号情報を受信して安全でスムーズな走行を支援するほか、ETC2.0サービスの渋滞回避や安全運転支援情報をナビ画面に表示します。そのほか、ETCカードの挿し忘れや抜き忘れの警告機能やETCカードの有効期限通知機能、利用履歴の確認などを音声案内やブザー音・LEDランプ表示で知らせます。
2005年に改正された電波法により、旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器をそのまま使用し続けると電波法違反となる可能性があります。当初は旧スプリアス規格の使用期限は「2022年11月30日まで」とされていましたが、コロナ感染症の拡大に伴い、製造設備や移行などに時間を要するため「当分の間」その期限が延長されています。旧スプリアス規格のETC車載器を使用していても、今すぐにETCレーンを通過できなくなるというわけではありませんが、新スプリアス規格に準拠した製品に買い替えることを検討したほうがよいでしょう。
旧スプリアス規格とは?
「スプリアス」とは、無線設備などから発射される電波のなかでも、本来必要とされる周波数を外れた不要な電波のこと。スプリアスは他の機器の電波障害の原因になることがあるため、電波法によって強度が制限されています。2005年に電波法におけるスプリアス強度の許容値が改正されたことを受けて、改正前の規格は「旧スプリアス規格」、改正後の規格は「新スプリアス規格」と呼ばれています。
なぜ、旧スプリアス規格のETC車載器が使えなくなるの?
世界無線通信会議においてスプリアス発射強度の許容値が改正されたことを受けて、日本でも2005年に電波法が改正されました。これにより、定められた強度の許容値を超えてしまう旧スプリアス規格の無線機(ETC車載器など)の使用を制限することになった、というのがその経緯です。
旧スプリアス規格の使用期限は?
当初は2022年11月30日まで使用可能となっていましたが、コロナ感染症の拡大により、社会経済情勢に鑑み「当分の間」延長中となっています。今後の見通しなどは下記の総務省ホームページなどでご確認ください。
※旧スプリアス規格に関する詳細は総務省ホームページをご覧ください。
旧スプリアス規格のETC車載器を使用している場合の対応方法は?
新スプリアス規格のETC車載器に買い替える必要があります。現在のところ、旧スプリアス規格のETC車載器を使用してETCレーンに進入しても、急に料金が精算できなくなったり、ゲートが開かなくなったりすることはないので、移行期間中に買い替えれば問題ありません。
使用できなくなる機種(ETC車載器)の見分け方
総務省によると「旧スプリアス規格に基づいたETC車載器の製造は2007年ごろには各社終了している」とされているため、現在製造されている製品が該当することはありません。手持ちのETC車載器が旧スプリアス規格に該当するかどうかは、以下の各メーカーサイトで確認しましょう。
各メーカーサイトで確認する
セキュリティ規格とは、国土交通省が定めるETC(料金所・車載器・カード)について、盗難・改ざんなどの不正防止を目的に定められた規格のこと。情報セキュリティ脅威への備えとして、セキュリティ規格が変更されることになり、新セキュリティ規格に対応したETC車載器の販売が開始されています。今後新たにETC車載器を購入する場合は、新セキュリティ対応製品を購入するとよいでしょう。
方法①車載器管理番号で確認する
管理番号の19桁の始まりが、
ETC車載器には必ず19桁の車載器管理番号が記載されています。車載器管理番号は、車載器本体のほか、ETC車載器の取り扱い説明書、保証書、車載器セットアップ申込書、車載器セットアップ証明書でも確認することができます。19桁の最初の数字が「1」で始まる製品は新セキュリティ対応、「0」で始まる製品は旧セキュリティ対応となります。
方法②車載器の識別マークで確認する
車載器の識別マークでも確認することができます。ETC2.0車載器ではない従来のETC車載器の場合、車載器本体に「●●●」のマークがある製品は新セキュリティ対応、「●●●」のマークがない製品は旧セキュリティ対応となります。
方法③車載器の識別マークで確認する
ETC2.0車載器とETC-DSRC車載器の場合、従来のETC車載器とは識別方法が異なります。「ETC2.0」のロゴがあり「■」のマークがない製品は新セキュリティ対応、「DSRC ETC」のロゴがある製品と、「ETC2.0」のロゴと「■」のマークの両方がある製品は旧セキュリティ対応となります。
12V車専用の製品は一般乗用車向けで、トラックなどの大型車両へは取り付けできません。12V/24V兼用の製品は一般乗用車、大型車のどちらの車両にも取り付けができます。
対応電源で選ぶ
料金所の通行の可否や、通行料金などを音声で案内する機能のこと。カーナビの画面などに目を向けることなく情報を得ることができます。ETC2.0対応の場合、渋滞情報や災害情報などを音声で案内してくれる製品もあります。
料金所を通過する際に、通行料金を音声で知らせる機能です。ETC割引などが適用された場合、割引後の料金を知ることができます。
ETCの利用日や利用料金などの履歴を確認できる機能です。
ETCカードを挿したままキーをOFFにすると、ブザーや音声で警告する機能です。
カーナビと連動してドライブをサポートする機能です。ETC2.0サービスの渋滞回避や安全運転支援情報をナビ画面に表示するなど、さまざまな情報を得ることができます。
入口料金所で通行券を受け取り、出口料金所で係員に通行券と一緒にETCカードを渡してください。
一旦停車する必要はありますが、現金を支払うことなく通行できます。
後日、クレジットカード会社より利用明細書が送付されます。
ETC車線を通行した場合領収書は発行されず、後日クレジットカード会社より利用明細書が送付されます。また、下記の「ETC利用照会サービス」にアクセスし自宅のプリンターで印刷できるほか、ETC利用履歴発行プリンターを設置してあるパーキングエリアで印刷することもできます。
使えます。
ETCカードと車載器はそれぞれ独立しているため、ETCカードはどの車の車載器にも使用可能です。レンタカーや他人の車にETCカードを挿入すれば、利用料金はそのETCカードから支払われます。
再度セットアップが必要です。
車載器には車両情報が登録されているため、車を買い換えた場合は再度セットアップが必要です。取り付け・付け替え・セットアップは自分では行わず、販売店や代理店などで行いましょう。
ETCゲートが開かなくなるようなことはないようですが、移行期間後は、なるべく早く新スプリアス規格対応製品に切り替えたほうがよいでしょう。
「移行期限後に旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器で高速道路のETCレーンに進入した場合においても、急に料金が精算されなくなったり、ETCゲートが開かなくなったりするようなことはありません」(国土交通省ホームページより)。詳細については国土交通省のホームページをご確認ください。
現時点(2023年時点)では、購入補助はありません。
「現時点では、購入補助は考えておりません」(国土交通省ホームページより)
DSRC
DSRCとは「Dedicated Short Range Communication」の略で、狭い範囲での双方向通信を可能にする無線通信方式です。高速道路などに設置されている路側アンテナと、DSRC搭載の車載器の間で双方向通信を行うことにより、渋滞や事故などの道路状況をリアルタイムで案内します。
カード有効期限案内
ETCカードをETC車載器に挿入した際に、カードの有効期限を音声で知らせる機能です。忘れがちな有効期限を通知してくれるため、期限切れによる通行不可などのトラブルを未然に防ぎます。
ITSスポット
ITSは「Intelligent Transport Systems」の略で、日本語では「高度道路交通システム」を意味します。ITSスポットとは、全国の高速道路に設置された通信アンテナのこと。ITSスポットとETC2.0対応車載器、カーナビがDSRC通信方式により双方向通信を行うことで、ドライバーはさまざまな情報を取得することができます。ITSスポットでETC車載器が情報を蓄積し、特定の場所でドライバーに情報提供することも可能です。