ギターアンプの選び方
無音で演奏したい人向けの「ヘッドホンアンプ・ミニタイプ」、自宅での練習からライブハウスまでカバーする「コンボタイプ」、大音量で演奏する本格派向けの「セパレートタイプ」など、目的別のギターアンプの選び方を紹介。そのほか、エレキギターの演奏音を変化させる「エフェクター」などの各種機能について詳しく解説します。
2022/6/30 更新
目次
ギターアンプは、エレキギターから送られる音信号を増幅し、音を出す役割を担う機材です。機種によって音色も使い方もさまざまで、サイズも自宅練習用に最適な小型タイプから、ステージで活躍する大型タイプまで多種多様です。音を出せない環境でもヘッドホンで本格的なエレキギターのサウンドを楽しめるものや、音楽プレイヤーを接続して好きな曲にあわせて一緒に演奏できるものなど、便利な機能を備えた製品もあります。利用用途を明確にし、それにマッチする最適なアンプを探しましょう。
無音(または小さな音)で演奏したい人向け
ヘッドホンアンプは、エレキギターの音をヘッドホンで聞くための超小型アンプです(※スピーカーは非搭載)。リズムパターンを内蔵したものやAUXインプット端子を備えたモデルも存在し、深夜などまったく音を出さずに演奏したい場合に最適です。ミニタイプは低価格・低出力な小型ギターアンプで、小さな音で演奏するのに適しています。また、ヘッドホン出力端子を備えているものもあります。
イヤホンやヘッドホンでの練習に最適
ライブ控室での練習やアウトドアに
自宅での練習からライブハウスまでカバー
音を調整して増幅する「ヘッド」部と、スピーカーユニットで音を発生させる「キャビネット」部を一体化しているのがコンボタイプ。製品数が非常に多く、大きさや価格もさまざま。比較的小さめのものは自宅用にちょうどよく、中型以上であればライブハウスやレコーディングなどでも活躍するパワーを備えています。コンボアンプならではの箱鳴りが得られ、多くのシーンで活用できるほか、トランジスタアンプであれば長く使えるのもメリットでしょう。
自宅用アンプの定番
ライブやレコーディングで大活躍
大音量で楽しみたい本格派やプロ使用向け
本格的なアンプになると、「ヘッド」部と「キャビネット」部が分離されているものがあります。スタックアンプとも呼ばれるこのタイプは、音も見た目も迫力満点で、音にこだわりがあるプレイヤーや、本格的な音楽活動を行う人の機材として使用されるのが一般的です。なお、音を出すための「ギターキャビネット」を別に用意する必要がありますが、自宅での使用に最適な小型ヘッドアンプからハイパワーの大型モデル等、バリエーションも豊富です。
持ち運びにも便利なミニヘッド
音にこだわりたいギタリスト必見
ギターアンプは、音の信号を増幅する回路の種類によって、大きく2種類に分類できます。ひとつは真空管アンプで、もうひとつはトランジスタアンプです。真空管は古くからある回路ですが、これを用いたアンプは自然な歪みや温かい音が得られるとして多くのギタリストに愛用されています。歪ませたときの太い音や音圧は非常に魅力的です。一方、電子部品で構成されたトランジスタアンプは、音を素直に増幅できるため音色の調整がしやすいメリットがあります。クリーントーンでの繊細な演奏なども相性がよいといわれます。
タイプ | 値段 | 寿命 | 音色 |
---|---|---|---|
真空管 | 高い | ある | 厚みのある温かいサウンド 独特の自然な歪み |
トランジスタ | 安い | なし(半永久) | 金属的でクリーンなサウンド 極端に激しい歪み |
真空管アンプは、「チューブアンプ」とも呼ばれ、厚みのある温かいサウンドが特徴。真空管による独特の自然な歪みを好むギタリストも少なくありません。ただし、真空管はデリケートで寿命やノイズもあるうえ、高価です。
トランジスタアンプは、「ソリッド・ステートアンプ」とも呼ばれ、信号の増幅にトランジスタという電子部品を使用しています。「やや冷たく金属的な音」「クリーントーンが得意で音色の調整がしやすい」「ゲインが一定レベルを超えると歪みが急に激しくなる」といった特徴があります。比較的安価で、故障さえしなければ半永久的に使えます。
真空管ギターアンプの筆頭ともいえる英国メーカー。歪ませた音の迫力に定評があり、マーシャルの大型アンプは多くのライブハウスやスタジオに導入されています。また、定番中の定番として、多くのミュージシャンにも愛用されています。自宅練習やリハーサルに最適な5Wのモデルが人気です。
エレキギターやベース本体の製造で名を馳せている米国メーカーですが、アンプも手がけています。ギターアンプでは、ベルサウンドと形容される程のきらびやかなクリーントーンに定評のある「Twin Reverb」が有名で、日本でも高い人気を誇ります。デジタル基盤を採用した「Deluxe Reverbアンプ」も人気です。
楽器や音響機器を展開する国内有数のメーカーです。「デスクトップで自由に使える第3のアンプ」をコンセプトにした「THR」シリーズが大ヒット。ステージ用や練習用など、用途が固定されてない自由度が魅力です。
「Bluetooth(ブルートゥース)」とは、無線通信の規格のひとつで、有効範囲は約10m以内となっています。国際標準規格のため、Bluetoothに対応する機器同士であれば、ケーブルを接続しなくてもデータのやり取りを行える点が特長です。Bluetoothに対応しているギターアンプなら、パソコンやスマートフォンに入っている楽曲をワイヤレスでギターアンプで鳴らし、アンプにつないだギターとセッションするという楽しみ方ができます。
エレキギターの弦の各音階を正しくチューニングできる機能です。エフェクター同様、別売りチューナーが不要となるので、自宅でも出先でも重宝します。
エレキギターの演奏音を変化させる機能です。音を歪ませるタイプや音の余韻を伸ばすタイプなどさまざまな種類があり、アンプによって内蔵されているエフェクトの種類と数が異なります。別売りのエフェクターを用意することなく音色のバリエーションを広げることができるため、手軽に音を変えて演奏したい場合などはエフェクター内蔵アンプを選ぶとよいでしょう。
ポータブルオーディオプレーヤーなどをギターアンプに接続し、再生した音楽をギターアンプのスピーカー部から出力することができる機能です。音楽に合わせて演奏が楽しめるほか、コピーバンドの練習時などにも活躍します。近年は、ギターアンプ自体に音楽データを保存して再生できる製品も登場しています。
オーディオ入力(AUX IN)付きのアンプが◎
AUX IN端子付きのアンプであれば好きなアーティストの曲を再生しながらギターの練習が可能です。ただし、iPhoneやMP3プレイヤーなどをアンプに接続するためのケーブルを別途用意する必要があります。また、AUX INとともにヘッドホン端子もついているアンプであれば、再生している音楽とギターの音の両方をヘッドホンで楽しめます。
ヘッドホンアンプか、ヘッドホン端子付きアンプを選びましょう。
スピーカーからではなく、ヘッドホンやイヤホンから演奏音を聞くことが可能です。スピーカーから音を出して弾かない場合や、持ち運べることを重視するのであれば、ヘッドホンアンプを選びましょう。普段は音を出すけれども、夜間など時間帯によって音を出せない場合にはヘッドホン端子付きのアンプが便利です。
エフェクター(エフェクト)機能付きのアンプは、音作りの研究も可能です。
オーバードライブ、ディストーション、コーラス、ディレイ。エフェクターにはさまざまな効果とそれを表す名称がありますが、いきなり全部覚えるのはなかなか大変です。憧れの音や理想の音のイメージはあるけれど、どのエフェクターを組み合わせればいいのかわからない……という方にはエフェクター機能付きアンプが最適。ギターサウンドを作りこむうえで必要となる主要なエフェクターを搭載しているので、実際にそのエフェクトがどういう効果をもらたすのかを研究しながら音作りを学ぶことができます。また、複数のエフェクト効果を同時に使用できるモデルもあり、アンプ1台で自分だけのオリジナルトーンを追求することも可能です。
パワーアンプ
パワーアンプとは、プリアンプ・セクションで作られた音を増幅して鳴らす役割を果たし、アンプの出力の大小を決定づける部分です。一般的にプリチューブアンプと呼ばれるアンプは、「プリアンプ・セクションに真空管+パワーアンプ・セクションはソリッドステート」という構成になっているものを指しますが、オールチューブアンプやフルチューブアンプは、プリアンプ・セクションとパワーアンプ・セクションともに真空管が採用されているものを指し、チューブアンプならではの温かみと、真空管によるナチュラルなドライブサウンドを得ることができます。
プリアンプ
プリアンプとは、ギターアンプに内蔵されているアンプのうち、楽器からの音の信号を調整してパワーアンプに伝える役割を担う部分を指します。一般的なギターアンプのゲインやボリューム、イコライザー、エフェクター類は、すべてこのプリアンプ回路の機能です。
A級、B級、AB級
アンプは動作方式の違いにより、A級、B級、AB級(クラスA、クラスB、クラスAB)などと区別します。A級は小出力ですが、高品位な音が出せます。一方で、電力効率が悪く、本体が発熱しやすいというデメリットも……。B級は電力効率が良く、大出力で音を鳴らしやすいメリットがあり、歪みが出やすいのが特徴です。AB級はそれぞれの良いところを備えており、高音質ながら大出力の音を出すことができます。