ガスコンロの選び方
ガスコンロとIHクッキングヒーターのメリット・デメリットや、「据え置き型」「ビルトイン型」など、ガスコンロの種類の違いをわかりやすく解説。そのほか、使用するガスの種類、コンロの口数、火力、トッププレート幅など、製品選びのポイントを紹介します。
2022/11/1 更新
目次
家庭用のガスコンロは、大きく分けて3タイプに分類されます。コンロ台に置く「据え置き」型、システムキッチンに組み込む「ビルトイン」型、そして鍋を食卓で温めるときなどに用いる、持ち運び自由な「カセットコンロ」の3つです。リフォームなどの工事を伴わないかぎり、基本的に「据え置き」型のコンロ台を「ビルトイン」型に交換することはできません。ですので、コンロ台があるご家庭では「据え置き」型を、システムキッチンのご家庭では「ビルトイン」型の製品を選ぶようにしましょう。
ガスボンベを利用するコンパクトなコンロです。本体が小型なため持ち運びでき、食卓の上での鍋料理時や、キャンプで火元が必要な時、また震災時の調理補助道具としても活躍します。防災グッズとして利用する場合は、ガスの復旧が遅れることも鑑みて、ガスボンベを備蓄しておくとよいでしょう。
ガスコンロは、直接火にかけられるので、火力がわかりやすいのがポイントです。一方、IHクッキングヒーター・IHコンロは鍋などの底面だけを電気で温める仕組みのため、火の消し忘れやガスの元栓の閉め忘れといった心配がありません。
ガスコンロとIHの比較表
ガスコンロ | IHクッキングヒーター・IHコンロ | |
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メリット | IHクッキングヒーター・IHコンロに比べてランニングコストがかからない。炎が目視できるので、火力がわかりやすい | 火の消し忘れや、ガスの元栓の閉め忘れの心配がない。平面構造なので手入れが簡単 |
デメリット | 火を使うので、衣服が燃える危険性がある | IH対応の調理器具以外は使えない |
ガスを利用する製品を選ぶ際は、自宅で使用するガスの種類に対応した製品を選ぶ必要があります。そのため、購入前に自宅のガスの種類を確認しましょう。ガスにはメタンを主成分とする天然ガスを採用している「都市ガス」と、プロパンなどを主成分とする「LPガス」があり、それぞれ自宅にガス管が届いているか、ボンベが置いてあるかで種類を判別できます。
ガス導管を経由して各建物に供給されているのが「都市ガス」です。
マイナス42度で液体になる「LPガス(=液化石油ガス)」を写真のようなガスボンベに詰めて、事業者が各利用者へ配送しています。
家庭用カセットコンロで使うガスボンベには、ブタンやプロパンが使われています。コンロにボンベがきちんとセットできるのであれば、ブタンとプロパンのどちらも利用できます。
据え置き型とビルトイン型のコンロサイズは、それぞれ2種類の横幅(トッププレート幅)に統一されています。特に気をつけたいのが据え置き型の場合です。コンロ台に比べて極端に小さいサイズのコンロを設置してしまうと、コンロ台との間に大きな隙間ができてしまい、ゴミが落ちやすくなり手入れも面倒になります。隙間を少なくするためにも、設置スペースに合った製品を選ぶことを心掛けましょう。
据え置き型は、56cm幅と59cm幅
据え置き型のトッププレート幅は、56cmか59cmです。トッププレート幅が59cmの製品は、実際には幅59.5cm前後の製品が多く、60cm幅と呼ばれることもあります。
トッププレート幅で探す
ビルトイン型は、60cm幅と75cm幅
ビルトイン型のトッププレート幅は、60cmと75cmの2タイプで、据え置きタイプより横幅が大きくなります。幅の違いで変わることは、左右のバーナー間の距離。75cm幅のほうが、2〜5cm広くなります。
トッププレート幅で探す
通常、コンロは左右どちらかが強火力バーナーになっています。見分け方は製品の型番で、最後が「R」になっているものは右が大火力、「L」になっているものは左が大火力になります。どちらの製品を選択するかは、ご自宅のコンロ台の壁が左右どちらにあるかが基準になり、壁と反対側に大火力バーナーが来るように製品を選びましょう。これは、大火力によって火事や壁の傷みを防ぐための対処法でもあるので、必ず守るようにしましょう。
※製品によってはどちらも同じ火力の製品もありますので、ご確認ください。
コンロ台の左側に壁がある
右側が大火力バーナーの製品を選びましょう。
コンロ台の右側に壁がある
左側が大火力バーナーの製品を選びましょう。
コンロ台が壁から離れている
どちらのタイプも使用でき、ダブル大火力タイプのコンロでも大丈夫です。
ガスコンロの天板部分のことをトッププレートと呼びます。この材質によって、見た目や機能、価格が異なります。基本的には、汚れが付きにくく掃除しやすいような素材が使われていますが、材質ごとに特徴が異なります。最も高いのがガラストップで、安いのがホーローになります。
強化ガラス素材の天板は熱に強く、何より手入れが簡単です。クリアで光沢のある見た目は高級感があり、上位モデルが多く採用しています。
価格 | 高価 |
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メリット | 耐久性に優れる。熱が伝わりにくいのでヤケドしにくい |
デメリット | 重く固いモノを落とすと割れる可能性も |
ホーローにさらにガラスをコーティングしたもの。ホーローの耐久性とガラスの美しさを併せ持ち、色の種類が豊富なのも特徴です。
価格 | 比較的安価 |
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メリット | ホーローとガラストップの特徴を兼備 |
デメリット | コートが剥がれる可能性がある |
鉄素材にガラスを焼き付けたタイプ。前出のものに比べて汚れが付きやすいですが、こすっても傷つきにくいのが特徴です。
価格 | 安価 |
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メリット | とにかく安く、耐久性に優れる |
デメリット | 塗装が剥がれるとサビが発生する |
ホーローに光沢を持たせた素材です。手頃な価格で耐久性に優れる半面、汚れが落ちにくい傾向にあるといわれています。
ごく一部のビルトインタイプに採用されているタイプ。熱やサビに強く耐久性もありますが、強くこすると傷がつきやすい特徴もあります。
アルミの熱伝導性が良く、素早く熱が分散されるため、汚れが焼き付きにくく手入れも楽。その分、価格が高くなります。
受け皿がないので噴きこぼれた際の拭き掃除が簡単です。トッププレートを平らにできるので見た目がスッキリしています。
たくさん噴きこぼれてしまった場合でも皿で受け止められます。掃除する際のパーツが多いので、作業に時間がかかるのがネックです。
ダントツの知名度がある老舗で、高いシェアを獲得しています。ビルトインも据え置きタイプも両方ラインアップし、多数のモデルを販売。サンマを丸ごと焼ける広いグリルや水入れ不要なグリルなど、開発力に定評があります。
1911年に創業された老舗メーカー。ビルトインも据え置きタイプも多くラインアップしています。「ナチュラルホワイト」や「ブラックプラチナ」、「きらめきゴールド」など、美しい色合いのデザイン性の高いモデルが人気です。
時間を設定すれば、自動的に消火してくれる機能です。ゆで時間なども、キッチンタイマーなしでぴったり調節できて便利です。キッチンタイマーを多用している人におすすめです。
高温で炒めたりあぶったりする際に、鍋なし検知や焦げ付き消火などの機能を解除して大火力を利用できるようにする機能です。高温で料理をしたい人に向いています。
鍋でご飯を炊く際に、炊飯の火加減をワンタッチで調整してくれる機能です。30分ほどでご飯を炊けます。土鍋などでの炊飯に関心のある人は要チェックです。
お湯を沸かす際、沸騰したら知らせてくれたり、自動的に消火してくれたりする機能です。空焚きすることもなく安心です。お茶やコーヒーを入れるたびに、お湯を沸かしている人には便利です。
メニューで焼き加減などを設定することで、切り身や干物など魚をきれいに調理できます。消し忘れや焼きすぎといったミスも防げます。複数の料理を同時にする人はチェックしましょう。
ダッチオーブンと呼ばれる鍋に食材と調味料を入れて、煮たり焼いたりするアウトドア定番の調理方法に対応した製品。ガスの両面焼きグリルでスピーディーに料理できるモデルもあります。
ピザやローストビーフなどを焼く際に、動作時間を設定しておけば失敗を防げます。いろいろな料理を同時にする人はチェックしましょう。
大火力バーナーでも、点火時には中火にしてくれる機能です。いきなり大きな火が出ないので、思いがけずヤケドしたりする心配がありません。
点火してから一定時間経過すると、コンロやグリルの火を自動的に消火する機能です。火の消し忘れを防ぐことができます。製品の中には、自動消火時間を任意で設定できるものもあります。
コンロの上に鍋があるときだけ点火する機能です。鍋を置いていない場合は点火しない設計が施されているほか、点火している状態でも鍋が離れると弱火になり、そのまま1分ほどで自動的に消火するものもあります。
地震など突然の揺れを感じると、自動でガスを消火する機能です。震度4〜5以上の揺れを検知すると消火するように設計されています。
子どもが誤って触れたり、いたずらで操作したりしても、点火ボタンが作動しないようにロックする装置です。
現在使用しているガスの種類が転居先でも同じであれば、そのまま使用できます。
ガスの種類には、プロパンガスや都市ガス(12A・13A)などがあります。種類が同じであればそのまま使えますが、異なる場合は使用できません。引っ越しの際にはあらかじめ、転居先のガスの種類を調べておきましょう。
ガスコンロの寸法は業界標準で規定されているので、ほとんどの場合問題ありません。
万が一、コンロの周辺に隙間ができる場合にも、隙間を埋める部材で調整することができます。
屋外にガスボンベが設置されている場合は、LPガス(プロパンガス)です。
また、ガスメーターやガス会社との契約書、ガス料金の明細書でも確認することが可能です。「LPガス」と記載されていればプロパンガス、「12A」や「13A」と記載されていれば都市ガスのことです。
一般的には据え置きタイプのガスコンロが5〜7年、ビルトインコンロは7〜10年程度で不具合が発生する可能性が出てくるといわれています。
なお、修理部品は製品の製造終了後5年間は提供されます。
カロリー
発生する熱量のことで、コンロの火力の目安となります。
乾電池
コンロに点火するために乾電池を利用します。約1年で交換となります。電池交換サインが出る製品もあります。電池がなくなってくると、点火する際のぱちぱちという音が遅くなります。
ゴトク
鍋などの調理器具を乗せるための台。素材には、ホーローやステンレスなどが採用されています。
システムキッチン
ガス台と流し台、調理台などが一体となっているキッチンのことです。
Siセンサー
平成20年から、すべてのガスコンロに立ち消え安全装置や調理油過熱防止装置、消し忘れ消火装置などが搭載されています。このセンサーは英語で"Safety&Support&Smile&intelligent"という言葉から、「Siセンサー」と呼ばれます。