浄水器・整水器の選び方
毎日飲むだけに、水の安全性とおいしさは欠かせないもの。ここでは、浄水器と整水器の選び方について解説します。浄水器と整水器の違いをはじめ、ろ材の種類や仕組みの違い、得られる水の違い、取り付けタイプなどから、最適な製品選びをサポート。各タイプのメリット・デメリットや主なメーカーの特徴について詳しく紹介します。
2022/6/17 更新
目次
水道水に含まれている所定の物質を除去する機器のこと。種類によって異なりますが、一般的には浄水器内のフィルターを水道水が通過することにより、所定の物質などを除去する仕組みになっています。残留塩素やトリハロメタンなどの有害物質を除去することができるほか、カルキ臭やカビ臭といった水道水の気になる臭いを抑えることも期待でき、安心して水が飲めるようになります。
※味の感じ方には個人差があります。
浄水器の目的が水道水を浄化しておいしくすることであるのに対し、整水器は、浄化した水をさらに電気分解して電解水素水(飲用アルカリ性電解水)を生成します。電解水素水とは、水素やミネラル類(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム)が原水よりも多く含まれているのが特徴です。また、整水器からは電解水素水のほかに、酸性水・浄水も生成することが可能で、洗顔には弱酸性水、食器洗いには酸性水、赤ちゃんのミルクや薬の服用には浄水、といった使い分けも可能になります。
浄水器・整水器は大きく分けて5種類あります。それぞれの特徴を理解し、目的に合った製品を選びましょう。
蛇口直結型は、蛇口の先端に取り付けるタイプで、小型のため手軽に取り付けることができます。フィルターの性能により除去できる物質の種類が異なるので、比較検討する際のポイントになります。水流をストレートやシャワーなどに切り替えできる製品や、節水ができる製品もあるので、水道料金の節約にも役立ちます。液晶画面搭載モデルは、カートリッジの交換時期がわかりやすく、安心して使えるのが特徴です。ただし、カートリッジの寿命が短い製品が多く、定期的な交換が必要です。
※取り付けについては、あらかじめメーカーのサイトで水道の蛇口の形状と製品が適合するかを確認しておくと安心です。
サイズ | 中型 |
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取り付け方法 | シンク脇に設置(大半は工事不要) |
用途 | 料理・飲用・お茶・米とぎなど全般 |
据置型は、蛇口部分から分岐水栓を使いホースでつなぎ、本体を蛇口周辺に設置するタイプです。ほとんどの製品は業者による工事は不要で、自分で設置することができます。大きなカートリッジを使用して不純物を取り除くため、浄水の効果が高いのが特徴。特に整水器は据置型が主流です。なお、浄水効果が高い半面、蛇口直結型より価格が高めで、設置スペースが必要になります。
アンダーシンク型(ビルトイン型)は、本体をシンクの下に設置するタイプで、蛇口周辺をすっきりとしておきたい人に◎。蛇口直結型や据置型と比べ、浄水スピードが速く、水道水と変わらない水流で使用することができます。ただし、基本的には業者による設置工事が必要なため、導入費用が高く、キッチンのリフォーム時などに取り入れるケースが多くなっています。導入のハードルはやや高いですが、キッチンのスペースを損なわず、見た目をスマートにしたい人に向きます。
ポット・ピッチャー型は、ろ過フィルターを内蔵したカートリッジを備えた容器タイプの浄水器です。容量は1〜2L程度のものが多く、主に料理用の水や飲料水をろ過するために使われます。ろ過に数分程度時間がかかるため、水道水を注いで冷蔵庫で冷やしておくのが一般的です。設置の手間がなく、購入してすぐに使えるため手軽に導入できます。本体価格も2,000円前後と手頃ですが、カートリッジの交換頻度が高めなので注意が必要です。
浄水器は、水道水から残留塩素や不純物を除去するための機器です。そこで必要となるのが「ろ材(フィルター)」。このろ材が、水道水をろ過して水中に含まれる不純物を除去する役割を果たします。ろ材には、活性炭やろ過膜、セラミック、イオン交換体など、さまざまな種類があります。
細かい穴が無数に開いた炭素を成分とする物質で、塩素やカルキ臭を取り除く効果があります。活性炭に吸着した細菌などの繁殖を抑えるために、銀やその他の抗菌処理剤が使用されているものもあります。安価なものほど吸着期間が短く、頻繁なフィルター交換が必要になるため、長期的にはコスト高になります。
ろ過膜(微細な穴のあいた中空糸膜、平膜など)に水を通して、水道水に含まれる粒子類を除去する方式です。活性炭など、ほかのろ材を組み合わせて使用することが多くなっています。
微細な孔をもつセラミックを利用して水をろ過します。一度不純物を吸着すると再び放出することがない点が特徴です。ろ過膜(中空糸膜)と比べ、表面積を大きくできないため目詰まりしやすいという欠点があります。
イオン交換樹脂は、もともと樹脂に吸着しているイオンと交換することで、水中の取り除きたいイオン化物質を除去します。ビーズ状の小さな樹脂の表面へ吸着するため、表面が一杯になると除去性能はなくなり、他のろ材と比べ寿命が短い傾向があります。イオン交換繊維は、特性は同じですが、繊維状のため一般的なビーズ状の樹脂と比較して表面積が大きいといわれています。なお、イオン交換樹脂やイオン交換繊維などを総称して、イオン交換体と呼びます。
飲用や料理等に使用できる「浄水」や「アルカリイオン水」「ミネラル水」のほか、食器のつけ置きに適した「酸性水」など、浄水器や整水器ではさまざまな水質の水を得ることができます。浄水器・整水器を購入する際には、どのような用途で使用するのかを決め、それに合った製品を選びましょう。
※各水質の味の感じ方には個人差があります。
「浄水」とは、適切な処理をほどこした飲用水のことです。水道水は原水に浄水処理を行うことにより、安心して使用できるものとなっています。浄水器は、水道水に含まれる残留塩素や、通常の処理工程で除去しきれなかったり、水道管の劣化などによって生じたりした不純物を除去するための機器で、水道水をさらにおいしく楽しむことができます。「浄水」は、料理・飲用・お茶・米とぎ・赤ちゃんのミルクなどに適しています。
「酸性水」は洗浄作用が高いため、食器やグラスのつけ置き、メガネの水洗い、床や窓の拭き掃除などに適しています。また「弱酸性水」は、人の肌と同じpH値であるため、洗顔に適しています。なお、「酸性水」は大量に飲むと気分が悪くなることがあるので、飲用には適していません。コップ1杯程度を間違えて飲んでしまっても大きな問題はありませんが、継続的に飲用しないように気をつけましょう。
水道水を電気分解することで得られるアルカリ性の水で、水酸化物イオンや水素が多く含まれ、「還元電解水」や「還元水素水」と呼ばれることもあります。飲用のほか、お茶・煮物・鍋物・汁物などの料理に◎。ごぼうやほうれん草などのあく抜きにも適しています。
「ミネラル水」は、カルシウムなどのミネラルを水に添加したものです。日本人がおいしいと感じる水の味に近いのも特徴です。飲用のほか、味噌汁などの汁物、おでんのだし汁、烏龍茶や紅茶、肉の煮込み料理など、好みに応じて毎日の料理にも幅広く使うことができます。
「電解水素水」は、電気分解により水素をたくさん含んでいます。水道水を電気分解にかけることで、プラスイオンであるミネラル類が原水よりも約5〜20%増加するといわれています。市販の「水素水」の多くは、水に水素ガスのみを含ませたものですが、「電解水素水」は、抗酸化性を有する水素を豊富に含むアルカリ性の水素水を指します。
浄水器や整水器を取り付ける際に工事なしで手軽に導入したい場合は、「蛇口直結型」「据置型」「ポット・ピッチャー型」「バス・シャワー型」を選びましょう。新築やリフォーム時の工事と同時に導入し、キッチン周辺をスマートに整えたい場合は、アンダーシンク型(ビルトイン型)が適しています。
蛇口直結型の浄水器のほか、還元水素水生成器、アルカリイオン整水器などがラインアップされています。最上位タイプの還元水素水生成器では、用途に合わせて8種類の水を使い分けが可能で、19物質を除去する高性能カートリッジを搭載するなど、性能と使いやすさを両立しています。液晶画面で選んだ水の種類がひと目でわかり、カートリッジ交換時期を教えてくれるのも安心です。
ポット型、蛇口直結型、据置型、ビルトイン、シャワータンブラーなど、さまざまな種類の浄水器をラインアップしているのが、三菱ケミカル・クリンスイ。中空糸膜フィルターを中心とした浄水能力の高さが特徴で、横置き可能なポット型や「グローエ社」による水栓デザインなど、使いやすさとデザイン性にすぐれている点も魅力です。
東レは、蛇口直結型、ポット型、アンダーシンク型、据置型、浄水シャワーなど、幅広いラインアップを展開。「日本の水に本来含まれているミネラル分はそのままに、後から加えられた気になる物質を取り除く」というコンセプトのもとに、中空糸フィルターをはじめとする、繊維、医療、樹脂などのすぐれた技術を駆使して開発されている点もポイントです。
浄水器は、カルキやジェオスミン(カビ臭)など、製品によって除去できる物質や、除去できる物質数が異なります。浄水器には「活性炭」や「中空糸膜」「セラミック」などで構成されたろ過フィルターが内蔵されており、家庭用品品質表示法(JIS S 3201に基づく)で定められた12物質や、浄水器協会で定められた物質の多くを除去できます。浄水器を選ぶ際は、「どのような物質を除去できるのか」を事前に確認しましょう。
【家庭用品品質表示法で定める除去対象12物質】
(JIS S 3201に基づく)
遊離残留塩素(カルキ)、濁り、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、総トリハロメタン、農薬、カビ臭、溶解性鉛
※参考サイト一般社団法人浄水器協会
除去物質数で製品を選ぶ
据置型の整水器の場合には設定しているpHや水素濃度などを表示します。蛇口直結型の場合は、残りの浄水可能残量を表示してカートリッジの交換時期を知らせてくれるものが多く、いずれも便利な機能です。
節水機能は、文字通り「必要以上の水の消費を抑える」機能です。蛇口直結型やバス・シャワー型には「節水率○%」とうたっている製品もありますが、節水できる代わりに水の勢いが弱くなってしまう場合があるため、購入時には注意が必要です。
ポット・ピッチャー型の浄水器には、横置きに対応した製品もあります。横に置いても水が漏れず、冷蔵庫の棚に倒した状態で置くことができます。ドアポケットにスペースがない場合などに便利です。
浄水器は水道水の不純物を取り除いた水、ミネラルウォーターは自然水です。
浄水器の水は水道水をフィルターなどでろ過し不純物を取り除き、浄化したものです。一方、ミネラルウォーターは地下水や湧水などの自然にある水を採取し、殺菌処理して販売されるものです。
1日程度を目安に使い切ったほうがよいでしょう。
塩素が抜けて雑菌が繁殖しやすくなっています。そのため、常温は半日程度、冷蔵庫で保存している場合も1日程度を目安に使い切ったほうがよいでしょう。また、雑菌が繁殖しやすいので、加湿器に浄水を使用するのは避けましょう。
シャワーヘッド内は一般的に細菌が繁殖しにくい環境ですが、状況に応じて捨て水などを行うとよいでしょう。
シャワーヘッドの場合は内部に一般細菌を増殖させる養分がないため、一般的には繁殖しにくい状況です。ただし、長時間使用しない場合には、カートリッジを取り外しておく、または再使用する際に捨て水を1分程度行うことが望ましいです。
カルシウムやマグネシウムの含有量の違いです。
それらが少ないものが軟水、多いものが硬水と呼ばれています。日本の水は軟水にあたり、飲んだときにまろやかな口当たりでさっぱりとしています。一方、ヨーロッパに多くみられる硬水は、やや重い口当たりで苦く感じることがあります。
圧力損失
水がフィルターを通過する際に生じる抵抗のことです。フィルターに汚れがたまると圧力損失が大きくなるため、流水量が減って浄水効率も下がります。したがって、定期的なフィルター交換が必要になります。
残留塩素(カルキ)
通常、日本の水道水から流れ出る水は塩素により消毒されています。消毒された水道水に混ざっている塩素量のことを残留塩素と呼び、残留塩素の濃度が高いと、いわゆるカルキ臭が強く感じられます。浄水器の主な目的は、この残留塩素を除去し、おいしい水を生成することです。
トリハロメタン
トリハロメタンは、浄水場や下水処理場で消毒のため使用される塩素が水中のフミン質(植物などの最終分解生成物)などの有機物と反応して生成される化合物です。対応の製品であればトリハロメタンを除去できますが、フィルターに吸着できる量が限られているので、フィルター交換時期を守るように気をつけましょう。
プレフィルター
メインフィルターの目詰まりや劣化を軽減するために、メインフィルターの前に装着されたフィルターを指します。浄水器や整水器はプレフィルターだけでも高い浄水機能を有しているため汚れもたまりやすく、最低でも年に一度はフィルター交換をするのが望ましいでしょう。