給湯器の選び方
キッチン、風呂、洗面所などでお湯を出すために必要な給湯器。寿命や故障などで交換が必要になった場合、どのように選べばよいのでしょうか。ここでは、設置場所や動力、省エネ性能、追い焚き機能など、さまざまな角度から給湯器の選び方のポイントを解説します。
2024/10/30 更新
目次

給湯器とは、水をお湯に変えてキッチン・風呂・洗面所などに供給する設備のこと。浴槽に自動でお湯をはる機能や追い焚き機能なども給湯器を使用しているほか、床暖房の熱源としても使用されています。給湯器は寿命がおよそ10〜15年前後といわれているので、不具合が出てきたと感じたら交換を検討してみるとよいでしょう。
| 種類 | 機能 |
|---|---|
| 給湯専用 | 給湯のみ |
| 風呂給湯器 | 給湯+自動お湯はり+追い焚き |
| 暖房付風呂給湯器 | 給湯+お湯はり+追い焚き+暖房 |
| 暖房付給湯器 | 給湯+暖房 |
| 暖房専用熱源機 | 暖房のみ |
給湯器の種類には、給湯のみができる「給湯専用」、給湯のほか自動お湯はり・追い焚きができる「風呂給湯器」、給湯と床暖房や浴室暖房ができる「暖房付給湯器」などがあります。新しい給湯器と交換する場合、交換前と同じ機能を使用するためには、既存の種類と同じものに交換する必要があります。逆に、「追い焚き機能を追加したい」「床暖房、浴室暖房は必要なくなった」という場合は、それに応じた給湯器に変更することも可能です。マンションの場合は、異なる機種に交換できない場合もあるため、事前に確認しましょう。


一戸建ての場合、壁面に固定する「壁掛け」、地面やブロックなどの上に置く「据え置き」の両方の設置方法があります。「パイプシャフト(PS)」とは、マンションや集合住宅に多く見られる設置場所で、玄関通路側にある排水・電気などを通す部分(パイプシャフト)のスペースに設置します。パイプシャフトまたはパイプスペースとも呼ばれます。なお、給湯器の設置は、建築基準法、消防法、その他各種法律によって設置方法が定められており、専門の資格を有する業者が行わなければなりません。ガス給湯器、電気給湯器などの種類に関わらず、いずれのタイプを設置する場合でも、無資格で設置すると不完全燃焼や火災などのリスクがあり、法律違反になります。かならず専門業者に工事を依頼しましょう。
設置方法で選ぶ
購入前に知っておきたい! 価格.comでの設置対応ショップの確認方法

価格.comで製品を購入する際には、各ショップが設置まで対応しているのか否かを確認することができます。青枠@のように「設置:一部地域」と記載されている場合は、一部地域に限り設置可能ということ表しています。青枠Aのように設置対応のアイコンがグレーアウトしている場合は、設置対応不可となります。先に解説したように、給湯器の設置は専門の資格を有する業者が行わなければなりません。そのため、購入時には各ショップが設置まで対応してくれるのかを確認しておきましょう。

動力は主にガス・電気・石油(灯油)の3種類です。それぞれに長所・短所がありますが、交換する場合は、基本的に既存のものと同じ動力を選びましょう。
ガス(都市ガス・LPガス)
動力にガスを用いる給湯器は、最もメジャーなタイプです。設置コストが比較的安く、本体もコンパクトです。
電気
動力が電気の給湯器は、ガスに比べて設置費用が高い傾向があります。燃焼機構がないため、事故リスクが低い点がメリットです。
石油(灯油)
動力が石油(灯油)タイプの給湯器は、寿命が長く、ランニングコストも比較的低めです。なお、燃料切れになるリスクがあるほか、石油タンクの取り付けスペースが必要です。

省エネタイプの給湯器には、エコキュート、エコジョーズ、エコフィールなどがあります。各タイプによって動力が異なり、それぞれ特徴があります。
エコキュート:動力=電気
給湯器のほか貯湯タンクを設置する必要があり、タンク内のお湯を使い切ってしまうとお湯切れになります。なお、タンク内にお湯が残っていれば災害時にも使用できます。
エコジョーズ:動力=ガス
本体がコンパクトなので、省スペースで設置できます。使うたびにお湯が作られるタイプのため、貯湯タンクの設置は必要ありません。
エコフィール:動力=灯油
本体はコンパクトですが、別に灯油タンクを設置する必要があります。また、灯油を補給する必要があります。
号数とは、給湯能力を示す単位で、1分間に出せるお湯の量(リットル)を表しています。たとえば1分間に24リットルお湯を出せる場合24号となります。一般的な家庭であれば、16号、20号、24号のいずれかを選ぶことが多く、家族の人數や家の大きさなどを考慮して選びましょう。
| 号数 | 特徴 |
|---|---|
| 5号 | 「瞬間湯沸かし器」とも呼ばれキッチンで使用。風呂への給湯はできない |
| 10号 | 給湯の使用が可能 |
| 16号 | 十分なパワーでシャワーの使用が可能。1〜2人世帯向け |
| 20号 | シャワーと給湯の同時使用が可能。2〜4人世帯向け |
| 24号 | 十分なパワーでシャワーの使用が可能。4人以上の世帯向け |
| 28号 | シャワーと給湯2か所の3か所同時使用が可能。同時にお湯を使いたい世帯向け |
号数で選ぶ
高効率ガス風呂給湯器「エコジョーズ」、高効率石油風呂給湯器「エコフィール」のほか、ガスと電気で効率よくお湯をつくる「ハイブリッド給湯システム」を展開しているノーリツ。ガス給湯器では、自動でUV運転を行い入浴後のお湯を除菌する機能や、オゾン水を流して風呂の配管を除菌する機能なども。リビングや外出先から給湯器の操作ができるアプリに対応した機種もラインアップされています。
三菱電機の「エコキュート」には、プレミアムなPシリーズ、充実機能のハイグレードSシリーズ、ZEH住宅向けEXシリーズ、シンプルベーシックなAシリーズのほか、省スペースで設置できるコンパクトなタイプが展開されています。PシリーズとSシリーズには、風呂の配管を通るお湯に深紫外線を照射し、きれいなお湯をキープする「キラリユキープPLUS」を搭載。入浴前にボタン操作でお湯を除菌できるほか、残り湯を洗濯に利用する際にも役立ちます。
空気熱の「ヒートポンプ」+ガスの「エコジョーズ」を組み合わせることで、高い省エネ効果を実現した「ハイブリッド給湯・暖房システム」や、高効率ガス給湯器「エコジョーズ」などを展開するリンナイ。なかでも「ウルトラファインバブル給湯器」は、洗浄効果の高いウルトラファインバブル入りのお湯を家中に送り出すことが可能。浴室、洗面所、キッチンなどで汚れや水垢が付きにくくし、掃除の負担を軽減します。
ダイキン「エコキュート」は、お湯はり・保温・足し湯まで全自動の「フルオートタイプ」、設定した湯温・湯量でお湯はりができる「オートタイプ」、蛇口から給湯するシンプルな「給湯専用らくタイプ」に分類されています。深紫外線でお湯を除菌する「おゆぴかUV」や、微細な泡が心地よく温浴効果にもすぐれた「ウルトラファインバブル入浴」などの機能のほか、スマートフォンから風呂が沸かせるアプリに対応した機種もあります。
「ウルトラ高圧フルオート」「パワフル高圧薄型フルオート」のほか、薄型、コンパクト、給湯専用などの豊富なラインアップを展開するパナソニック。専用アプリに対応した機種では、外出先からのお湯はり、別の部屋からの追い焚き、出先から沸き上げを休止できるなど、さまざまな機能を利用できます。沸き上げを夜と昼に分散し太陽光発電の電力を有効活用する「ソーラーチャージ」や、家族それぞれの好みの湯温が選べる「温浴セレクト」など、独自の機能も充実しています。
「エコキュート」のほか、太陽光を利用する「おひさまエコキュート」、少人数世帯に適した「ネオキュート」などを展開するコロナ。音声モニターで浴室の音を聞くことができる「入浴サポート機能」や、緊急時にお湯を確保できる「レジリエンス機能」など、独自の機能を備えた機種もラインアップされています。アプリに対応した機種では、自宅の入浴状況を確認できる「自宅みまもり」、外出先からお湯はりや風呂予約ができる「遠隔操作」が可能です。
パロマの給湯器は、給湯+追い焚き、高温水給湯、給湯専用、小型湯沸かし器、給湯暖房熱源機、暖房専用熱源機などのカテゴリに分類されています。マイコン制御の「Q機能」を搭載した機種では、再出湯直後の温度差を最小限に抑え、シャワーなどをより快適に使えるのが特徴です。また、ガス風呂給湯器「ブライツ」シリーズでは、自動お湯はりがスピードアップし、すぐに入浴したいときも待ち時間が短くて済みます。

タンク容量は、タンクにためられるお湯の容量です。お湯を使用する人数を基準に選ぶとよいでしょう。1〜3人なら300Lタイプ、3〜5人なら370Lタイプ、4〜7人なら460Lタイプ、5〜8人なら550Lタイプがおおよその目安になります。
タンク容量で選ぶ

寒冷地仕様の給湯器は、凍結防止ヒーターや配管凍結防止機能を搭載しています。雪深い地域や極端に気温が低い地域で使用する場合は、寒冷地仕様の製品を選びましょう。

耐塩害仕様の給湯器は、本体・前板などに耐塩害塗装を施しているため、海の近くでも使用が可能です。

床を温める室内暖房機能のこと。戸建て住宅などで給湯器が複数台に分かれている場合、床暖房のためだけの専用の給湯器「暖房専用給湯器」を設置することもできます。

浴室内をあたたかくする暖房機能のこと。浴室をあらかじめ暖かくしておくことで、急激な温度変化により血圧の乱高下などを引き起こすヒートショックへの対策にも役立ちます。
「多段階評価点」とは、省エネ性能の高さを示した指標のこと。高い順に5.0〜1.0までの41段階で表示され、数字が大きいほど省エネ性能の高い製品といえます。下のラベルは「統一省エネラベル」と呼ばれ、省エネ性能がわかりやすく示されています。各メーカーのサイトでも、ラベルの内容を製品ごとに表示しているので参考にしましょう。なお、電気・ガス・灯油などのエネルギー種別を問わず給湯器(温水機器)全体で省エネ性能を比較することができます。
統一省エネラベルの見方
多段階評価点で選ぶ
できます。ただし、ガスから電気への工事に対応している業者に依頼する必要があります。
ガス給湯器から電気給湯器に交換する場合、ガス管の閉栓などの工事が別途必要になるため、事前に施工業者に対応可能かどうか確認する必要があります。
自動で足し湯をしたり、追い焚きをしたりできるのは、フルオートのみです。
フルオートは自動でお湯はりをしたあと、湯温や湯量を感知し、お湯が減ったら足し湯をし、湯温が下がったら追い焚きをしてくれる機能を備えているものです。オートは自動でお湯はりしたり、保温したりできますが、足し湯や追い焚きを自動ですることはできません。
給湯する湯量が同じならコストも変わりません。ただし、シャワーの出しすぎによるコストアップの可能性も。
給湯するお湯の量が同じならコストも同じですが、号数が大きいほうがシャワーなどのお湯の出がよいので、お湯を出しすぎてランニングコストが上がることも考えられます。