1,000万円前後クラスの中型以上大型未満のSUVに乗り換えたく、ディスカバリー、レンジローバー・ヴェラール、BMW X5、AUDI Q7、M-BENZ GLE、VOLVO XC90、LEXUS RX等と比較検討、試乗を繰り返した結果、最終的には、共に3リッター6気筒ディーゼルターボエンジンを積むX5(G05)との一騎打ちとなった。
【エクステリア】
FMCから6年が経過し、もはや先進的なデザインではないが、いまだに正統派スポーティSUVとしてのカッコ良さは一番と言ってもいい程自分の好みにピッタリ。マイナーチェンジのフェイスリフトで、より洗練された印象になり、スタイリングの熟成に磨きが
続きを読む
かかった感。
ただし、HSE以下のグレードはサイドシルとバンパーコーナーがグロスブラックとなり、ボディ同色ではないのが少し野暮ったい。HSE DYNAMIC以上のグレードが欲しいところ。
【インテリア】
マイナーチェンジにより、インパネ周りはヴェラールと同様デュアルタッチスクリーンの先進的デザインとなり、古臭さがなくなった。一方で、レザーとウッドを巧みにあしらったインテリア全体の雰囲気はイギリス車的な上質感に溢れており、ドイツ車的精巧さとは対極にある高級感で所有する者の満足感を充足すると思われる。
物理的ボタンがほとんど無く全てがタッチパネル操作になっているため、目視なしでの手探りの操作は難しい。運転しながら操作するには相当の慣れが必要で、かえって危険。未来的でスマートなデザインは、50代半ばのオジサンには優しくない。
【エンジン性能】
3リッター6気筒のディーゼルターボエンジンは、日中であればアイドリング時でもガソリン車と間違う程の静粛性があり、どのライバル車より静かだった。発進直後 1,500rpm位までの超低回転域では若干のモッサリ感があるものの、直ぐに必要かつ十分以上のトルクにより加速する。ただし、600Nmのトルク感は実感できなかった。
一般道では非常に静かで滑らかなガソリン車的感覚。超高速域は試していないので、無評価。
【走行性能】
ドイツ車のライバルと比較すると安定感がないような腰高感があるが、それも味付けか。
ランドローバー車の真骨頂であるオフロード的路面を試す場面はなかったが、一般的なシティーユースでは何ら問題ないハンドリング。ただし、オートモードからダイナミックモードにしても、それ程の変化が感じられなかった。
一方で、この車を選ぶ優位性の一つは、渡河水深が850mmもあること。大雨浸水等のニュースを見るもつけ、ランドローバー車が欲しくなる。他のライバル車では、せいぜい500mmが限度か。
【乗り心地】
上記の通りドイツ車的安定性を感じない分、乗り心地はソフト目。好みの問題になるが、個人的にはドイツ車に軍配。
【燃費】
カタログ値だけで比較すれば、ライバル車に対する優位性はそれ程無いか。
【価格】
価格を気にしながら買う車でもないが、最初からドライバーアシスト系の安全装備等が標準となっているドイツのライバル車に比べ、オプションとして追加しなければ満足できない装備が多く、同程度の装備仕様のドイツ車に比べると結果として100〜200万円程度以上の高額になる。
【総合評価】
本当は限りなく★5に近い評価だが、結果として選ばなかったので敢えて★4。
BMW X5(G05)と比較しながらの購入検討で何回も試乗したが、どちらも捨てがたい魅力があり、本当に迷った。値引きもかなり頑張ってもらった(下取り額の上乗せ等諸々あわせると実質200万円近い値引)が、最終的にはドイツ車的精巧感カッチリ感テイストに勝てなかった。
この車は、性能や装備等のスペックを緻密に比較検討する人や、車好きを自認するもエンスーにはなれない人には向かないかもしれない。そこら中に走っているドイツ車は嫌だという人や、兎に角オシャレでカッコイイ車に乗りたいという人にはピッタリ。もちろんオフロード性能を重視しつつもカッコイイことが条件の人にも最適。
故障率が高いとか維持費が掛かるとか修理期間が長いとか、そんなことはもう昔話だよと笑い飛ばせる、心と財力と時間に余裕をお持ちの方にはオススメ。
なお、レンジローバースポーツは、イギリス本国ではオラオラ系車の代表選手らしいが、グレードはもちろんSVRに限ると思われる。
ジェントルにもチョイワルにも硬派にも乗れる、スポーティで超カッコイイ高級SUVであることに間違いない。