コーヒーメーカーの選び方
淹れたてのコーヒーを味わうことができたり、好みの濃さに調整できたりするコーヒーメーカー。ここでは、「コーヒーメーカーにはどんな種類がある?」「エスプレッソやカプチーノは飲める?」「メーカーごとの違いは何?」など、コーヒーメーカーを選ぶ際の疑問を解決。コーヒーメーカーを購入する前に知っておきたいポイントを紹介します。
2022/6/14 更新
目次
人によって好みがある以上、一概においしいコーヒーを定義することはできませんが、香り高く風味のあるコーヒーを飲みたい場合には、挽き立てのコーヒー豆を使用するとよいでしょう。ミル(コーヒー豆を粉砕する器具)付きのコーヒーメーカーや電動式のミル単体を利用すると、短時間でコーヒー豆を挽くことができます。なお、濃いめの「細挽き」、バランスのとれた「中挽き」、さっぱりとした「粗挽き」など、コーヒーの味は豆の挽き方でも変わることも覚えておきましょう。
1種類のコーヒー豆から淹れたコーヒーを「ストレートコーヒー」、数種類のコーヒー豆を配合して淹れたコーヒーを「ブレンドコーヒー」といいます。前者は単一のコーヒー豆本来の味を味わうことができ、後者は数種類のコーヒー豆を組み合わせることによる味の相乗効果により、単一の豆とは異なるおいしさを味わうことができます。また、タンザニアやインドネシア、コスタリカなど、コーヒー豆は産地やその種類によって風味が異なります。コーヒーの風味をより一層楽しみたい人は、コーヒー豆の配合や種類にこだわってみるとよいでしょう。
代表的なコーヒー豆の種類と特徴
産地 | 特徴 | ||
---|---|---|---|
キリマンジャロ | タンザニア | 強い酸味とコクがあり、甘い香りも特徴の1つ。 | キリマンジャロを探す |
グアテマラ | グアテマラ | 甘い香り、上品な酸味、芳醇な風味が特徴的。 | グアテマラを探す |
マンデリン | インドネシア | 酸味はなく、苦味とコクのある味わい。 独特な後味がある。 |
マンデリンを探す |
コスタリカ | コスタリカ | 芳醇な香りと適度な酸味がある。 | コスタリカを探す |
メキシコ | メキシコ | 適度な酸味と香りで、上品な味わい。 | メキシコを探す |
ドリップ式は、紙やステンレスなどのフィルターにコーヒーの粉を入れて抽出する、最もポピュラーなタイプです。挽いたコーヒー豆をマシンにセットし、水タンクに水を補充してスイッチを入れるとお湯を沸かしてコーヒーをドリップします。最近は、コーヒー豆をセットするだけで「豆を挽くところからコーヒーを抽出するところまで自動で行ってくれる」全自動タイプが人気です。そのほか、カプセルタイプなどと異なり、一度に5〜10杯分のコーヒーを淹れられる点も特徴です。
専用のカプセルをセットするだけで手軽にコーヒーを淹れることができるタイプです。1杯分の挽いたコーヒー豆をカプセルに詰め、真空状態で密封することで豆の酸化を防ぎ、新鮮な香りを楽しめることが特徴です。カプセルの種類によってコーヒーの味やフレーバーが異なるほか、抹茶やココアなどコーヒー以外の飲料を楽しむこともできます。ただし、専用のカプセルを購入する必要があるため、ランニングコストはかかります。
1杯分の挽いたコーヒー豆をパック状のフィルターペーパーに詰めたものをカフェポッドといいます。カフェポッドタイプのコーヒーメーカーは、フィルターが不要で、カフェポッドをマシンにセットするだけでレギュラーコーヒー(または、エスプレッソ)を抽出することができます。抽出後はカフェポッドを取り出して捨てるだけなので、後片付けも簡単です。ただし、カフェポッドは直径60mmのコーヒー用と、直径44mmのエスプレッソ用の2種類に明確にサイズ分けされており、両方のサイズに対応した兼用マシンはありません。
一般的に飲まれているのがレギュラーコーヒーです。ドリップ式をはじめ、カプセルタイプやカフェポッド対応の製品までラインアップが豊富です。挽き立てのコーヒー豆で淹れたコーヒーを味わいたい人は、ミル付きタイプのコーヒーメーカーを選びましょう。
高い圧力をかけて短時間でコーヒーを抽出し、うま味だけを引き出したものがエスプレッソです。素早く抽出することから「EXPRESS(急行)=エスプレッソ」と呼ばれるようになったといわれています。エスプレッソ専用マシンのほか、最近はカプセルやカフェポッドをセットするだけで手軽に抽出できる製品もあります。
エスプレッソに、泡立てたミルクを加えたのがカプチーノです。エスプレッソ同様、カプセルタイプやカフェポッドタイプがあります。スチームノズルで「きめ細かい泡立てミルク」を作れるハイエンドモデルもあります。
インスタントコーヒーでおなじみのメーカーです。専用の詰め替えパックやカプセルをセットするだけで手軽に1人前のコーヒーを淹れられる「ネスカフェバリスタ」、「ドルチェグスト」、「ネスプレッソ」の3シリーズを展開しています。
コーヒーを好みに応じて淹れ分けたり、煮詰まらないように保温温度をコントロールしたりと、機能性の高い製品を展開するメーカーです。豆挽きからドリップ、ミルの洗浄まで自動でできる「NC-A56」が人気です。
創業者はペーパードリップシステムの考案者。その経験と技術を活用したダイニングで使いやすい2〜5杯用や大人数にも対応できるラージタイプ、1杯ごとに好みに応じたコーヒーが淹れられるポッド式など、おいしさとともに使い勝手を考えた製品を展開しています。
魔法瓶を得意とするメーカーだけあり、風味や香りを逃さない真空ステンレスサーバーを使用したコーヒーメーカーが充実しています。そのほか、湯の量と時間をマイコンで制御しまんべんなく湯を注ぐ「シャワードリップ」など、機能性を追求した製品を展開しています。
電気ケトルやフライパンなど、さまざまなキッチン用品を展開するメーカーです。直径45mmのシャワーヘッドの13穴からお湯をシャワー状に降り注ぎ、芳醇なコーヒーをボタン1つで簡単に淹れることができる「メゾン」シリーズが人気です。
一般的なコーヒーメーカーはガラス容器のサーバーに抽出し、ヒーターで保温できるものがほとんどです。ただし、低価格の製品には保温機能がない場合もあります。最近は、保温性の高いステンレス容器を採用している製品も増えていますが、ステンレス容器は、内部が魔法瓶構造になっているものとそうでないものに分かれているので、購入前にチェックしましょう。
フィルターには紙製のものと、ペーパーレスのものがあります。紙のフィルターは使い捨てなので、毎回フィルターを洗う手間が省けます。それに対して、ペーパーレスタイプは洗って繰り返し使うことができます。ペーパーレスタイプには、ネルと呼ばれる布製のもの、金属や樹脂のメッシュタイプなどがあり、紙フィルターよりもコーヒーのコクが出やすいといわれています。
コーヒーを抽出するときに、湯とコーヒー粉をなじませる「蒸らし」を行うと、香りや濃さが変わります。湯や蒸気による「蒸らし機能」を備えたコーヒーメーカーは、コーヒー本来の芳醇なコクと香りを、より引き出すことができます。
浄水機能付きのコーヒーメーカーは、活性炭などのフィルターを通すことで、水道水に含まれるカルキをカットします。浄水で淹れたコーヒーは雑味がなくクリアな味わいになるといわれています。
エスプレッソに泡立てたミルクを加えるとカプチーノになります。カプチーノを作るには、ミルクを泡立てるためのミルクフォーマーが欠かせません。単体のミルクフォーマーでミルクを泡立てても問題ありませんが、コーヒーメーカーにミルクフォーマーが付いているとカプチーノを作る際に非常に便利です。
エスプレッソは圧力をかけて一気に高温の湯をコーヒー粉に通過させて抽出します。エスプレッソの特徴であるクレマがきれいにできあがるかどうかは、この気圧に左右されます。また、抽出時の気圧が低すぎると湯がしっかりとコーヒー粉にまわりきらず、反対に気圧が高すぎると雑味が出てしまうため、一般的には9〜10気圧が最適といわれています。
コーヒーを抽出するときの圧力を制御する、ポンプ内部の圧力のことです。最適な抽出時の圧力を実現するには、15〜18気圧程度が必要といわれています。
バスケットとは、コーヒー粉をフィルターにセットする部分のことです。スイングバスケット式は、この部分がドアのように開閉し、セットや手入れがしやすくなっています。また、コーヒーサーバーの取り出しも容易に行えます。
給水用のタンクが取り外せる構造のことです。給水タンクを取り外すことができると、水洗いなどができるため手入れが簡単です。また、蛇口からタンクに直接水を注ぐこともできます。
Bluetooth機能によりスマートフォンから操作できるコーヒーメーカーもあります。スマートフォンの専用アプリなどを使って遠隔操作が可能で、コーヒーの淹れ方をカスタマイズしたり、好みの温度を登録したりと、さまざまな機能を利用できます。
タイマーをセットすることで指定した時間にコーヒーを抽出できる機能です。起床時間に合わせてタイマーをセットしておけば、慌ただしい朝の準備を1つ減らせるので便利です。
コーヒー抽出中でも、サーバーを取り出すと自動的にドリップを停止する機能です。フィルターからコーヒーのしずくがたれてくるのを防ぐため、プレートを汚さずに済みます。
エスプレッソの表面にできる細かな泡のことです。
クレマはコーヒー豆に含まれる油分が乳化することでできあがります。香りを閉じ込め、口当たりがまろやかになるクレマは、エスプレッソでは欠かせません。
粉の量と抽出量を調節すれば作れます。
エスプレッソに適量のお湯を注ぐことで、ドリップで入れたコーヒーと同じようなカフェアメリカーノを作ることができます。また、メーカーによっては、「カフェジャポーネ」などと呼ばれるレギュラータイプのコーヒーを入れられる機能を搭載した製品もあります。
アイスコーヒー対応のモデルもあります。
給水量を調節したり、氷を入れたステンレス容器に抽出したりと、さまざまな方法でアイスコーヒーに対応した製品があります。中には、アイスコーヒー専用のコーヒーメーカーもあります。
優劣はありません。
紙フィルターとメッシュフィルターに優劣はなく、好みで使い分けるとよいでしょう。メッシュフィルターは紙フィルターが吸い取ってしまうオイルも抽出されるので、コクが深くなります。その代わりに、細かい粉が入ってしまうこともあります。
ミルでコーヒー豆を挽いた場合は、洗浄する必要があります。
どの製品もクリーニングしやすいように設計されているため、それほど手間はかかりません。中にはミルの洗浄も全自動で行ってくれる製品も登場しています。
エスプレッソとミルクフォームの同時抽出ができるか否かです。
シングルボイラーは、1つのボイラーで作った蒸気を1つのポンプで送り出し、エスプレッソの抽出とミルクフォーム用の蒸気を作るタイプです。エスプレッソとミルクフォームの抽出では抽出圧力が異なるので、切り替えるための時間が必要になります。一方、ダブルボイラーは、エスプレッソとミルクフォーム用にそれぞれ独立したボイラーとポンプを装備しているため、エスプレッソとミルクフォームを同時に抽出することができます。
活性炭フィルター
水道水のカルキをカットするためのフィルターです。活性炭は汚れを吸着するので、一定期間ごとに交換する必要があります。
コーヒーグラインダー
コーヒー豆を挽いて粉にするコーヒーミルのことです。メーカーによっては、ミルではなくグラインダーと呼称する場合があります。
サーバー
抽出したコーヒーをためる容器のことです。ガラス容器のほか、ステンレス容器などもあります。
低速グラインダー
コーヒー豆を低速で砕くように挽くことで、挽きムラや摩擦熱の発生を抑え、風味や香りを保つことができます。
ドリッパー
コーヒーを濾すフィルターをセットする部分です。ドリッパーにあいた穴の数で抽出方法が変わり、1つならゆっくりと、多ければ早く抽出されます。