HDMIケーブルの選び方
「4KやHDRに対応している?」「スマホと接続できる?」「コネクタの種類はどれが最適?」など、HDMIケーブル選びの疑問を解決できるのが、この選び方ガイドです。製品選びに必要な基礎知識、用語解説はこちらでチェックしましょう!
2022/6/22 更新
目次
薄型テレビやレコーダーなどのAV機器同士、あるいはテレビとPlayStationなどゲーム機の接続時に使う「HDMIケーブル」ですが、そもそもどういったケーブルなのでしょうか。ここでは、HDMIケーブルの基本について解説します。
「HDMI」とは、高解像度マルチメディアインターフェース(High-Definition Multimedia Interface)を略したもので、映像と音声、制御信号などを同時に伝送する通信規格です。テレビとレコーダーなどAV機器同士を接続する場合、従来のアナログ機器では映像や音声を別々のケーブルで出力していました。しかしHDMI対応機器であれば、ケーブル1本の接続で映像と音声の両方を伝送可能になりました。なお、HDMIケーブルではデジタルデータを無圧縮で伝送するので、高品位な映像や音声を劣化させずに送れるというメリットもあります。
現在、HDMIケーブルは、対応する解像度や伝送速度、機能に応じて性能が低いものから「スタンダード」「ハイスピード」「プレミアムハイスピード」「ウルトラハイスピード」の4つに区分されます。ただし、同じハイスピードでも「バージョン」によって性能が違うことがあります。ただし、バージョンは現在は記載されていません。その代わりにHDMIケーブルのパッケージやサイトの説明には「4K」「フルHD」など、そのケーブルが対応する用途が明記されるのが一般的です。以下では代表的な用途ごとにまとめています。用途に適合しないHDMIケーブルを使った場合、機器の性能を正しく生かせません。例えばHDR対応のテレビとプレイヤーを、非対応のケーブルでつないだ場合、HDR表示はできません。そのため、ケーブルの対応は非常に重要です。
フルHDテレビとレコーダーやPS4の接続などフルHDの環境には「フルHD対応」製品を選べばOKです。なお、HDMIケーブルは「スタンダード」以上がフルHD対応となりますが、現状はスタンダードのケーブルはほとんどないため、ハイスピードの製品から選ぶのがいいでしょう。
HDMIケーブルは「ハイスピード」以上で4K解像度に対応しますが、細かな違いがあるため注意しましょう。まずUltra HD Blu-rayやBS4K放送、さらにPS4 Pro/PS4(フルHD解像度)などのHDRを伝送できる「HDR対応」。次に滑らかな4K/60pの転送が可能な「4K/60p対応」。そして家庭用4Kビデオカメラなどの4K/30pを転送できる「4K/30p対応」が選びの目安となります。
BS4K放送やUltra HD Blu-ray、PS4 Pro/PS4などのHDR対応機器の接続はこちら。
BS4Kチューナーと4Kテレビの接続に使えば滑らかな映像で視聴できます。
4K/60p対応ディスプレイとパソコンの接続にも使われます。
4K/30p対応の家庭用4Kビデオカメラで撮影した映像の転送にはこちら。
最大10K解像度まで対応するウルトラハイスピードは、BS8Kチューナーと8Kテレビの接続や、PS5(アップデートで将来的に8K/60pに対応予定)で4K/120p出力をする場合などに使用されます。
用途別のHDMIケーブルの項目でもふれましたが、HDMIケーブルには「ハイスピード」「ウルトラハイスピード」などの区分のほかに、「バージョン」があります。2017年以降、製品のバージョン表記は廃止されていますが、製品の違いを知るうえで便利な知識なので覚えておくとよいでしょう。
コンテンツ視聴をする場合、機器・ケーブルともに用途の条件を満たさないと性能が制限されてしまいます。たとえば、4Kテレビと4K対応ブルーレイレコーダーを接続して4Kのソフトを再生しても、それらをつなぐケーブルが4Kに対応しない場合は4K解像度で映像を表示できません。表にはタイプ・バージョンと対応する用途をまとめています。新たに購入する際など確認してみてください。
ケーブルの区分 | バージョン | 帯域幅 | 主な解像度とフレームレート | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ウルトラハイスピード | Ver.2.1 | 48Gbps | 7,680×4,320・60p 3,840×2,160・120p |
・8Kに対応 ・10K解像度もサポート |
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プレミアムハイスピード | Ver.2.0a | 18Gbps | 3,840×2,160・60p | ・HDRに対応 | |||
Ver.2.0 | 3,840×2,160・60p | ・4K/60pに対応 ・アスペクト比21:9に対応 |
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ハイスピード | Ver.1.4 | 10.2Gbps | 4,096×2,160・24p 3,840×2,160・30p |
・3D映像に対応 ・4K/30pに対応 |
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Ver.1.3 | 2,560×1,440・75p | ・Deep Colorに対応 | |||||
スタンダード | Ver.1.2 | 4.95Gbps | 1,920×1,200・60p |
HDMIを使うためには、コネクタの形状や長さ、あるいは機能もポイントとなります。ここではそれらを基準にしたHDMIの選び方を解説します。
HDMIケーブルにはAからEまで5種類のコネクタが存在しますが、そのうちBとEの2種類は現在使われていないか、目にする機会があまりなく実質的にはA、C、Dの3種類です。接続する機器によって、使い分けましょう。
両端が「Type-A」と呼ばれる通常のHDMI端子になっています。最も基本的なタイプで、テレビとレコーダーやゲーム機、また、最近はパソコンとディスプレイの接続にも使われます。
ケーブルは、機器間の距離を考えて少し余裕がある長さのものを選びましょう。また、HDMIケーブルは長くなればなるほど信号の減衰によるエラーが生じやすく、5mを超えるとノイズが発生したり、映像が映りにくくなる場合があります。そんなときは、映像調整用のイコライザを搭載したケーブル(対応距離:約5〜30m)や、HDMIの信号をLANケーブルに乗せて伝送できる「HDMIエクステンダー」(対応距離:約50〜100m)、HDMIケーブル間に設置して信号を増幅する「HDMIリピーター」(対応距離:約10〜40m)を使用するといいでしょう。
HDMIには、映像と音声のデータを伝送する以外にも、バージョンアップによってさまざまな機能が追加されています。中でも、代表的な3つの機能について紹介します。
HDMI Ethernet Channelの略で、HDMIケーブルにLANケーブルの機能(イーサネット信号の双方向通信)を持たせた規格です。インターネットに接続している機器にHDMIケーブルで接続した機器は、新たにLANケーブルを用意せずにインターネットにつながります。つまり、テレビとレコーダーが本体・ケーブルと共にHECに対応し、かつ、レコーダーがインターネットに繋がっていた場合、テレビの側でもインターネットが使用できます。
Audio Return Channelの略で、音声の入力だけでなく、出力にも対応した規格のことです。従来は音声の出力に別途光デジタルケーブルが必要でしたが、この機能により不要になりました。ハイスピード(Ver.1.4)以降のHDMIケーブルに搭載されています。また、最近ではHDオーディオなどの音声も出力できる拡張版「eARC」が登場しています。
Consumer Electronics Controlの略で、テレビやレコーダーを連携するための制御信号を伝送できる規格です。具体的には、テレビとレコーダーをHDMIケーブルでつないだときに、どちらかのリモコンで両方を操作できるようにするために使われます。CECは、スタンダード(Ver.1.2a)から搭載されているので、現在のほとんどのHDMIケーブルに搭載されていると考えてよいでしょう。
ここでは主要なHDMIケーブルのメーカーの特徴を紹介していきます。自分の環境にあった製品選びの参考にしましょう。
豊富なラインアップが特徴で、タイプA、タイプC、タイプDの各タイプで、ケーブルのやわらかさや太さの異なるモデルを販売しています。また、PC周辺機器メーカーのノウハウを生かし、HDMIを通して伝送されるデータを無線化できる周辺機器なども販売しており、PC環境に親しんだユーザーにも人気があります。
家電メーカーだけに、テレビとレコーダー、オーディオをつなぐ際に使われるタイプAのみを販売しています。高音質や高画質にこだわった構造のプレミアムなモデルなどもあり、映像や音にこだわりのある人にも向いています。
アンテナやHDMI関連のケーブルを中心に展開するメーカーで、価格の安さと品質の高さに定評があります。ラインアップも豊富で、端子のカラーが選べたり、ケーブルの太さや素材が選べたりするのも魅力。また、安定した伝送が可能な光ファイバーを採用したモデルがあるのも特徴です。
スタンダードなケーブル以外に、フラットタイプや極細、巻き取り式など、さまざまな形状のケーブルを展開。コネクタが回転する「3Dコネクタ」などもあり、環境に合わせて選べるラインアップを展開しています。
タイプAとタイプDのHDMIケーブルを展開しています。多くのモデルで、接触抵抗の少ない24金メッキのプラグと、外部ノイズを強力に抑える3重シールド構造を採用しているのが特徴です。
対応するバージョンと使用されている素材に差があります。
バージョンの違いで価格に差が出るため、高価なものはバージョンが新しい傾向にあります。また、バージョンが同じであれば、ケーブルに使われている素材の違いにより、伝送品質や耐久性に差が出ます。
Ver.2.0a以降を選べば基本的に問題ありません。
HDRではデファクトスタンダードとなっている「HDR10」という規格に加え、より高画質な映像が楽しめる「Dolby Vision」や、従来のHDR非対応機でも表示可能な放送用の「HLG」、シーン単位で輝度設定でき輝度スペックの低いテレビでも映像美を楽しめる「HDR10+」といった規格も存在しますが、いずれの規格でもVer.2.0a以降のHDMIケーブルを選べば問題ないといわれています。なお、Dolby Visionについては対応をうたった高品位な製品も登場していますので、万全を期したい方はこういった商品を選ぶのもよいでしょう。
コネクタタイプ
コネクタの形状別に分類されています。タイプAは一般的なHDMIコネクタ、タイプCはHDMIミニコネクタ、タイプDはHDMIマイクロコネクタのことを指します。
走査線
映像はデータを画面横方向に走る細かい線にして順次送信することで表示されており、その一本一本を走査線と呼びます。たとえば画面解像度が1,024×768であれば走査線は768となり、走査線の数値が高いほど高解像度になります。
伝送帯域
伝送帯域とは信号を送るために使用する電気の周波数のことで、数値が大きいほど一度に多くのデータを送信することができます。HDMIにはスタンダードケーブルといわれる75MHzのものと、ハイスピードと呼ばれる340MHzの2種類があります。
HDR
High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)と呼ばれる高画質技術。明るさの幅である輝度レンジを従来比100倍まで拡大することで、より人間の視覚に近いリアルな映像を楽しむことができます。