リンゴファンへの招待状Apple AirPods Max

イヤホン・ヘッドホン 2022/2/2
  • facebook
  • twitter
  • line

リンゴファンへの招待状Apple AirPods Max

鳴り物入りで登場したAppleの本気ヘッドホン「AirPods Max」は、異質なデザインと強気な価格でユーザーを驚かせた。ある種、嗜好(しこう)品に似たものを感じさせる。しかし、このヘッドホンでしか届かない世界が、確かにあるのだ。

誰に向けた製品なのか?

Apple「AirPods Max」を語る前に、この製品の価格が約5万6,000円(※以下価格はすべて2021年12月時点)であることを知っておく必要があります。これはワイヤレスヘッドホンとしても非常に高額。同じオーバーヘッドタイプのヘッドホンで人気のSONYの「WH-1000XM4(約3万5,000円)」や、ゼンハイザーの「MOMENTUM Wireless M3AEBTXL(約3万4,000円)」などと比較してもなお金額で上回ります。

では、その価格に見合う音質なのか?
答えは……ノーです。
もし音質を求めるのなら、DAP+有線イヤホン、あるいはほかのメーカーのフラッグシップモデルを検討するべきでしょう。

では、AirPods Maxの音質はよくないのか?
この答えもまた、ノーです。
AirPods Maxの音質は、あくまで価格に見合ったものではないというだけで、決して悪いものではありません。低音もよく聴こえるし、高音の伸びも優秀。音場の広さもすごい!けれども「このくらいの音質ならもうちょい安いヘッドホンでもあるな……。」と感じてしまうわけです、残念ながら(そもそもある程度高いヘッドホンになると音質は好みだし)。

それではAirPods Maxとはなんなのか?

音質で比較するともっといいヤツはたくさんあるんですよ。細かいニュアンス表現にたけたモデルもたくさんあるんですよ。

私は「AirPods Maxとは、音質だけでなく、空間オーディオの完成度、独創的なデザインや装着感のいいイヤーカップなど、総合的な価値で評価したい製品」と考えます。

そして、この条件に見合うユーザー、すなわちAirPods Maxの機能を十分に引き出し、その恩恵を受けられるのは、現在のところではApple(iOS)デバイスユーザーとなります。
たとえば、先に挙げたSONYの「WH-1000XM4」は、ユーザーのデバイスによって性能が大きく左右されることはありませんでした。しかしAirPods Maxはそうではない。ユーザーの頭の向きや位置によってコンテンツの音の位置を調整する「ダイナミック・ヘッド・トラッキング」機能はAppleデバイスとの組み合わせしか利用できません。 このあたりは、いちヘッドホンというよりも、いちApple製品としての性格が強く出ているともいえますね。

Apple AirPods Maxを価格.comで購入する

エンタメを一変させる空間オーディオ

Appleは、音楽を立体的に体験できる同社独自の機能を「空間オーディオ」という名称で提供しています。この機能は、AirPods Maxや、大ヒットワイヤレスイヤホンの「AirPods Pro」でも体験でき、初めて聴いた人はその立体感に驚いたはず。何百回と聴き慣れた曲であってもまったく違う音楽に感じるほど、リスニング体験を一変させる力があります。

しかもイヤホンで聴く空間オーディオの時点ですごく立体感があるのに、それをヘッドホンで聴いたら……!

実際に僕が普段からリファレンスとして聴いている、キリンジ「エイリアンズ」の感想ですが、イントロのギターの音の広がりや、音源までの距離など、音に対する立体的な要素がたっぷりと感じられました。ホールで聴いてる感覚が近いと思います。
一方でEDM枠として中田ヤスタカさんの「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」は、圧倒的なステレオ感を感じました。ヤスタカさんの曲はMS処理と呼ばれる音の信号を中央と側方に分けて処理する方法のため、側方の聴こえ方がキレッキレですからね。

やはりAirPods Maxは、空間オーディオを最もリッチに味わえるデバイスといえます。じゃあそれだけで6万円以上の価値はあるのかといわれれば「個人的には、あるっちゃある」と答えたい。というのも、AirPods Maxでしか体験できないオーディオ体験があるのは、事実なんですよ。空間オーディオそのものはAirPods Proでも体験できますが、やっぱりレベルが違います。最高の空間オーディオを味わえるデバイスとしての価値、これはプライスレスです。

また、2021年9月からNetflixの一部コンテンツもAppleの空間オーディオに対応しました。映画やアニメでも空間オーディオが使えるようになったわけです。つまり、自宅で映画館のような音響が味わえるということ。しかも大がかりな機材なしに。実際に空間オーディオに対応した映画作品をいくつか視聴してみましたが、銃撃戦の音の反響、車やヘリコプターの回り込み、人の声の距離感など、臨場感がグっと増しました。

当然ながら、Netflixの空間オーディオを使うには、再生機がiPhoneやApple TVなどのAppleデバイスである必要があります。また、すべての作品が空間オーディオとして視聴できるわけでもありません。しかし、映画が好きなNetflixユーザーであれば、AirPods Maxは、最高のアドオンといえます。いわばAirPods Maxを所有するということは、最高品質の空間オーディオを常備できることでもあるわけです。

Apple AirPods Maxを価格.comで購入する

唯一無二のデザイン性は、よくも悪くも

Apple製品といえば、デザインの美しさも魅力の1つ。AirPods MaxはMacBookを思わせるアルミ削り出しのハウジングが特徴的で、ほかにもフレームにはステンレス、ヘッドバンドはメッシュ、イヤーカップには通気性のいいクッションと、かなり目を引く素材が使われています。一般的なヘッドホンとはまったく違うデザイン思想なので、顔ファンでAirPods Maxを買っちゃうのも、むしろアリだと思います。イヤーカップだけ購入することも可能で、色を変えれば自分だけのカラーリングにできちゃう。

でもこのデザイン、デメリットもあります。まずアルミ製のハウジングですが、丈夫さや音響特性の面で優れている一方、アルミなのですごく冷たいです。首掛けしていると、肌に触れたときにびっくりするくらいには冷たいです。

また、本体重量は384.8gもあります。SONYのWH-1000XM4が約254gなので、ヘッドホンとしてはかなり重め。装着し続けてると疲れてくるかもしれません。その代わりメッシュ部分は軽量化に貢献してるし、イヤーカップのクッションはとてもいい装着感です。嫌な密着感がなく、肌当たりがいいんですよね。夏のヘッドホンのムレ感が気になる人にはうってつけの素材!

個人的に、デザインの面で気になったのは、収納ケース「Smart Case」です。発表当時からそのデザインについてアレコレいわれていましたが、実際に使ってみても「これ、スマートか……?」な感じ。頑丈なアルミ部分を覆うのってどうなのって思うし、そもそも収納といってもほとんどむき出しなわけで、バッグに入れてるといろんなものに干渉しまくり。いっそ本体全部をスポっと収めるケースのほうがよかったと思います。かといってケースなしでバッグに入れるとイヤーカップに傷が付きそうだし、どうしたものか……。自宅でしか使わないと割り切れば、そもそもケースは不要ですけどね。

Apple AirPods Maxを価格.comで購入する

わかっている人だけが使う特権

AirPods Maxの特徴を3要素で表すなら、「音質・空間オーディオ・デザイン」かなと。繰り返しますが、いい音質なのは間違いありません。ただし、価格には見合っていません。なので、音質だけで選ぶのはどうかなぁと思います。

逆に空間オーディオの価値は間違いないです。オーディオ体験を一変させる可能性があり、さらにはこれからのアップデートにも期待できます。Netflixの空間オーディオ対応は突然の発表でしたし、今後も何かしらのコンテンツが空間オーディオに対応する可能性は十分ありえるかと。SONYの「360 Reality Audio」といい、立体音響はトレンドですからね。

純粋に高音質・高解像な音楽を聴きたいのか、それともNetflixで映画を見るなどホームオーディオ的にも使いたいのか。自分がヘッドホンに何を求めるのかを、金額も含め十分に検討すべきでしょう。

ちなみに僕は今回、AirPods Maxはヘッドホンというよりも、Appleが手掛ける新たなエンタメをフルスペックで体験するためのデバイス。まるでAppleからVIP席への招待状だと感じました。

わかる人にはその価値がわかると思います。価格.com

文:ヤマダユウス型 写真:文田信基(fort)

Apple AirPods Max でこの製品を購入する

Apple AirPods Max

通信方式: Bluetooth 5.0
連続音声再生時間: 最大20時間
連続通話時間: 最大20時間
充電方式: USB充電(Lightningコネクタ)
型式: ダイナミック型
ドライバーユニット: 40mm ダイナミックドライバ
主な特長: アクティブノイズキャンセリング、外部音取り込みモード、アダプティブイコライゼーション、空間オーディオ
カラーバリエーション: スペースグレイ / ピンク / シルバー / グリーン / スカイブルー

価格.comでこの製品を購入する

Page Top