辿り着いたのはミニマムJVC HA-A10T

イヤホン・ヘッドホン 2020/6/5
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辿り着いたのはミニマムJVC HA-A10T

数ある完全ワイヤレスイヤホンのなかでも、日本の老舗オーディオブランドJVCが6,000円前後というお手頃価格で発売して大ヒットしたモデルが「HA-A10T」。この価格の完全ワイヤレスイヤホンはアリなのか。その中身を検証してみよう。

完全ワイヤレスの価格破壊

完全ワイヤレスイヤホンの代表モデルは? と問われると、専門家の回答としてAppleのAirPodsと答えるほかない。マイナーだったBluetoothのワイヤレスイヤホン市場で完全ワイヤレスをゼロから普及させた功労者だし、実際に上位モデルのAirPods Proも含め売り上げも断トツなのだから。

でも、ちょっと考えてほしい。現行のAirPodsのなかで最も低価格なAirPods(第二世代)は1万7,800円(税別)。これは、いいお値段だ。イヤホンって10年、20年前には数千円で買うものだったのだ。庶民感覚でイヤホンに出せる予算は……頑張って1万円くらいかな。いやいや、これすらガジェットに詳しい人の感覚。一般人なら5,000円だ。

完全ワイヤレスイヤホンも値下がりが進んでいるから、ノンブランドの製品なら5,000円の選択肢は一応ある。だが、どうも怪しい、あまりに怪し過ぎるメーカーの製品ばかりだ。

そんななか、1927年創業で、Hi-Fiオーディオやスピーカー、VHSデッキでも知られる日本の老舗オーディオブランドJVCが、完全ワイヤレスイヤホン「HA-A10T」を実勢価格6,000円台半ばで発売したのだから、そりゃ価格破壊だよ。皆飛びつくに決まってる。

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必要十分を体現した理想型

今さら魅力的に語るまでもなく売れてるJVCのHA-A10Tだが、低価格で勝負している機種だから、そんな特別にハイスペックじゃない。

でも、少し見る角度を変えてみよう。今はまだ世の中の大多数が有線イヤホンを使っているのだから、完全ワイヤレスイヤホンそれ自体が特別なのだ。

僕の手元には編集部から届いたHA-A10TがあるからiPhoneとペアリングして使い始めてみる。左右独立だからケーブルがなくてスッキリしていて、耳に装着していてもラク。通勤時や運動時を例に語られがちだけど、家で音楽を聴いていても、ゴロゴロと横になっているときだって、スッキリシンプルが一番快適だ。

音楽再生時のバッテリーの持ちはイヤホン本体のみで約4時間。スペックとして長くはないけど、たとえば音楽を聴くならぶっ続け4時間聴くことはめったにない。一息つく間に充電ケースに入れれば合計14時間持つので必要十分ともいえる。

褒めたいところもある。HA-A10Tを身に着けて鏡を見てみよう。正面から見ても、うん、ほとんど装着しているところが見えない。

たとえば、AppleのAirPods。白くてあの耳からアンテナの垂れるデザインは、「俺はAppleユーザーなんだぜ」と見せびらかしている感がある。一方で、ノンブランドの製品にありがちな光沢ブラックのボディーでLEDがピカピカ光っていたりすると、あー、それもナイナイと思っちゃう。

そんな他社も踏まえて、HA-A10Tは主張しないのだ。ボディーは艶消しのスモーキーなカラーで、存在感を消してミニマムに徹している。イヤホンは小物だから、これこそが理想なんじゃないかな。

外見の話だから補足しておくと、HA-A10Tの外からポチっと見える丸い突起は操作ボタン。左右1ボタンずつだけど、音楽の再生/停止、曲送りに音量操作もちゃんとできる。老舗オーディオブランドのJVCは、音楽リスニングの操作性に手抜きはしないのだ。

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マイ音楽を全部聴いてみよう

イヤホン選びで何を重視するのか。ほとんどの人は「音質」だと思う。JVCのHA-A10Tは高磁力ネオジウムマグネット採用で再生周波数帯域20Hz-20,000Hzというスペック。だけど、この数字をいくら眺めて比べたところで音質のよさはわからない。

モノがあるのだから、試すべきなのだ。今やスマホさえあれば、サブスクの音楽配信でどんな曲も聴ける。僕が今までに聴いてきた音楽をHA-A10Tで振り返ってみよう。

まず、僕が最近ハマっている人気曲Official髭男dismの『Pretender』。HA-A10Tで聴くと密度感あるギターリフに始まり、ズンと響く重低音のパワー、そして美しいハイトーンな歌声がとてもストレートに届く。それから、洋楽のビリー・アイリッシュ『bad guy』は、ゴリゴリと響く重低音に押し潰されるような音圧感。イヤホンの限界か低音が歪むような表現だけど、これを完全ワイヤレスイヤホンで出してくれるのは、ちょっといい。

調子に乗って、ちょっと懐かしめの曲もチャレンジしてみよう。Perfumeの『チョコレイト・ディスコ』の中毒性ある電子音楽に、歪む強めの重低音、耳の高さにドンピシャで届く歌声と音楽はドップリと没入するサウンド。

じゃあ、もっとアコースティックな楽曲はどうだろうと、時代は90年代までさかのぼってスピッツの『ロビンソン』。イントロのエレキギターリフのクリアさとともに響くアコギの弦をはじく音にハッとするし、そして草野マサムネの歌声の爽やかなこと。昔聴いていた曲も、最新のイヤホンで聴くと当時気付かなかった音や音楽性と巡り合ってニンマリ。これはもう、イヤホンの高音質にハマる入り口だ。

こうして書くとHA-A10Tって最高に高音質なイヤホンなの? と想像してしまいそうだけど、合わない曲も当然あった。たとえば椎名林檎の『幸福論』。イントロの音の雑味とベースはいいのだけど、椎名林檎の歌声はキンとしつつ前に出てこない。最新アルバム「ニュートンの林檎」収録の『公然の秘密』もやっぱり歌声は聞きづらくて、椎名林檎の声色との相性がよくないのかもしれない。

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6,000円は費用対効果あり過ぎ?

そんなガチに音楽好きでなくても、スマホと接続しているのだからYouTubeやAmazonプライム・ビデオで動画を見るときにだってHA-A10Tは快適。最近はゲームアプリだって、イヤホンを装着したプレイを推奨しているし、消音プレイも味気ない。

そんなときにもサッとHA-A10Tを取り出し、装着して遊んでもいい。ワイヤレス伝送による遅延はゼロではないけど、個人的には動画では口のズレなどはまったく気にならない。でも、ゲームだと音のタイミングのズレは少し違和感を覚えるかな。

忘れてはいけない、HA-A10Tはハンズフリー通話対応のマイクも搭載している。スマホを鞄にいれたまま通話することもできるし、パソコンと接続してビデオ会議にあると便利なヘッドセットの代わりとして利用、なんて使いまわしも可能だ。

JVCのHA-A10Tは6,000円前後の機種なのだ。それで日本のメーカーらしくミニマムに洗練されていて、スマホと組み合わせれば音楽だけじゃなく動画やゲームでも活躍するだなんて、費用対効果あり過ぎ? これ、値段設定を安くし過ぎたんじゃないですかね、JVCさん。価格.com

文:折原一也 写真:文田信基(fort)

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JVC HA-A10T

本体質量: イヤホン約5.2g×2 充電ケース約42g
通信方式: Bluetooth 標準規格 Ver.5.0
電池持続時間: イヤホン約4時間 充電ケース約10時間
充電時間: イヤホン約2時間 充電ケース約3時間
耐汗耐水性能: イヤホン本体のみ JIS保護等級5級(IPX5)相当
主な特長: オートオン/オフ&オートコネクト機能、スマートフォンの音声アシスタント機能の起動に対応
カラー: インディゴブルー / ブラック / ミスティグレイ / ダスティピンク

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