変わらないことの価値SONY MDR-CD900ST

イヤホン・ヘッドホン 2021/7/29
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変わらないことの価値SONY MDR-CD900ST

レコーディングでも、音源制作でも、常に私の傍(そば)にいるSONY「MDR-CD900ST」。発売からすでに30年以上がたちますが、いまだにモニターヘッドホンの王座に君臨するこの製品の魅力を、ミュージシャンの目線から探ってみたいと思います。

モニターヘッドホンとは?

そもそもSONY 「MDR-CD900ST(以下CD900ST)」に代表されるモニターヘッドホンとはどういうものなのでしょうか? 一般的なヘッドホンとどう異なるのでしょうか。まずそこを説明しましょう。

そもそもヘッドホンというのは音を聴く道具です。再生する音源が同じならどんなヘッドホンでも聴こえる音にも大きな差はないように思うかもしれません。ところが、ヘッドホンには明確な「用途」が存在し、実際に聴こえる音は大きく異なるのです。

まず、リスニング用途の一般的なヘッドホンは「音楽を『楽しく』聴くこと」に主眼を置いています。そのため、重低音をより強調するなどの「楽しく聴くための味付け」が施されています。対して、モニターヘッドホンは、レコーディングや制作の現場で使うことを目的としているため、楽しく聴かせるための味付けを排し、「原音に忠実に再生する」ことを重要視しています。つまり、「楽しく聴く」と「正しく聴く」の違いがあるのです。

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徹底して役割を守り続ける

CD900STは1989年の発売から今日に至るまで、面白さや心地よさでなく、一貫して「素材をそのまま再生する」という役割に徹してきたモニターヘッドホンです。

聴こえてくる音はまさに「そのまま」。これは音を正しく判断しなければならないレコーディングにおいては計り知れない価値だといえます。音源に含まれるすべての音が、高解像度でしっかり聴こえるため、正直なところ長時間使用すると耳が疲れてきます。すさまじい量の情報が耳に送られているので、これは致し方ありません。しかし、だからこそプレイヤーとしてレコーディングで使用する際には、アンサンブルの中での「自分の役割」を把握しやすく、臨場感のある演奏ができるのだと私は感じています。

ちなみに、すべての音がしっかり聴こえてしまうからなのか、もっと奥行き感というかボケ味みたいなものを感じたくなることもあります。でも、裏を返せばCD900STでモニターしながらこのような臨場感のある音を作ることができたなら、どんな環境で再生しても感動を与えられる音に仕上がっているといえるのかもしれません。

さて、こういった特性により、現場から絶大な支持を得たCD900STですが、音楽制作の現場に必ずといっていいほど常備される、まさに「欠かせない存在」となりました。つまり、音楽の世界で本気で仕事をするなら、知らなきゃ始まらないほどのスタンダードな音にまで上り詰めたのです。

実際、最近はやりのYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でも、アーティストたちの耳元にCD900STの姿が確認できます。

30数年経てもなお、音の現場で愛され続けるその勇姿をぜひその目でご確認ください。

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本体構造と丈夫さ

実は現在私が使っているCD900STは3代目です。すべて断線による故障が原因で買い替えてきました。こう書くと、繊細で扱いが難しいイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。本体は現場で雑に扱われることを想定してか、かなり頑丈に作られています。また、各パーツは簡単に交換できる設計にもなっており、万が一の故障にもすぐに対応できるようになっています。

では、なぜ私は2台も壊してしまったのかというと、ヘッドホン着脱時にむき出しの「渡り線」(L/Rをつなぐ線)にしょっちゅう指を引っかけてしまっていたからです。おそらくこの引っかけ行為が繰り返されたせいで渡り線の寿命を縮めてしまい、ある日突然片側の音が聴こえなくなったのだと思います。

逆にいえば、この点だけ気をつけておけば、早々故障することはないはずですし、前述のとおり、パーツ交換が容易に行える設計になっていますので、神経質にならずに安心して使い倒せます。

なお、本体重量は約200g(コード含まず)と非常に軽量で、長時間の装着でも重さによる疲れは感じません。また、適度なホールド感があるので、演奏中にずれる心配もありません。個人的な好みとしては、もう少しホールド感が強めが好きなのですが、逆に締め付けが強すぎないから圧迫を感じずに長時間の作業ができるともいえるので、この点は一長一短だと思います。

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30年を超えるベストセラーの理由

私にとってCD900STは長年連れ添った相棒であり、これからも長い音楽人生をともに歩んでいくであろう大切なパートナーです。決して派手な存在ではありませんが、間違いなくこれなくして私の音楽生活は成り立ちません。

30年以上前に発売された製品なので、最新のヘッドホンと比べると見劣りする部分もあるかもしれません。私自身、何度もほかのヘッドホンに浮気してきました。でも、結局いつもCD900STに戻ってきてしまうのです。「あの音」じゃなければ不安になってしまうのです。そんな「変わらないあの音」がある以上、CD900STは長く業界のスタンダードであり続けるはずです。価格.com

文:高村尚平 写真:佐藤竜太

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SONY MDR-CD900ST

形式: 密閉ダイナミック型
ドライバーユニット: 40mm、ドーム型(CCAW採用)
最大入力: 1,000mW
インピーダンス: 63Ω
音圧感度: 106dB/mW
再生周波数帯域: 5〜30,000Hz
コード長: 2.5m
コードの太さ: Φ4.0mm
プラグ: ステレオ標準プラグ
主な特長: 原音イメージそのままのどこまでもピュアな音質/モニタリングに適した分解能/あらゆるスタジオユースに対応

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