プリメインアンプの選び方
プリメインアンプとは、音を楽しむことに特化したアンプのこと。複数のオーディオ機器をアンプ1台に接続して、スピーカーを鳴らします。数万円の普及機から数十万円の高級機まで豊富なラインアップのなかから、最適なプリメインアンプ選びができるように必要な基礎知識やスペックについて詳しく解説します。
2022/8/9 更新
目次
プリメインアンプとは、CDやレコードなどの再生機器を選択し音域のバランスなどを調整する「プリアンプ」と、スピーカーを駆動させるために音を増幅させる「メインアンプ」が一体となっている製品。1台のアンプに両機能が備わっているため、これ1台でスピーカーを通して音源を楽しめます。映像信号にも対応するAVアンプとは異なり、音楽を楽しむためだけの機器です。
アナログレコードをプリメインアンプで楽しむには、微弱な音声信号を増幅できるPhono端子が必要です。価格.comでは、「Phono」と書いてある製品を選ぶとフォノイコライザー内蔵を意味しているため、レコード音源を最適な音で楽しめます。なお、Phono端子は、「MM(Moving Magnet)型」と「MC(Moving Coil)型」の2タイプが主流です。
音源がアナログからデジタルに広がるにつれて、音源を保存するメディアもレコードやCD、MDからPCやスマートフォンなどに変化。信号のやり取りもケーブルからネットワークに変化しています。多彩なオーディオ機器を取り扱うプリメインアンプは、アナログはもちろん、さまざまなネットワークに対応しています。
無線LAN規格の1つです。Wi-Fi対応機器ならメーカーに関係なく家庭内のネットワークに接続でき、PCやスマートフォンなどに内蔵されている音楽も楽しめます。
iPhone、iPadなどで再生しているコンテンツを家庭内のネットワークを経由して他の機器でストリーミング再生する機能です。対応機器であれば、iPhone、iPadなどに収録された音楽をオーディオシステムでも楽しめます。
家庭内にある複数の機器をLANを通じて接続できるようにするガイドライン。DLNA対応機器は、異なるメーカーでも接続可能で、書斎にあるPCやCDプレーヤーの曲をリビングのAVアンプで再生といったこともできます。
近距離の無線規格です。Bluetoothに対応していればスマートフォンやタブレット、PCなどとワイヤレスで接続でき、スマートフォンなどに入っている音楽をプリメインアンプを通して自宅のオーディオシステムで楽しめます。
レコードやCDプレーヤーとスピーカーをつなぎ、1台でオーディオ環境をコントロールするプリメインアンプ。近年はPCやスマートフォンなどに収録された多彩なデジタル音源にも対応しています。製品を選ぶ際には、自分が求める機能が搭載されているかをしっかりと確認しましょう。
原音をCDよりさらに細かくデジタル化した高解像度の音源で、情報量はCDの約6.5倍です。録音時のクオリティが忠実に再現されます。この音源の普及にともない、ハイレゾ対応製品が増えています。
BASS(低音用)とTREBLE(高音用)の2種類のつまみで、低音域や高音域を強調したり抑えたりする機能。音質が向上するわけではないので、この機能を持たないものもあります。
USBは、さまざまな周辺機器を接続するための端子です。USB端子を装備したプリメインアンプであれば、スマートフォンやPCなどに保存されたデジタル音源をUSB端子経由で再生することができます。
デジタル信号を機器同士でやり取りする時に生じる、基準よりも信号が早まったり、遅くなったりという時間軸のブレやゆらぎをジッターといいます。このジッターを抑え、クリアで安定感のある再生を実現するための機能です。
音声信号をデジタルからアナログに変換する機能。PCなどに保存されたハイレゾ音源のようなデジタル信号を受け取ってアナログ信号に変換し、スピーカーで再生できます。PCなどに入ったデジタル音源をアンプを経由してスピーカーで楽しみたい方はチェックしておきたい機能です。
スピーカーには、高音用と低音用に独立した入力端子を備えたものがあります。高音用と低音用のスピーカーケーブルをそれぞれアンプに接続し、高音と低音を別々になすことでスピーカー同士の影響がなくなって、音質の向上を図ることができます。
入門用から高級機まで豊富なラインアップが特長。37種のカスタムコンデンサーを投入したフラッグシップモデルや、ハイレゾ音源をさらに原音に近づけるアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載したコンパクト設計のモデルが特に人気です。
「ナチュラルサウンド」をコンセプトに音作りを追求しています。入門機からハイグレードの高級機種までそろっています。音楽配信サービスのサラウンドを快適に楽しめるストリーミング再生機能を搭載したモデルや、オーディオ機器はもちろん、テレビやゲーム機なども高音質化できるモデルが人気です。
プレミアム・オーディオ/ビジュアル製品の開発や製造、販売を手掛けるメーカー。重厚感のある音に定評があります。ネットワークオーディオやストリーミングサービス、映像コンテンツも楽しめるHi-Fiステレオアンプや、フルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路を搭載したプリメインアンプが人気です。
1953年にオーディオ技術者の谷勝馬氏によって設立された日本の音響機器メーカー、TEAC(ティアック)。原音再生を追求し、音質にこだわった製品を多数ラインアップしています。人気モデルの「AI-503-S」は、高精細なハイレゾ音源のキメ細かい滑らかなディテールとすぐれた定位感を実現します。
ラジオ放送が開始となった1925年に創業した老舗音響機器メーカー。「どれだけ自然に、純粋に音を響かせることができるか」というテーマの基に開発・製造される製品は国内外から高い評価を得ています。独自の増幅帰還回路「ODNFver.4.0」を搭載し、歪低減、高域特性の改善、低インピーダンス化によるドライブ力の向上を実現したプリメインアンプ「L-505uXII」が人気です。
デジタルで接続できるCDプレーヤーやアナログ接続が必要なカセットデッキなど、プリメインアンプにはさまざまなオーディオ機器を接続できます。また、近年再び人気が高まってきているレコードプレーヤーを接続する場合は「Phono」端子が必要になります。
カセットデッキやレコードプレーヤーなどのオーディオ機器のアナログ出力に対応するための入力端子です。RCA端子やピンジャックともいわれています。
ケーブルに光ファイバーを採用し、音声をデジタル信号で伝送するための端子です。接続部分(コネクター)の形状には、角型と丸型の2種類があります。
コアキシャルとも呼ばれる端子で、音声をデジタル信号で伝送する端子。中には光デジタルよりも音がよいとする方もいます。アナログの音声端子と同じ形状のRCA端子(ピンジャック)を用いています。
レコードプレーヤーを接続するための端子です。Phono端子から入った、特殊なRIAAカーブで録音されたレコードの音声信号は、本体に内蔵されたEQで通常のフラットな信号に補正されて出力されます。なお、Phono端子は、「MM(Moving Magnet)型」と「MC(Moving Coil)型」の2タイプが主流です。
プリメインアンプは1台で、数多くのオーディオ機器とスピーカーを接続できる便利な機器ですが、プリアンプの出力をカセットデッキに録音したり、ほかのメインアンプを使いたい時には「プリアウト」などのアナログ出力できる端子が必要になります。
プリアンプの出力を、カセットデッキなどのアナログ入力端子へ接続するための端子です。RCA端子やピンジャックともいわれています。なお、プリアウトもアナログ出力端子の1つです。
プリアンプの音声信号をアナログで出力するための端子です。プリアンプの音声信号をメインインを通じて本体内蔵のメインアンプに接続したり、外部のメインアンプで再生する時に使います。
ヘッドホンを接続するための専用端子です。高級機種では、専用のヘッドホンアンプが内蔵されているものもあります。
重量だけで良し悪しは判断できませんが、昔からそのように語り継がれています。
重量が重いことがよいとされる理由としては、電源部に重量のあるトランスやコンデンサーなどの主要部品が使われているため、アンプの土台となる電源部に余裕があること、本体の剛性がしっかりしており振動に強いことなどがあります。実際、高級な機種ほど重量が重くなる傾向にあるので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
チャンネル数、拡張性、機能性が違います。
最大の違いは再生できるチャンネル数です。プリメインアンプでは左右2チャンネルのみですが、AVアンプでは最大11.1チャンネルまで再生できるものもあります。また、室内環境に応じた音質・音場調整や、多数のAV機器と接続できることもAVアンプの特長です。プリメインアンプも数台の機器を接続できますが、AVアンプと比べると機能的にはシンプルです。将来的な拡張性や機能性を重視するならAVアンプを、2チャンネルでの音楽再生を前提に音質面を追求するのであれば、プリメインアンプを選ぶのがよいでしょう。
デジタルアンプでは音楽信号を「0、1」のデジタル信号として扱います。
アナログアンプでは入力されたアナログ信号をそのままの波形で増幅しますが、デジタルアンプでは入力信号をいったん「0、1」のデジタル信号へ変換し増幅します。ただし、デジタル信号のままではスピーカーを鳴らせないので、最後にアナログの音楽信号のみを取り出し、スピーカーを鳴らします。デジタルアンプの特長は、高効率に信号を増幅できるので発熱が少ないこと。アナログアンプと比べると省電力で小型軽量なアンプに仕上がるので、コンポや携帯プレーヤーなどで採用されることが多いですが、高級機種にもデジタルアンプを採用したものもあります。
メインイン(MAIN IN)
「MAIN IN」は、メインアンプに直接アナログ信号を入力できる端子です。メインアンプ機能がない単品のプリアンプの出力を入力する時に使います。ただし、すべてのプリメインアンプにあるとは限りません。
AUX端子
"オックス端子"や"エーユーエックス端子"と呼ばれています。CDプレーヤー、テープデッキ、iPodなどさまざまな外部機器をアナログで接続できる端子です。
NAS
NASとはNetwork Attached Storageの略で、ネットワークを通じてアクセスできる外部記憶装置(ストレージ)のこと。動画や音楽などのデータの保存先として利用されます。ネットワーク対応アンプでは、ネットワークに接続したNASに収録されているコンテンツをオーディオシステムで再生できます。
XLRバランス入出力
キャノンコネクターとも呼ばれる接続用端子で、ケーブルの延長がしやすい、ロック機構があって抜けにくいなどの理由から業務用のAV機器でよく使われています。一部の家庭用オーディオ機器でも採用されています。