炊飯器の選び方
「お米と水を入れて炊くだけなのに、価格が違うのはなぜ?」「炊飯器を選ぶときにチェックしておいたほうがいいポイントは?」など、炊飯器を選ぶ際に浮かぶ疑問をわかりやすく解説します。
2025/6/9 更新
炊飯器は加熱方式で「マイコン炊飯器」「IH炊飯器」「圧力IH炊飯器」「ガス炊飯器」の4つのタイプに分類されます。ごはんの炊き上がりや炊飯器の価格に関係するので、それぞれの特徴を知っておきましょう。
コイルから発生した磁力で内釜自体を発熱させるため炊きムラが少なく、火力も細かく調整できます。マイコン炊飯器よりも高火力が期待でき、現在の主流となっているタイプ。最近は超小型炊飯器にも採用されています。
IH加熱に加え、圧力鍋のように内釜を密閉して加圧することで沸点を上げ、100度以上の高温で炊き上げます。お米の旨みや甘みを引き出すうえ、もちもちとした食感を楽しむことも可能。高級炊飯器の多くは圧力IH方式を採用しています。
内釜の底に配置された電熱ヒーターで加熱してお米を炊きます。ラインアップが豊富で、安いものなら数千円から購入可能。最近は、加熱プログラムや内釜の蓄熱性にこだわり、おいしさを追求しているモデルもあります。
ガスを使って直火で炊きます。火力が強く、かまど炊きに近いごはんが炊き上がると言われています。プロパンガス(LPガス)用と都市ガス用があり、使用するにはガスの元栓が必要です。
加熱方式や炊飯容量を決めると同時に、どんなごはんが食べたいのか、どういう使い方をするのかをイメージしましょう。自分好みのごはんに近づけられる機能や生活スタイルに合う機能を搭載した炊飯器を選べば、後々の満足度が変わるはず。
ごはんの硬さや粘りを設定できる機能。自分好みの食感や料理に合わせた食感のごはんが炊けます。食感の炊き分けは3段階から15段階くらいが一般的。白米や無洗米だけでなく、玄米や雑穀米、麦ごはんなどでも食感の炊き分けができるモデルもあります。
「米」とひと口で言っても銘柄によって含水量など性質が異なるため、お米の持ち味を引き出すためには銘柄ごとに適した炊飯が必要。銘柄炊き分け機能を搭載したモデルなら、銘柄を選ぶだけで最適な炊飯プログラムで炊き上げてくれます。
天面にある蒸気を受けるパーツを廃し、使用後の洗い物は加熱板(内ふた)と内釜の2点とする炊飯器が増えています。なかには、内ふたは食洗機対応というモデルもあるので、お手入れの手間を減らしたいならチェックしておきましょう。
炊飯中に出る蒸気を抑える機能を搭載した炊飯器なら、スライド式の棚に入れたまま炊飯することも可能。蒸気による家具の変色・変形が防げ、置き場所にも困らずに済みます。
炊飯器を使った調理が流行っていますが、調理機能を搭載していない炊飯器で調理して故障した場合、メーカーの保証が受けられない場合があります。料理したり、ケーキを作ったりしたいなら調理機能搭載モデルを選びましょう。
保温機能は使わず、炊きたてのごはんを冷凍保存するニーズが高まっていることから「冷凍ごはん」コースを搭載した炊飯器が増えています。電子レンジで温め直してもパサついたり、ベチャとしたりせず、ふっくらと仕上がるごはんを炊き上げます。
一般的に浸し工程や蒸らし工程の時間を短くすることで短時間で炊き上げます。普通の炊飯コースで炊いたごはんよりも少し硬めになる傾向。合数によって異なりますが、10分くらい炊飯時間が短くなるモデルが多く、なかには、1合や2合などの少量限定で約15分や約25分で炊く炊飯コースを搭載しているモデルもあります。
圧力IH式からマイコン式まで幅広いモデルをラインアップしており、なかでも、圧力IH炊飯器「炎舞炊き」シリーズはおいしさにこだわる人に人気。底IHコイルを複数のブロックに分けた「3DローテーションIH構造」が縦横の激しく複雑な対流を起こし、ふっくらとした甘みのあるごはんを炊き上げます。30代の共働き・子育て世帯をターゲットとしたIH炊飯器「STAN.」も好評です。
圧力IH式からマイコン式まで「炊きたて」シリーズとして展開しており、圧力IH式モデルとIH式モデルの多くに土鍋素材をコーティングを施した内釜を採用し、土鍋のような高い蓄熱性と遠赤効果を発揮。そのなかの最上位グレード「土鍋ご泡火炊き」シリーズは、本物の土鍋を使った内釜「本土鍋」を採用しており、土鍋ならではの特徴で粒立ちのいい甘みのあるごはんを炊き上げます。
高圧状態から急激に圧力を抜くことで激しく沸騰させる炊飯方法「おどり炊き」を上位モデルに採用。2023年に、従来モデルで使っていたスチームを廃し、熱風を使用する圧力IH炊飯器「ビストロ」シリーズが最上位グレードに登場し、今流行の粒立ちのいいごはんに近づきました。お米や水の計量、投入、炊飯を自動化した「自動計量IH炊飯器」も注目です。
内釜内の空気を抜き、真空状態にする機能が特徴。浸し時にお米に含まれる空気を抜くことで短時間で芯まで吸水させ、内部までしっかり熱を伝えてごはんの甘みを引き出します。また、保温でも真空機能を使うことで黄ばみや保温臭を低減。「真空圧力IH」シリーズと「真空IH」シリーズにこの機能が搭載されています。
激しい沸騰で炊き上げ、蒸らし工程でも圧力を抜かずに高温を維持したまま高温のスチームを投入して炊き上げる「圧騰甘み炊き」に、京の米老舗「八代目儀兵衛」の技を取り入れた「ふっくら御膳」シリーズ(2019年発売以降のモデル)は、圧力IH炊飯器ながら粒立ちのいいごはんが炊き上がります。内釜が軽量で扱いやすく、高級炊飯器とはしては珍しい蒸気カット機能を搭載しているのも特徴。
三菱電機の炊飯器はすべてIH式。あえて圧力をかけないことで、粒立ちがあり、噛むほどに広がるお米本来の甘みが広がるごはんを炊き上げます。純度99.9%の炭素材料を使った内釜の素早い発熱と遠赤効果で大熱量で炊く「本炭釜」シリーズや、内釜に備長炭コーティングを施すことで大火力を実現する「炭炊釜」シリーズを展開。
銘柄炊きや食感の炊き分け、玄米や雑穀米、麦飯など白米以外に対応した炊飯をはじめ人気の機能を多くのモデルに搭載。調理機能を備えたモデルもあります。リーズナブルな価格の製品を数多くラインアップしており、1万円台の圧力IH式やIH式、1万円以下のマイコン式が売れ筋です。
内釜や加熱方法などが異なります。
おいしいごはんを炊くには高い火力が必要。一気に沸騰させ、沸騰中に発生する泡や対流でお米をムラなく加熱して炊きますが、電気の力では「かまど」の炎のような高火力は実現できません。高級炊飯器は高火力で炊飯できるように内釜や本体の構造、加熱方式を工夫することで、蓄熱性や発熱性、断熱性を高め、「かまど」に近い炊き方を再現しています。
そのまま使用しても差し支えありません。
内釜にはごはんがこびりつかないように、通常、フッ素コーティングなどの加工が施されており、使い方によってはコーティング素材(フッ素)がはがれることがあります。口にしても人体には吸収されず排出されるので、そのまま使用しても問題ありません。ただし、はがれたところはごはんがこびりつきやすくなるため、ごはんが焦げて茶色く変色することがあります。
海外での使用を前提としたモデルをお求めください。
日本国内用に販売されている炊飯器を海外に持って行き、現地で変圧器を利用したとしても、誤作動したり故障したりする恐れがあります。海外で使う場合は、海外での使用を前提にしたモデルを選びましょう。
圧力が高いほど、粘りのあるもっちりとしたごはんが味わえます。
IHによる加熱方法はともに同じですが、圧力IH式では圧力を加えて沸点を高めます。たとえば、1気圧での沸点は100度ですが、1.2気圧で105度、1.3気圧で107度と、100度を超える温度で炊飯可能。高い温度でお米の芯までしっかり加熱するため、一般に、圧力IH炊飯器のほうが粘りのあるもっちりとしたごはんが炊き上がる傾向にあります。
IH式のほうが内釜自体が熱くなるので、おいしく炊き上がります。
"大きな違いは加熱方式。内釜自体が発熱するIH炊飯器に対し、マイコン炊飯器は釜底のヒーターで加熱する仕組みなため、IH式のほうがムラなく均一に加熱できます。"
消費電力を抑えるか、抑えないかの違いです。
エコモード
消費電力を抑えることを目的としたモード。標準よりも少ない消費電力で加熱するため、火力が少し弱まり、炊き上がりが少し硬めになる傾向があります。
早炊きコース
時間を短縮して炊飯することを目的としたコース。炊飯時の消費電力は標準の場合と同じですが、炊飯時間が短縮されるのでそのぶん標準コースよりも消費電力量を抑えられます。
アルカリ水や硬度の高いミネラルウォーターは使わないようにしましょう。
ごはんを炊く際には、水道水や浄水器の水を使うのが望ましいです。pH9よりアルカリ度数の高い水を使うとごはんが黄色く変色したり、べたついたりする恐れがあります。また、硬度100以上の水を使うと、ごはんがパサついたり、硬くなりやすいので注意しましょう。
スマホ連携
スマートフォンに専用アプリをダウンロードして炊飯器と連携する機能。製品によりできることは異なりますが、アプリだけの炊飯コースや調理メニューを使ったり、外出先から予約時間を確認・変更したりできます。
炊き分け
最近の炊飯器には、米の種類(白米、無洗米、玄米、米の銘柄別など)や食感別(もちもち、しっかりなど)、食べ方別(おかゆ、カレー用、おすし用、おこわなど)といった豊富な炊き分け機能が搭載されています。