体重計・体脂肪計・体組成計の選び方
日々の体調管理のために、自宅で簡単に自分の体の状況を知ることができる「体重計」や「体脂肪計」「体組成計」。ここでは、それぞれの機器の違いや特長を解説。さらに、健康管理、ダイエット、トレーニングなど、目的に合った製品の選び方を紹介します。
2023/6/12 更新
目次
一般的に「体重計」と総称されるものは、「体重計」「体脂肪計」「体組成計」の3タイプに大別できます。ここでは、それぞれの機器の特性や、どのようなデータを測定できるのかを解説します。
体重と体脂肪率を計測できるタイプです。体内にある脂肪の割合を把握することは、糖尿病や高血圧、呼吸器障害などの病気対策や、自身の健康管理につながります。
※体脂肪計のなかには筋肉量や骨量などを計測できる製品もあります。
体重計は機器に乗るだけで重さを測定できますが、体組成計のなかには、両足で測定するタイプと両手両足で測定するタイプの2種類があります。
体重計の場合は機器に乗れば単純に重さだけ測定できます。体組成計の場合は素足(両足)で機器の上の乗り、体重のほか、体脂肪などの数値も同時に測ります。体組成計には体のさまざまなデータを計測できる機種が増えています。
両手と両足を使って微弱な電流により体内組成を計測するタイプです。全身はもちろん、両腕、両足、体幹部など、部位別の皮下脂肪や骨格筋率などを計測できる機種もあります。
体脂肪計や体組成計は、体重のほか、体脂肪率や内臓脂肪、BMI、基礎代謝量(BMR)、筋肉量、体年齢、体水分率、推定骨量などの細かな項目を測定できます。データから「体脂肪が多い」「筋肉量が少ない」など、体の状態を把握し、健康維持やダイエットなどの目的に役立てましょう。
体重だけを量りたい人は、機器に乗るだけで体重を測定できる体重計を選びましょう。液晶パネルに数値が表示されるデジタル式、電池交換やボタン操作が不要なアナログ式などがあります。
体脂肪率は、体重に占める脂肪の割合がどれくらいかを示す数値です。体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100で示され、体脂肪が過剰に蓄積された状態を肥満といいます。適正値は性別や年齢によって変わりますが、体重のほかに体脂肪率を計測したい人に最適です。
体脂肪のうち、内臓周辺についた脂肪を内臓脂肪といいます。内臓脂肪が多すぎると生活習慣病のリスクを高める可能性があるといわれています。体脂肪のなかでも特に内臓脂肪を計測したい人は、このタイプの製品を選びましょう。
BMIとはBody Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略称で、「ボディ・マス指数」「体格指数」などとも呼ばれます。これは、太っているか、やせているかという体の大きさを表す国際基準の1つで、BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗で算出します。
呼吸をしたり、体温を保ったりと、生命維持に不可欠なエネルギー量のことを基礎代謝量といいます。基礎代謝量は、1日の総エネルギー消費量のうち60〜70%を占めており、基礎代謝が増えると太りにくい体になるといわれています。
体重に占める筋肉の割合を測定する機能です。メーカーによって、測定基準が異なる場合があり、体の筋肉量の割合が年齢と比較してどの段階なのかを判定するもの、体を動かす骨格筋の割合を測定するものがあります。
体年齢とは、基礎代謝をもとに算出した体の年齢のことです。体脂肪率や筋肉量などの測定データから判定するため、身長と体重が同じ人でも体年齢が異なることがあります。
人間の体には多くの水分(体液)が含まれています。水分は、体内で栄養を運んだり、老廃物を排出したり、体温の維持・調節をしたりと、体のさまざまな機能に関わる重要な存在です。体水分率は性別や体型で異なり、女性よりも男性のほうが高い傾向にあります。また、加齢とともに減少する傾向にあるといわれています。
骨全体に含まれるカルシウムのようなミネラルの量を「骨量」といいます。推定骨量は、脂肪以外の組織との相関関係をもとに統計的に推定した数値です。
さまざまな機能を搭載した体組成計は、ダイエットや筋力アップ、健康維持など幅広い目的で役立ちます。これまで説明した機能のうち、ニーズによってどのように活用すると便利なのか、いくつかの例を紹介します。
「無駄な脂肪が減り、基礎代謝が上がっている」など、複数の測定データを参考にすることで無理のないダイエットを行うことができます。そのため、ダイエットを目的にする場合には、シンプルに体重だけを計測できる体重計ではなく、体脂肪や内臓脂肪、基礎代謝を測定できる機器を選ぶとよいでしょう。目標の体重を設定したり、体重が減っていると液晶にマークが出てモチベーションが保てたりと、メーカーごとにさまざまな機能を搭載した製品がラインアップされています。
筋力アップを目的にする人は「筋肉量」を計測できる機器を選びましょう。特に体を動かすための「骨格筋」は体を鍛えるほどに量が増えるため、数値の変動は運動の成果が出ているかどうかを判断する指標になります。また、特定の部位を鍛えたいのであれば、腕や足、体幹部の部位別で、皮下脂肪や骨格筋率などを計測できる機種もあります。そのほか、メーカーによっては、専用の計算式を用いて測定結果を算出する「アスリートモード」を搭載したタイプもあります。
健康管理を目的にする場合には、体重以外の項目も計測できる製品を選ぶことで、さまざまな数値から多角的に健康状態を把握することが大切です。中でも内臓脂肪は、生活習慣病との関係が深いといわれているため、内臓脂肪レベルが測定できる製品を選ぶとよいでしょう。また、日本肥満学会の肥満度判断基準では、BMIの数値が18.5〜25未満を普通体重と定めています。そのため、BMIを計測できると、自分が基準に対して「太っているのか、やせているのか」を知ることができます。
世界で初めて「家庭用体重計」と「乗るだけで計測できる体脂肪計」を開発したメーカーです。脂肪量や筋肉量など、体格の個人差による計測値への影響を低減したアスリート向けのハイスペックモデルや、全身と5つの部位ごとの筋質点数測定する「脈拍測定機能」など豊富な機能を搭載したモデルが人気です。
体温計「けんおんくん」などのヘルスケア製品を手がけるメーカーです。乗るだけで過去の測定データから個人を推定し、測定を開始する自動認識機能を備えたモデルや、専用アプリに測定データを転送することで体重や測定データを簡単に確認・管理できるモデルなど、使い勝手のよいラインアップが充実しています。
健康・美容家電を多く手がけるパナソニックは、基礎代謝量を同年代の人の数値と比べる機能や、体重が減ると液晶に「ごほうびキラキラ」マークが表示される機能、測定中の体のふらつき具合を測定する「体幹バランス年齢」機能など、ユニークな機能搭載の製品がラインアップされています。
ナチュラウッドやダークウッドの木目柄プリントを取り入れた体重計や体組成計を展開するメーカーです。リビングや洗面所でなどの暮らしの風景になじむ、ぬくもりのある製品が揃っています。
1台の体重計・体脂肪計・体組成計で、複数のユーザーの測定データ情報を登録できるものがあります。登録人数は4人から、最大10人まで対応する製品があり、家族全員分のデータを登録するなら、その人数に対応したモデルを選ぶのがよいでしょう。なかには機器に乗るだけで、自動でユーザーを識別できるタイプもあります。
体重の測定数値は100g単位が一般的ですが、なかには50g単位まで計測できる高精度測定タイプもあります。ダイエットや子供の成長など、わずかな体重の変化を知りたい場合は50g単位まで計測できる製品を選ぶとよいでしょう。
最近は、スマートフォンのアプリと連携して、測定データの記録や管理を行うことが可能な製品が増えています。スマートフォンとの通信方式はWi-Fi対応、Bluetooth対応など異なるため、購入前に確認しておきましょう。
活動量計は消費カロリーを、体組成計は体脂肪率など体内の組成を計測します。
活動量計とは、日常生活の消費カロリーを計測する機器です。歩数だけでなく、センサーなどで動きの強さを判定して、異なる運動や活動に対してもより詳細な消費カロリーを推測します。一方、体組成計は、体内を組成する脂肪や筋肉、骨量などの割合を計測する機器です。
微弱な電流を流すことで測定します。
脂肪には「電気を通しにくい」という性質があります。そのため、体に脂肪が多いと流れる電気が少なく、脂肪が少ないと流れる電気が多くなります。体脂肪計では、主にこの原理を応用して、脂肪率を推測しています。
あくまで「目安」としてください。
家庭用の体組成計で、メーカーごとに誤差があるのは事実です。また、同じ計測器でも測定する時間帯によっても数値が変化します。それゆえ、家庭用の機器での数値は、あくまで目安と捉えるのが原則。長期間継続して測定することで、数値の変化を把握し、傾向を捉えることに意義があると考えて使用することが重要です。
小型〜大型向けのペット用体重計があります。
一般的な体重計でも、50g単位で体重測定できるものがあります。1回目と2回目に測定した重さの差を表示する機能を搭載した製品を活用するのもよいでしょう。
アナログはシンプル。デジタルは多様性があります。
アナログ式の体重計は体重を量ることしかできませんが、電池交換が不要で、構造もシンプルであるため価格が手頃なこともメリットです。デジタル式は、測定履歴を記録したり、さまざまな項目が測定できたりするなど、機能が充実している点が魅力です。