スピーカーの選び方
スピーカーの形状を、ここでは3つに分けて紹介します。その分類は、本棚に置けるほど小型という意味の「ブックシェルフ型」、床に置く大型タイプの「フロア型」、設置面積の小さい縦長の「トールボーイ型」。各形状や製品タイプの違いから、主要メーカーの特徴まで、スピーカー選びのポイントを紹介します。
2026/6/30 更新
目次

スピーカーは再生機器と増幅機器(アンプ)の存在を前提にしている
ここで言う「スピーカー」とは、専門的な呼び方で説明すると「パッシブ(アンプを内蔵しない)スピーカーシステム」のこと。基本的には単体で音を鳴らすものではありません。音を鳴らすためには、CDプレーヤーや、デジタルオーディオプレーヤー、スマートフォン、パソコン、レコードプレーヤーなどの再生機器、プリメインアンプやAVアンプなどの増幅機器が必要になります。再生機器から出力された音声信号をアンプで増幅し、最終的に物理振動に変えて音を出すのがスピーカー。スピーカーは大きさや用途に応じていくつかの種類に分かれています。スピーカーをどうやって設置するのか、現実的に考えながら選ぶとよいでしょう。
基本形態はスピーカー2本による「ステレオ」
本格的なオーディオシステムを構築する場合、2本のスピーカーを使う「ステレオ」システムが一般的です。ここにサブウーハーを足した「2.1ch」システムがセットで販売されていることがありますが、これは低域の再生に重点を置いたもの。映画のサラウンド音響をしっかり楽しみたいならば「5.1ch」システムも検討するとよいでしょう。こちらは5本のスピーカーとサブウーハーがセットになったものです。
左右にスピーカーを広げると立体感を得られる
左右1本ずつ、合計2本のスピーカーで構成されるのが「ステレオ」システム。左右に離して設置し、その中央で音を聞くと、スピーカーのないところから音が聞こえるなどの立体感が得られます。これを「ステレオフォニック」と呼ぶことから、「ステレオ」という名前が定着しました。
「ステレオ」にサブウーハーを追加して低音を補強
左右2本のスピーカーにサブウーハーを加えたスピーカーが「2.1ch」セットとして販売されています。サブウーハーとは、低域だけを再生する「サブ」的な役割のスピーカーのこと。そのため、「0.1」として数えられているのです。このタイプは近年製品数が少なくなっており、現在販売されているのは小型(ブックシェルフ型)スピーカー+サブウーハーという構成がほとんど。状況によりますが、大型スピーカーよりも設置しやすいことがあります。
5本のスピーカーとサブウーハーでサラウンドを再生する
試聴位置前方に左右2本のフロントスピーカーとその真ん中にセンタースピーカー、後方左右に2本のサラウンドスピーカー、そしてサブウーハーを加えた構成を「5.1ch」と呼びます。「5.1ch」は主に映画音響を再現するための規格で、それを正確に再現するスピーカーセットが「5.1ch」スピーカーというわけです。AVアンプと組み合わせて使うのが基本で、臨場感あるサラウンドを楽しめます。
特殊用途のスピーカー3種
一般的なスピーカーは「ステレオ」で使うものがほとんどですが、そのほかにも特殊用途で選ぶべきスピーカーがあります。それが「ウーハー」(サブウーハー)、「センター」(センタースピーカー)、「ツイーター」(スーパーツイーター)の3種。
低域の再生だけを担う
ここで言う「ウーハー」は、基本的に「サブウーハー」のこと。ごく低い帯域だけを再生する「サブ」的な役割で、「2.1ch」や「5.1ch」システムの「0.1」にあたります。主に低音域を担当するスピーカーです。現在の製品はアンプを内蔵した「アクティブサブウーハー」が多く、サウンドバーと組み合わせて使えるものもあります。
映画再生のセリフなどを担う
「センター」とは、「5.1ch」システムの試聴位置前方に置いて利用する「センタースピーカー」のこと。左右に広げておいた2本の「フロント」スピーカーの中央/試聴位置の真ん前に置くのが基本で、映画のセリフなど重要なパートを担います。なお、「センタースピーカー」なしで「5.1ch」音声を再生する場合、「センター」で再生されるはずだった成分は「フロント」スピーカーに割り当てられます。
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高音域の再生を担う
ここで言う「ツイーター」とは、基本的に「スーパーツイーター」のこと。ひとつのスピーカーシステムの中で高域再生を担当するユニットを「ツイーター」と言いますが、「スーパーツイーター」はそのさらに上の帯域を再生するための付加装置。既存のスピーカーに後付けすることで、再生帯域を広げるために使います。
スピーカーは「ステレオ」の2本左右ペアで使うのが一般的ですが、ペア(2本1組)で販売されているものと、単品(1本ずつ)で販売されているものがあります。購入時は注意しましょう。
スピーカーにはさまざまな大きさや形状のものがあります。以下が代表的な形状です。設置場所や目的に合わせて最適な形状を選びましょう。

「本棚に置ける」という意味の小型スピーカー
「本棚にも置ける」くらいの小型サイズという意味で名付けられた経緯があり、「ブックシェルフ型」スピーカーと呼ばれる製品は、キャビネット(箱全体)が小さめのことが多いと言えます。小型ならばテレビ台などに置けるというメリットがありますが、一部にはとても本棚に収まらない「ブックシェルフ型」を名乗る製品もあることに注意しましょう。床に置くときは、スピーカースタンドなどに載せて使うのが一般的です。
「床に立てて置く」大型スピーカーる
「床に立てて置く」タイプの大型スピーカーのことを「フロア型」もしくは「フロアスタンディング型」スピーカーと呼びます。スピーカースタンドなどを使わず、床に直に置いて使うのが基本です。本体サイズが大きいので、低域の再生に有利。ただし、それなりにスペースを取るうえ、過度な低域再生は住宅事情にそぐわない可能性もあります。

床に置く「背の高い」スピーカー
床に置くスピーカーのなかで、細身で横幅の狭いタイプのものを「トールボーイ型」と区別して呼ぶことがあります。「ブックシェルフ型」スピーカーをスタンドに載せて使う場合、必ずしも設置性が高いわけではありません。スタンドを用意するくらいならば「トールボーイ型」を選んだほうが置きやすいということもあるのです。ただし、「フロア型」との区別が明確でない場合もあります。実際の大きさは個別製品の寸法を確認しましょう。

スピーカーシステムのスペックには「搭載ユニット数」や「WAY(ウェイ)」といった表記があります。これらはどちらもスピーカーユニット(スピーカーの箱に固定され、音を発生させるパーツ)に関わる重要スペックと言えます。
1つのスピーカーユニットで低域から高域まですべての音域を再生するスピーカーシステムのことを「フルレンジ(1WAY)」スピーカーと呼びます。また、低域を再生する「ウーハー」と高域を再生する「ツイーター」を分けたものを「2WAY」スピーカー、さらに低域を「ウーハー」、中域を「スコーカー/ミッドレンジ」、高域を「ツイーター」が再生するように分けたものを「3WAY」スピーカーと呼びます。これ以上に分割した「4WAY」などの製品も存在しますが、少数派と言えます。
「搭載ユニット数」は「WAY」と同義のように見えますが、そうではありません。 低域を再生する「ウーハー」が2つ、高域を再生する「ツイーター」が1つというシステムがあった場合、「搭載ユニット数」は3ですが、あくまで「2WAY」スピーカーです。
なお、2つのスピーカーユニットの再生周波数帯域が一部だけ重なっている場合に、「0.5WAY」とカウントするメーカーもあります。たとえば、ウーハーが2つあり、1つが 2.5kHz以下を受け持ち、もう1つは450Hz以下の低域だけを受け持つ、といった具合です。2つ目のウーハーは最低域だけを受け持つサブウーハー的な存在となるわけです。
搭載ユニット数から選ぶ
WAY数から選ぶ
スピーカーの魅力は、音を楽しむ機能面だけでなく、インテリアとしての存在感にもあります。部屋の雰囲気とうまく調和したデザインを選べば、より一層充実したオーディオライフとなるでしょう。
「最高のスピーカーとは、最も多くのものを与えるものではなく、失うものが最も少ないものだ」と語る、創設者のJohn Bowers(ジョン・バウワース)の名を冠したイギリス発祥の高級スピーカーブランド。イギリス「アビーロード・スタジオ」などプロの現場でモニタースピーカーとして採用されている実績もあり、世界で最も信頼されるスピーカーブランドのひとつと言ってよいでしょう。
ピアノをはじめとした楽器でもおなじみのヤマハはすぐれたオーディオメーカーでもあります。CDプレーヤーやアンプ、イヤホン・ヘッドホンのリリースも盛んですが、力が入っているのはスピーカーも同様。ペア100万円を超える高級品から、ホームシアター向け小型スピーカーまで幅広いラインアップを揃えています。
1946年にジェームス・B・ランシングによって設立されたアメリカの音響機器ブランド。「D44000 Paragon」など、家庭用・プロ用の両分野で存在感を示し 、プロ音響市場へ本格参入。世界中の映画館やコンサートホールなどにも、数多くのJBLシステムがインストールされています。もちろん、現在でも家庭用スピーカーを活発にリリースしており、ペア数百万円の超高級機からホームシアター向けの小型スピーカーまで、さまざまな製品を選べます。
「Polk Audio(ポーク)」は1972年に設立されたスピーカー専業メーカー。「リーズナブルながら最高のスピーカーを提供する」という社是を唱え、アメリカを中心とした北米市場では絶大な人気を誇ります。近年は日本市場でもコストパフォーマンスにすぐれた製品が受け入れられ、価格.comの人気売れ筋ランキングでは上位の常連と言える存在です。
言わずと知れたAV機器メーカーで、現在もレコードプレーヤーやAVアンプなどを作り続けていますが、スピーカーのリリースは必ずしも積極的ではありません。どちらかと言えば、サウンドバーやその関連製品としてのワイヤレススピーカー、サブウーハーのリリースが多く、これらはプリメインアンプやAVアンプを前提とする「パッシブスピーカー」とは趣が異なります。とはいえ長年培われた技術が生かされたコストパフォーマンスにすぐれた製品が魅力。価格.comでも人気の製品は少なくありません。
スピーカーの「能率」を示す数値で、単位は「dB(デシベル)」で表されます。スピーカーに1W(もしくは2.83V)の電力を入力し、1m離れた場所に置いたマイクで音の大きさを測定します。この数値が大きいほど、少ない入力量で大きな音が出るということになります。一般的な数値は85〜95dB程度。
出力音圧レベル(W/m) から選ぶ
ハイレゾとは、ハイレゾリューション(高解像度)の略。 「ハイレゾ音源」とは、CDに収録されるデジタルデータを基準としてそれよりも高解像度音源のことです。具体的にはCDのデータ44.1kHz/16bitよりも高解像度な96kHz/24bit音源などがこれにあたります。96kHz/24bit音源で再現できる最高域の周波数は48kHz。このことから、48kHz前後の高域再生をできると謳うスピーカーが「ハイレゾ対応」とされている場合があります。
スピーカーが壊れずに耐えられる最大のパワー(容量)を指し、「W(ワット)」で表します。なお、数百Wの出力があるアンプであっても、家庭で通常の音量で音楽を聴いている場合はせいぜい数W程度の出力です。許容入力を公表していないメーカーもあるので、特別気にする必要はないでしょう。
許容入力から選ぶ
ユニット数を増やして動かす空気の量を増やす工夫が施されているからです。
スピーカーの低音再生能力は動かす空気の量に比例します。小口径スピーカーユニットでしっかりした低音を再生したい場合、スピーカーキャビネットの容積を増やすと同時にユニット数を増やして振動板面積を増やし、空気の振動体積を増やすなどの工夫が施されるのが一般的です。
このほか、充実した低音再生のためには、大口径のスピーカーユニットを使う、振動板の動く幅(振幅)を大きくするといった方法が一般的です。
スピーカーに送られてきた信号を高音域・低音域などに振り分けるための回路です。
ネットワーク回路とは、マルチウェイのスピーカーに組み込まれている回路で「LCネットワーク」ともいわれます。マルチウェイのスピーカーで使われるスピーカーユニットは、それぞれ得意とする音域があります。そこで、スピーカーに送られてきた信号を適した音域(低音域・中音域・高音域)のユニットに振り分け再生させるのがネットワーク回路の仕事です。
スピーカーの入力に高域用と低域用それぞれ独立した端子が設けられていることです。
アンプとスピーカーは通常1本のケーブルで接続します。これをシングルワイヤ接続と言います。これに対し、あえて2本のケーブルを使って接続するのがバイワイヤ接続です。この接続方法を実施するための条件は、スピーカーが「バイワイヤ接続に対応」した端子を持っていること。「2WAY」以上のスピーカーは高域用と低域用のスピーカー端子を持っていることがあるのです。それぞれの端子へ独立したケーブルをつなぐことで、ウーハーから発生する逆起電流がツイーターへ流れることを防止し、音質向上を図れるとされています。
また、バイワイヤ接続に対応した端子であっても、シングルワイヤ接続は可能です。高域用と低域用端子をつなぐ「ジャンパー」が付属されていることが多く、これを使えばどちらの端子も直列でつながるというわけです。なお、高域用・低域用に2台のアンプを使う「バイアンプ」という接続方法もあります。こちらもケーブルは2本ですが、そもそも使うアンプの数が異なります。
周波数帯域
スピーカーが再生できる周波数の範囲を表す数値で、単位は「Hz(ヘルツ)」で表します。周波数帯域が広いほうが高性能と言えますが、必ずしも音質のよさを表すものではありません。低域の再生限界などの公称値から設計を推察するなど、あくまで参考として考えるとよいでしょう。
ドンシャリ
再生される周波数の特性による音質の傾向を表す言葉で、低音(ドン)と高音(シャリ)が際立った音のことを言います。こうしたバランスは特にポップスの再生時に華やかに聞こえる傾向があり、積極的に好まれる場合もあります。
並行輸入品
海外メーカーの製品には、「正規輸入品」のほかに「並行輸入品」が存在します。「正規輸入品」とは、日本国内で「国内正規品」とされるもので、故障時などは正規の輸入代理店による保証を受けられます。いっぽうで「並行輸入品」とは、国内の正規代理店を介さず、海外で販売されている正規品を直接仕入れた製品を指します。「国内正規品」と「並行輸入品」は流通経路が異なりますが、基本的には同じメーカーが製造した同一の製品と言えます(エレクトロニクス製品は電圧などに違いがある場合も)。ただし、「並行輸入品」は正規の輸入代理店での保証は受けられないこともあります。オーディオ製品の一部はAmazonなどで「並行輸入品」が販売されていますが、この点に留意して選択すべきでしょう。
| 国内正規品の特徴 | 並行輸入品の特徴 |
|---|---|
| 正規代理店による保証を受けることができる | メーカーによっては正規代理店ではなく購入ショップでの保証となる |
| メーカー設定の価格となるため、価格の変動が少ない | 海外での仕入れのため、為替の影響を受けやすく価格の変動が大きい |
無指向性スピーカー
スピーカーから出る音はさまざまな方向に広がりますが、基本的にいちばん音が強く出るのはユニットの向いた先です。そのため、スピーカー設置時には試聴ポジションに向けることがあるのです。シビアにリスニングをするならばこうしたセッティングが肝要ですが、はじめから「どこで聴いてもいい」ように作られているのが無指向性スピーカーです。無指向性とは、音が強く向かう方向がないという意味。前後左右360度に均等に音を出そうとするので、シビアなセッティングがいらないことが特徴です。