先に言っておくが、私はこの端末をスマートフォンとしては使わず、Android搭載DAPとして使用した。なので、カメラ性能やゲーミングの動作などについては一切触れない。
環境 :
「Playストア」以外の無効化できるプリインストールアプリは全て無効化。ストアでインストールしたアプリは「Pi music player」「NicoBox」「シンプルファイルエクスプローラー」のみ。アルバム選択画面でのアルバムアートワークの表示を多くするため、USBデバッグをオンにし、adbコマンドでdpiを小さく変更。機内モード・エコ技機能(強)は常時オン。
アップサンプリング機能「Clari-Fi」常時オ続きを読むン。
音源 :
128kbps ~ 320kbps (mp3)
約950曲
Kingston製 64GB microSDXCカード(Class10)使用
音声出力 :
・中価格帯代表「Shure SE215」
・BAドライバ代表「Shure SE535」
・モニター代表「ソニー MDR-CD900ST」
【使い勝手】
他のレビューにある通り、この端末は普通のAndroid端末と比べても、かなり電池の消費が早い。内蔵メモリにあまり何も入っていない私の端末はブースト(起動)にあまり時間がかからないので、いつも使わない時は電源を消しており、使う時だけ起動させている。起動から音楽再生までは、電源ボタン長押しで起動させ、ウェルカムシート(ロック画面のアプリショートカット)を使ってプレイヤーを起動させるという流れで、時間は約20秒。起動後20秒の時点ではまだSDカードの読み込みが終わっていないが、アプリでは再生できる。こういったこまめなシャットダウンやエコ技の活用で、電池持続日数は大きく伸びた。初期設定状態では1日持つか持たないかぐらいだったが、5日ほど持つようになった。
また、本体はベゼルレスデザインなので、一度の表示で多くの情報を表示させながらもコンパクトですむ。だが、右手の片手で画面上左端をタップしようとすると手のひらの部分が画面右端に当たってしまうなどのデメリットもある。また、電源ボタンがかなり小さく、押しづらい。
【音質 (本体スピーカー) 】
本体スピーカーは絶望的に音質が悪い。耳を近づけてもシャカシャカとしか聞こえず、音楽再生には使えないレベル。
【音質 (アップサンプリング) 】
私はライブラリのほとんどが圧縮音源なので、この端末に搭載されている「Clari-Fi」というアップサンプリング機能を使っている。これは、圧縮された音源をCDのオリジナル音源レベルまで上げてくれるという機能。この機能をオンにすると、320kbpsの圧縮音源はより音の分離がはっきりとして、空気感が増す。あるのとないのではまるで違う。また、他のアップサンプリング機能と比べて中高音域が強めに出ており、女性ボーカルの家入レオの曲では彼女の繊細な歌声がしっかりと出て、プリンセスプリンセスの曲のような多くの音が入り混じっている曲では音の分離もしっかりと感じられる。
ちなみにAndroidを搭載し、Clari-Fi以外のアップサンプリング機能を搭載した端末は、今のところ、Android 5.0以上を搭載したXperia、LGのG5及び姉妹機(V10,isai Beat)、Galaxy S6世代(Note Edge,S6,S6 Edge)、その他walkman,Pioneer,OnkyoのDAPだけである。そのClari-Fiも、この端末の上位モデルの「AQUOS CRYSTAL X(softbank) / Y(Ymobile)」だけで、次の「AQUOS CRYSTAL 2」には搭載されていない。
【音質 (内蔵DAC) 】
私は端末のイヤホンジャックに直刺しで使用しているので、音質は内蔵のDACに依存する。そのDACはあまり質は良くない。というのも、この端末は先述の上位モデルと同時発売のエントリーモデルである。アップサンプリング機能などのソフトウェア部分が優秀でも、ハードウェアの質は本体価格に大きく左右される。本体価格からしても、ハードウェアの質はそれほど高くないことがわかる。全くそのとおりで、内蔵DACは質はそれなりに悪い。イヤホンを繋げるだけでイヤホンからはホワイトノイズが出るし、女性ボーカルの特に高い部分では音が割れる。
高音の伸びが特徴的な家入レオの「Shine」(.wav)では、音割れの箇所が10ヶ所以上あり、一万円の中価格帯の「Shure SE215」ではまだギリギリ聴けるが、中音域に強い「SONY MDR-CD900ST」では聴けたものじゃない。低中高の音域それぞれに特化した3ドライバを搭載した「Shure SE535」では、音の分離が逆目に出て、ホワイトノイズがさらに強く聴こえるという状態に。
【総評】
一万円の中価格帯のイヤホンでは、アップサンプリング機能搭載Android端末で最安の端末としてアップサンプリング機能目的で使えるが、それ以上の音質のイヤホンでは耳が痛くなるほどホワイトノイズと音割れがキツい。