成人祝いの基本

両親や周りの大人たちに保護されてきた子ども時代を終え、大人社会へ仲間入りすることを祝うのが成人祝い。成人の日は、1948年に「1月15日は、大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます日」と法律で定められました。現在は、2000年に制定されたハッピーマンデー法により、1月の第2月曜日に成人式が催されます。
成人式は、男性はスーツや紋付袴、女性は振り袖などを着て出席することが多いですが、これらは親や祖父母から贈られるのが一般的です。しかし、最近はレンタルで済ませたり、平服で出席する若者も増えています。晴れ着以外の品物を贈るなら、パールのネックレスやネクタイなど礼装の付属品がよいでしょう。
喜ばれる成人祝いのルール 5ヶ条
- 相手の好みを考慮する
- 当日の衣装を確認
- 成人したことを自覚させる物を選ぶ
- "あると便利な物"を贈る
- 迷ったときは現金や商品券が◎
当日の衣装に合う付属品を贈るのもよいでしょう。実印や入金済みの預金通帳など、成人したことを自覚させるプレゼントもおすすめ。自分の趣味を押し付けるのは避けます。どうしても迷ったときは現金や商品券を贈ると、相手が自分で品物を選べるので喜ばれます。
成人祝いのNG 5ヶ条
- 相手の趣味に合っていない
- 贈るのが遅い
- 2つあると困る物を贈る
- メッセージを付けない
- 結婚や出産を促す
充分に相手とコミュニケーションを取らないと、用意済みの物を贈ったりタイミングが遅くて用をなさなかったりと、せっかくの心遣いが台無しになる場合もあります。また、成人したばかりなのに、結婚を期待するようなメッセージを伝えたり品物を贈ったりするのはやめましょう。
厳選! 人気の成人祝い Best10
成人式で必要な物を贈るケースが多いです。その場合は、必ず当日の衣装を確認しましょう。大人になったことを自覚させる上質なファッション小物や、自分では買わないけれど、あると便利な冠婚葬祭グッズなどは、幅広く喜ばれます。
女性へ贈るなら Best5
男性へ贈るなら Best5
現金や商品券を贈ってもいい?
身内の場合は、成人式の際に着用する晴れ着やスーツなどを贈るのが一般的。
それ以外の人は、現金や商品券を贈ることが多いのが現状です。金額の目安は5,000円程度。もし身内が現金や商品券を贈る場合は、10,000円前後が目安です。
正しい水引きと表書き

贈る時期 | 晴れ着など、当日身に付ける物の場合は1か月前までに。それ以外の物は1週間前〜当日までに。もしくは、20歳の誕生日に贈っても構いません。 |
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金額の目安 | 身内が晴れ着を贈る場合はピンきり。それ以外の場合は、5,000〜10,000円程度が目安。 |
表書き | 「祝御成人(ごせいじんをしゅくす)」「成人式御祝」「賀成人式(せいじんしきをがす)」「成人おめでとう」 |
水引き | 紅白・赤白の蝶結び |
「祝御成人」は満20歳の誕生日祝いにも使える表書き。「賀成人式」は成人式の際に贈るお祝いに使用します。
贈り物の添え状文例
贈り物には、必ず手紙を付けましょう。贈り物をするうえで、一番大切なことは、贈る側のお祝いの気持ちを伝えること。品物は、あくまで添え物であり、気持ちをこめた手紙こそが大切です。
何を書けばいい?
- 成人を迎えたお祝い
- 相手のことをほめる
- 自分の経験談
- 人生の杖言葉
- 今後へのエール
例文
○○さん、ご成人おめでとうございます。
ますます美しくまぶしくなっていく○○さんを叔母としてとてもうれしく思っています。
私が成人を迎えたころは、
趣味の読書に明け暮れていました。
○○さんは、私以上に読書家ですよね。
美しい言葉は美しい心を熟成します。
これからも思いやりの心でよい人間関係を作っていってください。
衣装については、全国的に同じような慣習で行われています。女性は晴れ着が一般的、男性はスーツもしくは羽織袴が定番です。ただし、開催日については、関東と関西というより、地域の環境によって違いがあります。例えば、就職や進学で地元を離れる人が多い郡部町村では、実家に帰省しているタイミングに合わせて、ゴールデンウィークやお盆、お正月に行われることも。
また、豪雪地域では、冬季の開催を見合わせることがあるようです。また、浦安市がディズニーランドで開催したり、練馬区がとしまえんで開催したり、北海道では、山歩きに使えるアルミ製の飲み物ボトルを記念品に配ったりと、開催内容や記念品は、地域によって異なります。
成人祝い こんな場合はどうする?
甥に欲しい物を尋ねても、「特にない」と。何かおすすめはある?
親しい間柄であれば、高級レストランへ誘ってみてはいかがでしょうか。プレゼントは、品物や現金には限りません。高級レストランでテーブルマナーを教えたり、一流の雰囲気を味わわせたり、大人としてのたしなみを学ばせるのも、今後の人生の大きな糧になってくれる素敵な贈り物です。
「晴れ着はもったいないから洋服がいい」という娘。選ぶポイントは?
今後も着る機会がある、冠婚葬祭用の衣装や、披露宴などで着用できる華やかなワンピースなどでもよいでしょう。ただ、晴れ着は披露宴や謝恩会でも着用できますし、結婚したら袖を切って着ることができる中振り袖もあります。「もったいない」の感じ方は、人それぞれですが、成人式は一生に一度の機会。レンタルを活用するのもおすすめです。
そもそも成人式とは?

古代中国の風習を取り入れて行われるようになった儀式です。男子は、髪を結って冠または烏帽子をかぶり、童子の服装から大人の服装に変え、幼名を改めました。
女子は、腰から下にまとう被服を身に付ける裳着(もぎ)、髪を結い上げる髪上げ(かみあげ)、歯を黒く染めるお歯黒付けを行いました。男子の徴兵検査が成人式に代わっていったのが明治以降です。現代の成人式は、終戦の翌年1946年、11月22日に埼玉県の蕨で行われた「青年式」が元になっています。
子供から大人への仲間入りする大切な瞬間を写真に残して。
二十歳となり、無事子供から大人への仲間入りを祝す成人祝い。男性はスーツや紋付袴、女性は振り袖などで着飾るこの瞬間を、プロカメラマンの撮影で鮮明に切り取って残してあげるのも喜ばれる贈り物。人生の節目などで振り返るとき、きっといい思い出として残るハズです。当日は友人と出かけてしまうケースも多いので、前撮りや後撮りを検討するのもありですよ。
監修

マナーデザイナー 岩下宣子さん
現代礼法研究所代表。共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流小笠原清信氏のもとでマナーを学び、1985年、現代礼法研究所を設立。マナーデザイナーとして、企業や学校、公共団体などでマナーの指導、研修を実施するほか、講演や執筆活動を行うなど、幅広く活躍。表面的なやり方だけではない心のこもったマナー指導、研修に定評がある。『贈るマナー 贈られるマナー』など、著書多数。