Bluetoothスピーカーの選び方
「Bluetoothスピーカーにはどんな種類があるの?」「操作は難しいの?」など、Bluetoothスピーカー選びに関する悩みや疑問を解決。音質や音量に差がつくポイントや使用するシーン別の選び方など、Bluetoothスピーカー選びのヒントをお届けします。
2022/5/11 更新
目次
「Bluetooth(ブルートゥース)」とは、無線通信の規格の1つで、有効範囲は約10m以内となっています。国際標準規格のため、Bluetoothに対応する機器同士であれば、ケーブルを接続しなくてもデータのやり取りを行える点が特長です。そのため、Bluetoothスピーカーは、スマートフォン(以下、スマホ)やパソコンなどの端末との音のやり取りをワイヤレスで行えます。機器同士の接続も簡単で、スマホやパソコンなどの端末とスピーカー本体をペアリングすることで、端末内の音楽をスピーカーから流せるようになります。有線タイプのスピーカーでは設置場所が制限されますが、ワイヤレスで接続可能なBluetoothスピーカーであれば、屋内外の自由な場所に設置できます。
端末などとワイヤレスで接続できる点がBluetoothスピーカーの最大の利点ですが、製品を選ぶ際には各機能やスペックの意味を理解することが大切です。ここでは、製品選びに重要な「音質・音量」「防水・防滴性能」「駆動時間」について解説します。
Bluetoothでは音声データを無線転送する際に、プレーヤー側で音声を一度圧縮する仕組みとなっています。そのため、圧縮方式(コーデック)の種類によっては音質が劣化してしまうこともあります。ほとんどの機器に対応している圧縮方式が「SBC」ですが、ほかのコーデックと比べて音質は劣ります。SBCよりもワンランク上の圧縮方式として位置付けられているのが「aptX」と「AAC」で、「aptX」は主にAndroidで採用されており、「AAC」はiPhoneで採用されています。そのほか、音質にこだわりたい人は、ハイレゾ音源を劣化させずに伝送できる「LDAC」対応の製品を選ぶとよいでしょう。
※なお、ハイレゾとは、ハイレゾリューション(高解像度)のことで、 「ハイレゾ音源」とは、スタジオで録音したマスター音源に限りなく近い高解像度の音源(データ)のことを指します。
LDAC
ソニーが開発した新しいコーデックで、96kHz/24bitのハイレゾ音源を劣化させずに転送できます。
SBC
ほとんどの機器が対応していますが、圧縮効率や速度を優先しているコーデックのため、音質面ではほかの圧縮方式よりも劣ります。
aptX
SBCよりも高音質で遅延も少ないコーデック。CDクオリティの高音質な音で伝送できます。Androidスマホの多くに採用されている圧縮方式です。
aptX HD
aptXを拡張し、最大48kHz/24bitに対応した音声コーデック。米通信大手のQualcommが提唱しています。
aptX Low Latency
aptXと同等の高音質ながら、さらに低遅延(0.04秒未満)を実現したコーデック。映像と音声の同期が重要な動画視聴やゲームに向いています。
AAC
iTunesでも使用されるコーデック。SBCよりも高音質で伝送可能で、iPhoneが対応しているほか、対応機器も増えています。
屋外や水辺などのアウトドア、水がかかる可能性のあるお風呂やキッチンなどでの使用を想定しているのであれば、防水・防滴性能を備えた製品を選びましょう。防水性能は「IPX◯」といった規格(等級)で表記されます。防水等級(IPX)は、0(保護なし)から8(潜水状態での使用も可能)まで9段階あり、IPXに続く数字が大きいほど防水性能が高いことを示しています。キッチンで使用するなら「IPX5」以上を、水没まで考慮する場合には「IPX7」以上の防水性能を備えたモデルを選ぶとよいでしょう。
等級 | 概要 |
---|---|
IPX0 | 特に保護がされていない |
IPX1 | 鉛直に落下する水滴では有害な影響を受けない |
IPX2 | 鉛直から両側15度までの角度で落下する水滴では有害な影響を受けない |
IPX3 | 鉛直から両側60度までの角度で噴霧した水で有害な影響を受けない |
IPX4 | あらゆる方向からの水の飛まつで噴霧した水で有害な影響を受けない |
IPX5 | あらゆる方向からのノズルによる噴流水で有害な影響を受けない |
IPX6 | あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水で有害な影響を受けない |
IPX7 | 一時的に水に浸しても影響がない |
IPX8 | 潜水状態での使用でも影響がない |
Bluetoothスピーカーにおいて主要な「バッテリー内蔵タイプ」は充電式のため、長時間使用すると充電切れを起こす可能性があります。そのため、アウトドアなどの電源が確保できない場所での使用を想定している場合には、長時間駆動できる製品を選びましょう。屋外で1日中使用するのであれば、8時間以上のバッテリー容量が目安となります。
主に自室やデスク上などで使用する場合には、出力10W以下で、手のひらサイズほどのコンパクトなスピーカーを選びましょう。コンパクトとはいえ音量はパワフルなものもあり、1万円以下で購入できるコスパの高い製品が豊富にラインアップされています。
家事などの作業をしながら音楽を楽しみたい人には、ネックスピーカーやウェアラブルスピーカーと呼ばれる肩掛けタイプが向いています。自分の頭の周辺にだけ音が広がるため、大迫力のサウンドを周囲に気を遣わずに楽しむことができます。また、イヤホンなどと違って耳をふさぐことがないので、音楽に没頭しつつも周りの音をしっかりと聞くことができます。そのほか、360度スピーカーの場合、スピーカーから全周囲に音が発せられるため、たとえば室内の中央付近に設置しBGMとして音楽を再生すれば、どこに移動しても変わらずにいい音が楽しめます。
屋内のみならず、屋外での使用も視野に入れている場合には、電源がないことを想定した大容量バッテリータイプを選びましょう。駆動時間8時間以上のバッテリー容量が目安となります。また、海や川などの水辺などでの使用も考慮し、防水機能を備えた製品を選ぶとよいでしょう。
力強く迫力ある重低音が特長の音響機器メーカー。コンパクトサイズながらBOSEならではの重低音サウンドを実現したモデルや、8台の機器を記憶でき、複数のソースとの再接続や切り替えが簡単なモデル、GoogleアシスタントとAmazon Alexaを搭載したモデルなどをラインアップしています。
手頃でコンパクトな機種から、圧縮方式にLDACを採用したハイレゾ対応の本格志向モデルまで、幅広いラインアップを展開するメーカー。「SRS-XB13」は、直径46mmのフルレンジスピーカーユニットと、低音を増強させる「パッシブラジエーター」を搭載。コンパクトながらキレと存在感のあるサウンドが楽しめます。
オーディオ機器のみならず、レコーディング用などの専門的な機器なども幅広く手掛ける老舗メーカー。防水仕様やクリップ付きなど、形状や性能をアクティブシーン向けにチューンしたモデルなどが多く、中でも「JBL CHARGE 5」は、モバイルバッテリー機能や、IP67等級の防水・防塵性能を備えている点が人気です。
水没にも耐えられるなどのハイスペックなモデルが人気のAnker。音質も申し分ないクオリティながら1万円以下で買える製品が多く、そのコスパの高さから初めてのBluetoothスピーカー向きといえるメーカーです。音の歪みを抑え、高音域でもクリアなサウンドを実現したモデルが特に人気です。
電子ピアノなどを手掛ける音響機器メーカーのヤマハ。音質はもちろん、自社製のAV機器との相互性にも注力しています。「MusicCast 50 WX-051」は、家の好きな場所に置いて音楽を楽しめるMusicCast対応ワイヤレススピーカー。2ウェイステレオスピーカーと35W+35Wアンプでクリアで迫力あるサウンドを楽しめます。
“サウンドを身につける”を合い言葉に、テレビの音声やスマホなどの端末内の音楽を楽しめるウェアラブルタイプのBluetoothスピーカーを幅広く展開する、シャープ。特に「AQUOS サウンドパートナー」シリーズの「AN-SS2-P」には、音が効率よく耳に向かうリフレクター構造のスピーカーを搭載。クリアボイス機能を使えば、ニュースやドラマなどで流れる人の声がはっきり聞きとれます。
初期モデルの「HomePod」ではレンジの広い重低音を楽しむことができます。また、従来モデルからより小型になった「HomePod mini」も登場。本体にiPhoneを近づけるだけで、オーディオを引き継ぐことが可能な上、ユーザーの好みに合わせたリスニング提案が自動的にiPhoneの画面に表示されるなど、便利な機能が特徴的です。
Bluetoothスピーカーとスマホ・タブレットなどの端末を接続する際、基本的には「端末側でBluetooth機能をオンにして、スピーカー側でペアリングボタンを押す」、もしくは「端末側で接続したいスピーカーをタップする」と接続が完了するものがほとんどです。しかし、より簡単に接続する方法として以下の便利機能を備えた製品もありますので、チェックしてみましょう。
NFCとは、Near Field Communicationの頭文字からなる略称で、10cm程度の近距離で通信を行うために開発された規格です。スピーカーやスマホなど、対応する端末同士を近づけるだけで接続が完了する便利な機能です。通常の接続設定でも接続自体は簡単ですが、NFC対応の場合には近づけるだけなので、より手軽に接続することができます。
Bluetoothスピーカーの中には、ハンズフリー通話に対応するモデルもあります。この機能を利用すれば料理などの作業をしながらでも、作業を止めずに通話が可能です。ただし、スマホ本体の通話機能ではなく通話アプリを使用する場合、端末の組み合わせなどによっては「通話に出る」など一部操作ができないこともあります。
近年は、Bluetoothスピーカーに「音声/AIアシスタント機能」が搭載されたスマートスピーカーが人気です。音楽を聴くにあたっての音質も十分で、なおかつ話しかける音声を識別して端末や家電を操作したり、情報を検索したりと、あらゆる操作を行うことが可能になるため、幅広い用途で使用することができます。
スピーカーの再生方法にはモノラル再生とステレオ再生があります。「モノラル」の“mono” には「単一」という意味があり、一般的に1つのスピーカーで再生する方法のことをいいます。それに対して「ステレオ」は、2つ以上のスピーカーで再生する方法のことをいいます。ステレオには「立体音響」の意味があり、2つ以上のスピーカーからそれぞれ異なる音を出すことで、立体感や臨場感のある音を出すことができるといわれています。
バッテリー内蔵タイプの製品以外には電池式のものがあります。
基本的にはバッテリーのほうが便利なことが多いですが、長期間充電できないなどの理由から乾電池で駆動するモデルのほうが便利な場合もあります。利用環境・用途によっては、乾電池式も候補に入れて選びましょう。
簡単です。かざすだけのNFC対応ならさらに簡単で安心です。
基本的にはスマートフォンやタブレットPCなどの端末でBluetooth機能をオンにし、スピーカー側でペアリングボタンを押す、もしくは端末側で接続したいスピーカーをタップすると接続が完了します。製品によってはパスコードの入力なども必要ですが、説明書を読めば難なく作業できるでしょう。また、接続したい端末がNFCに対応している場合、BluetoothスピーカーもNFC対応のものを選べばかざすだけで接続できて、より簡単です。
電波の干渉を疑ってみましょう。
Bluetoothでの通信には周波数2.4GHz帯の電波を使用していますが、この周波数帯は無線LANや電子レンジなどでも使用されているため、電波の干渉が起こって音が途切れることもあります。この場合、設置場所をこれらから離すなどの方法を試してみると、改善することがあります。
コーデックを考慮して選びましょう。
データの圧縮方式において音質の劣化が少ないものといえばAACまたはaptX、さらにハイレゾ用のLDACなどがありますので、音質にこだわりたい場合はこれらの製品を選びましょう。その際、接続する端末側も同じコーデックに対応している必要がありますので注意してください。
標準のSBCで接続され、劣化の少ないコーデックの恩恵は受けられません。
SBCが標準コーデックとなっているため、異なるコーデック同士の場合にはこの圧縮形式で接続されます。片方だけがAACやLDACなどに対応していたとしても、その性能は発揮されません。
コーデック
データを転送する際に圧縮・展開するための規格です。電波で送信する際に圧縮し、受け取った端末がそれを展開するため、再生端末とスピーカーで共通して持つコーデックが使用されます。
ハイレゾ
ハイレゾは“ハイレゾリューション(高解像度)”の略で、音楽用CDを超える音質データのことを指します。JEITA(電子情報技術産業協会)による定義では、サンプリング周波数か量子化ビット数のどちらかがCDスペックを超えているものとなっています。
ペアリング
スマホなどの端末とBluetooth機器を接続することをペアリングと呼びます。
Chromecast built-in
スマホやパソコンから音楽・音声をスピーカーにストリーミングできる機能のことです。Wi-Fi接続であるため、複数のスピーカーで同じ音楽を再生できる、スマートフォンで通話などの操作をしても音楽が途切れない、といった特長があります。
Class
電波強度を規定した概念のこと。つまり接続できる範囲のようなもので、Class1〜3それぞれの有効範囲はClass1:100m/Class2:10m/Class3:1m程度となっています。
USB給電機能
Bluetoothスピーカー本体のUSBポートから電源を供給できる機能のことです。
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