シリーズ解説
公開日:2026/10/6
出版社で月刊誌の編集・ライターとして約12年従事後、価格.comへ入社。パソコンや家電の「選び方ガイド」や特集記事、価格.comマガジンの記事など幅広いジャンルの記事制作を経て、現在はPC事業部専属の編集・ライターとしてパソコン関連の記事を担当している。
世界的なPCメーカーとして、法人・個人を問わず幅広いユーザーに向けてノートパソコンを展開するHP。近年、個人向けノートパソコンのブランド体系を変更し、長年親しまれてきた「Spectre」「ENVY」「Pavilion」といったブランド名を、新ブランド「OmniBook」へと刷新しました。価格帯やユーザー層に応じて「3」「5」「7」「X」「Ultra」という5つのシリーズに整理されたことで、以前よりもシリーズ間の立ち位置が分かりやすくなったいっぽうで、「自分にはどのシリーズが合うのか迷ってしまう」という声も少なくありません。本記事では、個人向けノートパソコンの主力ブランド「OmniBook」の5シリーズ(OmniBook 3/5/7/X/Ultra)を徹底解説。メーカー担当者への対面取材を基に、各シリーズの特徴や立ち位置、どんな人に向いているのかなどを紹介します。
「Spectre」「ENVY」「Pavilion」といった、HPのパソコンユーザーであれば聞きなじみのあるシリーズ名。これらは2024年以降、「OmniBook」という名称に統合されています。まずは買い替え時の参考となる「旧シリーズ名」との対応関係を押さえておきましょう。
| 現行シリーズ名 | コンセプト | 旧・従来シリーズ名 | ターゲット層 |
|---|---|---|---|
| OmniBook 3 | 価格重視・エントリー | HP(旧・無印HPシリーズ) | 中高生、シニア |
| OmniBook 5 | シンプル・コスパ重視 | Pavilion | ファミリー、学生 |
| OmniBook 7 | 生産性重視・バランス型 | Pavilion Aero/Pavilion Plus | 会社員、学生 |
| OmniBook X | スタイリッシュ・ハイエンド | ENVY | 会社員、フリーランス、クリエイター |
| OmniBook Ultra | 先進機能搭載のフラッグシップ | Spectre | プロフェッショナル |
OmniBookの5つのシリーズは、価格・性能の低い順に「3→5→7→X→Ultra」という並びになっています。ただし、これは単純な一直線ではありません。横軸を「ライトユース〜プロユース」、縦軸を「価格・性能」としたマトリクス図でとらえると、「OmniBook 3」と「OmniBook 5」はライトユース寄りの位置に、「OmniBook 7」がちょうど中間のポジションになります。そして「OmniBook X」と「OmniBook Ultra」はプロユース側の高い位置に。いわば右肩上がりの階段のような配置です。
また、各シリーズ間には「機能のブリッジ」も存在します。いわば、上位シリーズになると追加される機能や性能です。
OmniBook 3 → OmniBook 5:タッチ操作対応モデルが登場
OmniBook 5 → OmniBook 7:OLEDディスプレイやオーディオ・カメラ機能が向上
OmniBook 7 → OmniBook X:タッチ操作だけでなくペン入力にも対応。デザイン性もアップ
OmniBook X → OmniBook Ultra:4スピーカーによる高音質サウンドと、AI関連機能が拡充
各シリーズ間の「機能のブリッジ」は、製品によって異なる場合があるので、購入前にしっかりとチェックしてください。
とにかく価格最優先で、ライトユースの人は「OmniBook 3」
コスパと使いやすさのバランスを重視するなら「OmniBook 5」
仕事や学習用途で安定した性能を求めるなら「OmniBook 7」
ビジネスもエンタメも1台でなんでもこなしたい人は「OmniBook X」
妥協のない最高峰のクオリティを求める人は「OmniBook Ultra」
HPの「OmniBook」シリーズの製品名には、一定の命名ルールが存在します。基本構造は「HP Omni」という冠の後ろに、製品カテゴリー、グレード、任意の特殊形状、そして画面サイズの順に続きます。製品カテゴリーはノートPCなら「Book」、オールインワン型デスクトップなら「Studio」、タワー型なら「Desk」が入ります。グレードは3、5、7、X、Ultraの5段階に分かれており、特殊形状を示す表記として、360度回転するコンバーチブル型には「Flip」、1kg以下の軽量ボディには「Aero」が組み込まれます。なお、かつては折りたたみ型の「Fold」や「Move」といった形状も存在しました。たとえば「OmniBook X Flip 14」であれば、「Xグレードのコンバーチブル型・14インチモデル」という意味になります。
とにかく「価格最優先」という人におすすめしたいのが、「OmniBook 3」シリーズです。ターゲットは、テクノロジーにあまり詳しくない層。とくにシニア世代や中高生など、動画閲覧や簡単なオフィス作業程度のライトな使い方をするユーザーに向けたシリーズです。筐体はほぼプラスチック製とシンプルながら、必要な基本性能はしっかりと確保。ラインアップは、持ち歩きやすい14インチのコンパクトモデルから、テンキー付きの16インチ、家族共有にも向く17.3インチの大画面の据え置きタイプまで幅広く展開しています。テンキーが使いやすい16インチモデルがとくに人気です。
メーカー担当者のひとこと:
「OmniBook 3」シリーズは、パソコンをそこまで使わないけれど一家に1台は欲しいという人におすすめ。手ごろな価格でしっかりとしたスペックを提供し続けているのが強みです。決して“安いから性能が低い”わけではなく、最新パーツを搭載しながら、この価格を実現しているところに自信を持っています。
圧倒的コスパの16インチ大画面ノート!
OmniBook 3 16 Ryzen 5 230・16GBメモリ・512GB SSD搭載 価格.com限定モデル [マイカシルバー]
最安価格: 円 (税込)
画面サイズ
16型
(インチ)
CPU
AMD Ryzen 5 230
PassMark
(CPUスコア)
19480
メモリ容量
標準16GB
ストレージ
容量
M.2 SSD:512GB
NPU性能
AMD Ryzen AI 16TOPS
Office有無
なし
重量
1.64kg
「OmniBook 5」は、コスパと実用性を求める人(ファミリー、シニア、学生)を中心に、価格・性能・使い勝手のバランスを重視したシリーズです。素材面では天面などに一部アルミニウムを採用し始めるのも、このグレードからです。タッチ操作対応モデルが選べるようになるのも「OmniBook 5」シリーズの特徴のひとつ。キーボードやタッチパッドに加えて画面タッチもできる安心感は、地味に効いてくるポイントです。
ラインアップはIntel Core、AMD Ryzen、Qualcomm Snapdragonと複数のプロセッサーを取り揃えており、用途や好みに応じて選べる幅の広さも「OmniBook 5」の強み。価格.comの直販モデルでは14インチのSnapdragon X/X Plus搭載モデルが中心。いずれもCopilot+ PC対応で、最大34時間駆動の長時間バッテリーを備え、独自のAI機能「HP AI Companion」もオプションで搭載できます。
メーカー担当者のひとこと:
「OmniBook 5」はライトユース層をメインに想定したシリーズで、価格と性能のバランスを重視する人におすすめです。「OmniBook 5」シリーズからはタッチ操作対応モデルも選択できます。とくに据え置きで使うことが多いシニアの方にとっては、タッチ操作ができる安心感と利便性は大きいと思います。
OmniBook 5 14 Snapdragon X X1-26-100・16GBメモリ・512GB SSD・2K・OLEDディスプレイ搭載 価格.com限定モデル [グレイシャーシルバー]
最安価格: 円 (税込)
画面サイズ
14型
(インチ)
CPU
Snapdragon X X1-26-100
PassMark
(CPUスコア)
16347
メモリ容量
標準16GB(オンボード)[増設・交換不可]
ストレージ
容量
M.2 SSD:512GB
NPU性能
Qualcomm Hexagon 45TOPS
Office有無
なし
重量
1.29kg
「生産性重視」を体現するのが、「OmniBook 7」シリーズ。会社員や学生など、安定した性能で日々の作業や学習をこなしたい人におすすめのシリーズです。筐体は「OmniBook 7」シリーズ以上からすべてアルミ製となり、ロゴも丸ロゴから「プレミアムロゴ」と呼ばれるスラッシュ入りのロゴに変わります。ラインアップの目玉は、旧「Pavilion Aero」のDNAを継ぐ『OmniBook 7 Aero 13』。重量1kgという圧倒的な軽さを誇り、「OmniBook 7」シリーズのなかでも異彩を放つ存在です。ほかにも、MIL規格準拠の堅牢な14インチモデルや、専用GPUを搭載した16インチの大画面モデルまで幅広く展開。いっぽうで注意したいのは、「OmniBook 7」シリーズには基本的にタッチパネル搭載モデルやコンバーチブル型が用意されていない点。キーボードでの作業に主眼を置いた、割り切った設計になっています。
メーカー担当者のひとこと:
「OmniBook 7」シリーズは、キーボード入力を中心に、しっかりと作業をこなしたい人におすすめ。エンタメ用途でタッチ操作などを求める人にはあまり向きませんが、仕事や学習用途で使いたい人にはうってつけのシリーズです。
持ち運びに便利な超軽量ボディ。仕事も旅先も頼れるモバイルノート
OmniBook 7 Aero 13 Ryzen AI 5・16GBメモリ・512GB SSD搭載 価格.com限定モデル
最安価格: 円 (税込)
画面サイズ
13.3型
(インチ)
CPU
AMD Ryzen AI 5 340
PassMark
(CPUスコア)
19530
メモリ容量
標準16GB(オンボード)[増設・交換不可]
ストレージ
容量
M.2 SSD:512GB
NPU性能
AMD Ryzen AI 50TOPS
Office有無
なし
重量
0.97kg
「OmniBook X」シリーズのターゲットは「己を高めるような挑戦者」。副業やフリーランスなど、新しい仕事に挑戦したい人を後押しするブランドとして、日本HPが今まさに注力するシリーズ。仕事だけでなく創作活動などのクリエイティブな用途にも対応できる機能性とパフォーマンスを両立しています。
仕様面では、「OmniBook 7」シリーズからさらに一歩進み、タッチ操作に加えてペン入力にも対応。ディスプレイを360度回転させ、タブレットのようにも使えるコンバーチブル型『OmniBook X Flip』が投入されているのも特徴のひとつです。また、50TOPSの性能を備えたNPUを搭載し、AI処理をともなうマルチタスクもスムーズにこなすほか、米軍調達基準(MIL規格)もクリアするなど、高い性能と堅牢性を兼ね備えている点も「OmniBook X」シリーズの魅力です。
メーカー担当者のひとこと:
私自身、『OmniBook X Flip』を自宅で愛用しています。タッチディスプレイ対応かつコンバーチブルなところが便利で、自宅にテレビを置いていないため、NetflixやYouTubeなどを見るときは画面を立てて使っています。タブレットとPC、両方を買う必要がないのは使い勝手がいいですね。現行の「OmniBook X」シリーズは、1日中パソコンを使うパワーユーザー向け。仕事だけでなくプライベートの時間も1台で楽しめるシリーズです。
360度自由自在。万能なコンバーチブル型AI PC
OmniBook X Flip 14-kb0012TU パフォーマンスモデルS2 [ミッドナイトブルー]
最安価格: 円 (税込)
画面サイズ
14型
(インチ)
CPU
インテル Core Ultra 7 356H
(Panther Lake)
PassMark
(CPUスコア)
34181
メモリ容量
標準32GB(オンボード)
ストレージ
容量
M.2 SSD:1TB
NPU性能
Intel AI Boost 50TOPS
Office有無
なし
重量
1.39kg
「OmniBook」シリーズの最高峰に位置するのが、「OmniBook Ultra」です。ハイスペックなノートパソコンを求めるユーザーに、最新のテクノロジーとデザイン性の両方に強くこだわった、プレミアムブランド。エグゼクティブ層やプロフェッショナル、いわゆる“プロシューマー”に向けたシリーズです。米軍調達基準(MIL規格)をクリアする堅牢性を備えながら、世界最薄級となる厚さ10.7mmのボディを実現。素材にも80%のリサイクルアルミニウムと40%の再生プラスチックを採用し、環境性能と美しさを両立させています。
サウンド面では、Poly Studioがチューニングした4基のスピーカーを搭載してクリアな音質を実現。さらに「OmniBook Ultra」シリーズだけの特別な機能として、AIカメラを使ったジェスチャー操作を搭載。手を挙げてサムアップするだけで音量やページの上下操作ができるため、キーボードに触れずにノートパソコンを操作できるのが特長です。
メーカー担当者のひとこと:
「OmniBook Ultra」は、技術とデザインを極めたハイエンドモデルです。AIカメラを使った「ジェスチャー操作」は、ポテトチップスを食べながらでも操作できる、というくらいキーボードに触れなくていいのが面白いポイントです(笑)
85 TOPSの圧倒的AI性能。1.27kgの超軽量AI PC
OmniBook Ultra 14-kg0006QU プログレッシブモデル S2 [ストーンブルー]
最安価格: 円 (税込)
画面サイズ
14型
(インチ)
CPU
Snapdragon X2 Elite X2E-90-100
PassMark
(CPUスコア)
-
メモリ容量
標準32GB(オンボード)
ストレージ
容量
M.2 SSD:2TB
NPU性能
Qualcomm Hexagon 85 TOPS
Office有無
なし
重量
1.27 kg
「OmniBook」シリーズのすべてに標準搭載されているのが、純正の設定アプリ「HPアプリ」です。画面設定やサウンド設定、カメラ設定などを一括管理できるほか、Spotifyなど使用しているアプリごとにサウンド設定を最適化することも可能。キーボードのキー割り当てやジェスチャー設定まで細かくカスタマイズできるので、自分好みの操作感に近づけられます。さらに「OmniBook Ultra」シリーズでは、AIカメラを使ったジェスチャー操作にも対応。サムアップでボリューム調整、指を振ってページ送りができるので、キーボードに触れずに操作できます。世代が新しいモデルほど機能も充実しており、快適にHPパソコンを使うための土台となる、頼れるアプリです。
「OmniBook 7」シリーズ以上のNPU搭載モデルの一部には、AIが自分の使い方を学習してくれる「SmartSense(スマートセンス)」機能を搭載しています。ユーザーのパソコンの利用パターンを機械学習し、負荷が高い作業のときはパフォーマンスを上げ、軽い作業のときは消費電力を抑えるなど、状況に応じて自動で最適化してくれます。設定は「ほぼお任せでOK」なので、こまめにチューニングする手間もかかりません。バッテリーの寿命を延ばす効果も期待できるので、使えば使うほど「自分専用のPC」へと育っていく仕組みです。パソコンの買い替えサイクルが伸びている今、長く付き合うことを考えるなら、こうした機能を搭載したモデルを選んでおくと安心です。
薄型軽量のノートパソコンほどポート数が犠牲になりがちななか、HPはそこにもこだわりを見せています。特に軽量モデルの「Aero」でもHDMIポートやUSBポートをしっかり搭載しており、わざわざ外付けハブを持ち歩く必要がないのが強みです。「軽くて薄いのに、周辺機器をつなぐたびにハブ頼み」というのはよくある悩みですが、その点「OmniBook」シリーズはどのモデルもポート構成に余裕があり、日常使いで困る場面は少ないでしょう。
最後に、自分に合ったノートパソコンを選ぶ際のヒントを株式会社日本HPの吉川さんに伺いました。
多彩なラインアップを誇るOmniBookシリーズですが、スペック表の数字だけで選ぼうとすると、どれが自分に合うのか迷ってしまいがちです。吉川さんによると、失敗しない一台を選ぶためには「使用場所」「処理性能」「AI機能」「デザイン」という4つの視点から自分のライフスタイルを整理することが近道だと言います。
まず大事なのは『どこで使うか』です。家の中だけで使うのか、外にも持ち出すのかによって、選ぶべきサイズや重さは大きく変わってきます。
次に考えたいのが『処理性能』。快適なスピードを求めるなら、OmniBook 7シリーズ以上を目安にするとよいでしょう。さらに欠かせないのが『AI機能をどこまで使いたいか』という軸です。ローカルAIの処理速度やAIアプリの充実度にこだわるなら、「OmniBook X」や「OmniBook Ultra」が有力候補になります。そして最後の軸が「デザインへのこだわり」。好きな色や形状を選べることは、パソコンを使うモチベーションにも直結する、立派な選択基準のひとつです。
画面サイズは、持ち運びを重視するなら14インチ以下のモバイル向けモデルが扱いやすく、自宅などでの据え置き利用が中心なら15.6〜16インチ以上の大画面モデルがおすすめです。画面が大きくなるほど、タッチ操作の恩恵も感じやすくなります。
メモリについては、AI PCの普及にともない将来的には32GBが主流になっていくと見られていますが、現時点では16GBあれば通常の仕事や学習用途には十分でしょう。より負荷の高い作業をしたい方や、一台のパソコンを長く使い続けたい方は32GBを検討するのもよいと思います。あわせて、動画や写真を大量に保存する方は、ストレージ容量にも余裕を持たせておくと安心です。
とにかく費用を抑えたい、ライトユースの人:
「OmniBook 3」
コスパと使いやすさのバランスを重視する人:
「OmniBook 5」
仕事や学習で安定した性能を求める人/極限の軽さを求める人:
「OmniBook 7」
PC作業もエンタメも1台でこなしたい高性能モデルを求める人:
「OmniBook X」
妥協のない最高峰のPC体験を求める人:
「OmniBook Ultra」
本記事は株式会社日本HP(吉川氏、山田氏)への対面取材内容とHP公式サイトの情報を基に構成しています。
記事内で掲載しているPassMark(CPUスコア)は、記事公開日時点のものです。