製品選びの前に
マウスの役割
マウスは、パソコン(PC)を使う際に必要不可欠な周辺機器のひとつ。画面上のポインターを動かし、クリックやダブルクリックをするための入力デバイスです。手に直接触れ、長時間操作する製品だけに、マウスの使い心地がPCの操作性や快適さに直結します。そのため、マウス選びは性能だけでなく、疲労を感じずに使いやすいかどうかを吟味することが重要です。
ケーブルの有無で探す
有線

PCとケーブルで接続して使うタイプのマウスです。PCとの接続や初期設定が簡単で、電池が不要という利点があります。また、電池を内蔵しないため、軽量です。接続端子としては、以前はPS/2が、現在はUSBが主流となっています。ワイヤレス(無線)タイプより価格が安いのも特徴です。
ワイヤレスマウス

無線を用いることで、ケーブルなしでPCと接続できるマウスです。PC本体に専用のレシーバ(受信機)を取り付けて通信するUSBレシーバ式、レシーバ不要で通信できてモバイル対応も多いBluetooth式の2種類があります。ケーブルがないため使い勝手は抜群ですが、電池が必要です。
有線/ワイヤレス

文字通り、有線とワイヤレスの両方の接続に対応しています。ゲーミングマウスで採用されていることが多く、どちらの方式で接続してもスムーズに動作するように設計されています。価格は高めで、一番安い機種でも5,000円前後からとなります。
マウスの選び方のポイント
モバイル対応をチェック
モバイル対応

ノートPCに接続して使うことを想定したモバイル対応品が続々と登場しています。薄い、軽い、レシーバ不要で通信できるBluetooth式といった特徴があり、持ち運びに便利な小型マウスとなっています。また、OSがAndroidのスマートフォンやタブレットでも、マウスを利用することができます。
Bluetoothとは?

Bluetoothとは、近距離にある機器同士で無線通信を行う技術のひとつです。親機(PC、スマートフォン、タブレットなど)と子機(キーボード、マウス、ヘッドセットなど)を無線接続できますが、親機・子機ともにBluetooth機能を備えていなければ通信できません。なお、機器同士をBluetoothで接続することを「ペアリング」といいます。Bluetoothの通信距離は、「Class」という電波強度によって異なるので、注意が必要です。「Class」にはレベルが1〜3まであり、それぞれの電波有効範囲はClass1:100m/Class2:10m/Class3:1m程度となっています。親機と子機でレベルが違う場合は、低いレベルが有効範囲の対象となります。
タイプをチェック
底面から発する光線でマウス本体の動きを読み取り、PC画面上のポインターに動きを反映させるのがマウスの仕組みです。採用している光線の種類によって、読み取り精度が高かったり、光沢面が苦手だったりといった特徴があります。使用環境に合わせて、最適なタイプを選択しましょう。また、普及初期に採用されていたボール式マウス(内蔵したボールで動きを読み取る)は、現在ではほとんど見かけなくなりました。
※1:完全に無色透明なガラス面では動作しない
※2:マウスを持ち上げてポインターが動かなくなるまでの距離
消費電力が低い
IR LED
赤外線LEDを利用するタイプです。消費電力が低く、電池1本で1年以上使用できる製品も販売されています。ただし、光沢面や白い面での読み取りが甘い傾向にあります。
どんな場所でも快適
BlueLED
青色LEDを利用するタイプです。周波数の短い青色光線を用いているため、読み取り精度が非常に高いのが特徴です。また、光沢面も含めたあらゆる場所での操作が可能です。
光沢面でも使用可能
レーザー
レーザー光を利用したタイプです。BlueLEDタイプほどではありませんが、高い読み取り性能を備え、光沢面や布の上での読み取りも可能です。しかし、販売価格が高いのが難点。
コストパフォーマンス抜群の光学式
赤色のLEDを利用したタイプで、安価なモデルに採用されています。光沢面や白い面では反応しないといった欠点があるため、環境によっては使用できない場合があります。
省スペースで手首が疲れにくいトラックボール

マウス本体を動かすのではなく、備え付けのボールを指で転がすことで、画面上のポインターを操作する仕組みの入力機器です。手首にやさしく、狭い場所でも使用できるというメリットがありますが、使いこなすには慣れが必要です。
指で操作をしたい人にタッチパッド

製品の表面を指でなぞる動きにあわせて、画面上のポインターが動くという仕組みの入力機器です。多くのノートPCに標準搭載されています。デスクトップPCで、Windows8.1やWindows10のタッチ操作をしたい場合にも役立ちます。
その他のチェックポイント
ボタン数
マウスの基本構成は左右のボタンと中央のスクロールホイールですが、ブラウザの「戻る」や「進む」など、特定の機能を割り当てるために追加ボタンが搭載されたマウスもあります。追加ボタンは、ショートカットを割り当てることも可能なので、特定の作業を繰り返して行うことが多い人に便利です。
解像度(カウント)
マウス本体が1インチ移動した際に、画面上のポインターがどれだけ移動するかを示した数値です。単位はdpiで、一般使用には800〜1,600dpiあれば十分ですが、ゲーマー向けとして10,000dpiを超える超高解像度マウスもあります。解像度が高いほど、少ない操作でポインターを大きく移動させることができます。
カウント切り替え可能
用途にあわせて解像度を2〜5段階に切り替えられるマウスです。たとえば、プレイするゲームのタイトルごとに解像度を変えるといった使い方があります。ほとんどの場合、マウス本体にあるカウント切り替えボタンを押すことで簡単に解像度を変更することができます。
チルトホイール(横スクロール)
通常は縦に回転させるだけのスクロールホイールですが、左右に傾けることができるものを「チルトホイール」と呼びます。ホイールを左右に傾けると、横方向にスクロールすることができるため、Excelなどで横長のデータを取り扱う人に便利です。
着脱式レシーバ
ワイヤレス(無線)で使用する際のUSBレシーバをマウス本体に収納できるタイプの製品です。マウスと一体にしておくことで、持ち運び時に紛失してしまう危険性を軽減できます。モバイル向けマウスには、ぜひとも欲しい機能でしょう。
タッチセンサー
スマートフォンやタブレットのように、指先だけで特定の操作(スクロールやタップ、スワイプなど)ができるタッチセンサーを本体に搭載したマウスです。Windows8.1やWindows10でサポートしているタッチ操作をデスクトップPCで行いたい場合に活用できます。
マウスの主なメーカー
マイクロソフト(Microsoft)

先進的なデザインも積極的に導入
Windowsの開発元であるというイメージが強いマイクロソフトですが、マウスやキーボードなどの入力機器でも有名です。スナップ式で折りたためるモデルや、手になじむ長方形の形をしたモデルなどを展開。淡いオレンジやブルー、グリーンなど、かわいらしいパステルカラーのマウスも人気です。
ロジクール(Logicool)

PC周辺機器の専業メーカー
マウスやキーボード、スピーカーなど、PC周辺機器の専業メーカーです。一般的なマウスだけでなく、読み取り精度を高めたハイエンド製品や多数のボタンを備えたゲーム向けモデルもラインアップ。10年ぶりにリニューアルされた、無線トラックボールマウス「ERGO M575 ワイヤレス トラックボール」は特に人気です。
ケンジントン(Kensington)

トラックボール派から根強い支持
日本ではあまり有名ではありませんが、世界中でPC周辺機器を提供しているメーカーです。日本国内ではトラックボールを展開しており、トラックボール派のユーザーたちから長年にわたって支持されています。フラッグシップモデルの「Expert Mouse Wireless Trackball」は、Bluetoothとワイヤレスの両方に対応し、環境に合わせて使い分けができます。
Razer(レイザー)

ゲーマー向けの高性能マウスに特化
ゲーマー向けに特化した製品を展開する海外メーカーです。「FPS」のようにマウスの解像度が重視されるゲームに対応した、解像度が最大20,000という超高解像度マウスを取り揃えています。また、ボタン配置もゲームを快適にプレイできることを想定してデザインされており、マウスの握り方に合わせた商品なども多数あります。
エレコム(ELECOM)

豊富なラインアップが特長
IOデバイス製品を中心に扱う、パソコン関連の大手サプライヤー。コスパのよさが多くのユーザーから評価されています。ワイヤレス5ボタンマウスや、指先操作に優れたモデル、2台のパソコンをワンタッチで切り替えて使用できるマルチペアリング機能を搭載したモデルなどをラインアップしています。
サンワサプライ(SANWA SUPPLY)
便利な機能がついたモデルを多数展開
静音ボタンを左右クリック、サイドボタン、カウント切り替えボタンに搭載したモデルや、カーソルスピードを800/1200/1600/2000カウントに切り替え可能なモデル、左右対称形で、右手でも左手でも使用できるBlueLEDマウスなど、便利機能に特化したモデルを多数展開しています。
FAQ(よくある質問と回答集)
- Q解像度が高いマウスのメリットは?
- A解像度が高いと少しの操作でポインターが大きく(速く)動くので、大きな画面で操作する場合や狭い場所での操作に便利です。
- 逆に、一般的な事務作業などではポインターが速く動きすぎると作業しづらくなります。ポインターが動く速度はPC側で調整できますが用途に応じた解像度のマウスを選ぶようにしましょう。
- Qワイヤレスマウスの無線接続方式である、27MHzと2.4GHzの違いは?
- A廉価モデルでは27MHzワイヤレスを使っているのが一般的です。
- 電波がそれほど強くないのでPCとマウスが近い環境での使用に限定されます。一方、上位モデルでの採用が多い2.4GHzワイヤレスは電波の途切れによる動作不良が起こりにくいので操作が安定しています。
用語集
- 解像度(カウント)
- マウス本体が1インチ移動した際に、画面上のポインターがどれだけ移動するかを示した数値です。単位はdpiで、一般使用には800〜1,600dpiあれば十分ですが、ゲーマー向けとして10,000dpiを超える超高解像度マウスもあります。解像度が高いほど、少ない操作でポインターを大きく移動させることができます。
- ゲーミングマウス
- ゲームを快適に遊ぶために作られたマウス。高い読み取り精度とDPIを備えており、プレイヤーの操作を素早く画面上のキャラクターなどに反映させることができます。また、任意の操作や機能を割り当てられる「マクロボタン」を備えた製品もあります。
- 静音
- クリックする際に発生する音を30dB以下に抑えたマウスです。「カチカチ」などの音を抑えながらも、ほかのモデルと同様のクリック感を残しています。深夜の自宅や閑静なオフィスなど、音が気になりやすい環境で使用する人はチェックしましょう。