メモリー選びの前に
手持ちのパソコンから必要な情報をチェック!
メモリーを購入する際は、現在使用しているパソコンに合った製品を選ばなくてはいけません。まずは、メモリー選びの前に確認しておくべき事項をチェックしましょう。
使っているPCの説明書や製品情報からメモリーの規格やスロットの数を確認

パソコンのメモリースロットとメモリー本体の規格を合わせる必要があります。説明書などで、パソコンの仕様を確認しましょう。あわせて、スロットに空きがあるかもチェックします。スロットの空きがない場合は、容量が大きいものに付け替えます。
間違えると装着できません! インターフェイス(形状)も必ず確認を

メモリーは、インターフェイス(形状)も規格化されています。デスクトップパソコン用が「DIMM」、ノートパソコン用が「S.O.DIMM」です。インターフェイスが異なると、メモリーを差し込むことができないので注意しましょう。
増設・交換できないMacBook Airなどもあるので注意!

すべてのパソコンが、メモリーを増設・交換できるわけではありません。たとえば、Appleのノートパソコン「MacBook Air」は、直販サイトで購入するときでないと増設できません。ほかにも該当するものがあるので注意が必要です。
メモリーの選び方のポイント
次に、メモリーの選び方を見てみましょう。容量、インターフェイス、規格など、チェックポイントを紹介します。
インターフェイス(形状)をチェック
メモリーの製品名には、「DIMM DDR4」「S.O.DIMM DDR3」という文字が記載されています。DIMMはデスクトップパソコン用、S.O.DIMMはノートパソコン用のインターフェイス(形状)を意味しています。また、「DDR4」「DDR3」が規格です。
DIMM (デスクトップパソコン用)

「Dual In-line Memory Module」の略称で、主にデスクトップパソコンで採用されています。形状が細長く、メモリースロットに合わせる切り欠きが中央部にあるのが特徴です。
S.O.DIMM(ノートパソコン用)

「Small Outline Dual In-line Memory Module」の略称で、大きさはDIMMの約半分です。主にノートパソコンで使われていますが、一体型のデスクトップパソコンでも採用されています。
規格をチェック
メモリーの規格であるDDRとは、「Double Data Rate」の略。メモリーの性能はパソコンの進化にあわせて向上し、新たな規格も登場しています。前述のように、パソコンのメモリースロットにあったメモリーを用意する必要がありますので、購入の際には間違えないように選びましょう。
DDR4 SDRAM
現在主流の規格です。主流となる規格は、2001〜2005年頃の「DDR SDRAM」、2005〜2009年頃の「DDR2 SDRAM」、2009〜2015年頃の「DDR3 SDRAM」と変遷しており、「DDR4 SDRAM」は転送速度がDDR3の2倍で、消費電力が20%向上しています。
DDR3 SDRAM
DDR2の後継規格で、さらなる高速化と消費電力低減を実現。インテルのCPU「Core i」シリーズへの投入により、2009年ごろから一般的なパソコンに搭載され普及しました。
DDR2 SDRAM
2005〜2009年頃にパソコンで利用されていた規格です。DDR3の普及によって生産数が少なくなっているため、同容量の製品同士を比べると、DDR2のほうがDDR3よりも高額です。
メモリーの主なメーカー
CFD

ゲーマー向けのオリジナルブランドが人気
パソコン周辺機器メーカー「バッファロー」のグループ企業。ゲーマー向けのオリジナルブランド「CFD Gaming」を展開しており、DDR4メモリ「CX1」シリーズが人気製品となっています。
Corsair(コルセア)

高性能メモリーモジュールメーカーとして有名
アメリカのパソコン関連製品メーカーで1994年設立。DRAM市場では世界的なリーディングプロバイダーとして知られており、なかでもオーバークロック向けメモリーモジュールが有名です。
crucial(クルーシャル)

永久保証つきのメモリーが人気
永久保証のついたメモリーが人気。各製品は、厳しいテストを通過しており、高い品質と安定した動作が魅力です。高品質ですが、安価な価格帯の製品もラインアップしており、コストパフォーマンスに優れています。
ADATA

豊富なラインアップでDRAM市場を席巻
台湾のメモリーメーカーで、2001年設立。歴史が浅い会社ながら、自社ブランドはもちろん、他社ブランド用OEMと、DRAMモジュール市場では世界でもトップクラスのシュアを持ちます。リーズナブルな価格ながら安心できる製品として知られています。
FAQ(よくある質問と回答集)
- Qメモリーを自分で取り付けることは可能ですか?
- A取扱説明書などを見ながら行えば可能です。
- 一部のノートパソコンなどを除いて、取扱説明書にメモリーの取り付け方法が書いてあります。作業前に静電気を放電し、取り付け方向に注意しながら行えば、未経験者でも取り付けることは可能です。
- Qメモリーを増設したらパソコンの動作が不安定になりましたがどうすればいいですか?
- A原因を見極めるため、増設したメモリーを抜いて、動作を確認してみてください。
- その状態で問題なく動作するようなら、メモリーに不具合がないかを確認するため、メモリーチェックツールなどを利用しましょう。その結果、メモリーに何の問題もないようでしたら、パソコンとメモリーの相性がよくないことも考えられます。そうした問題に対応するため、「相性保証」サービスを提供する販売店もあります。
- Qメモリーは1枚よりも2枚のほうがよいというのはなぜですか?
- ADDR2以降はデュアルチャネルという技術が搭載されているからです。
- 一昔前は、1枚で大容量のメモリーを使うほうがよいとされていましたが、DDR2以降のメモリーでは、同じ規格・容量のメモリーを2枚1組で使用してデータ処理を2倍に高速化するデュアルチャネルという技術を採用しています。メモリーをデュアルで作動させることで、データの道筋が2つになり、理論上は2倍のデータ転送速度になります。なお、トリプルチャネルは3枚1組で使用することでデータ処理を3倍に高速化できるもので、DDR3以降のメモリーで利用できます。さらに、メモリーを4枚組み合わせる「クアッドチャネル」もあります。
- Q動作クロックとは何ですか?
- Aデータ転送の速さを示すものです。
- 動作クロックは、簡単にいえばデータ転送の速さを示す数値で、値が高ければ高いほど、高速になります。製品の型番にある「12800」、「17000」などといった数字が動作クロックを示します。メモリーだけでなく、パソコンのメモリースロットにも上限の動作クロックが定められていて、どちらか数値の低いほうのクロックで動作します。また、動作クロックが異なっていても、パソコンの動作に不都合が生じることはありません。
- Qパソコンにはメモリースロットがいくつありますか?
- A機種によって異なります。
- デスクトップパソコンなら4〜6基のメモリースロット、ノートパソコンなら2〜4基のメモリースロットを搭載していることが一般的です。
- QDDR3のメモリーをDDR4のメモリーに変更できますか?
- A規格が異なるのでできません。
- PCのマザーボードは、使えるメモリーの規格が決まっています。DDR3とDDR4ではモジュールのピンの数や形状も異なるので、そもそもスロットに差し込むこともできません。
用語集
- レイテンシー
- メモリーが読み書きを行う際、さまざまな段階ごとに発生する待ち時間。単位はクロック。 「5-5-5-18」や「9-9-9-24」と表記されます。主にCAS Latency(CL) - RAS to CAS - RAS Precharge - Cycle Timeの順でこの4項目が一般的に表記されています。さらにこの後に-1Tのような形でCommand Rateが表記されることもあります。同クロックではレイテンシーの小さいほうが高速ですが、体感的な違いはほとんどありません。
- ECC
- メモリー内の誤ったデータを検出し、訂正する機能です。ハイエンド向けパソコンやサーバーに搭載されていますが、個人向けパソコンのメモリーにはあまり搭載されていません。
- SPD
- メモリー内の情報を格納しておくためのチップ、CL値などメモリータイミングやクロック、容量などの情報が格納されていて、BIOSに表示することができます。
- オーバークロック(OC)
- 周波数(クロック)は、CPUのスペックのひとつでGHzの数値で表されます。この数値が大きいほど高速で動作する高性能のCPUといえます。オーバークロックとは、さまざまな方法でこの周波数を上げて、初期状態よりも高速で動作させることです。オーバークロックすることで、上位のCPUと同じ性能を引き出せますが、CPUが故障するリスクもあります。また、オーバークロックはCPUだけでなくメモリーにも負荷がかかるため、オーバークロックに対応したメモリーも販売されています。
- JEDEC
- 米国Electronic Industries Alliance (EIA:電子工業会) の下部組織で、半導体技術の標準化を行っている団体です。SDRAMやDIMMなどの規格を策定しています。JEDECに加盟しているメーカーのメモリーなら、品質もJEDECに準拠しているので比較的安心して利用できるといえるでしょう。