ドッグフードの選び方
犬のごはんといえばドッグフード。栄養のバランスがよく、手軽に与えられることから、多くの人が愛用していることでしょう。しかし、「種類が多すぎて、愛犬に合ったものが選べているか不安」という人も多いのではないでしょうか? ここでは、「ドッグフードの替えどき」や「いつものドッグフードを食べなくなったら?」など、愛犬に最適なドッグフードを選ぶためのポイントを紹介します。
2023/8/9 更新
目次
ドッグフードの種類を頻繁に変えるのは、犬にとってあまりよいことではありません。ドッグフードは、各メーカーが独自の製法で開発しているため、種類を変更すると犬の胃腸に負担をかけてしまうことがあるからです。
ただし、犬は成長段階によって必要な栄養素が変わるため、年齢に合わせてドッグフードを切り替える必要があります。また、愛犬が今まで食べていたドッグフードを急に食べなくなったときや、犬が体調不良のとき、犬の体質が変わったときなどは、ドッグフードの切り替えを検討しましょう。スムーズにドッグフードを切り替えるためには、愛犬に最適な商品を選び、少しずつ切り替えていくことが大切です。
人間の食べ物が子供から大人になるにつれて変わるように、犬も年齢によって、必要なエネルギー量や栄養素のバランスが変化します。そのため、犬の成長段階(ライフステージ)に合わせてドッグフードを切り替えることが大切です。目安としては、「幼犬・子犬」「成犬」「シニア犬」の各成長段階に合わせて最適なドッグフードに切り替えるとよいでしょう。
主食として毎日食べるドッグフードは「総合栄養食」と記されたタイプを選びましょう。「総合栄養食」タイプは、犬が必要とする栄養基準を満たしたドッグフードで、新鮮な水と一緒に与えることで健康を維持できるように考えられています。
総合栄養食の中から、愛犬のライフステージ(成長段階)に合ったドッグフードを選びましょう。ドッグフードの質感や味は、愛犬の好みに合わせるとよいでしょう。
成長著しい時期なので、栄養不足は発育不全につながります。体が小さくフードを少しずつしか食べられないため、食事の回数は多めにしましょう。幼犬・子犬用のドッグフードは、少量で効率よくエネルギーがとれる栄養バランスになっています。
成犬になると、1日のエネルギー消費量が同じ体重の幼犬の半分程度になるため、肥満に注意する必要があります。成犬の食事は1日2回。成犬用のドッグフードは、健康維持のための栄養バランスが重視されているのが特徴です。
シニア犬になると、基礎代謝が少なくなるため、体重に注意しながらエネルギー量を調整しましょう。シニア犬用のドッグフードは、衰えがちな健康に配慮した商品が多く、加齢により食事量が減ってしまったハイシニア用のドッグフードもあります。
「オールステージ」と表示されたドッグフードは、与える量を調整することでどの成長段階にも対応します。ライフステージ(成長段階)の異なる犬を複数飼っている場合などに便利です。
ドッグフードを与えるときの注意点は?
ドッグフードは、1日分を数回に分けて与えましょう。犬は目の前にあるものをお腹いっぱいまで食べるという習性があり、なおかつ、あまりかまずに飲み込む、早食いです。また、犬の胃は、1回で1日分のドッグフードを食べることができるほど大きいため、1回の食事で1日分の量を与えてしまうと、ドッグフードをのどにつまらせてしまったり、肥満の原因になったりします。1回の給与量や1日に給餌する回数については、ドッグフードのパッケージに記載されているものを参考にしましょう。なお、成犬の場合は1日2回(朝・夕)が目安です。
天然由来の酸化防止剤「ミックストコフェロール」とは?
ドッグフードには、酸化を防いで品質を保つ酸化防止剤が含まれています。化学的に合成された人工添加物には、健康への影響が心配されるものもありますが、「ミックストコフェロール」は天然由来の酸化防止剤で、安全性が高い成分です。トコフェロールとはビタミンEのことで、数種類のトコフェロールを混ぜたものが「ミックストコフェロール」です。
愛犬が今まで食べていたドッグフードを急に食べなくなったときは、ドッグフードの種類を変えてみましょう。人間と同じように、犬も食欲がないときがあったり、ドッグフードの味に飽きてしまったり、季節によって食べたいものが変化したりということは珍しくありません。
ただし、体調に異変がある場合は獣医師の診察を受けましょう。また、明らかな「遊び食べ(ドッグフードを残さずに食べることなく、遊んでしまう)」は、単なるわがままと考えられる場合もあるので、普段から愛犬の様子を観察しておくことも重要です。
ドッグフードは、水分含量によってドライタイプ、ウエットタイプ、ソフト・セミモイストタイプの3タイプに分けられます。
水分量が10%以下のドッグフードです。長期保存が可能で、腹持ちがいいのが特徴。カリカリに乾燥した粒状のものが多く、硬さがあるため歯石がつきにくいといわれています。
水分含量が75%以上のドッグフードで、ドライタイプよりも高価格のものが多いです。風味がよく、犬の食いつきがいいため、食欲が落ちているときなどに最適。ただし、水分が多いので、ドライタイプよりも多くの量を与える必要があります。
水分含量10〜30%のソフトドライタイプ、20〜35%のセミモイストタイプがあります。少食、偏食の犬や、シニア犬向きです。
ドッグフードの切り替えは少量ずつ、時間をかけて
犬は食べ慣れていないドッグフードに切り替えると、お腹をこわすことがあります。そのため、ドッグフードの種類を変えるときは、犬の状態を見ながら1〜2週間かけて少しずつ新しいドッグフードの割合を増やすようにしてください。動物病院やペットショップなどでは、ドッグフードの試供品が配布されているため、購入する前に試してみるとよいでしょう。
犬が病気にかかったり、犬の体調に異変があったりするときは、症状に応じて栄養成分を調整し、食事の内容を変えなければならないことがあります。また、治療のために食事管理が必要な病気もあるでしょう。そんなときに、治療を補助する目的で与えるのが「療法食」です。ただし「療法食」は、獣医師の管理のもとで用いるドッグフードのため、飼い主の自己判断で与えないように注意してください。必要に応じて獣医師の指示下で利用することが大切です。
犬の病気の種類や症状に合わせて栄養バランスを正しくコントロールするために、さまざまな療法食が用意されています。給餌する際には獣医師に相談したうえで、犬の体調や症状に合ったものを選びましょう。
ごほうびや愛犬とのコミュニケーションの手段として使われることが多いおやつ。ジャーキータイプや肉・魚・果物などを乾燥させたタイプ、ビスケット・ボーロのような菓子タイプなど、犬用のおやつはバリエーションが豊かです。ただし、おやつを欲しがるままに犬に与えてしまうと必要な栄養バランスが損なわれることもあるため、適量を与えることが大切。1日に与えてもいい量や回数は商品のパッケージに記載されているので、しっかりと確認してください。なお、目安としてですが、おやつを与える量は「主食の10〜20%程度にする」と覚えておくとよいでしょう。
1968年にフランスの獣医師ジャン・カタリー博士が創業。個々の犬のニーズに応じた健康サポートのために、研究開発を続けているブランドです。犬種、年齢、サイズ、ライフスタイル、健康の悩みなど、さまざまな角度から犬の健康を考えたドッグフードを展開しています。
栄養豊富な自然素材を10種類以上使用したナチュラルフード「シュプレモ」、高タンパクでグレインフリーの「ワイルドレシピ」など、厳選した自然素材と、最適な栄養バランスにこだわった商品が人気のメーカー。自社工場での製造から輸送に至るまで、徹底した品質管理を行っています。
盲目の青年が病気を患った盲導犬について獣医師に助けを求めたことがきっかけで誕生したブランド。現在も220人以上の獣医師や栄養学者などの専門家が、商品開発に携わっています。犬のサイズやライフスタイルに対応したドッグフードのほか、療法食のラインアップも豊富です。
日本で暮らすペットの生活環境に合わせて、栄養バランスや保証成分を調整したフードを製造するメーカー。発売60周年を迎える「ビタワン」のほか、毛並みの美しさも追及する「ビューティープロ」、産地と素材にこだわった「ご当地めぐり」など、多彩な商品展開も魅力です。
「ペットのためのよりよい世界(A Better World for Pets)」の実現をビジョンに掲げるメーカー。ドライ、ウエット、スナックタイプまで揃う「シーザー」のほか、「ペディグリー」「アイムス」「プロマネージ」など、目的別、犬種別、年齢別に豊富なラインアップを展開しています。
衛生用品からフードまで、ペットの生活を総合的にサポートするメーカー。味・食感・栄養バランスにこだわった「グラン・デリ」、特定犬種の健康維持をサポートする「ベストバランス」が人気です。そのほか、安全なドッグフードを作るために、自社工場は品質と環境マネジメントの国際規格を取得しています。
ペットフード、ペットケア用品、ペット生活用品など、多様なカテゴリを展開するメーカーです。天然のミネラルを配合したドライフード「リモナイトラボ」を軸に、周りに食材を巻き付けたスナック「ササミ巻きガム」や「砂ぎも巻きガム」など、独自に開発したドッグフードが人気を博しています。
「ペットとの幸せな共生」を社是に掲げるメーカーです。ジャーキーやスナック、ビスケットなどのペット食品と、玩具やケアグッズなどのペット用品を豊富にラインアップ。設計段階から工場設備を整えるなど、ペットフードの安全のために徹底した品質管理を実施しています。
キャットフードとドッグフードを合わせて、600以上の商品を展開するペットフードメーカー。缶詰やパウチ、プラスチックカップ入りのウエットフードのほか、スティック状のおやつ「ちゅるっと」、トッピングとしても使用できる液状おやつ「ちゅ〜る」が人気です。
袋をしっかりと閉じて保存しましょう。
ドライタイプ、ソフトドライタイプのドッグフードは、袋をしっかりと閉じて、直射日光が当たらない、温度・湿度が低い場所で保存します。開封後は、なるべく早く使い切れるように犬の大きさに合ったサイズの商品を選びましょう。
セミモイストタイプのドッグフードは、袋をしっかりと閉じるか、密閉できる容器に入れて、冷蔵庫で保存します。
ウエットタイプのドッグフードは、開封したらすぐに犬に与えましょう。いずれのタイプも、保存状態が悪いとフードが劣化して、犬の食いつきが悪くなるので注意してください。
主食と合わせて、1日に決められたカロリー量を超えないようにしましょう。
おやつを与えてもよいとされる目安は、主食の10〜20%です。パッケージに記載されている量や与え方を参考に与えすぎないように注意しましょう。
獣医師に相談しましょう。
パッケージに記載されている目安の量は、犬の理想体重を元に計算されたものです。そのため、現在の犬の体重に合わせてドッグフードを与えると、多すぎたり、少なすぎたりする場合があります。
犬の理想体重は骨格によっても異なるため、かかりつけの獣医師に相談して、愛犬の理想体重を把握しておきましょう。
ペットフードや水は少なくとも5日分、できれば7日分を用意しておきましょう。
特に療法食を必要としている場合は、事前に獣医師と相談して対応を考えておきましょう。
ネギ類は特に注意しましょう。
身近な食べ物の中には、犬が中毒を起こしてしまう食品があります。ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニラ、ニンニク、らっきょうなど)、レーズン、チョコレート、キシリトール、マカデミアナッツなどは、最悪の場合、死に至ることもあるため、犬が誤って口にすることがないように十分に注意しましょう。また、観葉植物にも有毒なものがあります。よく知られているのは、アジサイ、アサガオ、シクラメン、ポインセチアなどですが、そのほかにもさまざまな種類があるので注意してください。
グレインフリー(穀物不使用)
犬はもともと肉食動物であるため、小麦、トウモロコシ、コメ、大豆といった穀物(グレイン)の消化酵素を備えていません。そのため、穀物は消化不良やアレルギーを引き起こすことがあり、近年では穀物を使用していないグレインフリーのドッグフードが注目されています。
プレミアムフード
プレミアムドッグフードとは、原材料にこだわり、徹底した品質管理のもとに製造された商品を指しますが、明確な基準は存在しません。基本的に安全性に配慮されていますが、特に良質なフードを選ぶためには、主原料が肉・魚などの動物性タンパク質であることや、原材料の種類、産地、生産工場が明確に記載されているかなどを確認しましょう。
ペットフード安全法
「ペットフード安全法」とは、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の通称で、ペットフードの安全性を確保し、犬や猫の健康を守るための法律です。ペットフードの製造方法や表示についての基準、成分についての規格が定められており、これに合わないペットフードの製造、輸入・販売は禁止されています。
無添加
無添加ドッグフードとは、人工添加物、香料、保存料、着色料を使用せずに作られたドッグフードのことです。ただし、この中でどれか1種類でも不使用の場合は「無添加」と表記されるため、原材料をしっかりと確認するようにしましょう。