

2007年冬のボーナスについては、全般的に見て、夏のボーナスよりは増える傾向にあるが、全体としては前年とほぼ変化なし、あるいは「やや減」というような状況だ。大企業のボーナス支給予想額も昨年より若干下落傾向にあるようだが、一般的なサラリーマンでもその傾向は同様と思われる。
ボーナスの使い道については、夏のボーナスでの調査とほぼ同じ傾向で、「貯金」「ローン返済」の2項目でほぼ半数を占めた。このほか、「生活費」「子供の教育費」などの必要経費を除くと、ボーナスでもらったお金のうち自由に使える分は2割程度にしかならない。ボーナス支給予想額の平均が62.3万円であることを考えると、自由に使えるお金はせいぜいが10万円〜15万円程度。一般のサラリーマン家庭の台所事情は、結構厳しいといえる。
欲しいものの上位は、一番人気が「液晶テレビ」「洋服・ファッション関連」で、次いで「DVDレコーダー」となった。液晶テレビやDVDレコーダーは、ここ数年で大きく価格が下落しており、液晶テレビでも32型クラスなら15万円程度で十分購入できる。そうした価格的な値ごろ感もあり、これらの製品の人気が高まっていると思われる。逆に、パソコン関連製品は軒並み不調で、特にデスクトップパソコンやPCパーツの下落傾向は激しい。また、ここ数年人気の上位を行っていた「コンパクトデジカメ」も、夏の時期に比べても大きくポイントを下げており、ボーナス商戦は各社とも苦戦が予想される。
全体的に見ると、「今年の冬のボーナス商戦も庶民の懐具合はなかなか厳しく、財布の紐はまだまだ固い」と言わざるを得ないような状況にあるといえるだろう。
冬のボーナスは夏よりも若干多く支給される傾向に
この冬のボーナスの予想支給額について聞いてみた。
結果は表の通りで、全体で見ると平均62.3万円(男性平均64万円、女性平均48.1万円)という結果となった。2007年夏のボーナス予想額が、平均58.7万円(男性平均60.8万円、女性平均42.1万円)だったことを考えると、全体的には冬のボーナスのほうが若干多く支給される傾向にあるようだ。日本経済新聞社の記事によれば、民間調査機関5社による、サラリーマンの冬のボーナス予測は平均で43万円となっており、それから比べると、今回の調査での平均回答額はかなり高めといえるが、昨今、大企業と中小企業の間でボーナスの支給格差が広がっており、大企業平均で見ると、この冬のボーナス支給予想額は平均で89.7万円(日本経団連発表)で、昨年比で0.63%増え、かなり高い水準を保っている。今回の調査対象のユーザーに関していう限り、全体的には平均よりやや高めという水準といえるだろう。
金額的にもっとも多いのは、30〜50万円(17.3%)と、50〜70万円(17.1%)。これに10〜30万円(15.1%)を合わせた10〜70万円のゾーンだけで過半数を上回っている。年齢別に見ると、ほとんどの年代で夏よりも上がっているのだが、なぜか働き盛りの30代が夏の予想よりも下がっているのが目に付く。夏のボーナスに引き続き、人数も多く就職難でもあった30代に対し、やや厳しい結果になっているようだ。
なお、「ボーナスはない」(23.4%)と答えた方の中には、自営業の方やフリーター以外に、年俸制のサラリーマンも含まれている。
【図1-1-1.今年の冬のボーナス 推定平均支給額】
(万円) |
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【図1-1-2.今年の夏のボーナス 推定平均支給額】
(万円) |
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【図1-2-1.冬のボーナス推定支給額(全体)】
【図1-2-2.夏のボーナス推定支給額(全体)】
【図1-3.ボーナス推定支給額(性別)】
【図1-4.ボーナス推定支給額(年代別)】
【図1-5.ボーナス推定支給額(結婚状況別)】
「冬のボーナス使い道」 「貯金」と「ローン」で半数。商品購入はさらに縮小傾向に
冬のボーナスの使い道に関して聞いた。
今回の調査でも、もっとも多かったのは「貯金」(29.5%)で、次点は「ローン返済」(20.1%)。この傾向は、夏のボーナスとまったく変わらず、この2つだけでほぼ半数となっている。「生活費」(9.7%)、「子供の教育費」(6.4%)と合わせると65.7%にも上り、「自分の好きなものに使う」(商品購入、旅行・外出)という割合は、全体の23%程度にしかならない。夏のボーナスの調査結果でも27%程度と低めだったが、この冬のボーナスでは、さらに縮小傾向にある。
後述するフリーアンサーを見ても、「年々ボーナスが減っている」「ローン(ボーナス月返済)の支払いで、ほとんど消えてしまう」といった声が多く、「独身時代はボーナスで買い物を楽しめたが、家庭を持つとそうもいかない」など、ボーナスで好きなものを買う、というような状況にない方も多いことがうかがえる。
全体的に見て、今年の冬も「庶民の財布のヒモは固い」ようだ。
【図2-1-1.冬のボーナス消費金額内訳(全体)】
【図2-1-2.夏のボーナス消費金額内訳(全体)】
【図2-2.ボーナス消費金額内訳(ボーナス支給額別)】
【図2-3.ボーナス消費金額内訳(性別)】
【図2-4.ボーナス消費金額内訳(年代別)】
【図2-5-1.冬の商品の購入にかける金額(ボーナス支給額別)】
【図2-5-2.夏の商品の購入にかける金額(ボーナス支給額別)】
冬のボーナスで購入するモノ
「液晶テレビ」1位!「PCパーツ」「コンパクトデジカメ」が大きくポイントを下げる
ボーナスで商品を購入予定の方に、何を買う予定かを聞いてみた。
もっとも多かったのは、「液晶テレビ」(11.4%)、ほぼ同率で「洋服・ファッション関連」(11.3%)と、この2つが頭一つ抜き出た形だ。次いで「DVDレコーダー・プレーヤー」(8.2%)となり、「液晶テレビ」「DVDレコーダー」という2大家電人気製品は、今年も健在といったところだ。
夏の調査に比べて大きくポイントが変わったものとしては、「PCパーツ」(11.2%→6.0%)、「コンパクトデジカメ」(8.5%→4.7%)、デスクトップパソコン(4.9%→3.2%)などが大きくポイントを落とし、逆に、「ゲーム機本体」(4.7%→6.2%)が大きくポイントを上げている。ゲーム機の需要増は、クリスマス・お正月という季節性もあるだろうが、この1年で大きく普及した携帯ゲーム機の影響も少なくないだろう。
逆に、数年前までは人気ベスト5には入っていた「コンパクトデジカメ」の需要減は、デジタルカメラがある程度の世帯に普及したという面と、一眼レフなどに比べ魅力的な製品があまり登場しないという面の2つの問題が影響しているように思われる。「PCパーツ」や「デスクトップパソコン」の需要下落にも同様なことが言えるが、「液晶テレビ」や「DVDレコーダー」といったAV家電の人気の高さに比べ、パソコン関連製品の人気の頭打ち傾向は、今年の冬も続くものと予想される。
【図3-1-1.冬のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者全体)】
【図3-1-2.夏のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者全体)】
【図3-2.冬のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者、性別)】
「薄型テレビ」では1位「AQUOS」、次いで「REGZA」「BRAVIA」と並ぶ。
「ゲーム」では「PS3」が1位!
フリーアンサーの形で、購入したいと思っている製品名を聞いてみた。
人気の「液晶テレビ」では、シャープの「AQUOS」、東芝の「REGZA」、ソニーの「BRAVIA」といった、価格.comでもおなじみの名前が上位に上がっており、「DVDレコーダー」ではパナソニックの「DIGA」がダントツの1位となった。また、マニア層を中心に人気の「デジタル一眼レフカメラ」では、キヤノンの「EOS 40D」がもっとも多く、ライバルのニコンを圧倒している。MP3プレーヤーでは、アップルの「iPod」が人気だが、9月に発売され話題を呼んだ「iPod touch」よりも、従来の「iPod Clasic」のほうがより多くのポイントを得ていたのが印象的だ。
パソコンに目を移すと、「ノートパソコン」では、ソニー「VAIO」、「デスクトップパソコン」では「デル」と答えた人がもっとも多かったが、どちらも次点は「Mac」となっており、Windows系パソコンの人気がここでもあまり感じられない。逆にアップルの「Mac」は、魅力的な新製品を打ち出しており、Windowsユーザーからの買い替え・買い増しも増えている模様だ。
興味深い結果としては、「ゲーム機」でダントツの1位に上がったのが、販売不振が伝えられるソニーの「PS3」だったことで、ここ1年好調な人気を保ってきた「ニンテンドーDS Lite」や「Wii」を大きく上回るポイントを集めたことだ。1年前の発売当初は「高い」「遊びたいゲームがない」と言われたPS3だが、ソフトの量も増えてきており、3万円台で購入できる新モデルが登場したこともあって、今年のクリスマス商戦ではそこそこいい戦いを見せそうだ。
【図4.購入したいと思う製品名をお答えください(複数回答可)】
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ボーナスの現状は厳しく、購買行動の変化も起きている
最後にフリーアンサーで、ボーナスにまつわるエピソードを聞いてみた。
実にさまざまな回答が寄せられたが、全体的な印象としては、「ボーナス支給の現状は結構厳しい」という感じだ。「そもそもボーナスをもらっていない」というような回答も多かったが、「ここ数年毎年ボーナスが減っている」「年俸制に変わり、ボーナスが支給されなくなった」など、ひと昔前までの「年末」→「ボーナス」→「高額商品を買う」というような流れが、徐々になくなりつつあることを感じさせられる。なかには、「ボーナス一括払いで高額商品を購入したが、今年のボーナスがカットされそうで戦々恐々としている」というような回答もあった。
このような状況の中、サラリーマンのボーナスに対する意識は変化してきている。ネットショッピングの普及もあり、「買いたいものがあれば、年末まで待たずにいつでも購入する」というような意見もかいま見られた。消費者の購買行動も今や「年末だから買う」というのではなく、「1年中いつでも買い時に買う」というような形へ変化しているようだ。
また、「ボーナスが出てもほとんどローンの支払いや教育費に消えてしまう」「自由に使えるお金はほとんどない」「もらってもいつの間にかなくなっている」など、ほとんどが家計に消えてしまう例も多く、ボーナスが支給されるからといって、自由になるお金はほとんどないといった一般消費者の声が聞こえてくる。大企業の好決算・好景気のニュースとは裏腹に、一般庶民の懐具合はなかなか厳しいものがあるようだ。
- ◎アンケート期間:
- 2007年11月12日〜2007年11月18日
- ◎回答者数:
- 1,869人
- ◎男女比率:
- 男87.2%:女12.8%