
SaaS製品を実際に使ってみた詳細レポートを掲載
ひと口に給与計算・Web給与明細システムと言っても、その機能の幅は製品によって大きく違います。「まずはどんな機能があるのか知りたい」「自社の用途に合っているものを慎重に選びたい」という場合には、無料プラン・無料トライアルがある製品からチェックしてみるとよいでしょう。一部の機能を継続的に利用できるものや、有料版と同じ機能を期間限定で試せるものなど、その内容もさまざまです。
給与計算機能だけでなく、人事・労務に関わる業務にも対応できる「労務管理一体型」の給与計算・Web給与明細システムもあります。勤怠管理や社会保険制度の手続きなどの関連業務がひとつのシステムで完結するのが大きな利点です。このタイプは従業員数が多く人事の対応業務が複雑化しやすい大規模企業向けの製品が多くなるので、カバーしたい業務範囲を明確にしたうえで予算と相談しながら製品を探してみるとよいでしょう。
給与の自動計算や給与明細発行などの主要機能に特化した製品を「給与計算特化型」としてまとめました。最低限必要な機能のみを搭載したシンプルな構成の製品が多く、その分導入のハードルが低く、コストも安く抑えられるため小規模企業向けでもあります。「大がかりな機能はいらないからシンプルですぐに使える製品がいい」といった場合には、こちらのタイプの製品からチェックしてみてください。
ここでは、近年増えつつあるマルチデバイス対応の給与計算・Web給与明細システムをまとめました。給与計算・Web給与明細システムにおいては、スマートフォンで利用できることが重要な場合があります。特に外回りの営業や現場作業が多く、デスクワーク以外がメインの企業は、従業員が自身のスマートフォンからWeb給与明細を閲覧できるシステムを導入しておくと重宝するでしょう。
サービス名 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
無料プラン | - | - | ○ | - | - | - | - | ○ | - | - |
無料トライアル | ○ | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
初期費用 | 110,000円 | 要見積もり | - | - | - | - | - | 0円 | 110,000円 | - |
月額/ユーザー | - | 550円 | - | - | - | - | - | - | - | - |
月額 | - | - | 2,178円 | - | 10名まで2,420円、11名以上1人あたり385円 | 要見積もり | 2,860円 | - | 1,100円 | 要見積もり |
料金詳細 | 基本料金:3,300円 従量課金:33円/1明細 | - | - | 要見積もり | - | ※費用は登録される社員数に応じて変動します。 | ※年払い2,200円/月 ※6名以降1名ごとの料金440円 | 要見積もり | ※初期費用(登録料)はシステム利用Webマニュアルなどの提供価格です。(初回契約時のみ) | - |
最低利用期間 | - | 1年 | 1年 | - | - | - | - | - | - | - |
最低利用人数 | 1 | 10 | 1 | - | - | - | 5 | - | - | - |
サポート | メール|チャット|電話|遠隔操作 | メール|チャット|電話|Web会議|訪問 | メール|チャット|電話|遠隔操作 ※有料版ご契約の方のみ利用可能 | メール|電話 | メール|チャット|電話|オンライン設定 | メール|チャット | メール|チャット|電話 | メール|チャット|電話 | メール|チャット|電話 | メール|電話 |
機能 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
連携サービス | - | ジンジャー人事労務|ジンジャー勤怠 | フリーウェイ経理|フリーウェイタイムレコーダー|フリーウェイマイナンバー | - | - | - | HRMOS勤怠|Yoom|e-就業OasiS|freee人事労務 打刻設定|Google スプレッドシート連携アドオン|SmartHR x freee人事労務連携|Airシフト|ジョーシス|freee Data Getter for Google Sheets|勤怠管理システム「レコル」|宛名印刷 by labelmake.jp|タブレット タイムレコーダー|オフィスステーション×freee人事労務連携アプリ|Akerun入退室管理システム x freee人事労務|HERP Hire | - | タレントパレット|マネーフォワードクラウド給与|給与奉行 i10|給与奉行 i11|SMILE V2 人事給与|PCAクラウド 給与 dx|PCAクラウド 給与 hyper|PCA 給与 dx(オンプレミス版)|PCA 給与 hyper(オンプレミス版)|弥生給与|給与・法定調書顧問 R4|給与応援 R4 Premium|Weplat 給与応援 R4 Premium|給与 kid6|GrowOne 給与SX|KING OF TIME|Touch On Time|スマートろうむ|カオナビ|年調・法定調書の達人 | - |
専門家からのおすすめポイント
専門家からのおすすめポイント
専門家からのおすすめポイント
専門家からのおすすめポイント
専門家からのおすすめポイント
毎月の給与計算や給与明細の発行は、大きな労力と時間を要する業務です。また、お金を扱うのでミスが許されず、細心の注意を払う必要があるなど、担当者の負担が大きな仕事だと言えるでしょう。自動計算などによる業務効率化でこれらの課題を解消できるのが「給与計算・Web給与明細システム」です。ここでは、企業の担当者などへのアンケート結果とともに、給与計算・Web給与明細システムをわかりやすく解説します。
利用する企業の業種 | 業種を問わず、一定数の社員を雇用するすべての企業 |
---|---|
利用する部署 | 経理や総務など給与に関わる業務を担当する部署 |
利用目的 | 給与計算や振込作業、給与明細の作成・発行などの自動化&効率化 |
毎月の給与計算や支払い、明細の発行など給与・賞与に関連した業務には多くの時間と労力がかかります。給与計算・Web給与明細システムでは、給与・各種手当て・税金・社会保険料などを自動計算できたり、明細のWeb配布で手作業による人的コストや人為的ミスを低減したりと、業務効率化を実現し、作業負担の軽減や人件費の削減を図れます。法令や税制の変更に自動対応できることでコンプライアンス面も強化することが可能です。
「給与計算システム」は、社員の雇用情報や勤怠管理データを基に、自動的に給与や賞与などの計算を行います。面倒な社会保険料や所得税などの計算も自動化できます。いっぽう、「Web給与明細システム」は、電子化した給与明細を作成・配信するシステムで、各社員がPCやスマホで給与情報を確認できます。両方の機能を備える製品もあれば、どちらかの機能のみを備える製品もあります。
実際の導入理由を見ても、「作業工数削減のため」との回答が最も多く、次いで「管理漏れや人的ミスを減らすため」と、業務効率化のニーズを背景として給与計算・Web給与明細システムを導入するケースが多いようです。また、「コスト削減のため」という回答も多く、前述の2つの理由と合わせると、回答のうち約半分が業務効率化・コスト削減で占められています。
給与計算システムは、主要な機能の違いに応じて、「給与計算特化型」「人事給与型」「ERP型」の3タイプに大きく分類できます。各タイプの搭載機能や特徴は次のとおりです。
給与関連業務の中でも、給与計算に特化したタイプ。搭載機能が限定的でシンプルである分、導入コストを抑えられるという利点があります。また、難しい設定・操作が不要な製品が多いので、専門知識を持つ担当者がいない中小規模の事業者にとっては導入へのハードルが低いのも大きなメリットと言えるでしょう。
給与計算の機能に加えて、勤怠管理や人事労務に関連した機能をあわせ持つタイプ。人事評価や入退社手続きなどの機能を備える製品があり、給与計算と人事労務関連業務を一元的に管理すできます。多様な雇用形態で社員を雇用している、または、社員数が多い企業にとって導入メリットが大きいのがこのタイプです。
ERP(統合基幹業務システム)ツールとの連携機能を重視したタイプ。部署を越えて社内の「ヒト・モノ・カネ」に関する情報を共有することで、給与計算だけでなく、財務や会計、人事、生産・在庫管理、物流といった複数の業務を一元管理し効率化できます。複雑なワークフローを持つ大企業などにとって特に導入メリットが大きいタイプだと言えます。
給与計算システムには、ソフトの利用形態やライセンスの異なる、「クラウド型」と「インストール・オンプレミス型」、その両方を掛け合わせた「ハイブリッド型」があります。
インターネット経由でクラウドサーバー上のシステムを利用するのがクラウド型で、現在はこのタイプの製品が主流となっています。
月額(または年額)利用料の支払いが必要ですが、すぐに利用可能であるうえ、システム導入にかかる初期費用を抑えられるメリットがあります。また、制度改正や税率変更にもアップデートで対応するので、自社でシステム改修を行う必要がない、テレワークでも使いやすいといった利点も。
購入したソフトウェアをPCにインストールして使用します。買い切りであるため、初期費用がかかる一方、導入後はランニングコストを抑えられます。このタイプは、クラウド型と違って、ネット環境や社外の設備に依存しないため、システム障害の影響を受ける恐れがなく、オフラインでも操作が可能です。また、自社の独自サーバーやネットワーク上でソフトを運用するオンプレミス型もあります。
ネットに接続しなくてもソフトを起動できる一方で、データはクラウド上にバックアップして保存するといった、クラウド型とインストール型の長所を兼ね備えた製品もあります。法令改正や税率変更などがあった場合に、その都度アップデートしなければならないという、インストール型製品の弱点がカバーできるうえ、税理士や会計事務所との取引データ共有がクラウド経由で手軽に行えるというメリットもあります。
Web給与明細システムは、その機能や利用目的の違いにより、「給与明細専用型」「給与計算一体型」の2つに大きく分類できます。
給与明細をWebで発行する機能に特化したタイプ。すでに給与計算システムを利用していて、明細発行だけオンライン化できればよいという場合などに向きます。社員の給与情報をCSV形式などでインポートすることで明細を発行します。製品によっては、API連携に対応する場合もあります。導入する際には、利用中の既存ツールとの連携可否を確かめる必要があるでしょう。
給与計算システムの中には、機能のひとつとして、Web給与明細の発行が行えるタイプの製品もあります。現状で給与計算ソフトを導入していない、または古いシステムを新しいものに置き換えたい場合や、給与計算と明細発行に関する業務を1つのシステム上だけで完結させたい場合には、このタイプを選ぶとよいでしょう。
給与計算・Web給与明細システムの導入で得られるメリットはさまざま。なかでも主要な「業務効率化と人件費削減」「コンプライアンス強化」「情報漏洩などのリスク抑制」の3点について解説します。
給与計算や年末調整、給与明細の発行といった業務で計算や入力作業を自動化することにより、手間を軽減すると同時に手作業に起因するミスを低減し、業務効率の向上を実現できます。それにともない、対象の業務に充てていた人件費の削減も実現可能です。雇用する従業員の数が多いほど、効果が大きくなります。そのほか、紙で管理していた各種書類を電子化できれば、紙・印刷・保管などの関連コストもなくせるなど、さらなるコスト削減も期待できます。
法律や税制などが変更された場合、給与計算や年末調整の業務に大きな影響が及びます。手作業による給与計算では、その都度新しい制度への対応を迫られるうえ、正しく対応できないと意図せずに法令違反を犯してしまうリスクも考えられます。自動アップデート機能を持つシステムなら、いつでも最新の法令・税制に対応して、コンプライアンスの強化が実現できます。
従業員の個人情報や、人事などに関する機密性の高い情報をクラウド上や社内システムにデータベースとして保存し、適切なセキュリティの下で管理することで、社外へのデータ漏洩のリスクを最小限に抑えられます。また、給与明細を紙でなくWebで発行することで、人為的ミスによる紛失のリスクも軽減できるでしょう。
「Web給与明細システム」ならではのメリット
給与計算システムはすでに導入していて、Web給与明細システムだけを追加したい場合、専用製品のほうが比較的簡単に導入できるうえ、コスト面でも有利になります。また、これまでの業務手法を大きく見直す必要がないというメリットもあります。多くの製品が給与計算システムや労務管理システムとの連携機能を持っています。
アンケート結果を見ると、「作業工数が削減された」「管理漏れや人的ミスが減った」との回答や「コスト削減につながった」という回答が多く、実際に業務効率の向上とそれにともなうコスト削減効果を感じている人が多いことがわかります。
給与計算・Web給与明細システムには、給与の自動計算、給与明細の電子発行という主要機能に付随して、多彩な関連機能を持つ製品が多くあります。既存システムとの連携や法令で定められた書類の作成支援、年末調整の手続き支援など、その内容は製品によってさまざまです。主な機能を「給与計算」関連と「管理」関連に大別して紹介します。
機能名 | 説明 |
---|---|
給与形態への対応 | 月給・日給・時給など複数の給与形態に対応し、従業員ごとに勤怠情報や雇用契約をふまえて給与を自動計算する |
各種手当の自動計算 | 残業手当・通勤手当・扶養手当・住宅手当・出張手当など、基本給とは別に支払われる各種手当を自動計算する |
保険料・税金の自動計算 | 法定料率に応じた社会保険料や労働保険料などの保険料と、所得税や住民税などの税金の金額を自動計算する |
法令改正時の自動アップデート | 労働に関する法令や税率などが改正された場合に、設定変更しなくても自動的に更新が適用される |
年末調整機能 | 年末調整の申告情報を従業員から収集し、支払った税金の過不足を自動計算して給与に反映させる |
複数事業所の給与計算 | 事業所を複数登録して、事業所ごとに給与計算を行うことができる |
勤怠管理システム連携 | 勤怠管理システムと連携して、出勤日数や労働時間などの情報を基に給与計算を行う |
機能名 | 説明 |
---|---|
Web給与明細・Web賞与明細 | 従業員がそれぞれのスマホやPCから、自身の給与明細や賞与明細を確認することができる |
振込用データの出力 | 給与や賞与、住民税の振込に必要な情報をデータ出力できる |
源泉徴収票作成 | 従業員への交付、税務署への提出が必要な源泉徴収票を作成できる |
従業員名簿の作成・管理 | 企業が備えておくべきとされる、労働者名簿や賃金台帳を作成・保管できる |
マイナンバー管理 | 従業員のマイナンバーを登録することで、源泉徴収税額の計算や年末調整手続きをより正確に行える |
アンケートでは、半数以上の人が主に利用している機能として「Web給与明細」をあげており、利便性の高さから給与明細が紙からWebでの発行に移行しつつある現状がうかがえます。また、「複数事業所の給与計算」「各種帳票の出力」「年末調整機能」「振込用データの出力」「従業員名簿の作成・管理」「源泉徴収票作成」といった、手間のかかる業務へ対応する機能や管理系の機能にも、一定のニーズがあることがわかります。
給与計算・Web給与明細システムを選ぶ際のポイントは、従業員数や経営規模、業務フローなどをふまえ、実現したいことに対して最適な機能を持つ製品を選ぶことです。特に重要な視点について次で解説します。また、機能性以外にも、コストパフォーマンスやUIの操作性、カスタマーサポート体制なども考慮しましょう。
給与計算だけできればよいのか、勤怠管理やWebでの給与明細発行までしたいのか、などシステムを導入したい業務範囲を明確にすることが重要です。また、自社の各業務の状況を再確認し、「社会保険の手続きが複雑」「年末調整に時間がかかる」といった具体的な課題があるのなら、それをサポートする機能を持つ製品を選ぶことで、より高い導入効果を得られます。
自社の従業員や事業所の数、雇用形態などの体制面と、業務フローに対応できる製品を選びましょう。業種特有の手当や複雑な報酬体系を持っている場合は、それに対応できるかどうかも確認が必要です。また、運用中の勤怠管理や人事システムを継続して使用したい場合には、連携の可否も確認必須のポイントとなります。
割増賃金や各種手当てのルールが従業員属性によって異なる場合は必要なパターン数を登録できる製品を選ぶなど、自動計算の対応範囲はしっかりと確認しておきましょう。税制の改正に対応し、税率を自動で変更して計算してくれるかどうかも利便性に関わってきます。また、役所への提出が必要なものなど、各種書類を作成・管理できるかどうかも重要な判断材料です。
従業員の個人情報を一括管理するため、厳格なセキュリティレベルが担保されたシステムでなければなりません。特に、情報をネット上に保存するクラウド型のシステムから選ぶ場合は、不正アクセスやデータ漏洩の対策が適切に講じられているかどうかを見極める必要があります。
アンケートでは、導入の決め手を尋ねる質問に対して、「求めている機能を備えていたから」という回答が最多でした。多くの人が、自社に必要な機能を見極めたうえで、それを備えた製品を選ぶ傾向にあるようです。
そのほか、ネームバリューの高さやコストの安さ、UIの使いやすさ、初心者向きであるかどうか、といった点をあげる声も多く、さまざまな視点で選ばれている状況がうかがえます。
システム導入に際して困ったことを尋ねる質問では、全体のおよそ4分の1の人が「特に無かった」と回答しているのを除くと、「UIがわかりづらかった」「機能が複雑で使いづらかった」「研修・講座などのサポートが不足していた」といった回答が多くなっています。必要な機能を備えているのは大前提として、操作がシンプルでわかりやすいかどうかやサポート体制についても確認しておくと、導入後の不満を減らせそうです。
利用して良かった点を尋ねる質問では、「操作が簡単で使いやすい」「機能が充実している」という回答が上位となり、必要な機能とわかりやすい操作性を備えた製品を選ぶことが高い満足度につながると言えそうです。
いっぽう、改善してほしい点については、「モバイル端末からの操作ができない・しづらい」「他サービスとの連携ができない」という不満の声が多く見られました。モバイル端末の操作性と外部サービスとの連携は、利用して良かった点でもあげられており、この2点について社内のニーズをしっかり汲んで検討できたかが満足度の明暗を分ける1要素になり得ると考えられます。
© Kakaku.com, Inc. All Rights Reserved. 無断転載禁止