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投資のプロが教えるIPO株の上手な買い方

投資のプロが教えるIPO株の上手な買い方 2016年5月20日 更新

IPO株(新規公開株)は、購入できれば高確率でもうかるといわれていますが、初値が期待できる銘柄はどうやって選べば良いのでしょうか?株のプロであるアナリストから「IPO株の上手な買い方」について学びましょう。

目次

株初心者はIPO株をどう選んだら良い?

2015年11月に日本郵政グループ3社が、2016年7月には無料通話アプリのLINEが上場を果たし、話題になりました。2015年のIPO企業は92社。そのうち、初値が公開価格を上回ったのは82社でした。

IPO株(新規公開株)は、購入できれば高確率でもうかるとされ、常に投資家の注目を集めています。しかし、「情報が少ない中どうやって銘柄を選べば良いの?」と思う方も多いはず。そこで、大手ネット証券のSBI証券でシニアマーケットアナリストを務める藤本誠之氏に「IPO株の上手な買い方」について聞きました!

IPO株を選ぶ際は、まず「市場」を見ろ!

たくさんの銘柄の中から、どうやって自分が投資する銘柄を選べば良いのでしょうか。そのポイントについて、藤本氏はこう語ります。

「IPO株の多くが初値を超えるといわれていますが、中にはまったく値上がりしないものもあります。だからこそ、申し込みするか否かの見極めが肝心。『とにかく何でもIPO株に申し込む』行為は、野球でいえば『どんな球が来てもバットを振る』のと一緒。ボールには手を出さず、打ち頃のストライクを見てバットを振る……ことが重要になってくるんですね」

そんな中、藤本氏が一番におすすめする方法が、「市場で選ぶ」という方法だとか。

「みなさんご存じのとおり、株式市場には東証1部、2部、ジャスダック、マザーズなどがあります。それぞれの市場には特徴があるので、まずこれを押さえておくべきです

たとえば、東証1部は株式市場の中で最も信頼性が高いといわれる優良企業が多数上場しています。その分、審査基準が厳しく、誰もが知っている一流企業が多いです。東証2部は、「将来的に東証1部に上場したい」と思っているような、いわば東証1部の2軍的存在。そして、ジャスダックやマザーズは、新しい分野で今後活躍しそうなベンチャーが多いとされています。

では、IPO株で狙うなら、いったいどの市場が良いのでしょうか?

「4つの市場の中で、IPO株の株価が圧倒的に上がりやすいのが、マザーズです。成長力が全然違います。2016年に上場した銘柄だと転職サイトを運営のグローバルウェイ(証券コード:3936)やブログサービスを提供するはてな(3930)など。マザーズ市場の銘柄は、ベンチャー企業が多いからこそ『これから急成長するんじゃないか』『今後、大きく社会進出していくのではないか』と投資家に夢を持たせるものが多い。だからこそ、みんなの期待値が上がるため、株価も跳ね上がりやすいんです」

そして、次に狙い目なのはジャスダック

「ジャスダックは、マザーズ銘柄ほどの成長力がない企業が多いです。たとえば、2016年に上場した銘柄としては、FX会社のヒロセ通商(7185)や豆腐や厚揚げなどの製造会社やまみ(2820)などがそうです。昔からある業態で地味な企業が多いので、ガツンと一発狙いで購入して株価が跳ね上がる……ほどの爆発力はないのですが、安定成長は期待できます

マザーズ、ジャスダックに続いてIPO株の値上がりを期待できる市場が、東証1部

「『夢』を追うならマザーズが一番ですが、一方で『あまり夢には期待せず、現実的な利益を求めたい』という人であれば、東証1部もおすすめです。本来、一番安定感があるのは東証1部の銘柄なのですが、東証1部に上場する銘柄は時価総額が250億円以上と規模が大きいので、なかなか株価も値上がりしにくい。たとえば、無料通話アプリのLINE(3938)なども、成長力こそあるものの時価総額が大きいので、いかに人気があっても株価は暴騰していませんよね。短期決戦でなく、今後も成長を緩やかに見守っていくつもりなら、東証1部の銘柄を買っても良いのではないでしょうか」

そして、最後が東証2部。東証2部に上場する銘柄の多くは、古くからある業態の会社が多く、時価総額もやや小さめです。

「東証2部で最近注目されたのは、グラビア印刷や包装加工技術に強みを持つ中本パックス(7811)や、メガネや補聴器、コンタクトレンズをチェーン展開するイワキ(6237)など。非常に手堅い事業ですが、成長力には期待できないケースも多いようです」

短期的に急騰する銘柄ならば、マザーズ。そして、長期的な視点で見守るつもりであれば、王道の東証1部の銘柄を。自分の投資スタイルに合わせて、市場から銘柄を選んでいきましょう。

  想定価格 仮条件 公開価格 初値 騰落率 上場後
高値
グローバルウェイ(3936) 2,760円 2,760〜2,960円 2,960円 14,000円 373% 20,390円
はてな(3930) 700円 700〜800円 800円 3,025円 278.1% 3,355円
ヒロセ通商(7185) 830円 800〜830円 830円 830円 0% 1,480円
やまみ(2820) 1,690円 1,650〜1,690円 1,690円 1,751円 3.6% 1,793円
LINE(3938) 2,800円 2,900〜3,300円 3,300円 4,900円 48.5% 5,000円
中本パックス(7811) 1,440円 1,440〜1,470円 1,470円 1,480円 0.7% 2,234円
イワキ(6237) 1,970円 1,900〜2,000円 2,000円 2,050円 2.5% 2,624円

ファンダメンタルズ分析は、時価総額と株主構成だけ押さえよう

株を購入する前に多くの投資家が参考にするのが、企業の業況や財務状況などのファンダメンタルズ情報。いろいろとチェックする項目が多く辟易してしまうところですが、藤本氏によると「最低限、『時価総額』と『株主構成』をチェックしておけば、十分判断基準になります」とのこと。

「まずは時価総額ですが、低ければ低いほど株価は上がりやすいです。たとえば、数億円程度の場合は、少量の株を買っただけでもすぐに株価が上がります。一方、何百億円もある銘柄の場合は、そう簡単に株価は上がりません。目安としては、10億円を上回るかどうかがポイントです。10億円台であれば、かなりの軽量級なので、簡単に株価が動く可能性が高いです」

もう1つ、ファンダメンタルズで重要なのが株主構成。「その株を誰がどのくらい持っているのか」という株主の持ち分比率のことです。

「新規公開時に株主構成を見たとき『社長』『専務』『取締役』など、その会社の関係者の持ち分比率が高いほど、その株は買いだと思って良いでしょう。社長や取締役などの関係者は、その企業の運命共同体。簡単に株を売らないため株価が大きく値下がりしにくいんですね。一方、ベンチャーキャピタルなど外部の出資者は売却する可能性が高く、保有比率が大きい場合は値崩れしやすいと考えましょう」

なお、株主構成は価格.comIPOを見れば「具体的な銘柄名」「株主構成」などが調べられます。興味がある株が見つかった場合は、ぜひ確認しましょう。

「あまりにも簡単すぎて、『本当にこれだけの情報で良いのか』『目論見書なども読んだほうが良いのでは』と不安になってしまうかもしれません。しかし、最低限『時価総額はいくらか』『株主は誰か』を見ておくぐらいで、十分だと思います」

すでに類似企業があるのか、ないのかをチェック!

時価総額や株主などの基本的な情報に加え、もう1つ藤本氏が注目するのが、そのビジネスの「新規性」です。ここでいう「新規性」とは、そのビジネスを手掛け、すでに上場を果たしている類似企業があるのかどうか。すでに上場している場合は、類似企業の株価に引きずられ、価格が決まってしまうことも多いそうです。

「投資家がIPO銘柄を買う理由の1つは、『夢』です。期待値が大きいほど、初値からの値動きは大きくなります。本来、株価は『比べるからこそ』優劣が分かれるもの。新規公開株の良いところは、公開価格以外は何も値付けされていないところです。だから、比較対象がない株のほうが、期待値が上がり値動きは大きくなるんです」

つまり、類似企業がなければ比較対象もなく、大きく伸びる可能性が高いということ。

「たとえば、2016年に大きく株価が値上がりしたのが、6月にマザーズに上場した農業総合研究所(3541)。一見、地味な印象がありますが、この会社は道の駅やスーパーの直売コーナーで委託販売などを手掛ける会社。これまでこういった業態の会社が上場したことはありません。その『新規性』があったからこそ、この会社の株価は大きな値動きになったのだと思います」

IPO銘柄を手にしたら、売り時はいつ?

気になるのが購入した後の売り時。藤本氏は「IPO銘柄の売り時は3つある」といいます。

「IPO株は長く持たないほうが良いんです。そのため、王道パターンとしては上場初日に初値で売るというもの。公募価格よりも高い初値が付いた場合、すぐに売ってしまえば最低限の利益は得られるはずです」

そして、2つ目の売り時が、上場から1〜3か月後

IPO株の値動きが安定するに1〜3か月くらい必要です。初値で売り、その後に株価が急騰する可能性を捨てきれない人は、1〜3か月くらいの間に、自分が納得できるタイミングで売ったら良いのでは」

そして、3つ目のタイミングが半年後です。IPO株だからといってすべてが値上がりするわけではありません。銘柄によっては、初値が公開価格を下回るケースもあります。ただ、一度初値を割り込んだものの、その後に反転して値上がり幅が大きくなるパターンも時々あるのだとか。

「たとえば、2016年にマザーズに上場したヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)の株価は、880円台まで値下がりした2か月後に、1,000円台を付けました。3か月後に再び下がりましたが、5か月後には1600円台に達しています。この会社の場合は、もともとM&A(企業の買収・合併)に積極的な会社で、最初に上場したときは冷凍焼売の会社しか買収していませんでしたが、その後、マグロの切り身やメンチカツ専門店など、さまざまな会社を買収することで、売り上げや利益を拡大させました、その結果が株価に反映されたのでしょう。 また、2014年にマザーズに上場した接骨院チェーンのアトラ(6029)も、初値が公開価格を下回りましたが、その後は初値を回復し、現在は順調に成長しています」

IPO株の値動きが大きいのは上場から1〜3か月。だからこそリスクを取りたくない人は、初値でさっさと売ってしまうのが一番。また、多少リスクを取っても良いから大きく勝負したいという人は、半年の間にじっくりと売り時を見極めましょう。

もし当選しなかったら……初値買いはアリ?ナシ?

期待を抱いてIPO株に申し込んだものの、残念ながら落選してしまった……。そのときのショックは計り知れないものです。ただ、藤本氏によると「IPO株は当たらないのが当然。めげないことが大事」とのこと。

落選した場合、次の手段として考えられるのが「IPO株の初値買い」。自分が「これだ!」と心に決めたIPO銘柄に再チャレンジすべく、初値買いして保有する……という手もあります。プロの立場から見て、IPO銘柄の初値買いはアリなのでしょうか?

初値買いは、いきなり損を抱えるリスクが大きいので、おすすめしません。『どうしてもその銘柄が買いたい!』という場合は買ってみるのも手ですが、その場合は、自分が損するリスクをしっかり考えておきましょう。どうしても初値買いする場合は、マザーズ銘柄かどうか確認を。マザーズの場合は、上場以降も比較的上がりやすいですから」

ただ、マザーズ銘柄でも「絶対に値上がりする」というわけではありません。あくまで、どんな銘柄にもリスクがあることはお忘れなく。

IPO銘柄を当選しやすくするためには、割り当ての多い証券会社を見極めて申し込みましょう。状況に応じて証券口座を使い分け、当選確率を高めたいですね。

藤本 誠之
SBI証券シニアマーケットアナリスト。「相場の福の神」との異名を持ち、多数のメディアで活躍。著書に『投資のプロが実践! 株で儲ける日経新聞の読み方』(リベラル社)『朝13分で毎日1万円儲かる株』(明日香出版社)などがある。
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