最強の8.5段(※1)(※2)手ぶれ補正を搭載!

望遠からマクロ域、野鳥から星景まで手持ち撮影が可能に

ネイチャーフォトに最適なフラッグシップ機「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の魅力に迫る

マイクロフォーサーズシステムのミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、オリンパスカメラを継承する「OM SYSTEM」の初の冠となるフラグシップモデル。厳しい自然環境下での使用に耐えられる小型・軽量ボディに超強力な手ぶれ補正を搭載し、望遠でもマクロでも、野鳥でも星景でも、あらゆるシーン・被写体を手持ちでアクティブに撮れるのが特徴だ。本特集では、ネイチャーフォトの撮影を通じて、この注目カメラならではの魅力を掘り下げよう。

高画質防塵・防滴・耐低温の小型・軽量ボディに高画質性能を凝縮!

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「OM SYSTEM」ブランドの新しいフラッグシップモデルとして登場した「OM SYSTEM OM-1 Mark II」。下位モデルの「OM SYSTEM OM-5」に続いて「OM SYSTEM」のブランドロゴを採用するのが外観デザイン上の見逃せないポイントだ

OMデジタルソリューションズが手掛ける、マイクロフォーサーズシステムのミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM」ブランドは、80年以上の長きにわたる歴史を持つオリンパスの映像事業を引き継いだ新しいカメラブランド。「人生にもっと冒険を」をキャッチコピーに、自然風景、野鳥、昆虫、花などのネイチャーフォトの撮影に向いた小型・軽量モデルを積極的に展開している。

「OM SYSTEM」ブランドの特徴として特に見逃せないのは、カメラとレンズを組み合わせたシステムとして小型・軽量だということ。一般的には大きくて重くなりがちな望遠レンズと組み合わせた場合でも小型・軽量で持ち運びやすく、かつ強力な手ぶれ補正によって超望遠域でも手持ち撮影が可能な点がユーザーから高く評価されている。

本特集でレビューする「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、そんな「OM SYSTEM」ブランドの新しいフラッグシップモデルだ。防塵・防水保護等級IP53※3の防塵・防滴と-10度耐低温に対応する、ミラーレス一眼カメラとしてトップクラスの高信頼性を確保した小型・軽量ボディに、高感度に強い裏面照射積層型Live MOSセンサー(有効画素数約2037万画素)と、処理性能にすぐれる画像処理エンジン「TruePic X」を搭載。画質、AF、連写、撮影機能のすべてで「OM SYSTEM」ブランドとして最高性能を実現したハイスペックモデルである。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「OM SYSTEM OM-1 Mark II」はコンパクトなボディながら深く握れる大きなグリップを採用。軽量さも相まって片手持ちでも楽々とホールドしてシャッターを切ることができる

OM SYSTEM OM-1 Mark II

約576万ドット表示の電子ビューファインダーを搭載。光学系にこだわったファインダーで、隅々まで明るくクリアな見え方を実現している

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「OM SYSTEM」ブランドのフラッグシップモデルらしくボディの信頼性は非常に高い。防塵・防水保護等級IP53※3の防塵・防滴性能と-10度耐低温性能を実現しており、外装に水滴が付くような状況でも撮影を続けられる(組み合わせているレンズは、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と同じ防塵・防滴・耐低温性能を持つ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」)

まずは、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の数ある特徴の中でも特に注目度が高い「画質」から見ていこう。

今回は、レンズキットに付属する高性能な標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」や、焦点距離600mm(35mm判換算で1200mm相当)対応の新しい超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」などの「M.ZUIKO」レンズと組み合わせて、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」で自然風景や野鳥などを撮影してみた。撮影を通して驚かされたのが、光学性能にすぐれる「M.ZUIKO」レンズと組み合わせることで、画面全域で精細感の高い写真が撮れたこと。ディテールの再現性が重要なネイチャーフォトを撮るうえで、周辺までシャープな画質が得られるのはとても魅力的だ。

さらに、裏面照射積層型Live MOSセンサーによってハイライトからシャドーまで階調性にすぐれ、高感度でもノイズの少ない画質が得られるのも見逃せないポイントだ。

作例でチェック解像感の高さ

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II、24mm相当(35mm判換算)、F6.3、1/8秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural 撮影写真(5184×3888)

光が少ない山の中で撮影した作例。木々や岩肌の細かいところが非常にシャープに表現できている。また、画面の周辺まで解像感が変わらない点にも注目してほしい。こうした自然風景の写真を撮る場合に、画面全域でシャープかつクリアな画質が得られるのはポイントが高い。

作例でチェック高感度画質

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS、716mm相当(35mm判換算)、F6.3、1/3200秒、ISO3200、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural 撮影写真(5184×3888)

超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」を使って、歩き回る野鳥を撮影した1枚。動きを止めて撮りたかったのでシャッタースピードは1/3200秒、感度はISO3200まで上げている。ISO3200の高感度ながら、ノイズが目立ちやすい中間調からシャドーにかけて非常にクリーンな画質が得られていることがわかるはずだ。ノイズリダクションが強くなる高感度でもディテールをキープしているのがすばらしい。

「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、「OM SYSTEM」ブランドのミラーレス一眼カメラの大きな特徴である5軸手ぶれ補正機構も進化しており、ボディ単体で世界最高※48.5段※1、レンズと協調制御を行う「5軸シンクロ手ぶれ補正」で8.5段※2という驚異的な補正性能を実現している。具体的な効果は以下の星空の作例をご覧いただきたいが、広角での撮影なら10秒を超える長いシャッタースピードでも手ぶれを抑えることができた。

作例でチェック手ぶれ補正の性能

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II、24mm相当(35mm判換算)、F4、10秒、ISO2000、ホワイトバランス:4000K、ピクチャーモード:Vivid 撮影写真(5184×3888)

「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の手ぶれ補正がどのくらいの性能なのかテストするために、あえて手持ちで星空を撮影してみた。両肘を石の上に置いてしっかりとカメラをホールドしながら、レンズの焦点距離を12mm(35mm判換算24mm相当)、シャッタースピードを10秒で撮影してみたところ、ぶれることなく星がしっかりと点像として写ってくれた。撮影時の条件に左右されるとはいえ、「星空の撮影は三脚を使ってカメラを固定して撮影するもの」という常識を覆す、驚異的な手ぶれ補正性能だ。

撮影機能「ライブGND(グラデーションND)」を新搭載! 「コンピュテーショナル フォトグラフィ」も進化

「OM SYSTEM」ブランドのミラーレス一眼カメラは、カメラのみでクリエイティブな写真が撮れる独自の撮影機能「コンピュテーショナル フォトグラフィ」を搭載しているのが大きな魅力だ。

「コンピュテーショナル フォトグラフィ」は、撮影した写真にデジタルフィルター処理を行ったり、トーンカーブで色合いを調整したりといった単純な画像処理を行う仕組みではない。通常であれば、パソコンと画像編集ソフトを駆使して行う複雑なデジタル画像処理技術(複数枚の画像を編集・合成する技術)を、カメラが自動で行ってくれるというものだ。特別な機材や編集スキルがなくても、カメラのみで、プロの写真家や映像クリエーターが作り出すような、先進的な写真を撮影できるユニークな機能である。

新しいフラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、この「コンピュテーショナル フォトグラフィ」も進化している。特に注目したいのが、グラデーションNDフィルター(ハーフNDフィルター)の効果が得られる新機能「ライブGND(グラデーションND)」だ。

この新機能は、カメラ内で高度な画像合成処理を行うことで、フィルターを使わずにカメラのみでグラデーションNDフィルターを使った撮影を実現するというもの。夜明け時や夕暮れ時など画面の中で明暗差が大きい風景を撮影する場合に、明るい部分のトーンを抑え、暗い部分のトーンを上げることで、明るく美しい写真に仕上げるのに威力を発揮する機能である。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

新機能「ライブGND(グラデーションND)」は、NDの段数(ND2/4/8)や、グラデーションのフィルタータイプ(ソフト/ミディアム/ハード)を設定することが可能

「ライブGND(グラデーションND)」が便利なのは、NDの段数(ND2/4/8)だけでなく、グラデーションのフィルタータイプ(ソフト/ミディアム/ハード)と境界線の位置・角度を設定できること。画面内でのグラデーションの落ち具合や角度などを柔軟に決められるので、夜明け時や夕暮れ時など刻一刻と明るい部分と暗い部分が変わる状況でも、設定を素早く変えて対応できるのだ。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「ライブGND(グラデーションND)」で撮影している画面。明るさの状況にあわせて、グラデーションの境界線の位置・角度を設定できるのが便利だ※HDMI出力で撮影画面を記録した画像です。実際のカメラのモニター映像とは表示内容が異なっています

作例でチェック「ライブGND(グラデーションND)」の効果

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO、14mm相当(35mm判換算)、F6.3、10秒、ISO80、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーモード:i-Finish、ライブGND(ND8/Medium) 撮影写真(5184×3888)

この写真は、日没直後に「ライブGND(グラデーションND)」を使って撮影したもの。画面の上部(海から空にあたる部分)にグラデーションNDフィルター効果を加えてシャッタースピード10秒で撮っている。画面の上部と下部で輝度差があるシーンだが、シャドー側に露出を合わせ、かつハイライトの明るさを抑えることで、見た目に近い印象の写真に仕上がった。

また、この撮影では、レンズ前面にフィルターを装着できない(※レンズ後部にゼラチンフィルターを装着することは可能)超広角ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」を使っている点にも注目してほしい。「ライブGND(グラデーションND)」は、カメラのみで効果が得られ、どんなレンズでも効果を発揮するので、物理的なフィルターを使う場合と比べてレンズの選択肢が格段に広がるのだ。

さらに、物理的なフィルターを使う場合は、明るさの状況や構図によって使用するフィルターを付け替えたり、フィルターの位置を微調整したりしないといけないが、「ライブGND(グラデーションND)」ならこうした作業は一切不要。カメラのモニター・ファインダーでグラデーションの落ち具合を見ながら調整できるのでとても楽に撮ることができる。レンズの前にガラスを重ねないので、逆光時に余計なゴースト・フレアにも悩まされないのも押さえておきたい点だ。

もちろん、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」には、「ライブND」「三脚ハイレゾショット(8000万画素相当)/手持ちハイレゾショット(5000万画素相当)」「ライブコンポジット」「深度合成」といった既存の「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能も備わっている。「ライブND」はND128まで使用可能になり、晴天下など明るい状況で使いやすくなったのがトピックだ。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「ライブND」は7段分の減光効果を発揮する「ND128」が追加された

作例でチェック「手持ちハイレゾショット」

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II、24mm相当(35mm判換算)、F8、1/13秒、ISO320、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural 撮影写真(6120×8160)

手持ち撮影で複数枚の画像を撮影・合成して通常よりも高解像な写真を生成する「手持ちハイレゾショット」を使って撮影した、5000万画素相当(8160×6120)の高画素写真。三脚を使わずに手持ちで撮っているが、植物や岩肌など細かいところまでぶれなくシャープに撮れている。自然風景をより高精細に記録したい場合に威力を発揮する機能だ。

なお、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」では、「ハイレゾショット」時に14bit RAWを選択できるようになった。撮影後にRAWデータを編集して仕上げる場合に、大幅な明るさ調整を行ってもシャドー側の微妙なトーンをキープしやすくなったのはすばらしい。ネイチャーフォトは、撮影後の画像編集で細かいところの仕上がりを調整することが多いため、RAWデータの編集耐性が向上したのは非常にありがたい。

作例でチェック「深度合成」

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II、80mm相当(35mm判換算)、F3.5、1/50秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:i-Finish 撮影写真(5184×3888)

「深度合成」は、複数枚を連続して撮影・処理することで被写界深度の深い写真を合成する機能。特に、被写界深度が浅くなる近接撮影時に威力を発揮する。「OM SYSTEM OM-1 Mark II」では撮影条件を見直し、合成性能の向上が図られており、さらに使い勝手がよくなった。この作例は15枚の画像を合成したもの。レンズの絞り値はF3.5だが、被写体(植物)の手前から奥までピントの合った写真に仕上がっている。

このほか、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の機能面では、静止画撮影機能だけでなく、動画撮影機能が充実しているのも特徴だ。高精細で滑らかな映像を記録できる4K/60p記録や、スローモーション効果が得られるフルHD/240pのハイスピード記録に対応するほか、外部機器への動画RAW記録も可能。カメラを縦位置にして撮影した場合に縦方向の動画データとして記録する機能や、パソコンにUSBに接続するだけでWebカメラとして使用できる機能(USBオーディオクラス/ビデオクラス対応)なども新たに追加されている。

高速性能「AI被写体認識AF」が劇的に進化! 連写持続性も大きく向上

従来モデルでもAF性能の高さには定評があったが、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」も、AFシステムに、フォトダイオードを4分割することで縦・横の両方向で位相差情報を取得する「1053点オールクロス像面位相差クアッドピクセルAF方式」を採用している。この高性能なAFシステムに、特定の被写体を検出する「AI被写体認識AF」を組み合わせることで、非常に高速・高精度な被写体追尾を実現しているのが特徴だ。

従来モデルと比べると、AFの基本性能とあわせて「AI被写体認識AF」も進化しており、被写体の追尾能力と合焦率が飛躍的に向上している。「AI被写体認識AF」は、新たに、人物の検出を選択できるようになったのが大きなトピック。人物の瞳や顔だけでなく、横向きや後ろ向きなど、瞳や顔が見えない状況でもピントを合わせ続けられるようになった。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

「AI被写体認識AF」は、「人物」「フォーミュラカー・バイク」「飛行機・ヘリコプター」「鉄道」「鳥」「動物 (犬、猫) 」といった多彩な被写体に対応。検出速度・精度が大幅に向上しており、どの被写体を選択しても高速かつ高精度に検出・追尾してくれる

「AI被写体認識AF」の性能を
動画でチェック!

※HDMI出力で撮影画面を記録した画像です。実際のカメラのモニター映像とは表示内容が異なっています

ダンスを踊る人物を被写体に、「AI被写体認識AF」の動作を記録した動画。「OM SYSTEM OM-1 Mark II」では、小さな顔の検出性能、横顔など角度がある場合の検出性能、サングラス・マスク・帽子などを装着時の顔の認識性能が大幅に向上しており、この動画では、あらゆる角度から人物を正確にとらえ続けていることがわかる。

作例でチェック「AI被写体認識AF」を使って撮影した動体作例

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO、50mm相当(35mm判換算)、F1.2、1/32000秒、ISO125、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Portrait 撮影写真(5184×3888)

一連の連写画像
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「AI被写体認識AF」の人物認識と、AF・AE追従での高速連写を組み合わせて撮影した連写作例(約80コマから12コマを抜粋、※高速連写モード「SH2」の最高約50コマ/秒連写に対応するレンズは限定されます。本作例の撮影で使用した「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」などの非対応レンズの場合、「SH2」設定時の連写速度は最高約25コマ/秒になります)。踊りながら前後に動く人物を、絞り値F1.2で約80コマ連写したが、ほぼすべてのコマで人物に正確にピントを合わせてくれた。また、連写中にAEが追従しているのもポイントで、人物の動きにあわせて写真の明るさが変わっていることがわかるはずだ。

さらに、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の「AI被写体認識AF」は複数の被写体の同時検出を実現しており、検出した中からピントを合わせたい被写体を選択できるようになった。少し広めの画角で野鳥を撮る場合や、スポーツシーンで特定の選手を狙う場合など、画面内に複数の被写体が存在する構図でシャッターを切りたい場合に、従来モデルよりも狙った被写体にスムーズにピントを合わせられるようになった。また、スーパーコンパネ(撮影時のモニター設定画面)から検出したい被写体をダイレクトに変更できるようになったのも、使い勝手のうえで見逃せない進化である。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

人物や野鳥など最大8体の被写体検出が可能。検出した中からピントを合わせたい被写体を選択できる

OM SYSTEM OM-1 Mark II

スーパーコンパネに被写体検出設定が追加された。スーパーコンパネ上でカーソルを被写体検出設定に合わせれば、ダイヤルを回すだけで検出したい被写体を素早く切り替えられる。メニュー画面を呼び出す必要がないのが便利だ

動く被写体の撮影では、AF性能だけでなく連写性能も重要だ。その点、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は、電子シャッター時にAF・AE追従で最高約50コマ/秒、AF・AE固定で最高約120コマ/秒のブラックアウトフリー超高速連写を実現しているので、より確実に狙った動き・表情を記録することができる。

ポイントは、バッファメモリーの増設によって連写時の撮影可能枚数が増えていること。最高約120コマ/秒連写時はJPEGで最大約219枚まで、RAWで最大約213枚まで連続して撮影できるようになった。いずれも、従来モデルと比べて倍以上のコマ数だ。また、ファーストレリーズで記録を開始し、セカンドレリーズ時点からさかのぼって記録する「プロキャプチャーモード」は、さかのぼれる枚数が従来モデルの70コマから99コマに向上。従来モデルよりも連写の持続性が向上したことで、決定的な瞬間を撮り逃しにくくなった。

OM SYSTEM OM-1 Mark II

電子シャッターでのAF・AE追従連写では、連写の持続性を上げる連写速度として最大12.5コマ/秒と最大16.7コマ/秒を選択できるようになった。動く被写体を長く連続して撮りたい場合に有効な設定だ。なお、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」では、最高約25コマ/秒以下の連写設定時の最低シャッタースピードが、従来モデルの1/320秒よりも1段遅い1/160秒にまで対応するようになった

作例でチェック「プロキャプチャーモード」

OM SYSTEM OM-1 Mark II

OM SYSTEM OM-1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO、270mm相当(35mm判換算)、F5.6、1/3200秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Vivid 撮影写真(5184×3888)

「プロキャプチャーモード」を使って、蝶の飛翔の瞬間を記録した作例。連写はAF・AE固定の最高約120コマ/秒に設定した。不規則な動きの蝶が飛びだったのを見てからシャッターボタンを全押ししたが、通常の撮影では撮り逃してしまう飛翔の瞬間を確実に記録することができた。

まとめネイチャーフォトの撮影に欠かせない“相棒”カメラ

「OM SYSTEM」ブランドの新しいフラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の魅力を端的に表すなら、それは「より簡単に高画質なネイチャーフォトを撮影できるカメラ」ではないだろうか。

信頼性の高い小型・軽量ボディに、高感度性能にすぐれる裏面照射積層型Live MOSセンサーと強力な5軸手ぶれ補正を搭載し、手持ちでも高画質な撮影が可能。加えて、「AI被写体認識AF」の性能や連写性能が向上し、動く被写体の一瞬の動きを撮りやすくなったのもポイントだ。独自の撮影機能「コンピュテーショナル フォトグラフィ」には、風景写真の撮影で絶大な威力を発揮する新機能「ライブGND(グラデーションND)」が追加されている。こうした特徴をまとめると、自然風景、野鳥、昆虫、花などの撮影をひと通りカバーできる性能・機能が詰まったカメラと言えるだろう。

小型・軽量で持ち運びやすいので、過酷な環境下で撮影するプロフェッショナルはもちろん、登山やハイキングなどのアウトドアで気軽に撮影を楽しんでいる人にもフィットすること間違いなし。使えば使うほど使い勝手のよさを実感し、ネイチャーフォトの撮影に欠かせない“相棒”になるはずだ。

「OM-1」から「OM-1 Mark II」への進化点まとめ

AFの基本性能の向上
従来以上に高速・高精度な被写体追尾が可能に
「AI被写体認識AF」の進化
「人物」の追加、被写体の選択が可能に
連写速度設定の追加
電子シャッターでのAF・AE追従連写で「最大12.5コマ/秒」と「最大16.7コマ/秒」の選択が可能に
連続撮影枚数の増加
最高約120コマ/秒連写時でJPEGが最大約219枚まで、RAWが最大約213枚まで
手ぶれ補正の性能向上
ボディ単体で世界最高※48.5段※1、レンズと協調制御を行う「5軸シンクロ手ぶれ補正」で8.5段※2
「ライブGND(グラデーションND)」の追加
NDの段数(ND2/4/8)、グラデーションのフィルタータイプ(ソフト/ミディアム/ハード)設定と境界線の位置・角度の調整が可能
「ライブND」の進化
ND128まで選択可能に
「ハイレゾショット」の進化
14bit RAW記録に対応
その他
縦位置動画記録、Webカメラ機能、「OM Capture」のWi-Fiテザー対応、右手メニュー操作(ゴミ箱ボタンをメニューボタンに設定することが可能)
  • ※1 使用レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II 焦点距離 f=40mm(35mm判換算 f= 80mm)
  • ※2 使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO 焦点距離 f=150mm(35mm判換算 f=300mm)、半押し中手ぶれ補正:Off、フレームレート:高速
  • ※3 防塵・防滴性能を有するレンズ装着時(レンズの規格に準じる)。充電中、HDMI接続中は対象外
  • ※4 2024年1月30日現在発売済みのレンズ交換式デジタルカメラにおいて
この記事は2024年1月30日の情報を基にしております。