ズームレンズの常識を変える“開放F2通し”の「G Master」 ソニー「FE 28-70mm F2 GM」「FE 50-150mm F2 GM」徹底レビュー
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、「ズーム全域で開放F2通し」という、驚異的なスペックを実現した新しいタイプの大口径ズームレンズ。これまで革新的なカメラ製品を次々と開発してきたソニーが放つ画期的なレンズ群だ。本特集では、価格.comのクチコミや写真家による実写レビューを掲載して、これら2本の魅力を徹底的に掘り下げたい。
最新情報「FE 28-70mm F2 GM」が「カメラグランプリ2025 レンズ賞」受賞!「FE 50-150mm F2 GM」も新登場
ズームレンズは単焦点レンズに比べて開放絞り値が大きく、大口径の単焦点レンズのような大きなぼけは得にくい。ズームレンズに対するそんな“常識”を打ち破ったのが、今回取り上げる、ソニーの「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」だ。
この2本のズームレンズは、いずれも、単焦点レンズに匹敵する明るさである「開放F2」の絞り値をズーム全域で実現したのが最大の特長。単に口径を大きくしたのではなく、ソニーの最高峰レンズ「G Master」の高いクオリティをクリアしているのがポイントで、高画質・高性能な「開放F2通しのズームレンズ」として、妥協を許さず厳しい目で作品作りに取り組むプロから支持されている。
圧倒的な動体撮影性能を持つ「αシリーズ」のフラッグシップモデル「α1 II」と「FE 28-70mm F2 GM」の組み合わせ。開放F2通しの大口径システムとは思えないコンパクトなサイズ感に収まっている
事実、「FE 28-70mm F2 GM」は、「カメラグランプリ2025」において、最もすぐれたレンズに与えられる「レンズ賞」を受賞している。「カメラグランプリ」とは、写真・カメラ専門媒体の担当者の集まりである「カメラ記者クラブ」(1963年9月発足、2025年4月現在8媒体1団体が加盟)が主催する、カメラ製品に関するアワード。「カメラ記者クラブ」のメンバーや各媒体の代表者、評論家、写真家などで構成される選りすぐりの選考委員が、年度内(毎年4月1日から翌年3月31日まで)に発売されたカメラならびにレンズの新製品の中から最もすぐれたものを選び表彰するというものだ。1984年に第1回が開催されて以降、40年以上の歴史を持っており、日本のカメラ業界のなかで最も名誉のあるアワードである。
「カメラグランプリ2025 レンズ賞」を受賞した「FE 28-70mm F2 GM」は、2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)に発売された数あるレンズの中で、カメラに精通する審査委員が最も高く評価した製品というわけだ。まさに、有識者の“お墨付き”を得た1本なのである。
「FE 28-70mm F2 GM」は、「カメラグランプリ2025」において、2024年度に発売されたレンズの中から最もすぐれた1本を選ぶ「レンズ賞」を受賞した
「FE 28-70mm F2 GM」が高く評価されているのは、ズームレンズでありながら、単焦点レンズに迫る圧倒的な描写力と解像性能を実現している点にある。特に、周辺部まで緻密に描き出す解像力と、開放F2ならではの明るさ、解像とぼけの両立は、本レンズ最大の魅力だ。ズームでありながら単焦点のような画質を得られる──いわば「焦点距離を変えられる単焦点レンズ」という開発コンセプトの真骨頂といえる。
左が「FE 28-70mm F2 GM」で、右が「FE 24-70mm F2.8 GM」。「FE 28-70mm F2 GM」は、開放F2通しの大口径ながら、「FE 24-70mm F2.8 GM」とそう変わらない大きさの筐体を実現している
そのうえで、携行性や操作性の高さも見逃せないポイントだ。「αシリーズ」のズームレンズとして初めて「ズーム全域で開放F2通し」を実現しつつ、重量は約918gと、F2.8通しの「FE 24-70mm F2.8 GM」(約886g)に匹敵するサイズ感に収まっている。通常、大口径レンズはサイズや重量が増すものだが、ソニーの最先端技術により、F2の大口径でありながら携帯性を犠牲にしない設計がなされている。
AFもハイレベルで、最適化された4基のXD(extreme dynamic)リニアモーターと最新のレンズ制御技術によって、高速・高精度なピント合わせが可能。「α9 III」の最高約120コマ/秒のAF/AE追随高速連写にも対応するうえ、ズーミング中でもトラッキングが継続する仕様だ。もちろん動画撮影にも強く、「αシリーズ」の最新カメラが搭載する「ブリージング補正機能」(※フォーカス中の画角変動を抑制する機能)に対応。新開発の11枚羽根円形絞りユニットを採用するなどして、すぐれた静粛性も実現している。
このように、基本的なスペックをチェックするだけでも、「FE 28-70mm F2 GM」は完成度の高い「開放F2通しのズームレンズ」に仕上がっていることがわかる。「カメラグランプリ2025 レンズ賞」の選考理由には、「革新的な性能と高い完成度が評価された」と書かれているが、まさにそのとおり。ズームレンズとしての実用性をしっかりと備えた大口径・標準ズームレンズに仕上がっているのである。
そして、そんな「FE 28-70mm F2 GM」のコンセプトを継承して2025年5月23日に発売されたのが「FE 50-150mm F2 GM」だ。世界で初めて※ズーム全域・開放F2通しの明るさで焦点距離150mmまでをカバーするという、これまでの常識を覆す革新的な望遠ズームレンズである。
※2025年4月22日時点、ソニー調べ
「FE 50-150mm F2 GM」は、「FE 28-70mm F2 GM」と同様、開放F2通しながら非常にコンパクトなサイズ感を実現している。その大きさは102.8(最大径)×200(長さ)mmで、重量は約1340g(三脚座除く)。焦点距離は異なるものの、“大三元レンズ”の望遠ズーム「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」と比べて、長さは同じ200mmで、重量は約140g軽い筐体に収まっている。これだけでも圧倒的な小型・軽量化を実現していることがわかるはずだ。
さらに、ズーム時に筐体の長さが変わらないインナーズーム方式を採用しているのも見逃せない。ズーム時でも全体の重心が変化しにくいため、安定した構えを保ったままフレーミングできる。小型・軽量な筐体と相まって、快適な手持ち撮影が可能だ。
光学性能も追求しており、超高度非球面XAレンズ2枚を効果的に配置した17群19枚のレンズ構成を採用することで、ソニーの最高峰レンズ「G Master」ならではの高い解像力と滑らかなぼけ描写を両立。絞りユニットは、2段絞っても円形を保つ「11枚羽根円形絞り」という凝りようだ。
このほか、4基のXDリニアモーターとフローティングフォーカス機能を搭載することで高速・高精度なAFを実現。「FE 28-70mm F2 GM」と同じく、「α9 III」の最高約120コマ/秒のAF/AE追随高速連写にも対応している。ズーミング中のトラッキングも可能だ。
動画撮影関連では、「αシリーズ」の最新カメラが持つ「ブリージング補正機能」などに対応。インナーズーム方式による重量バランスのよさは、手持ち撮影での正確なパンニングや、ジンバル調整の負担軽減など、動画撮影時にも威力を発揮する。
「α1 II」に「FE 50-150mm F2 GM」を装着した際の総重量は2kg強(約2083g、バッテリーとメモリーカードを含む「α1 II」の重量と、三脚座を除く「FE 50-150mm F2 GM」の重量の合計)。手持ちでも負担なく撮影を続けられる重さだ
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」という、2本の「開放F2通しのズームレンズ」があれば、広角28mmから望遠150mmまで開放F2で撮り分けることが可能だ。これは、特にポートレート撮影において、絶大なメリットと、これまでにはなかった新しい撮影体験をもたらしてくれる。
ズームレンズの常識を変える“開放F2通し”の「G Master」
クチコミ価格.comユーザーは「開放F2通しのズームレンズ」をどう評価している?
では、「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」を使用することで撮影にどういったメリットが生まれるのだろうか? もう少し具体的に踏み込んで紹介しよう。まずは、価格.comのクチコミ掲示板やユーザーレビューに書き込まれた内容から、「開放F2通しのズームレンズ」に対する価格.comユーザーの評価を抜粋して紹介していく。
「開放F2通しのズームレンズ」に対する価格.comユーザーの評価
表現力

ズーム域全域でF2の絞り値を使えるため表現の幅が広いです。

F2とF2.8の絞り値を比較すると、被写体の浮かび上がる感じが違います。大三元レンズの標準ズームとは別世界の立体感が得られます。

F2の焦点距離70mmの写りが好みです。ポートレート撮影で抜群の描写力を発揮します。
利便性

複数の大口径・単焦点レンズが1本に収まるイメージです。レンズ交換なしでシームレスに撮影を続けられるため携帯性は高いです。

イベントやスタジオなどで撮影していると、単焦点レンズの場合、構図を決めたりレンズを交換したりするのに手間取ることがありますが、開放F2通しのズームレンズはそのわずらわしさがありません。

ポートレート撮影の現場では「これ1本ですべてまかなえる」くらいの利便性があります。
※価格.comクチコミ掲示板・ユーザーレビューの書き込み内容を一部抜粋・編集しています。
価格.comに投稿された書き込みを見ると、「開放F2通しのズームレンズ」を所有・使用しているユーザーは、特に「表現力」と「利便性」の2点を高く評価する傾向にあることがわかる。
「表現力」では、やはりF2という明るい絞り値を選べるのがポイントだ。特に多いのが「F2を使えると表現の幅が広がる」という声。特に、ポートレートを撮影する人は、標準から中望遠域あたりで、F2によるぼけの大きさや立体感に違いを感じているようだ。なかには、 “大三元レンズ”の標準ズームと撮り比べてみて、「F2はF2.8と比べて被写体が浮かび上がる感じが違う」というクチコミも見られる。
「利便性」については、複数の単焦点レンズを使ってポートレートの撮影を行っている人からの書き込みに注目したい。単焦点レンズを使う場合、シチュエーションや狙いによって広角や標準、中望遠といった画角の単焦点レンズを交換する必要があるが、「開放F2通しのズームレンズ」なら、レンズ交換の手間なく画角を調整しながらシームレスに撮影を続けられる。しかも、単焦点レンズに匹敵する大きなぼけを生かしながら、である。この点をポートレート撮影のメリットとしてあげる単焦点レンズユーザーからは、「開放F2通しのズームレンズを使ったら撮影のレスポンスやリズムがよくなった」とするレビューが見られる。さらに、複数の単焦点レンズが1本に収まるため、「ポートレートシステムとしての携帯性が向上する」という声も。なかには、「ポートレート撮影はこれ1本ですべてまかなえる」と評価する書き込みまで見られるほどだ。
「FE 28-70mm F2 GM」は、左手側にフォーカスモードスイッチを、右手側にズームリングの重さ(Tight/Smooth)を切り替えられるスイッチと、絞りリングのクリックの有無を選択できるアイリスロックスイッチを搭載。フォーカスリングは、MF時の繊細なリング操作にレスポンスよく反応するリニア・レスポンスMF対応だ。カスタマイズ可能な2つのフォーカスホールドボタンも備わっている
「FE 50-150mm F2 GM」は、左手側に、AF-Cモード時でもフォーカスリングを回転させるだけで瞬時にMFに切り替えられるフルタイムDMFスイッチとフォーカスモードスイッチを装備。右手側にはアイリスロックスイッチが備わっている。フォーカスホールドボタンはレンズの上部/下部/左側面の3か所に用意されている
ソニー純正レンズだからこそのメリット
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、「開放F2通しのズームレンズ」であることに加えて、ソニーの純正レンズであることも選ぶうえで押さえておきたいポイントだ。ここで改めて“ソニー純正”のメリットを整理しておこう。
ご存じの人も多いと思うが、ソニーは、イメージセンサー(撮像素子)の市場における世界有数のメーカーだ。もちろん、「αシリーズ」など自社のデジタルカメラには、自社開発のイメージセンサーを採用している。ソニーのデジタルカメラがこれまでに世界初の技術・機能を数多く実現してきたのは、最先端技術を搭載するイメージセンサーをいち早く投入できることが大きな要因だ。
加えて、ソニーは、画像処理エンジンとレンズも自社で開発している。つまり、イメージセンサー、画像処理エンジン、レンズという、デジタルカメラにおける重要な3つのキーデバイスをすべて内製しているのだ。
3つすべてを内製する強みは、カメラとレンズの間で強力な連携が取れること。カメラとレンズのマッチングが取れているため、画質やAFなどで、カメラシステムとしての性能を最大限に発揮することができるのだ。
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」の特長を見ると、最高約120コマ/秒の高速連写に対応するトラッキング性能や「ブリージング補正機能」、「手ブレ補正アクティブモード」といった、“ソニー純正”でないと得られない独自技術・機能がふんだんに搭載されていることがわかる。静止画撮影でも動画撮影でも、使い勝手を向上させる最先端の機能を利用できるのである。
ズームレンズの常識を変える“開放F2通し”の「G Master」
レビュー「FE 28-70mm F2 GM」「FE 50-150mm F2 GM」が作品作りにもたらすメリットとは?
ここからは、写真家の河野鉄平さんによるレビューをお届けしよう。主にポートレートの撮影を通じて、「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」を使用し、作品作りにもたらすメリットを語ってもらった。

写真家・河野鉄平さんのプロフィール
フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。著書はこれまでに50冊以上。最新著書は『超絶エモーショナルな写真を撮る50のアイデア』(玄光社)。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。日本写真芸術専門学校講師。Profoto公認トレーナー。
ソニーの最高峰レンズ「G Master」だからこその「解像×ぼけ」がすばらしい!
日ごろからポートレートで作品作りを行っている私にとって、開放絞り値の小さな明るいレンズ群は欠かすことのできない必須アイテムだ。そのなかで、特に多用する機会の多い絞り値のひとつが「F2」である。この絞り値は、特に標準域から望遠域の間で、主題の人物を背景から絶妙に浮き上がらせつつ、副題としての背景をぼかしながら適度に入れ込めるのがよい。ポートレートにおいてベストバランスの描写が得られることが多い絞り値なのだ。
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、このF2という絞り値を、ズーム全域で選択できる驚異のレンズだ。この2本を揃えることで、28mmから150mmまでの焦点距離をF2で撮影できてしまうのだから驚かされる。そして、この2本のレンズの魅力は、F2を常に利用できるだけでなく、「G Master」としてしっかり解像感を維持しながら撮影できる描写力にある。美しいぼけと目を見張る解像感を見事に両立しているのだ。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、70mm、F2、1/60秒、ISO100、WB:太陽光、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
「FE 28-70mm F2 GM」の望遠端70mmを用い、開放F2で撮影した。ピントの合った瞳から顔周辺、髪の毛に至るまで、シャープで立体感があって目を見張る。いっぽう、少し奥まったモデルの右肩はゆるやかにぼけていて、F2による被写界深度の浅さを実感できる。このぼけのグラデーションが何とも繊細で美しい。背景の植物や奥のチェアのぼけもやわらかく、70mmというやや広角寄りの中望遠としては、何とも魅力的な世界観で撮影できた。
「FE 50-150mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、150mm、F2、1/800秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
「FE 50-150mm F2 GM」の望遠端150mmを用い、開放F2で撮影した。焦点距離150mmならではの圧縮効果とダイナミックなぼけが印象的だ。そして、ピントの合ったモデルの目元をぜひ拡大してほしい。クリアで少しもねむくない。ピントの合った髪の毛もシャープに写っている。望遠150mmにF2という明るさの組み合わせで、収差を感じないのはさすが「G Master」といったところ。躊躇せずにどんどん開放値で撮影に臨めるのがすばらしい。
開放F2なので暗所でも印象的なポートレートが撮れる!
明るいレンズは暗所で強さを発揮することも大きな魅力だ。シャッタースピードにとらわれず、また手ブレをおそれず目の前の被写体に集中して撮影できる。これをズーム全域で利用できるのが何といってもすばらしいのだ。確実に表現の幅を広げてくれる。
今回はモデルが静止した状態で撮影を行っているが、仮に動作をともなうシーンであっても、F2という絞り値は、低感度を維持したまま高速シャッターが利用しやすい。高画質をしっかり保ちながらさまざまなシーンに対応できるのだ。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、50mm、F2、1/50秒、ISO100、WB:オート、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
モデルが顔を向けている方向から、わずかに窓際の光が差し込む暗所のシーンで撮影している。F2の開放絞り値を利用し、自然光による繊細なトーンを、低感度で高画質に切り取った。このシーンは全体的に光が届きにくく、室内の定常光を利用することも検討したのだが、明るくは撮れるもののそれではどうしてもフラットな描写になる。暗所ならではの自然な立体感も、このレンズなら手持ちで容易に撮れてしまう。
「FE 50-150mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、118mm、F2、1/30秒、ISO100、WB:オート、クリエイティブルック:PT撮影写真(5760×8640)
外から差し込む光が、モデルの横顔をドラマチックに照らしている。かなり暗いシーンだったが、ハイライトをアクセントに立体的に手持ちで描写できた。しかし、何と美しいぼけだろう。背景ぼけもきれいだが、モデルの胸元の髪の毛の美しいぼけのグラデーションがとても印象的だ。ひとつ上に掲載した写真もそうだが、ピントの合ったところのきめ細かく高コントラストな解像力が、暗い中でもモデルの表情をしっかり浮き上がらせている。
近接撮影も強い! テーブルフォトにも活用できる
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」はいずれも接写能力が高い。最大撮影倍率は「FE 28-70mm F2 GM」が0.23倍で、「FE 50-150mm F2 GM」が0.2倍。実際に近接で撮影してみたが、小物も花々もかなり大きく写せる印象で、正直ズームレンズとして考えた場合、“まだ迫れるのか”と驚いたほどだ。開放F2だからこそ、接写時のぼけも非常に豊かで大きい。解像感もしっかり残っていてねむさもない。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、70mm、F2、1/250秒、ISO125、WB:太陽光、クリエイティブルック:IN撮影写真(8640×5760)
「FE 28-70mm F2 GM」の望遠端70mmで、最短撮影距離まで近づいて撮影した。開放F2を選択したが、ピントの合った部分の解像感がしっかり残り、立体感のあるマクロ写真に仕上がった。焦点距離70mmという画角は、寄った際に少し遠近感が出るのがよい。この被写体に迫っていく臨場感が、「FE 28-70mm F2 GM」を使って接写する際の魅力だ。
「FE 50-150mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、150mm、F3.2、1/250秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
「FE 50-150mm F2 GM」の望遠端150mmで、最短撮影距離まで近づき、モデルを撮影してみた。モデルの凛とした表情を目元だけで表現できた。この程度まで寄れれば、ピアスや指先のリング、ネックレスなど、身につけているアクセサリー類でも、イメージどおりに近づいて大きく切り取ることができ、さまざまな画作りに対応できる。150mmだと被写体がデフォルメされず、正確なフォルムでとらえられるのも魅力だ。
風景もシャープに撮影できる!
今回はポートレートを題材にレビューしているが、「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、ハイスペックなズームレンズとして、街中スナップや自然風景などの撮影でも利便性が高く重宝する。この際も、開放F2の描写力がポイントになるだろう。絞り開放を適用しても、ズーム全域で画面中心から周辺部まで、高い解像性能を発揮してくれる。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、28mm、F2、1/800秒、ISO100、WB:日陰、クリエイティブルック:VV撮影写真(8640×5760)
広角端28mm、開放F2で切り取った。画面中心から周辺部まで建物の輪郭がシャープに描写されているのがすごい。“絞り開放で撮った”という既存のイメージを大きく覆す仕上がりだ。超高度非球面XAレンズを3枚使用した、すぐれたレンズ構成の威力をまざまざと感じさせる1枚である。
小型・軽量なのでアングルを工夫しやすい!
ズームレンズは、レンズを交換する手間を省き、シャッターチャンスを逃さず捕捉力にすぐれていることが、単焦点レンズとの決定的な違いだ。そのため、ズームレンズには基本的に高い機動力が求められる。気軽に持ち運べるフォルムでなければ、ズームレンズとしては機能しないと言っても言い過ぎではないだろう。
その点、「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、「ズーム全域で開放F2通し」という驚異的なスペックを実現しながら、いずれも軽量で携帯性にすぐれている。実際に使ってみて、ズーム全域F2.8通しの“大三元レンズ”と比較してもコンパクトなフォルムに仕上がっていて扱いやすいと感じた。ポートレート撮影で気軽にさまざまなアングルを試せるのも、小型・軽量だからこそ成せる技なのだ。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、42mm 、F2、1/80秒、ISO100、WB:太陽光、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
両手を伸ばし、背面モニターで像を確認しながら、植物越しにハイアングルから狙った。こうしたアングルも、レンズが軽ければ気軽に実践できる。通常とは違った視点が発見できた。
「FE 28-70mm F2 GM」で撮影
α1 II、FE 28-70mm F2 GM、28mm、F2、1/2000秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
今度はローアングルから狙った。空景が背景となり開放感のある描写になっている。今回使用の「α1 II」の4軸マルチアングル液晶モニターは、軽快にローやハイアングルに対応してくれる。
「FE 50-150mm F2 GM」は1本で標準から望遠まで多彩なポートレート表現が可能!
「FE 50-150mm F2 GM」は、ポートレート撮影でとても使いやすいレンズだ。標準50mmからスタートし、そこから望遠150mmまで、ポートレート撮影でよく使われる焦点距離を網羅しているからだ。標準域を用いて背景を広めに取り込むこともできるし、望遠側で情景を圧縮してダイナミックな描写を狙うことも可能。これらの多彩な表現を開放F2通しのレンズ1本で完結できてしまうのは、やはりすごい。ポートレートシューターにとって「夢の1本」と言えるだろう。
以下の作例は50mm、85mm、135mm、150mmの4つの焦点距離を使って撮ったもの。それぞれの写真から表現の幅の広さを感じ取ってほしい。いずれも開放F2で撮影している。
50mmで撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、50mm、F2、1/1600秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
「FE 50-150mm F2 GM」は、焦点距離70mmから始まる一般的な望遠ズームレンズと比べて、50mmの標準画角で撮れるのが大きい。ポートレートはフットワークが重要で、前後にも寄り引きしながらバリエーションを増やしていくのだが、50mmから利用できると、背景も広く取り込むことができて、このバリエーションの振れ幅が広がる。
85mmで撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、85mm、F2、1/60秒、ISO100、WB:太陽光、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
85mmはポートレート撮影の基本となる焦点距離だ。ほどよく背景を取り込めて、人物との距離も取りやすい。この作例では、開放F2による美しい背景ぼけが、モデルの表情をより印象的に盛り上げてくれている。
135mmで撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、135mm、F2、1/160秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
135mmもポートレートではよく使われる焦点距離だが、「FE 50-150mm F2 GM」は、F2という明るい絞り値で利用できるのがよい。ここでは、背後の照明や自然光を生かして撮影した。細かい被写体が多くやや煩雑な背景だが、気になるような二線ぼけ(1本の線が2本に見えるようなぼけ)は見られない。自然で印象的なぼけを演出できている。
150mmで撮影
α1 II、FE 50-150mm F2 GM、150mm、F2、1/2000秒、ISO100、WB:曇天、クリエイティブルック:PT撮影写真(8640×5760)
150mmは、こうした奥行きのある場面で使いたい焦点距離だ。「FE 50-150mm F2 GM」は、一般的な望遠ズームと比べると望遠端の焦点距離は少し短いわけだが、ポートレートは距離を詰めて対応できることがほとんどなので、150mmまで選択できればさほど気にならない。むしろ開放F2が150mmで気軽に利用できることに大きな魅力を感じた。
フォーカスブリージングを抑制するなど動画撮影性能も高い
「α1 II」と「FE 28-70mm F2 GM」の組み合わせで撮影した4K/60p動画。ピクチャープロファイルに「S-Cinetone」を選択している。絞り値はF2で固定。グレーディングを行っていない撮って出しの映像だ
ソニーは、静止画撮影だけでなく動画撮影にも力を入れているメーカーだ。カメラ、レンズとも、動画撮影で快適に使えるように細かいところまでこだわって設計している。「G Master」であればなおさらで、むしろ期待値が上がるというものだ。
今回、「FE 28-70mm F2 GM」を使って25秒程度のショートムービーを撮影・制作してみたが、その期待を上回る結果が得られた。まず、開放F2で得られるぼけの美しさに感心させられた。映像になるとピント位置とアウトフォーカスの対比が際立ち、より立体感が増す印象。さらに、カメラ側の「ブリージング補正機能」に対応していることもあって、フォーカス中の画角変動が抑制されるのがすばらしい。AFはとても滑らかな動作で、動く被写体をしっかり追尾してくれる。レンズの駆動音は言うに及ばず、非常に静かだ。
さすがの「G Master」といったところで、全体的にクオリティが非常に高い。本格的な映像制作に活用できるレベルだと感じた。
使用を終えての感想
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」を使ってみて強く感じたのは、「この2本があれば、一段上のクオリティと世界観でポートレート作品が作れる」ということ。常にF2という明るい絞り値を利用できることがまず偉大なのだが、これを高い解像感と美しいぼけを両立した画質に仕上げてくれるのがうれしい。何の躊躇もなく絞り開放を適用できる。
さらに、レンズのAF性能が高いことも押さえておきたい。被写体認識・追尾を中心に、カメラボディの性能を最大限に引き出し、F2の浅い被写界深度でもピントを外すことなく、ビシッと瞳にピントを合わせ続けてくれた。小型・軽量で機動力が高く、ウエディングやイベントなどを含めて、幅広いシーンでアクティブに活用できる高性能レンズ群と評価したい。
ズームレンズの常識を変える“開放F2通し”の「G Master」
まとめ撮影スタイルを一変させる新世代のズームレンズ
「FE 28-70mm F2 GM」と「FE 50-150mm F2 GM」は、「ズーム全域で開放F2通し」という、これまでには考えられなかったスペックを持つ新世代のズームレンズだ。
この2本で「広角28mmから望遠150mmまでF2の絞り値で撮れる」というのは、「ぼけを最大限に生かした写真は単焦点レンズでしか撮れない」という常識を覆すと言っても過言ではない。レンズ交換の手間が大きく省かれるので、撮り手の撮影スタイルを一変させ、表現の可能性を広げるレンズとも言えるだろう。
特に、ポートレートをメインに撮影を行っているのなら、ソニーが意欲的に開発したこの2本のズームレンズを手に入れて、使い倒してみてほしい。新しい撮影体験とともに、より高品位な作品作りに没頭できるはずだ。


























