価格は高めだが、ユーザーの期待に応える画質を提供してくれる
気になる画質だが、精細感は高く微妙な階調もしっかり表現してくれる。シーンによってはデジタル一眼に匹敵するクオリティーだ。明るいレンズを生かした大きめのボケも、並みのコンパクトデジカメでは難しいポイント。オートホワイトバランス設定も的確で、撮影時に思い描いていた通りに仕上げてくれることが多かった。
XZ-1の予想実売価格は6万円前後。発売時期との兼ね合いもあるが、競合の高級コンパクトデジカメと比べると2万円近くも高い。各社のデジタル一眼のレンズキットが買える水準である。価格面ではやや厳しいが、明るくていい描写を見せるレンズや、デジタル一眼のオリンパス・ペンに引けを取らない豊かな階調や発色は魅力だ。デジタル一眼よりもはるかに小型軽量のボディーで高画質な撮影ができる点に価値を見い出せれば、決して高くはない買い物だといえる。
オリンパス・ペンなどのミラーレス一眼はとてもコンパクトながら高画質で、ちょっとした旅行やレジャーにはもってこいの存在だ。だが、日常のふだん使いにおいては、これすら持ち歩くには大げさな気がすることもある。何気ない日常のワンシーンを、よいレンズを搭載したカメラで高画質に記録したいという人にとって、XZ-1は有力な選択肢の1つになってくれそうだ。
色の鮮やかさなどは、カメラの「仕上がり設定」から調整できる。この写真は、出荷時設定のナチュラルを使用して撮影した。発色は、むやみに鮮やかにしているという感じではないが、深みのあるいい色に仕上げてくれた。オートホワイトバランスも、多くのシーンで適切に設定してくれると感じた(ISO125、1/125秒、F2.2)(画像クリックで拡大)
大きな撮像素子を備えるデジタル一眼と比べると、青空の階調などは厳しいものがある。だが、コンパクトデジカメとして考えると突出した画質といえる。RAWで撮影したものをていねいに現像すれば、また違った仕上がりになりそうだ(ISO100、1/800秒、F4.5)(画像クリックで拡大)
沖縄ではシーサーが乗っている屋根はごく普通に見かけるが、ネコが乗っているのは初めて見た。望遠側は35mm判換算で112mm相当なのでスナップ撮影には十分な画角だが、警戒心を解かない屋根の上のネコを撮るにはちょっと物足りなかった(ISO160、1/250秒、F2.5)(画像クリックで拡大)
シャッターボタンのフィーリングは良好だ。レスポンスも悪くないため、動く人物などを狙ったところに配置したい場合でも、その要求にしっかりと応えてくれる。デジタル一眼を使い慣れた人でもストレスを感じずに撮影できる(ISO100、1/800秒、F6.3)(画像クリックで拡大)
沖縄には「御嶽」と呼ばれる場所が点在している。どこか違う空気が流れているような気にさせる。感度をオートに設定すると、上限がISO200までしか上がらないようで、この写真もISO200に設定された。細部を見ると、ノイズ処理の影響で細部の描写が省略されてしまった部分も見られるが、独特な雰囲気をよく写し出していると感じる(ISO200、1/15秒、F1.8)(画像クリックで拡大)
望遠側でも開放F値はF2.5と、コンパクトデジカメとしてはかなり明るい。接写をすると、背景が予想以上に美しくボケてくれる。マクロ撮影はワイド側でレンズ前10cm、テレ側では30cmまで接近できる(ISO200、1/50秒、F2.5)(画像クリックで拡大)
広角側での撮影ではあるものの、被写界深度はけっこう浅い。手前の金網にピントを合わせているため、奥のほうにはボケが確認できる。レンズが明るいことと、手ぶれ補正機構がより強化されたことで、手持ちでも夜のスナップが撮影できる(ISO200、1/20秒、F1.8)(画像クリックで拡大)
航空機の輪郭を浮き上がらせる光を強調するため、露出をマイナス補正して撮影した。背面の有機ELパネルの表示がかなり正確なので、ライブビューを見ながら仕上がりをイメージした露出補正ができるのがありがたい。微妙な階調もしっかり表現している(ISO100、1/640秒、F7.1、−1段補正)(画像クリックで拡大)
同社のデジタル一眼「E-5」や「E-PL2」で搭載された新しいアートフィルター「ドラマチックトーン」を使用して撮影。普通の曇り空だったのだが、とても飛行機が飛べそうにない荒天のように作画できた。アートフィルターは「ポップアート」や「ジオラマ」など、6種類の効果から選択できる(ISO100、1/640秒、F4.0)(画像クリックで拡大)
航空機から見えた夜景を動画で撮影。点光源の集まりである夜景は、コントラストAFではピントが合わせにくいのだが、ある程度迷いつつもしっかりピントを合わせている。ズームの動きもスムーズだ
(文・写真/星 智徳)