触る強さを変えるとビブラートもかかる!
――非常にユニークな製品だと思うんですが、和田さんは他に何を担当されましたか?
「まねっこピーちゃん」(※)とか「クロックマン」(※)ですね。喋るものが多いです。
※まねっこピーちゃんは、人がしゃべった言葉を覚えてしゃべる鳥形の玩具。クロックマンは、針やデジタル表示のない置き時計。時間や季節によって話す内容が違う。ときには鼻歌も歌う。
――にんげんがっきの想定年齢は6歳以降ということですが、大人でも楽しめそうすよね。
私たちの部門は大人の方をターゲットにしていまして、想定しているのは30代、40代の方ですね。自分も興味はあるんだけど「子どもたちが喜びそう」という言い訳で、もしも買っていただけたとしたら、きっと親子で楽しんでいただけると思います。
――なるほど。では、まず音が出る仕組みからなんですが、この接点は静電センサーですか?
いいえ。体脂肪計なんかと同じで、人の身体に微弱な電流を流しているんです。それで他人の身体に触れると通電して音が出るんです。
――実際に出る音との関係はどうなっていますか?
「えんそうモード」のときは誰と誰が触っても、次の音に進むようになっています。触ると1音が鳴り、離すと止まる。また触ると次の音に進むのですが、触れている間は音が鳴り続けるので、好きな音の長さに伸ばせます。触る強さを変えると、ビブラートがかかります。ちょっと持っていてください。
(と和田さんはインタビュアーのほっぺたに指をあて、むにゅむにゅむにゅ、とつつくような動作をする)
――おお、本当にピッチが揺れている! これはどうしてですか?
強く触ると電気が良く流れるんです。そして弱く触ると電流が低くなる。その差を見て、ビブラートがかかるようにプログラムしてあります。
――それはしきい値の設定が大変じゃないですか? 人によって抵抗値は違うはずなので。
そうですね、例えば私は汗っかきなので、ものすごく電気が通りやすいんですけど。
――僕のように年寄りで乾燥している人間は電気を通しにくいです。
……なので、最初に触ったときより、強いか弱いかの差を見ているんです。電流の量は個人差があるんですけど、強く触ったときと、弱く触ったときの差には、それほど人によって違いはないんです。
――なるほど。タッチされて音が鳴る感覚は新鮮ですね。楽器を弾くときにビブラートをかけることはあっても、自分がかけられることはないので。
「人の体が楽器になる」がコンセプトなので、本当の楽器みたいに触りかたで強弱を付けたら、音もそれに合わせて揺れれば面白いなと思ったんです。