レンズの選び方
デジタル一眼カメラの醍醐味は、レンズを交換することでさまざまな表現を楽しめることです。しかし、レンズは種類が多く価格もさまざまで、どれを選んだらいいかわからないという人も多いのでは? ここでは、レンズの基礎知識をはじめ、注目すべきポイントなどを解説します。
2025/2/28 更新
まずは、価格.comでどういったレンズの人気が高いのかを紹介します。大きく3つのポイントがあります。
レンズ製品のなかでも特に人気が高いのが「望遠ズームレンズ」です。子どもの運動会や野鳥など、被写体に近づけない場面で遠くから大きく撮りたいときに重宝します。初心者向けの比較的手ごろなモデルから、プロ向けの高価で大きなモデルまで幅広く揃っています。
レンズを選ぶ際は、カメラメーカーの純正品だけではなく、シグマやタムロンなどが展開するサードパーティー製レンズにも注目しましょう。純正品に比べると価格が手ごろなうえ品質もよく、価格.comでも人気を集めています。
レンズは、大きく「ズームレンズ」と「単焦点レンズ」の2種類に分けられます。ズームレンズは、1本で広い角度の景色を撮影したり、ズームアップして撮影したりできるのが便利。単焦点レンズは被写体の大きさを変えられないのですが、構造がシンプルなため画質がよいのが特徴です。
広角から中望遠まで焦点距離を変更できるズームレンズです。一般的に35mm判換算の画角で24mmから70〜120mm程度までの焦点距離をカバーしています。万能なレンズですので1本あると何かと重宝します。
標準ズームでは撮れない、より広い範囲に対応するズームレンズです。35mm判換算で焦点距離20mm前後から35mmの範囲で撮影できるものが多いです。風景を広く撮影したり、被写体に近づいて遠近感を強調したりするときに活躍します。
単焦点レンズはズームレンズよりも画質がよい?
単焦点レンズは光学設計をシンプルにできる分、ズームレンズよりも高性能なものが多くなっています。1本20万円を超えるような高性能レンズを除けば、ズームレンズよりも単焦点レンズのほうが高画質と言えるでしょう。ズームレンズと比べると、周辺の歪みが少なく、解像感にもすぐれます。さらに、開放F値が小さいものが多く、ボケのある写真を撮影しやすいのも特徴です。
カメラとレンズの接合部分を「マウント」といいます。一眼カメラは、マウントが一致していないとカメラ本体にレンズを装着できない仕組みになっています。マウントが同じなら別メーカーのレンズを装着することが可能です。
ニコンのミラーレスカメラ「Zシリーズ」用のマウント。大口径・ショートフランジバック仕様なのが特徴です。マウントアダプターを使用すれば、豊富なラインアップを持つニコンFマウントレンズを利用できます。
キヤノンは、高速AFが可能な超音波モーターをいち早く開発するなど、独自の技術を生かした高性能レンズを多数商品化しています。スポーツ分野に強く、大きなスポーツイベントではプロ向けの白い望遠レンズ(通称、白レンズ)が多く見られます。ミラーレスカメラ用の「RFレンズ」は、高画質なのはもちろんのこと、本格的な動画撮影に対応できるものが数多く用意されています。
長年にわたって「NIKKORレンズ」のブランドで高品位なレンズを開発してきた老舗メーカー。エントリー向けからプロ向けまで幅広いラインアップを揃えています。ミラーレスカメラ用の「NIKKOR Zレンズ」は光学性能にすぐれ、写りのよさで人気を博しています。動画撮影にもしっかり対応しています。
ソニーは、いち早くフルサイズミラーレスカメラを商品化したこともあって、対応の「α Eマウントレンズ」を数多く揃えています。「Gマスターレンズ」「Gレンズ」といった高性能モデルを積極的に展開しており、動画撮影用としても高く評価されています。
自社のミラーレスカメラが採用するLマウント用やα Eマウント用を中心に、超広角から超望遠まで豊富なラインアップを誇るメーカー。近年はレンズを「Art」「Sports」「Contemporary」の3ラインに集約。とりわけ「Art」ラインはその写りのよさで評判です。レンズのマウントを有償で交換するサービスも行っています。
コストパフォーマンスにすぐれる製品を手掛けるレンズメーカー。広角から望遠まで1本でカバーする高倍率ズームレンズや、高画質な中望遠マクロレンズなどをヒットさせてきました。近年はミラーレスカメラ用を積極的に展開。ユニークな焦点距離をカバーするレンズも開発しています。
「フジノンレンズ」ブランドで、APS-C用の「Xマウントレンズ」とラージフォーマット用の「Gマウントレンズ」という、自社カメラ用のレンズを展開。フィルムメーカーとしてのノウハウが詰まったカメラに最適化されたレンズなのがポイントです。
オリンパス時代からマイクロフォーサーズ用の「M.ZUIKOレンズ」を展開。「ZUIKO」は「瑞光」をローマ字にしたものでフィルムカメラ時代からの伝統あるブランドです。高性能な「PROシリーズ」などクオリティの高いレンズをいくつも商品化しています。
パンケーキのように「薄い」形状のレンズのこと。基本的に単焦点レンズとして設計されます。性能を追求するとレンズはどうしても大きく長くなりますが、パンケーキレンズなら見た目がすっきりして携帯性も上がります。
撮影時の微妙な手ブレを抑えるための機構です。デジタル一眼カメラにはボディ内に「手ブレ補正機構」を搭載しないカメラもあり、その場合はレンズ側の「手ブレ補正機構」を利用することになります。
「フルサイズ」と呼ばれる大型の撮像素子を搭載したカメラで使用できるレンズです。画質を優先した設計を採用するものが多く、同じ焦点距離であってもAPS-C専用レンズより性能も価格も高くなります。
焦点距離
レンズの中心から撮像素子までの距離を表す数値で、そのレンズがどのくらいの画角(写る範囲)であるかを示すために使われます。焦点距離が短いほど写る範囲が広がります。逆に長いほど写る範囲が狭くなり、被写体を大きく撮れます。
画角
写る範囲を対角線の角度で示したものです。魚眼レンズは180度、焦点距離24mmの広角レンズは84度、焦点距離300mmの望遠レンズは8.15度といったように、焦点距離が長くなると画角が狭くなります。
35mm判換算
同じ焦点距離でも撮像素子のサイズによって画角は変わります。そのため、画角は、フィルム時代の標準だった35mm判(今でいうフルサイズ)の焦点距離に換算して表記するのが標準的になっています。たとえば、マイクロフォーサーズの焦点距離25mmは35mm判換算では約2倍の50mm相当の画角に、APS-Cサイズの焦点距離25mmは35mm判換算で約1.5倍(※メーカーによって異なります)の37.5mm相当の画角になります。
ズーム倍率
広角端の焦点距離を基準に何倍までズームできるかを示すスペックです。「ズーム倍率」が高いほうが望遠に強そうに思えますが、たとえば、焦点距離30〜90mm対応のズームレンズも、焦点距離50〜150mm対応のズームレンズも、どちらも3倍ズームになります。
撮影最短距離
ピントを合わせられる最も近い距離のこと。一眼カメラの場合、撮影最短距離は撮像素子の位置から被写体までの距離のことをいいます。なお、レンズ一体型のデジタルカメラの場合は、レンズ先端から被写体までの距離で示されることが多いです。
最大撮影倍率
被写体をどのくらいの大きさで写せるかを示す値で、被写体の実際の大きさとカメラの撮像素子上に写る大きさの比率となります。撮像素子に被写体と同じ大きさで写せれば1倍(等倍撮影)、半分のサイズに写せれば0.5倍(1:2と表記することも)となります。
開放F値
レンズの絞りを最も開いたときの絞り値を開放F値といいます。この数字が小さくなるほど、明るい大口径レンズとなります。
フィルター径
レンズの先端部に、レンズ保護や特殊効果用の光学フィルターを装着するためのネジが切ってあります。その部分の直径が「フィルター径」です。56mmや77mmといったように直径をmmで表記します。
ダイレクトマニュアルフォーカス
オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)は撮影時の設定でどちらかに固定しますが、ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)機能があれば、AFでピントを合わせた後に、フォーカスリングを回してピント位置を微調整できます。フルタイムマニュアルフォーカス機能ともいいます。