デジタル一眼カメラの選び方
初心者がベストな一眼カメラを探すには、一眼カメラの特長や撮影シーンに応じた機材の選び方といった"カメラの基礎"を知ることが重要です。ここでは、一眼カメラの基礎をわかりやすく丁寧に解説していきます。
2022/6/16 更新
目次
まず、デジタル一眼カメラを選ぶうえで欠かせないポイントを解説します。デジタル一眼カメラの特長やミラーレスカメラとの違い、被写体(撮りたいもの)に応じた選び方や各メーカーの特長など、基礎をご紹介します。
デジタル一眼カメラの特長といえば、簡単にきれいな写真が撮れる基本性能の高さ、センサーサイズの大きさによる「画質の良さ」や「ぼけの大きさ」といった表現力が挙げられます。また、レンズを交換するだけでさまざま写真を取り分けられるなど、表現の幅に広がりを与えられます。
スマートフォンで撮影した画像もきれいですが、プリントや拡大をするとあらが見えてきます。やはり、センサーサイズの大きな一眼カメラのほうが、ディテールまでしっかり写せるのです。最近ではスマートフォンでも擬似的に背景をぼかすことができますが、一眼カメラで撮影した写真と比べると大きな差があります。
スマートフォンでもシャッターを押すだけできれいに撮れるとは思いますが、一眼カメラで撮った写真はワンランク上です。ディテールまでしっかりと表現できますし、階調がとても豊かです。また、大きなセンサーを搭載している一眼カメラは背景をぼかしたり、シャッターを長く開けることで光跡写真などのアーティスティックな写真も簡単に撮れたりします。
たとえば単純にシャッターを押してもきれいですが
長時間露光なら簡単に波を印象的にできます
レンズ交換はデジタル一眼カメラの長所です。レンズを交換することで表現の幅が広がります。風景を見た目以上に広く写したり、遠くの被写体をグッと大きく撮影して迫力を出したり、また小物を接写して画面いっぱいに大きく写せたりもします。一眼カメラを始めたらレンズ交換の面白さを実感できるでしょう。
普通に撮ってもきれいな風景です
広角レンズに交換すれば広がりを表現できます
デジタル一眼カメラというと「大きい」と思う人もいると思いますが、最近ではボディが非常に小型化され、スマートフォンより少し大きめで、重さが500g未満の製品も増えています。
最近の一眼カメラはオートフォーカスが速く、動く被写体も撮りやすくなっています。また、ただ高速なだけではなく、スマホのように画面タッチでフォーカスを合わせて撮影する機能も普及して、より撮りやすくなっています。
近年ではカメラとスマートフォンを常時Bluetooth接続することで、小さな写真データをカメラに送ったり、GPS情報を画像に付与できたりします。また、Wi-Fiを使えば大きな画像をスマートフォンに送ったり、カメラによっては動画ファイルを転送したりもできます。
ここでは撮りたい被写体に応じた選び方のポイントを解説。目的や被写体に応じたカメラを選ぶことは、より楽しくきれいな写真を撮ることの第一歩です。
日常的なスナップ撮影を撮るなら、今のカメラはどれでもOKです。その場合は、カメラのデザインやサイズ、グリップ感、メニューの使いやすさなどに注目しましょう。できれば一度実機を触って確認すると安心です。
とにかく持ち運んで使うという人は小型のミラーレス機がいいでしょう。特にマイクロフォーサーズの機種は小型の物が多く用意されているのでサイズ(携帯性)重視の方にはオススメできます。交換レンズも小さくなるので旅行の際にも荷物にならず便利です。
スポーツや高速で動く乗り物などの撮影がしたければ、連写が速くオートフォーカスが優秀な機種がベストです。このとき、エントリーモデルはあまり連写が速くないため、1秒間に7コマ/秒くらい撮れる中級機以上の一眼レフカメラがオススメ。このクラスであればAFにも満足できるはずです。
水族館やお遊戯会、レストランでの記念撮影、夜景、星空など暗いシーン、あるいは明暗差のある場所などを撮影することが多い人は、ノイズに強く明暗表現の幅が広い、センサーサイズの大きなカメラがいいでしょう。最近安くなって手が出しやすくなったフルサイズセンサーのカメラであれば、暗所でもしっかり撮れます。
明るさや暗さ、あるいは被写体の動きなど、撮影する際にはさまざまな状況があるでしょう。そこから自分の思い通りの写真を撮るには、まずサブ電子ダイヤル付属の、操作系が充実している機種を選びましょう。それらはミドルクラスからとなりますが、エントリー機と比べると操作のしやすさに格段の差があります。
初めてのデジタル一眼カメラを購入するのであれば必ずレンズキットを購入しましょう。これはカメラ本体とレンズをセットにして販売しているもので、ボディ単体とレンズ単体を別々に購入するよりもかなり安くなります。
4K動画はフルハイビジョン動画の4倍もの情報量を持つ規格で、より高精細な動画を記録することができます。動画撮影にこだわるなら4K対応のカメラを選ぶのが良いでしょう。さらに、同じ4K対応でも4K30fps(30フレーム/秒)よりも、4K60fps(60フレーム/秒)のほうがより滑らかな動画が撮れることも覚えておくといいでしょう。
レフレックスミラーがないから「ミラー」レス
デジタル一眼カメラには2つのタイプがあり、一方が「デジタル一眼レフ」、もう一方は「ミラーレス」です。一眼レフは光学ファインダーのためのミラーを内蔵しますが、ミラーレスはそのミラーがないため、ミラーレスと呼ばれています。それぞれの詳しい違いは以下で解説します。
軽量コンパクトさとスマートフォンに近い操作感を求めるならミラーレス!
ミラーレスのメリットはミラーがないため薄型で軽量なカメラが多いことです。シャッター音も小さく、電子シャッターを使い完全無音撮影もできる機種もあります。また、ミラーレス機はライブビューのため画面で見たままを撮影でき、明るさで失敗することはありません。ただし、メーカーによってはレンズが少ないこともあります。また、カメラのランクによっては、動く被写体を撮りづらいこともある点に注意しましょう。
被写体を直接見ながら撮影するなら、一眼レフの光学ファインダー
一眼レフカメラのメリットはたくさんの交換レンズがあることです。また、光学ファインダーによりタイムラグのない撮影ができるので動く被写体も撮影しやすいです。一方、ミラーレス機に比べサイズが大きくなり重くなります。また、物理的にミラーが動いているのでシャッター音が大きく、写真がブレることがあります。
ミラーレスで動く被写体を撮るなら電子ビューファインダー(EVF)付きが便利
ミラーレス機で動く被写体からスナップまで幅広くこなすのであれば、電子ビューファインダー(EVF)付きが便利です。動き回る被写体の場合、背面液晶を見てカメラの向きを調整して追いつつ撮るのは難しいですが、EVFがあると追いやすく、ブレにくくなります。さらに明るい場所で液晶モニターが見えづらい場合でもEVFならば画面を確認できます。EVFは機種によって外付けできるものもあるので、確認してみるといいでしょう。
カメラを探し始めると同じような機種がたくさんあり悩んでしまいがち。しかし、実際には各社それぞれの特長があります。ここでは選ぶ際の大きなポイントである「マウント」とメーカーごとの簡単な特長を説明します。
レンズ交換はデジタル一眼カメラの特長ですが、どんなカメラとレンズでも使えるかというとそんなことはありません。カメラのボディとレンズには必ず「マウント」と呼ばれる部分があり、同一のマウント同士でないと装着できないのです。
マウント別ボディ&レンズ対応表
以下は各社の採用するマウントごとのボディとレンズの組み合わせです。特にキヤノンの場合、フルサイズカメラではAPS-C用のEF-Sマウントレンズは使えないことに注意しましょう。
メーカー | ボディ | レンズ |
---|---|---|
キヤノン | キヤノンRF | キヤノンRF |
キヤノンEF | キヤノンEF | |
キヤノンEF-S | キヤノンEF/EF-S | |
キヤノンEF-M | キヤノンEF-M | |
ニコン | ニコンZ | ニコンZ※ |
ニコンF | ニコンF※ | |
SONY | α A | α A |
α E | α E | |
パナソニック | パナソニックL | パナソニックL |
パナソニック マイクロフォーサーズ |
マイクロフォーサーズ | |
オリンパス | オリンパス マイクロフォーサーズ |
|
富士フイルム | 富士フイルムG | 富士フイルムG |
富士フイルムX | 富士フイルムX | |
ペンタックス | ペンタックス645 | ペンタックス645 |
ペンタックスK | ペンタックスK |
※ニコンZのフルサイズカメラ(FX)にAPS-C(DX)のレンズを付けた場合、写る範囲が狭くなります。ニコンFのフルサイズカメラ(FX)のカメラにAPS-C(DX)のレンズを付けた場合も同様です。
マウントのことを理解したら、各メーカーのカメラ本体(ボディ)と純正レンズの現行ラインアップを簡単に確認しましょう。なお、表中の数字は基本的にメーカーのホームページに記載されている製品の数です。
キヤノンのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
一眼レフ | 7 | 10 | 17 |
ミラーレス | 9 | 17 | 15 |
「EOS R5」「EOS R6」などハイアマチュア向けのフルサイズミラーレスカメラの登場により、一眼レフカメラからミラーレスカメラへと主軸を移しつつあります。エントリーモデルも「EOS Kiss M2」「EOS M6 Mark II」などといったミラーレスカメラの機種が充実。ボディ・レンズの両方で一眼レフとほぼ同等かそれ以上の機種があります。
ニコンのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
一眼レフ | 4 | 26 | 14 |
ミラーレス | 8 | 13 | 13 |
一眼レフとミラーレスの両方を販売。ですが、フルサイズミラーレスの「Z 6」「Z 7」シリーズを発売したことで、ミラーレスカメラが主軸となりつつあります。ミラーレスではAPS-Cサイズのセンサーを搭載した機種もあります。一眼レフはプロモデルの「D6」をはじめ、フルサイズ、APS-Cの両方のモデルを発売していますが、近年減少傾向でエントリー機もありません。ただし、レンズはまだ豊富です。
ソニーのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
ミラーレス | 11 | 29 | 29 |
2021年まで、わずかながら一眼レフカメラを販売していましたが、現在はミラーレスカメラのみ。プロ用フラッグシップの「α1」をはじめ、画素数や高感度性能などの違う複数の「α7シリーズ」を発売しており、フルサイズミラーレスが非常に豊富です。また、APS-Cサイズセンサーを採用する「α6000」シリーズもあり、初心者から上級者までのニーズに対応します。ミラーレス用のレンズも豊富です。
パナソニックのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
ミラーレス | 16 | 17 | 25 |
現在はミラーレスのみを扱っており、フルサイズとフォーサーズの2種類のセンサーを採用しています。フルサイズセンサー機はライカのLマウント、フォーサーズセンサー機はオリンパスと共通のマイクロフォーサーズマウントなので、自社以外のレンズも使用できて選択肢は豊富です。家電メーカーのためか4Kを含む動画撮影機能が充実していることも特長です。
富士フイルムのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
ミラーレス | 16 | 30 | 17 |
ミラーレスのみの展開ですが、ハイエンドのユーザー向けにフルサイズではなく、さらに大型の中判サイズのセンサーを登載した機種を展開しているのが特長。もちろんAPS-Cセンサーのカメラも発売していまし、レンズも十分な数があります。富士フイルムの機種は銀塩フィルムを作り続けた伝統からか、鮮やかな色の再現性などに定評があります。
オリンパスのラインアップ
ボディ | 単焦点レンズ | ズームレンズ | |
---|---|---|---|
ミラーレス | 7 | 13 | 16 |
現在はフォーサーズセンサーの小型軽量なミラーレスのみを発売しています。レンズラインアップはパナソニックのものも使えるため被写体に応じた選択に困らないでしょう。写りは空や海など青色の再現に特長があるといわれます。ボディ同様レンズも小さいため携帯性は抜群で、旅行に行く際でも荷物になりません。