ビデオカメラの選び方
家族での外出や、入学式・卒業式などの学校のイベント、それ以外でも楽しい思い出は映像で残したいものです。そんなときに便利なのがハンディカメラ(以下ビデオカメラ)です。このページではビデオカメラの選び方を説明しています。
2023/4/24 更新
目次
近頃は、スマートフォンやデジタルカメラなど、ビデオカメラ以外にも動画撮影できる機器が多くあります。そこで、ビデオカメラの選び方を知るためにも、まずはそれらの特徴を簡単に確認しましょう。
動画撮影機器ごとの特徴
機器名 | ビデオカメラ (ハンディカメラ) |
アクションカメラ ・ウェアラブルカメラ |
デジタル一眼カメラ | スマートフォン |
---|---|---|---|---|
製品画像 | ![]() |
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画質 | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
ズーム | ◎ | △ | 〇 | △ |
手ブレ補正 | ◎ | 〇 | △ | △ |
サイズ | 〇 | ◎ | × | ◎ |
長時間撮影 | ◎ | △ | △ | △ |
音質 | ○ | × | △ | △ |
主要な動画撮影機器を比べると、ビデオカメラは性能のバランスがとれています。それに対し、「画質が優れるデジタル一眼カメラ」「携帯性がいいスマートフォン」のようにほかの機器は強みがはっきりしています。そのため、特長に合った用途や撮影に使うことが大切です。それぞれの機器についてさらに詳しく見ていきましょう。なお、「デジタル一眼カメラ/デジタルカメラ」の「ズーム」についてはデジタル一眼カメラのレンズ交換を行う前提で○としています。
ビデオカメラは広角から望遠までさまざまな状況に対応できるズーム性能が強みです。また、片手持ちで安定させやすい形状に加え、手ブレ補正も強力なので、本体だけでもきれいに撮れます。マイクも搭載しているため、音声も同時に録音できます。最近では4Kに対応する高画質な機種も増えています。家族の旅行や学校行事などさまざまな状況でしっかり撮れるカメラです。
猛スピードで山道を下る自転車からの映像や雪山を滑走するスキーヤーなどの撮影に使われるのが、アクションカメラ・ウェアラブルカメラです。広範囲を写せる広角レンズを搭載するため、いちいち被写体を追うのではなく乗り物や体に固定して撮りっぱなし、あるいは自撮りのような使い方に極めて向いています。最近のアクションカメラには4K60P、フルHD240fpsなどの高速な撮影を行い、撮った後で動画の一部をスローにするような処理が可能な機種も登場しています。
デジタルカメラも動画が撮れます。中でもデジタル一眼カメラは高画質です。また、レンズ交換により背景の大きなボケなどの表現もでき、撮影者の意図を反映できるため、映像作品の制作に向きます。ただし、画質がいい分、ブレの影響も大きいため、三脚などのブレを抑える機器が必須です。音声をしっかり録音したいなら外部マイクも必要でしょう。一眼に対し、コンデジなどとも呼ばれる普通のデジタルカメラは小型・軽量、かつ高倍率なズームを装備する機種も多く、ビデオカメラほどではないにせよ、さまざまな状況での録画が可能です。ただし、両手で保持する撮影スタイルのため、こちらも手ブレ補正機構が重要です。
手軽な動画撮影機器としておそらく最も普及しているのがスマートフォンです。アプリを使った加工なども可能ですが、基本的に「遠くからアップで撮影」といったような使い方には向いていません。とにかく持ち運びが簡単なので、日常的なシーンをぱっと記録してSNSで共有といった使い方に向いています。
さまざまな状況で安定した撮影が可能なビデオカメラですが、その中でも「上位機」と「普及機」による傾向の違いがあります。図はその違いを○×で示したものですが、簡単にまとめると「高画質で多機能な上位機」と「ズーム性能と携帯性が高い普及機」となります。これらの重要ポイントについてさらに詳しく見ていきましょう。
4KとフルHDの比較例
※画面は16:9の比率で4K・フルHDで撮影した静止画の一部を拡大したサンプルです。文字の質感や輪郭部のノイズなどに違いがあります。
一般的に上位機は高画質な4Kでの録画が可能です。これに対して普及機は、フルHD録画が主流で、画質は上位機に劣ります。映像をより高画質で残したい人や、すでに家に4Kテレビがある人には上位機がいいでしょう。
普及機は上位機に比べてズームの倍率が高いのが一般的で、ソニーの現行フルHDモデル「HDR-CX680/HDR-CX470」では30倍に達します。そのため遠くの被写体でも非常に大きく写せます。ただし、最近の上位機はズーム倍率は20倍程度でも、望遠端の焦点距離が500mmを超えている製品が多く、運動会の撮影などにも十分に対応可能です。画像はパナソニックの上位機「HC-VX2M」の広角端25mmと望遠端600mmのものですが、光学24倍のズームを搭載しているため、広角端の25mmでは中央に小さく写っている看板を望遠端600mmではしっかり拡大して写せています。なお、普及機のズーム倍率が高い理由ですが、そもそも高倍率ズームは倍率が上がるほど画質面で不利になります。そのため、画質が優先される上位機では20倍程度の倍率にとどめて画質を保つのに対し、普及機では利便性の高い30倍以上のズームを搭載できるのです。
25-600mmのズームの例
上位機は本体が大きく重いため携帯性はあまりよくありません。例えば4K対応のビデオカメラは本体のみで350gを超えるものがほとんどです。逆に普及機は軽く、本体も小型なことが多いため、携帯性は良好です。例えば外出中に小さな子供を撮影するとなると、ビデオカメラを片手で操作しつつ、もう一方の手でベビーカーを押したり、子供の荷物を持ったりといった状況はあり得ます。ビデオカメラにとって軽さと携帯性は非常に重要です。
通常、ビデオカメラは本体横の液晶ディスプレイで被写体を捉えて撮影します。ただ、屋外の明るい場所などの場合、光が反射してしまい画面が見にくい場合があります。そのため、上位機にはファインダーも搭載して、明るい場所でも確実に被写体を確認できるものがあります。屋外での撮影用であればファインダーの有無も確認しましょう。また、メーカーにもよりますが手ブレ補正機構も上位機のほうが新しく高性能な傾向にあります。
ビデオカメラの性能の基本を理解したら、ここからは用途・目的に応じた製品選びを解説します。
日々大きくなる子供の成長記録を高画質で残したいのであれば4Kでの記録に対応したビデオカメラがいいでしょう。また、動く子供を追いかけて撮ることもあるため、手ブレ補正機構も必須です。
屋内での撮影に重要なのがレンズの広角性能(=広い範囲を写せるか)です。集合シーンや舞台を撮影する際に広角性能が不十分だと、端が切れてしまうことがあります。そこで屋内での利用が主な場合には、広角端の焦点距離が28mm以下の製品を選びましょう
運動会など屋外のイベントを撮影する際に重要なのが望遠性能です。被写体をアップで撮影したい場合には、望遠端の焦点距離が450mmを超えていれば、まず十分な大きさで撮影が可能でしょう。また、ファインダーがあれば直射日光の下などの明るい場所でも被写体がしっかり確認できます。ファインダーなしの場合、モニターに太陽光が反射して、被写体が確認できないことがあるので、注意しましょう。また、手持ちで撮る場合もあるので手ブレ補正も必須です。
旅先で撮影する場合、さまざまな状況での撮影が発生するため、広角と望遠の性能をバランスよく備えた機種が向きます。また、携帯を考えると本体重量は350g以下、動きながらの撮影も考えられるため手ブレ補正機構も必須です。
アウトドア環境で使う場合、まず最優先はカメラが壊れないことです。そのため、防水や耐衝撃性能は必須です。また、これらの性能を備えているカメラは、防塵性能も備えていることが多いので、ハードに使うカメラの場合は一度確認しておくといいでしょう。
ビデオカメラの老舗、ソニーの定番シリーズです。エントリーモデルからハイエンドモデルまで多くの製品をラインアップし、予算や目的に応じて選びやすくなっています。中でもスタンダード機以上が搭載する「空間光学手ブレ補正」の効果に定評があります。
家電メーカーらしいビデオカメラを販売しているのがパナソニックです。手ブレしてしまった映像を撮影後に補正できる「あとから手ブレ補正」機能や、モニター横に搭載したサブカメラで撮影者の表情も同時に記録できる「ワイプ撮り」、高精細な静止画を切り出せる「4K PHOTOモード」など、便利な機能を備えたモデルを展開しています。
防水・防塵・耐衝撃・耐低温の安心機能を備え、アウトドアでのタフさも兼備しています。また、現行機種の多くは大容量バッテリーを搭載し、4時間を超える長時間撮影も可能なほか、さらにモバイルバッテリーからの給電にも対応しています。スポーツ選手の上達をサポートするスポーツ専用ビデオカメラ「teamnote CAM GY-TC100」が人気です。
動きながら撮影することが多いビデオカメラには手ブレ補正機能が必須。各メーカーとも、手持ち撮影でもくっきりとした映像を撮れるように力を入れているポイントです。最近では、センサーユニットや補正レンズを動かすことで手ブレを補正する「光学式」が主流です。
映像を出力する端子です。ケーブルで接続すれば、ビデオカメラで撮影した動画を大画面テレビなどHDMI入力を備えた機器で確認できます。
ディスプレイをタッチして操作できる機能です。直感的な操作が可能で、ビギナーにはうれしい機能です。
水平方向は360度全方位を同時に撮影できるビデオカメラです。垂直方向の撮影可能範囲によって全天球タイプと半天球タイプの2つに分けられ、全天球タイプは搭載する複数のレンズで上下左右すべての方位を撮影可能です。半天球タイプでは、垂直方向はレンズがついている側を中心とした範囲を撮影できます。
ビデオカメラは暗いところでの撮影が苦手です。赤ちゃんの寝顔などを撮りたいなら、赤外線を利用したナイトモードを搭載するなど、低照度に強いモデルを選びましょう。
ビデオカメラがWi-Fiに対応している場合、ケーブルでつながなくても撮影した動画や画像をスマートフォンやパソコンに転送できて便利です。また、アプリ経由でスマートフォンをリモコンとして使える機種や、撮影している動画をライブ中継できる機種もあります。
ワイプ対応モデルを選ぶことで撮ることができます。
本体に搭載されているサブカメラで撮影することでワイプ映像を撮影することができます。
内蔵のマイクで録音できますが、遠くの被写体だとよく聞こえないかもしれません。
その場合は別売りのガンマイクを装着することで、マイクを向けた向きの音を集中して録音することができます。
ハイビジョン映像をビデオカメラで記録するための規格の1つです。
多くのビデオカメラは「MPEG-4 MVC/H.264 AVCHD」で動画を記録します。記録した映像はパソコンやブルーレイレコーダー、DVDレコーダーにダビングすることができます。
USBケーブルでパソコンと接続したり、記録メディアをカードリーダーに装着して取り込んだりできます。
編集をするのであればパソコンに取り込んで保存するのが間違いないでしょう。また、パナソニックやソニーの場合、同社製のレコーダーとUSBケーブルで接続、データを転送して保存可能です。
ほとんどのモデルで撮影できます。
デジタルズームの使用中はできないなど、メーカーや機種によって撮影が制限される場合もありますが、多くの機種で動画撮影をしながら静止画を撮影することができます。ただし、静止画の画質はデジカメに劣ってしまいます。
メモリ-容量と録画モード、バッテリー容量の3つで変わります。
動画の保存先となる「メモリー容量」とは本体メモリとビデオカメラに装着して使うSDなどメモリカードのことです。本体メモリの容量が小さくても、大容量のSDカードを装着すれば、より長い時間録画できます。次に「録画モード」 (4Kやハイビジョンやスタンダードなど)ですが、こちらは、高画質なモードほど録画時間あたりのデータ量が大きくなります。そのため、4Kで撮る場合には大容量のメモリが必須になります。最後にバッテリーですが、通常、カメラに付属するバッテリーでの撮影可能時間はおおよそ45分〜2時間程度です。それ以上の撮影を予定しているのなら、より大容量のバッテリーや交換用のバッテリーを別途用意しましょう。
三脚と予備のバッテリーやメディアがあると便利です。
三脚は撮影時にカメラを安定させるほか、同じ場所で撮影し続ける場合にカメラを手で持ち続ける必要がないため便利です。長時間の撮影を行うなら、予備のバッテリーや予備のメディアがあると安心です。さらに音にこだわるなら外付けマイク、暗いところで本格的な撮影をしたいならLEDのビデオライトなども活躍してくれます。
撮像素子
映像を電気信号として受信する部分です。CCDやCMOSなどの種類があり、サイズが大きいほど高画質です。
インターレース
テレビ放送で採用されている方式で、1フレームの映像を2回に分けて走査する方式です。フレームレートによっては、画面にちらつきが出ることがあります。
プログレッシブ
1フレームを1回の走査で表示する方式です。高画質の映像を記録するならプログレッシブ方式が適しています。
Dolby Digital
音声のデジタル圧縮・再生の方式の1つで、モノラルから5.1chまで対応します。映画、DVD・ブルーレイ、ゲーム機器など多くのジャンルで採用されており、家庭用ビデオカメラでもこの規格に対応するようになり、臨場感あふれる5.1chのサラウンドで記録できるのです。Dolby Digital対応機器で再生すれば、クリアな音で臨場感を再現できます。
顔認識機能
家族旅行やパーティなど、複数の人物を撮影するときに、それぞれの顔を認識して最適な光の量と色の補正を行い、きれいに撮影する機能です。
傾き補正
ビデオカメラを高く掲げた状態での撮影や、話しながらの撮影では、カメラが傾いてしまうことがあります。傾き補正機能があれば、手ブレとは別に水平方向の傾きを自動的に補正します。